狂犬と消失少年   作:火の車

16 / 82
サポート

 学校の昼休み、俺は六花に勉強を教えるために待ち合わせの場所の食堂に来ていた

 

陽介「__えーっと、六花はー。」

六花「出水さーん!」

陽介「あ、いた。」

 

 食堂に入ると、席を取ってこっちに懸命に手を振ってる六花の姿があった

 

陽介「待たせたな。」

六花「いえいえ、突然お呼びしてすみません!」

陽介「呼んでくれって言ったのは俺だよ。気にしなくてもいい。わざわざ席取りまで、ありがとな。」

六花「そんな、とんでもないです。あ、座ってください。」

陽介「おう。」

 

 俺は六花にそう言われ、向かいの席に座った

 

 そして、教科書と問題集を広げた

 

陽介「それじゃあ、始めるか。」

六花「はい!」

陽介「じゃあ、昨日やって分からなかったところの解説だな。」

 

 昨日、六花には一通り数学の問題集をしてもらった

 

 幸いにも、1学期の中間テストなだけあって範囲も狭めだし、余裕で間に合わせられる

 

陽介「じゃあ、まず、なんでこの問題が出来なかったと言うとな__」

 

 それから、俺は昼休み一杯一杯使って、数学の解説をした

 

 教科書通りに教える事は絶対にしない

 

 ある程度、自分の経験から簡単に出来るコツを教える

 

 必要な情報を必要な分だけ入れる、これが重要だ

 

陽介「__まぁ、こんな感じだ。分からない所あるか?」

六花「大丈夫です!」

陽介「じゃあ、数学はあの通りにすればある程度の応用問題も大丈夫だと思う。でも、確認は怠らずに出来る限り反復して問題を解いてくれ。」

六花「はい!分かりました!」

 

 六花がそう言うのと同時に予鈴が鳴った

 

陽介「お、ぴったりだな。」

六花「ありがとうございました!」

陽介「いいよ。あ、次は英語辺りをするから、暗記科目は時間があるときにちょっとでもいいから目を通してくれ。」

六花「はい!頑張ります!」

陽介「じゃあ、教室に戻るか。」

六花「はい!」

 

 それから、俺と六花は分かれてそれぞれ教室に戻った

__________________

 

陽介(__あと一週間くらい。その間にどこまで定着するか、それは六花の頑張り次第。)

 

 いや、頑張り次第なら大丈夫だな

 

 六花は頑張れる子だし、疑う余地はない

 

 俺がそう考えてるうちに、教室に戻ってきた

 

モカ「あー、おかえりー。」

陽介「あぁ、ただいま。」

ひまり「どこ行ってたの?」

陽介「食堂だよ。勉強しに。」

 

 俺はそう言いながら自分の席に着いた

 

 すると、すぐに話しかけて来た

 

蘭「それって誰かと?それとも一人?」

陽介「年下の子と。事情があって教えることになっててな。」

巴「おぉ!陽介は人に教えられるんだな!」

陽介「まぁ、ある程度な。」

つぐみ「すごいね!もう頼られるなんて!」

陽介「色々事情があるんだよ。」

 

 俺は次の授業の用意をした

 

モカ「それでー、どうなのー?」

陽介「間に合うよ。余裕で。」

モカ「おー、さっすがー。」

 

 青葉は俺を真っ直ぐ見据えたままそう言った

 

 すごい意味深な目をしてる

 

陽介「どうした、青葉?」

モカ「なんでもー?」

蘭「モカはいっつも一人で変なこと言ってるから、あんまり気にしなくていいよ。」

モカ「ひどいなー」

陽介「ははは。」

 

 そんな会話をしてるうちに教師が教室に入ってきた

 

 それから、午後の授業が始まった

__________________

 

 それから、午後の授業も終わり、放課後になった

 

 俺はいつも通り、バイトをしにギャラクシーに向かった

 

陽介「__あれ?」

 

 ギャラクシーに着くと、ドアが開いてなかった

 

 なんでだ?

 

 そう思うと、俺の携帯に電話がかかってきた

 

陽介「もしもし?」

美子『あ、もしもし、陽介君?』

陽介「はい。」

美子『もしかして、もうギャラクシーに来てる?』

陽介「はい。今、真ん前にいます。」

美子『あ、やっぱり?』

 

 店長は申し訳なさそうな声でこう言った

 

美子『しばらくね、会議とか色々あるからお休みになっちゃうの。』

陽介「あ、そうなんですか?」

美子『うん。だから、その間はバイトには来なくてもいいよー』

陽介「はい。わかりました。」

 

 俺がそう言うと、電話が切れた

 

陽介(まぁ、やることはあるし。そっちに時間を使えばいいか。)

 

 そう思い俺は足早に家に帰った

__________________

 

 家に帰ってくると、やっぱり演奏の音が聞こえた

 

 ライブ前だし、かなりハードな練習をしてるんだろうな

 

陽介(サポートも頼まれて準備してるし、休憩時間になったら持っていくか。)

 

