狂犬と消失少年   作:火の車

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昼休みに

 朝、俺は家事をこなしてから家を出て、学校に来た

 

つぐみ「__あ!出水君!」

陽介「おー、おはよ。」

つぐみ「おはよう!体の調子はどう?」

陽介「大丈夫。寝たら治った。」

 

 教室に入ると、一番に羽沢が話しかけて来た

 

 心配してくれてたんだな

 

モカ「つぐー、はやーい。」

巴「すごい反応だったな。」

蘭「うん。飼い主が帰ってきたときの愛犬みたいだった。」

ひまり「つぐも好きだねー。」

陽介「__何言ってんだ?」

 

 席に行くと、4人が何かを話してた

 

 内容は聞き取れなかったが、全員ニヤニヤしてた

 

ひまり「おはよー!いずみん!」

モカ「元気になったみたいだねー。」

陽介「皆が救急車を呼んでくれたりしたからな、助かったよ。」

巴「気にすんなって!」

蘭「うん、良くなったみたいでよかった。」

 

 ほんとにこの5人は優しいな

 

 俺はそう思って頬が緩んだ

 

モカ「どーしたのー?」

陽介「嬉しくてな。」

モカ「?」

 

 俺はそう言いながら席に着いた

 

友希那「__陽介はいるかしら。」

陽介「ん?湊さん?」

 

 名前を呼ばれたと思ってドアの方を見ると、湊さんが来てた

 

 何か用があるらしい

 

 俺は湊さんの方に行った

 

陽介「おはようございます、湊さん。」

友希那「おはよう。ようすけ。」

陽介「今日は何か用が?」

友希那「それもあるけれど。今日は様子を見に来たの。」

陽介「?」

友希那「また、病院でお世話になったみたいね。」

 

 湊さんはそう言いながら、俺の頬に手を添えた

 

 それと同時に、周りの生徒が凍り付いた

 

つぐみ(え!?)

 

友希那「もう大丈夫みたいね。」

陽介「はい、大丈夫ですよ。」

友希那「詳しい事情は聞いてないけれど、無理はいけないわよ。」

陽介「はい、分かりました。」

 

 湊さんはいつも通り、優しい声でそう言った

 

 本当にこの人は安心する

 

友希那「それと。」

陽介「はい?」

友希那「あなた、日菜と__」

日菜「__んー?なーに?」

陽介、友希那「!?」

 

 湊さんが話すのと同時に氷川さんが出て来た

 

 どこから現れた

 

陽介「......氷川さん。」

日菜「久しぶりー!」

 

 最悪だ

 

 出来れば、金輪際、会いたくなかったんだが

 

友希那「何しに来たの?」

日菜「もー、友希那ちゃんこわーい!」

友希那「あなたが陽介にしたこと、知らないとでも思ってるの?」

陽介「!」

 

 すごく、怒った声

 

 俺の背筋まで凍り付きそうだった

 

友希那「今回はやめておきなさい。あなた、本当に取り返しのつかない事をするわよ。」

日菜「大丈夫だよー!あたし、失敗できないもん!」

友希那「日菜......!」

日菜「大丈夫!今日は何もしないよ!」

 

 氷川さんは湊さんを気にする様子もなく、笑みを浮かべている

 

日菜「救急車に運ばれたって聞いたけど、うん!元気そうだね。」

陽介「......さっきまではもっと元気だったんですがね。」

日菜「あはは!そーなんだ!」

 

 氷川さんはそう言って、背中を向けた

 

日菜「じゃあ、あたしは帰るねー!」

友希那「私も戻るわ。」

陽介「はい。さようなら、湊さん。」

日菜「あたしはー?」

陽介「......氷川さん。」

日菜「あはは!じゃあねー!」

友希那「気を付けるのよ、陽介。」

 

 二人は教室を出て行った

 

 俺は少しため息をつき、席に戻ろうと振り向いた

 

男子「__おい!出水ー!」

陽介「!?」

 

 振り向くと、その先には男子が立っていた

 

陽介「ど、どうした?」

男子2「お前......湊先輩と!」

男子3「生徒会長と!」

男子4「羨ましいぞ!!!」

陽介「は?」

 

 何を言ってるんだ?

