狂犬と消失少年   作:火の車

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終わりと遭遇

つぐみ「__出水くーん!」

陽介「!?」

 

 朝、俺が朝食を受け取るためにカウンターの前で待ってると羽沢が走ってきた

 

 あまりにいい笑顔だったから、かなり面食らった

 

つぐみ「おはよう!」

陽介「あ、あぁ、おはよう。」

つぐみ「今から朝ごはん?」

陽介「そうだ。」

つぐみ「じゃあ、一緒に食べよ!」

陽介「あぁ、いいぞ。」

 

 なんなんだろう

 

 羽沢ってずっとこんな感じだったか

 

 そう思ってる内に朝食が来た

 

 そして、羽沢も朝食を受け取って、席に座った

 

陽介「羽沢、今日は__」

つぐみ「今日は午前中に自然観察で、そなとお昼ご飯を食べて帰るよ!」

陽介「あ、あぁ、そうか。」

 

 なんで、言おうとしたことが分かったんだろう

 

 いや、昨日も同じこと聞いたから、パターン的に分かったんだろう

 

陽介「自然観察、つまり自由時間か。」

つぐみ「ま、まぁ、言っちゃえばそうかもね。」

陽介「まぁ、山奥なんて滅多に来ることもないし、そう言うのもいいのかもな。」

 

 俺はそう言った後、味噌汁を飲んだ

 

 まぁ、お湯と大して変わらないんだが

 

つぐみ「やっぱり、自分で作った方が美味しい?」

陽介「?」

 

 俺が朝食を食べてると、羽沢はそう言ってきた

 

 そんなに顔に出てたのか

 

陽介「いや、そういう訳じゃないよ。」

つぐみ「そうなの?」

陽介「あぁ。美味しいよ。」

 

 俺と羽沢はこんな感じで会話をしながら朝食を食べた

 

 ”アフターグロウ”

 

モカ「__おー、良い感じ良い感じー。」

蘭「つぐみ、すっごい笑顔だね。」

 

 少し離れた席で、4人は二人の様子を見ていた

 

ひまり「つぐ、可愛いねー!」

巴「あぁ、そうだなー。」

蘭「あれ、モカがけしかけたんでしょ?」

モカ「その通りー。」

 

 モカは手で丸を作りながらそう言った

 

ひまり「それにしても、好きになったって言ってもさ、あんなに態度変わるものなのかな?」

モカ「!」

巴「だよなー。なんであんなになったんだ?」

蘭「モカ、何か知ってる?」

モカ「......知らなーい。」

蘭「そう。」

 

 モカがそう言うと、3人は納得したように観察を再開した

 

モカ(流石にー、事情は言えないよねー。)

 

 そうして、朝食の時間は過ぎていった

__________________

 

 朝食を食べた後、俺達はある程度の準備して、外に出た

 

 教師から説明を受けて、自然観察が開始しされた

 

陽介「__やる事ないよな。」

つぐみ「あ、あはは。」

 

 活動範囲は肝試しをした森だ

 

 範囲は広いが、何をしたらいいんだろう

 

陽介「__ん?」

モカ「あれはー?」

蘭「なに?」

 

 少し歩いてると、一か所に人だかりができていた

 

 不思議に思い、俺達はそれに近づいて行った

 

「これ、なに?」

「何かの呪い?」

「肝試しとかしたし......まさか......」

 

陽介「何言ってるんだ?......って、あれは?」

 

 そこには、とても見覚えがある、物があった

 

 木の肌に渇いた、赤い模様

 

 ペンキみたいにべったりとついてた様子がうかがえる

 

モカ「あれはー?」

ひまり「ま、まさか、呪い!?」

巴「そそそんなわけないだろー!?」

蘭「そうだよ、馬鹿馬鹿しい。」

陽介「そ、そうだなー。じゃあ、他の所に行くかー。」

つぐみ「......出水君?」

 

 俺が別の場所に移動しようとすると、羽沢が俺の事を呼んだ

 

 それを聞いた俺は、背筋が凍るような悪寒を感じた

 

つぐみ「あれ、何なんだろうね?」

陽介「え、えっと、森に棲んでるおばけさんじゃないかなー?」

つぐみ「出水君?」

陽介「はい!ごめんなさい!」

 

 あれ、俺がぶん殴って付けたやつだ

 

つぐみ「もう。あれは私のせいだけど、もうあんなのしちゃダメだよ?」

陽介「はい。」

蘭「あんな事してたんだ。」

巴「あー、目印ってやつか。」

ひまり「びっくりしたー。」

 

 俺は羽沢にそう注意され

 

 怖がり3人は心底安心していた

 

 ”モカ”

 

モカ(さらっと言ってるけど、あんな量の血が出るほど手が傷ついてるんだよね?)

