陽介「__なんで、湊さんが?」
羽沢が湊さんになった
俺は人ごみで羽沢を見失って、それらしい手があったから引っ張った
そしたら、こうなった
友希那「陽介、少し移動しないかしら?人が多いわ。」
陽介「そうですね。」
俺と湊さんは人ごみから外れた
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人が比較的、少ない場所に来た
そこで、俺は一息ついた
陽介「__ふぅ、やっと抜けられましたね。」
友希那「そうね。それでなのだけれど。」
陽介「?」
友希那「いつまで手を握ってるの?」
陽介「あっ。」
俺はそう言われると、とっさに手を離した
手を離すと、湊さんはむくれた顔をした
友希那「......急に放すことないじゃない。」
陽介「あ、すみません......」
友希那「ふふっ、冗談よ。」
陽介「!」
湊さんは笑いながら俺の頭を撫でて来た
友希那「それにしても、陽介はお祭りに来てたのね。」
少し撫でた後、湊さんは手を引いてこう聞いてきた
陽介「羽沢に来てほしいと言われて。」
友希那「羽沢さんが?」
陽介「はい。」
友希那「へぇ......」
湊さんは目を丸くした
俺はそれを見ながら、湊さんに質問することにした
陽介「湊さんは誰かと来てたんですか?」
友希那「リサに引っ張られてきたの。」
陽介「あぁ。」
想像が付いた
今井さんは見るからに祭りとか好きそうだし
友希那「お互いに災難ね。一緒に来た相手とはぐれるなんて。」
陽介「そうですね。」
俺は苦笑いをしながら、そう言った
それにしても......
陽介「これからどうしましょうか。」
友希那「そうね......」
陽介(ともかく、羽沢を探さないとな。今井さんも探さないとだし。)
友希那「折角だし、一緒に回りましょう?」
陽介「え?」
俺が考えてると、湊さんの口から意外な言葉が出た
友希那「羽沢さんとリサを一緒に探しましょ?」
陽介「あぁ、そういう事ですか。」
納得した
特に断る理由もないし、俺は湊さんと祭りを回ることにした
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祭りの会場に戻ってきた
人は相変わらずの多さだ
陽介「__やっぱり、減ってるなんてないよな。」
友希那「そうね。」
陽介「まぁ、止まってても仕方ないので行きましょう。」
俺は人ごみの中に入って行こうとした
すると、袖に変な感覚を感じた
陽介「どうしたんですか?」
友希那「こんな人混みの中、絶対にはぐれるわ。」
陽介「そう言えば、そうですね。」
危なかった
また同じ失敗をするところだった
友希那「だから、手を繋ぎましょう。」
陽介「はい......って、え?」
友希那「それじゃあ、繋ぎましょうか。」
そう言って、湊さんは俺の手を握った
なぜか、指を絡めてる
陽介「......つなぎ方おかしくないですか?」
友希那「そんな事ないわ。」
陽介「でも、普通じゃな__」
友希那「行くわよ。陽介。」
陽介「あ、はい。」
湊さんから今までにない圧を感じた
俺はそれ以降、何も言えないまま人ごみに入って行った
それから、色々な所を歩き回った
そして、30分ほど歩いた頃......