 

 いや、湊さんは羨ましいかもしれないが、氷川さんはそうでもないだろ

 

男子「ただな。」

陽介「?」

男子「あの可愛い先輩二人が教室に来たんだ。」

男子たち「ありがとな!!」

陽介「お、おう。」

 

 煩悩しかないな

 

 いや、俺も今までは大差なかったかもしれないけど

 

男子2「今まであの5人とも一緒にいるハーレム野郎とか思っててごめんな!」

陽介「いや、それは聞き捨てならないんだが。」

 

 なんだかんだあって、朝の時間が過ぎていった

_________________

 

 午前の授業が終わり、昼休みになった

 

陽介「__あ。」

 

 弁当を忘れた

 

 携帯を見ると、チュチュから連絡が入ってる

 

陽介「あー、やっちまった。」

つぐみ「どうしたの?」

陽介「弁当、忘れた。」

つぐみ「え?大丈夫?」

陽介「まぁ、学食あるし、行ってくるよ。」

 

 俺は席を立った

 

つぐみ「わ、私もついて行っていいかな?」

陽介「ん?いいぞ。」

つぐみ「やった!」

 

 そうして、俺と羽沢は食堂に向かった

_________________

 

 食堂に来ると、案の定、席は埋まってた

 

陽介「__これは、困ったな。」

つぐみ「空いてる席あるかな?」

 

 パンを買って、教室で食べると言う手もあったが、もう売り切れてる

 

陽介「どうしたもんか。」

六花「出水さーん!」

陽介「ん?」

 

 俺は声のした方を見た

 

 そこには、手を振ってる六花の姿があった

 

 俺と羽沢は六花の近くに行った

 

陽介「六花も食堂に来てたのか。」

六花「はい。お弁当を作れなくて。」

陽介「なるほどな。」

六花「出水さんは何で?」

陽介「弁当を忘れたんだ。」

六花「じゃあ、相席しましょう!」

 

 六花はそう言った

 

陽介「いいのか?」

六花「はい!」

陽介「じゃあ、お言葉に甘えて。」

リサ「__友希那ー、この時間に空いてる席なんてないよー」

友希那「......ごめんなさい。」

陽介「あれ?湊さんに今井さん?」

 

 俺が座ろうとすると、二人が来た

 

陽介「まさか、湊さんも弁当を忘れてたり?」

友希那「そうよ。」

リサ、つぐみ「あっ。」

 

 湊さん、今井さんとも相席することになった

__________________

 

陽介「__悪いな、六花。」

友希那「ごめんなさい。」

六花「い、いえいえ!」

 

 俺と湊さんは料理を持ってきて、席に座った

 

リサ「まぁ、食べよっか!」

つぐみ「そうですね!」

 

 二人がそう言うと、俺達は昼ご飯を食べ始めた

 

リサ「__出水君さ。」

陽介「はい?」

リサ「学食で和食って渋いねー。」

陽介「俺は基本的に栄養重視なので。」

リサ「へー、何か事情でもあるの?」

陽介「まぁ。」

 

 味しないから、栄養さえ気にしてたらいい、なんて言えないよな

 

友希那「あら、陽介。口元にお米が付いてるわ。」

陽介「え?どこですか?」

友希那「ここよ。」

つぐみ、六花「!」

 

 湊さんは米粒を取ってくれた

 

陽介「すみません。」

友希那「別にいいわ。」

 

 湊さんはそう言って、とった米粒を口に運んだ

 

つぐみ「友希那先輩!?」

六花「な、何してるんですか!?」

友希那「何って、お米を食べただけよ?」

陽介「?」

六花「く、口元についてたお米を食べるなんて......///」

つぐみ(ず、ずるい......!)

 

 二人が何に動揺してるのかよく分からない

 

 何か問題があったのか?

 

陽介「って、六花?」

六花「はい?」

陽介「ソース、ほっぺについてるぞ?」

六花「!?///」

 

 俺は持ってたハンカチで六花のほっぺを拭った

 

つぐみ(ろ、六花ちゃんまで!?)

陽介「どうやったら、そんなところに付くんだ?」

六花「は、恥ずかしい......///」

 

 俺がそう言うと、六花の顔は真っ赤になり、縮こまった

 

1「__あー、空いてる席ねーかなー?」

陽介「?」

 

 俺たちが食事をしてると、こっちを見ながらわざとらしくアピールしてる3ん人組がいた

 

 あれは、3年か

 

2「あれー?あそこに女子に一人男子が混ざってる席があるぞー?」

3「羨ましいねー。色男はー。」

1「おい、そこの色男。」

 

 3人はついに、接触してきた

 

陽介「......」

2「お前だよお前!」

陽介「......あ、はい。なんですか?」

3「昼休みに女子をこんなに侍らせて、気分いいだろ?」

陽介「いえ。そう言うのじゃないので。」

1「謙遜すんなってー。」

 

 その3人組は俺の肩に手を置いてきた

 

1「頼みがあんだけどさ。」

2「女子と縁がない可愛そうな俺たちに、ちょーっと、お前の幸せを分けてくれよ。」

3「もちろん、断るなんてしないよなー?」

陽介「知らないですよ。そもそも、俺にどうしろって言うんですか?」

1「お前が侍らせてる女子を譲ってくれって言ってんだよ。」

陽介「諦めてくれません?」

 