 

 モカは陽介の手を見た

 

 そこには包帯が巻かれており、一部からは血がにじんでる

 

モカ(まるで、手を切り落としたみたいー。)

蘭「モカ、何ボーっとしてるの?置いて行くよ。」

モカ「あー、待ってよー。」

 

 それから、陽介たちは自然観察と言う名の雑談の時間を過ごした

_________________

 

 それから、俺達は昼食をとっていた

 

 教師から弁当を配られ、好きな場所で食べていいらしい

 

モカ「__それにしても、一瞬で終わったねー。」

陽介「あぁ、そうだな。」

ひまり「楽しかったよねー!」

巴「あぁ!次の行事も楽しみだなー!」

蘭「期末テスト。」

ひまり、巴「うっ、頭が......」

つぐみ「あはは......」

 

 宇田川と上原は頭を押さえた

 

 期末テストか、まぁ、俺は問題ないな

 

巴「陽介ー、助けてくれー!」

ひまり「助けてよー!いずみんー!」

陽介「え?」

 

 二人は俺に泣きついてきた

 

 なんで、俺に来るんだ......

 

陽介「助けるって言っても、俺は何もできないぞ。」

巴「前みたいにノート見せてくれよー!」

陽介「あぁ、そういう事か。」

つぐみ「二人とも!あんまり甘えちゃダメだよ!」

ひまり「でもさー、つぐー。」

蘭「このままじゃ、二人とも学年下になるよ。」

モカ「......ふっ。」

陽介「いや、前のテスト、そんなに絶望的だったのか。」

 

 美竹はため息をつきながら頭を抱えてる

 

 羽沢と青葉も苦笑いだ

 

陽介「そういう事なら、まぁ、写真に撮るくらいにしてくれ。」

巴「あぁ、わかった!」

ひまり「ありがとー!いずみんー!」

陽介「どこまで効果があるかは知らないけどな。」

 

 俺はそう言いながら、残ってた弁当を食べた

 

 そして、テストまでの予定を立てていた

 

陽介(ノートは今まで通り作るとして、六花にも勉強を教えないといけない場合もあるな。バイトも再開されるし......)

 

 やることはたくさんある

 

 まぁ、それはそれでいいんだがな

 

 俺がそんな事を考えてるうちに、昼食の時間は終わり、次の行動に移っていた

_________________

 

 その後、宿舎で最後の集会をして、各自バスに乗り込んだ

 

 バスが出発すると、最初こそ盛り上がったものの、1時間ほど経つと皆寝始めた

 

陽介「__皆寝たなー。」

つぐみ「そうだね......」

陽介「?」

 

 羽沢の方に目をやると、羽沢もかなりウトウトしていた

 

 眠気ってやつは伝染するのか?

 

陽介「寝たいなら、気にせず寝てもいいぞ?」

つぐみ「うん......」

陽介「!」

 

 羽沢はそう返事をすると、俺の方に倒れて来た

 

 そして、頭が俺の太ももの上に乗った

 

つぐみ「これでも、いい?」

陽介「いや、寝れるなら別にいいぞ?」

つぐみ「やった......えへへ」

 

 羽沢はそんな可愛らしい笑みを浮かべた後、すぐに眠りについた

 

 寝てる姿を見ると、本当に同い年か疑いが生まれる

 

陽介「......」

つぐみ「ん......っ。」

 

 俺は少し、羽沢を撫でた

 

 くすぐったそうに体をよじった後に嬉しそうな顔をしていた

 

モカ「__つぐは可愛いかなー?」

陽介「なんだ、起きてたのか。」

 

 横から、美竹の頭を肩に乗せた青葉が話しかけて来た

 

モカ「うちの蘭も可愛いでしょー?」

陽介「あぁ、そうだな。」

モカ「でしょでしょー。」

 

 青葉は緩い笑みを浮かべながら、そう言った

 

モカ「ようくんはつぐにそんな風にくっつかれて嬉しいー?」

陽介「まぁ、可愛らしいし、嬉しいんじゃないか?」

モカ「そっかそっかー。」

陽介「青葉は......って、聞くまでもないな。」

モカ「あたしは嬉しいよー。」

 

 青葉は美竹の頭を撫でた

 

 美竹は表情をゆがめてた

 

陽介「すっごい嫌がられてるな。」

モカ「なんでー?」

陽介「からかってるのが分かってるんじゃないか?」

モカ「そうなのかなー?」

 

 からかってるの部分を否定することもなく、青葉は美竹をいじっていた

 

モカ「ねーねー、ようくんー。」

陽介「なんだ?」

モカ「何か話しよー。」

陽介「話?何についてだ?」

モカ「そーだなー......」

 

 青葉は考えるようなそぶりを見せた

 

 そして、3秒ほど経つと、思いついたように口を開いた

 

モカ「恋バナしよー。」

陽介「恋バナ?」

モカ「そーそー。」

陽介「別にいいが、話すことあるか?」

モカ「ようくんは好きな人いるー?」

陽介「いない。」

モカ「早いー。」

 

 俺が答えると、青葉は残念そうに首を振った

 