 俺はそう思いながら、奥の演奏が聞こえる位置で何冊かのノートを広げ、ある事を始めた。

__________________

 

陽介「__ん?」

 

 しばらくすると、演奏の音が止まった

 

 休憩時間になったのか

 

 俺はそう思って冷蔵庫に入れておいたものを持って、奥の部屋に入った

__________________

 

 奥の部屋に入ると、休憩をとってる皆の姿があった

 

チュチュ「あら、陽介。」

陽介「ただいま。頑張ってるな。」

チュチュ「えぇ。最強の音楽を奏でるためには必要なのよ。」

 

 最強の音楽か

 

 素人の俺にはRASの音楽はそう感じるんだけどな

 

チュチュ「陽介はどうしたのかしら?いつもより早く帰ってきてるわね?」

陽介「なんか、ちょっとの間、ギャラクシーが会議やらで閉まるらしいんだ。それで、帰ってきた。」

チュチュ「へぇ、そんな事もあるのね。」

 

 チュチュは頷きながらそう言った

 

陽介「だから、RASのサポートに集中するよ。」

チュチュ「ありがとう。」

 

 俺はそう言ってから休憩してる皆の方に行った

 

 かなり疲労してるな

 

 RASの音楽は激しいし、消耗がかなり激しいんだろうな

 

陽介「大丈夫か、皆?」

ますき「おー、出水ー。」

レイ「見たまんまだよ。」

パレオ「疲れましたー。」

六花「はい......」

陽介「そうかそうか。」

 

 とりあえず、佐藤は重症だな

 

陽介「まぁ、これでも食えよ。」

 

 俺はそう言って、机の上にあるものを出した

 

レイ「これは。」

陽介「レモンのはちみつ漬け。よく聞くから作ってみた。」

パレオ「ありがたいですー!」

ますき「あぁ。疲労回復の効果があるって言うしな。」

六花「美味しそうです!」

陽介「あ、そうだ。」

 

 俺はレモンをつけたはちみつを取って部屋を出た

 

ますき「なんだぁ?」

パレオ「まっすーさん!これ本当に美味しいですよ」

レイ「本当に、甘酸っぱくて、さっぱりしてる。」

六花「すごく、美味しいですね!」

パレオ「チュチュ様も召し上がりますかー?」

チュチュ「......いくつか持ってきて。」

パレオ「かしこまりましたー!」

 

陽介「__おまたせー」

 

 俺は人数分の紅茶を持って、部屋に戻ってきた

 

陽介「ほら、どうぞ。」

六花「紅茶?」

陽介「あぁ。さっきのはちみつを溶かしてある。」

レイ「へぇ、そんな使い方あるんだ。」

ますき「知らなかったなー」

陽介「なんか、喉の調子を整えるのにいいんだと。これなら無駄なく使えるし、はちみつだけなら保存も効く。」

 

 という、ネットで拾ってきた情報を喋った

 

 いやー、ネットは便利だな

 

陽介「いるなら持っていくか?」

レイ「うん、欲しい。」

パレオ「パレオも欲しいですー!」

陽介「いや、いつでも飲めるだろ。」

チュチュ「陽介!」

陽介「なんだ?」

チュチュ「おかわり。」

陽介「了解。」

レイ「あ、私も。」

ますき「私も頼む。」

パレオ「パレオもー♪」

六花「わ、私も!」

陽介「はいはい。ちょっと待っててくれ。」

 

 俺はそう言って紅茶のお代わりを入れに行った

 

 そして、一息ついた後、練習は再開された

 

 俺も作業をしながらそれを聞いていた

 

 やっぱり、すごい演奏だ、チュチュも嬉しそうにうなずいてる

 

 そうして、しばらくの演奏の末、練習が終わった

__________________

 

 練習が終わると、各々、機材を片付けたりしていた

 

 俺もそれの手伝いをしたりしてた

 

ますき「__なぁ、出水。」

陽介「ん?」

ますき「六花の方はどうなんだ?」

陽介「いや、昨日の今日で急激に変わることはないよ。流石に。」

レイ「まぁ、そうだよね。」

陽介「だから、色々、用意したんだ。」

六花「用意?」

 

 俺はさっきまで書いてたノートを六花に渡した

 

六花「これは?」

陽介「六花のテスト範囲をまとめたノートだ。」

六花「えぇ!?」

ますき「いつの間にそんなの作ったんだ?」

陽介「さっきだよ。要点だけまとめた。」

レイ「へぇ、すごいねこれ。」

 

 和奏はそう言いながらノートをめくっていた

 

レイ「キッチリまとまってるし、ちょっと踏み込んだ内容も。」

ますき「確かに、すげぇな。」

陽介「まぁ、今回はライブが重なってるから、ライブのサポートの一環って事で。」

六花「わ、わざわざ、すみません!」

陽介「いいよ、チュチュの頼みだから。」

 

 申し訳なさそうにする六花に、俺は笑いながらそう言った

 

陽介「まぁ、ライブ頑張れな。」

六花「はい!」

 

 そうして、俺はテストの期間をRASのサポートをしてすごした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。