 心の声が完全に漏れた

 

 口調も荒くなってるし

 

陽介「俺がどうしたところで、この4人がここにいる保証はないでしょう。こんな事、時間の無駄ですよ。」

リサ「ま、そうだよねー。」

1「まぁ、そう言うなって。」

陽介「っ!」

 

 一人の男子が俺の胸倉を掴んだ

 

友希那「陽介!」

六花「出水さん!」

1「先輩からの頼みは命令なんだよ。分かるか?」

2「さっさと消えろや。」

3「お前らも、従わねぇと、こいつをボコるぞ?」

リサ「っ!最低!」

 

 面倒なことになった

 

 正直、ボコられるとか、そう言うのは一切怖くないんだが、4人に被害が行くのはな

 

陽介(仕方ない。ボコボコにされるの覚悟で抵抗してみるか。)

1「おい!何動いてやがる!!」

陽介「あんまり、皆に迷惑をかけないでほしいのですが。」

1「!」

 

 俺は胸倉を掴んでる手を掴んだ

 

2「この!」

日菜「__何してるのー?」

3「!!」

陽介「......氷川さん。」

 

 3人組の注意が全部俺に向いたと同時に氷川さんが歩いてきた

 

日菜「まー、見てたんだけどねー。」

陽介「......何しに来たんですか?」

日菜「助けに来て挙げた、って言っても信用しないよねー?」

陽介「まぁ。」

 

 この人は全くつかめない

 

 でも、俺を狙ってる人物である事は分かってる

 

日菜「まぁ、あたしのために陽介君を助けてあげるよ!せんせー!」

1,2,3「!?」

教師「__さて、お前ら。わかってるな?」

 

 それからは早いもので、3人は教師にどこかに連れていかれた

 

日菜「__まぁ、こんなものだよ!」

陽介「......助けてくれたことには感謝します。」

日菜「いいよいいよ!これで、前の事はチャラね!」

陽介「まぁ、いいですよ。」

 

 俺はため息をつきながらそう言った

 

陽介「それにしても、意外ですね。」

日菜「何が?」

陽介「氷川さんなら、俺の左目を見せろとか言うかと思いましたよ。」

日菜「しないよ。そんなこと。」

陽介「へぇ。」

日菜「今日は、何もしないって言ったし。」

 

 今日は、ね

 

日菜「じゃあ、バイバーイ!」

 

 そう言って氷川さんはおおきく手を振ってどこかに行った

 

陽介「はぁ。」

六花「だ、大丈夫ですか......?」

陽介「あー、見ての通り、大丈夫。」

リサ「さ、災難だったね。」

 

 本当に、こんなことはもうない方がいい

 

友希那「ごめんなさい。動けなくて......」

陽介「いえいえ。湊さんたちに何もなくてよかったです。」

友希那「ありがとう。」

陽介「!」

 

 湊さんは俺の頭を撫でた

 

リサ(まーたやってるよー。)

つぐみ「友希那先輩!」

六花「なにしてるんですか!」

友希那「いい子に、ご褒美?」

陽介「はは、ありがとうございます。」

 

 そんなやり取りをしてるうちに予鈴が鳴った

 

 いれたちはテーブルの上を片付けて食堂を出た

 

友希那「じゃあ、また。」

リサ「またねー☆」

陽介「はい。」

つぐみ「さようなら。」

 

 3年の二人は教室が逆の方にあるので、すぐに分かれた

 

六花(なんだろう、ずっとモヤモヤする......)

陽介「六花?」

六花「あ、す、すみません!」

陽介「いや、特に何も言ってないんだが。」

六花「わ、私、早く教室に戻らないとー!」

陽介「六花!?」

つぐみ「六花ちゃん!?」

 

 六花は大声を出したと思うと、教室の方に走って行った

 

陽介「......なんだったんだ?」

つぐみ「さ、さぁ?」

陽介「俺達も戻るか。今日は悪かったな、面倒なことに巻き込んで。」

つぐみ「ううん!大丈夫だよ!」

 

 そうして、俺と羽沢は教室に戻って行った

__________________

 

 ”日菜”

 

日菜(__いやー、今日はついてたなー!)

 

 日菜は歩きながらそんな事を考えていた

 

日菜(偶々、陽介君を助けて、前の事をチャラにできたし!)

 

 日菜はそう思いながら、笑みを浮かべた

 

 それは一見、可愛らしいものだが、実態は違う

 

日菜(これで、もっとあの眼帯を狙いやすくなるね♪)

 

 まるで獲物を狙う獣ような目に口元には笑みを浮かべて

 

 軽い足取りで日菜は廊下を歩いて行った

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