モカ「ほんとにいないのー?」

陽介「ほんともほんとだ。」

モカ「モカちゃんとかどー?」

 

 青葉はニヤニヤしながらそう言ってきた

 

陽介「いいと思うが、遠慮しとく。」

モカ「フラれたー。モカちゃん、ショックー。」

陽介「思ってないだろ。」

 

 いつも冗談を言ってるように感じる青葉だが、これは誰が聞いても冗談だって分かる

 

 そりゃ、ニヤニヤしてるしな

 

陽介「そう言う青葉は、そう言うやつはいるのか?」

モカ「あたしー?うーん......」

 

 青葉は少し考えて、すぐにこう答えた

 

モカ「いないねー。」

陽介「だよな。」

モカ「モカちゃんは皆のモカちゃんだからねー。」

陽介「間違いないな。」

 

 この話題、どう考えても俺と青葉にミスマッチだな

 

 だって、お互いにそう言うのに興味ないからな

 

モカ「それで、さっきの続きだけどさー。」

陽介「続けるのか。」

モカ「モカちゃんがダメならー......つぐはー?」

陽介「羽沢か。」

 

 俺は羽沢を見た

 

陽介「可愛いし、一生懸命だから、羽沢を好きな奴は多そうだな。」

モカ「じゃー、ようくんもー?」

陽介「俺は、どうだろうな。」

モカ「んー?」

陽介「俺はこんなだからな。」

モカ「あっ。」

 

 俺は自分の左目を指さした

 

 その後、口も指さした

 

陽介「もしも、俺がちゃんとした普通の人間なら、羽沢をそういう風に思ってたかもしれないな。」

モカ「......」

 

 俺がそう言うと、青葉は黙った

 

 その表情からはいつもとは違い、真面目な表情だ

 

陽介「俺みたいなやつ、羽沢に迷惑をかけるだけだ。」

モカ「ようくんは。」

陽介「?」

モカ「ようくんはどうありたいの?」

陽介「どうありたい?」

 

 質問の意味が分からなかった

 

 何のことを言ってるんだ

 

モカ「ようくんは、なんで自分から普通を捨てようとするのー?」

陽介「っ!」

モカ「ようくんの目と味覚の事しか知らないけどー、まだ、ようくんは普通の人間なんじゃないのー?」

陽介「......違うよ。」

 

 俺はそう言った

 

陽介「俺の目を見た人の目は、人間を見るそれじゃなかった。」

モカ「......」

陽介「......それに。」

モカ「?」

陽介「俺には、流れちゃってるから。」

モカ「え?」

陽介「......人間じゃない、クズの血が。」

 

 苦しい、呼吸が浅くなってる

 

 直接的な表現をしたら気を失うぞ

 

モカ「そ、それって。」

陽介「俺から話せるのはこれだけだ。気になるなら、羽沢に聞いてくれ。」

モカ「え?」

 

 俺はそう言って、目をつぶった

 

 それから、青葉は俺に話しかけてくることはなかった

 

 気づけば、俺も眠りについていた

_________________

 

「__ずみくん。」

 

 誰かの呼ぶ声が聞こえる

 

つぐみ「出水君!」

陽介「......羽沢?」

 

 目を開けると、目の前には羽沢の顔があった

 

つぐみ「着いたよ!」

陽介「あ、あぁ、そうか。」

 

 意識がはっきりしてきた

 

 そして、俺はバスから降りた。

_________________

 

 バスから降りると、教師からもう帰ってもいいと言われた

 

 生徒は各自、帰って行ってる

 

つぐみ「__お疲れ様!」

蘭「......頭痛い。」

ひまり「私もー。」

巴「お疲れだ!皆!」

モカ「お疲れー。」

 

 5人も緩く声を掛け合ってる

 

モカ「じゃー、帰りますかー。」

陽介「そうだな__!!!」

蘭「出水?」

 

 俺がそう言って、家の方向に体を向けると、ある姿が見えた

 

 それを見た途端、俺は呼吸が出来なくなった

 

陽介「あ......あぁ......!!」

巴「お、おい!大丈夫か!?」

 

 俺は知ってる、あの姿を

 

 目から涙があふれて、体が動かなくなった

 

「__この後どうする?」

「分かっているだろう?」

「いつもの、ね?」

 

 知らない男と腕を組んで、見たこともないような化粧をしてる

 

 胸や尻に手が行っても、嫌そうな顔どころか、どこか嬉しそうにしてる

 

 でも、あれは間違いなく......

 

陽介(か、かあ、さん......)

 

 声が出せない

 

 もがくような動きしか出来ない

 

つぐみ「出水君っ!!」

陽介「あ......か......あ......さ。」

つぐみ「え?」

巴「やべぇぞ!救急車!」

ひまり「もうかけた!」

モカ「ようくん!」

 

 俺ははるか遠くに5人の声を感じながら、意識を失った




これを見てる人はミラチケガチャを引きますか?自分は引きます。
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