友希那「__疲れたわ。」
湊さんはそんな事を言い出した
心なしかさっきより、進むのが遅くなってる気がする
陽介「休憩しますか?」
友希那「お願いするわ。」
陽介「かき氷でも買っていきましょうか。」
俺と湊さんは近くの屋台でかき氷を買ってから空いてるベンチに座った
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友希那「__本当にいいの?」
陽介「いいですよ。」
俺は買ったかき氷を湊さんに渡した
陽介「チュチュには返金は受け付けないって言われたので。」
友希那「そう。それじゃあ、いただくわ。」
そう言って湊さんはかき氷を食べ始めた
味は俺はレモンで湊さんは苺だ
友希那「冷たくて美味しいわ。」
陽介「そうですね。」
俺は少しずつかき氷を食べ進めていった
その途中、ある事を思い出した
陽介「そう言えば、かき氷のシロップっていちご、メロン、レモンは同じ味らしいですよ。」
友希那「そうなの?」
陽介「はい。着色料にしか違いがないらしくて、幻覚みたいなものらしいです。」
友希那「信じられないわ。」
湊さんは首をかしげながら自分のかき氷を見てる
友希那「ねぇ、陽介。」
陽介「はい?」
友希那「食べ比べしましょう。」
陽介「はい?」
何を言ってるんだろう
開いた口が塞がらないとはこういう事なんだろう
友希那「まずは、陽介が食べてみて?」
湊さんはそう言いながら、すくったかき氷を俺に差し出してきた
陽介「いやいや、ダメでしょう。しかもそれ、湊さんのですし(スプーン的な意味)。」
友希那「早くして。溶けてしまうわ(かき氷の事しか頭にない)。」
陽介「あ、はい。」
今日は湊さんの圧が強い気がする
俺は差し出されたかき氷を食べた
陽介「あー。」
友希那「次は陽介が食べさせて。」
陽介「はい。」
俺はもう考える事をやめて、かき氷をすくって、湊さんの方に差し出した
湊さんはためらうことなくそれを口に入れた
友希那「......同じね。」
陽介「そうですよね。」
友希那「それが分かったらもういいわ。食べましょうか。」
陽介「はい。」
それから俺は残ったかき氷を食べた
友希那(......あれ?今、私は陽介の使ったスプーンでかき氷を食べたの?)
陽介「......?」
急に湊さんの顔が赤くなった
陽介(どうしたんだろう?)
友希那(や、やってしまったわ......///)
俺と湊さんはかき氷の容器を近くのゴミ箱に捨てて
羽沢、今井さん探しを再開した
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しばらく人混みの中を歩き、会場から外れた場所まで来てしまった
陽介「__ん?」
そこに、一つの屋台があった
他の屋台とは異彩を放ってて、人っ子一人近づこうとしてない
友希那「どうしたの?陽介?」
陽介「あの屋台、何なんでしょうか?」
友希那「お守り屋......?」
見た目はお守り屋というよりも占いの館?みたいだが
書いてるからお守り屋なんだろうな
おばさん「__そこのお兄さん。」
陽介「俺ですか?」
店を見てると、おばさんが声をかけて来た
見すぎてのがまずかったのか
陽介「すみません。見すぎましたか?」
おばさん「いやいや、謝ることないよ。」
おばさんは不気味に笑いながら、そう言った
不気味だが悪い人じゃなさそうだ、不気味だが
友希那(不気味ね。)
陽介「えっと、俺はなんで呼ばれたんでしょうか?」
おばさん「いやねぇ、お前さんから変な気を感じたんだよ。」
陽介「?」
この人は何を言ってるのだろうか
陽介「何を言ってるんですか?」
おばさん「その眼帯の下、目がないみたいだねぇ。」
陽介、友希那「っ!?」
俺は咄嗟に左目を抑えた
眼帯は取れてない、見られてはいない
陽介「な、なんで?」
おばさん「さぁねぇ。」
おばさんは相変わらず不気味な笑みを浮かべてる
おばさん「お前さん、目以外にも、色んなものを失ってるねぇ。」
陽介「......!」
おばさん「何とは言わないが、お前さんの心、何と言うか、荒んでるねぇ。」
友希那(荒んでる?陽介が?)
このおばさんはやばい
俺の本能がそう訴えかけてくる
何者なんだ
おばさん「このままじゃ、お前さん、近々心を壊すよぉ?」
陽介「......そうですか。」
おばさん「だから、サービスでこれをあげるよぉ。」
陽介「これは?」
おばさん「お守りさぁ、縁結びのねぇ。あ、お姉ちゃんにもあげるよぉ」
縁結び
なんで、これが俺にこれを?
陽介「悪いですが、俺に縁結びは......」
友希那「?」
おばさん「そう言わず、持っていきんさい。」
おばさんはそう言って、俺にそのお守りを押し付けて来た
おばさん「若いお兄さんとお姉さんなんだ、出会いの一つや二つあるさぁ。」
陽介「......そうですかね。」
友希那(そう、なのかしら?)
俺は断れないのを悟り、お守りを受け取った
店の外観から考えられないほど、綺麗なお守りだ
おばさん「お前さんらに幸あれ。」
陽介「ありがとうございます。占い師のおばさん。」
友希那「ありがとう。」
おばさん「お守り屋だよぉ。」
友希那(お守り屋って一体......?)
おばさん「じゃあねぇ。」
おばさんは去って行く俺と湊さんに手を振っていた
去り際、おばさんの口が不自然に動いてるのが見えた
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俺は人ごみを歩きながら、お守りの事を考えていた
陽介(縁結びか。)
確か、恋愛成就とかそんな効果があるのじゃなかったっけ
なんで、こんなのを俺に?
友希那「ねぇ、陽介?」
陽介「はい?」
友希那「さっきのお店の事だけれど、不思議なお店だったわね。」
陽介「はい。」
湊さんも不思議そうな顔をしてる
それはそうだが
陽介「本当になんなんでしょうね、これ。」
俺はさっき貰ったお守りを出した
つぐみ「__あ!出水君!」
リサ「友希那ー!」
陽介「羽沢?今井さんも?」
少し歩いてると、羽沢と今井さんが走ってきた
よかった、何とか合流出来た
つぐみ「ごめんね!」
陽介「いや、俺の不注意だ。」
リサ「なんだー!出水君といたんだ!」
友希那「えぇ。」
六花「__あれ?出水さん?」
ますき「なんだ、来てたのか。」
陽介「六花?佐藤?」
すごい偶然だな
六花は練習帰りか
陽介「奇遇だな、二人とも。」
ますき「私らは練習帰りに寄ってみただけだ。」
六花「はい!」
陽介「なるほどな。お疲れ。」
日菜「__あー!陽介君だー!」
陽介「っ!?」
嫌な声が聞こえる
最高に楽しそうなのにな、なんでだろう
日菜「皆も来てたんだー!」
陽介「......こんばんは。」
つぐみ「日菜先輩も来てたんですね。」
日菜「うん!お姉ちゃんと来たの!」
つぐみ「じゃあ、その紗夜さんは?」
日菜「......あ。」
置いてきたんだな
この人はこの人だな
日菜「あ、そう言えば聞いてよ!陽介君!」
陽介「......なんですか?」
日菜「さっき、向こうの方の屋台でこんなの貰ったの!」
そう言って氷川さんは勢いよく、あるものを出した
陽介、つぐみ、友希那、六花、ますき「!?」
日菜「?」
氷川さんが出したのは俺がもらったのと同じ、お守りだった
陽介「な、なんでそれを。」
ますき「私も同じの持ってるぞ。」
六花「わ、私も......」
友希那「私もよ。」
つぐみ「私も貰いました?」
陽介「え?」
なんで、こんな事あるのか?
いや、あり得ると言えばあり得るが
日菜「みんな持ってるんだー!お揃いだね!」
陽介「......」
リサ「えー?あたし貰わなかったよー?」
友希那「そうなの?」
リサ「うん。それどころか見向きもされなかったよー?」
日菜「そー言えば、おねーちゃんも貰ってなかったような?」
どういう事だ
貰わない人間がいる、つまり、何か関連性があるのか?
陽介(だが、この5人の共通点は少ない。だったら、なんだ?)
考えても分からない
紗夜「__日菜!」
日菜「あ!おねーちゃんだ!」
紗夜「そろそろ帰るわよ!」
日菜「はーい!じゃあね、皆!」
氷川さんはそう言ってお姉さんの方に走って行った
ますき「私らも帰るかー。」
六花「はい!」
陽介「まぁ、そうだな。」
つぐみ「そうですね。ごめんね、出水君。」
陽介「いや、いいよ。」
友希那「陽介、今日は楽しかったわ。ありがとう。それじゃあ。」
リサ「じゃあねー!」
陽介「はい。さようなら。」
こうして俺たちは解散して、各々、家に帰って行った
だが、あのお守り、あれは何なんだ?
そんな疑問を残し、祭りの夜が終わった