狂犬と消失少年   作:火の車

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始業式

 夏休みも過ぎ、今日は始業式だ

 

 やることをやっていたら、夏休みなんて一瞬だったな

 

陽介(もう、8月も終わるのか、早いな。)

 

 元気だった緑の葉たちも段々と元気を失って

 

 もう、秋や冬に向けて用意を進めてる

 

陽介(俺もチュチュとパレオにマフラーとか作ろうかな。)

つぐみ「__出水くーん!」

陽介「羽沢?」

 

 声がしたので振り返ると

 

 羽沢が俺に向かって走ってきていた

 

 他の4人は苦笑いを浮かべながらそれについて来てる

 

つぐみ「おはよう!」

陽介「おはよう、羽沢。」

モカ「もー、早いよ、つぐー。」

ひまり「ほんとだよー。」

巴「まぁ、いいじゃねぇか!ツグも嬉しそうだったし!」

蘭「飼い主を見つけた犬みたいだったね。」

陽介「美竹たちも、おはよう。」

 

 俺が4人に挨拶をすると

 

 4人は挨拶を返した

 

陽介「5人とも、しっかり宿題は終わらせたか?」

モカ「モカちゃんは完璧ー。」

つぐみ「私も大丈夫だよ!」

蘭「あたしも。」

巴「見くびんなよ!アタシも終わった!」

ひまり「当り前だよ!」

 

 後半2人は胸を張りながらそう言った

 

 楽しそうで何よりだ

 

陽介「じゃあ、登校日に追加で渡された奴は?」

ひまり、巴「え!?」

つぐみ「そ、そんなのあったっけ!?」

陽介「......ふふっ。」

 

 まさか、こんな簡単に騙されるとは

 

 将来、詐欺にあわないか心配だな

 

陽介「大丈夫、嘘だから。」

ひまり「も、もー!」

巴「騙したな!陽介!」

つぐみ「び、びっくりした......」

陽介「ははっ、悪かった。」

モカ「まぁ、騙されるひーちゃんもひーちゃんだよー。」

蘭「そうだね。」

ひまり「私だけ!?」

陽介「ははは。」

 

 やっぱり、友達といるのは楽しい

 

 心が軽くなる

 

陽介「__っ!!!」

蘭「陽介?」

 

 歩いてると、向こうから見知った顔

 

 あれは、あれは......

 

陽介「父、さん......」

陽介父「......」

 

 父さんは俺の横を通り過ぎていった

 

 一瞬、こっちを見た、気がした

 

陽介「くっ......!!!」

巴「陽介!」

 

 俺は息苦しくなって、立ってられなくなった

 

 変な汗も大量に流れてくる

 

ひまり「え?え?どうしたの!?」

モカ「ま、まずいよ。大丈夫!?」

陽介(やばい......もう、あれ出さないと......)

 

 俺は鞄の中に入ってる薬を取り出した

 

 そして、それを水と一緒に飲み込んだ

 

陽介「はぁ、はぁ......」

つぐみ「だ、大丈夫!?」

陽介「もう、大丈夫。」

 

 俺は謝りながらゆっくり立ち上がった

 

 5人は心配そうな表情を浮かべてる

 

陽介「急にあんなことになって悪かったな。」

巴「待て、陽介。」

陽介「どうした。」

蘭「あの薬、なに?」

陽介「......やっぱり、気になるか。」

 

 あれは、医者にあの症状について話したとき

 

 もしもの時にと、貰っていた

 

陽介「精神安定剤って呼ばれるものだ。」

アフターグロウ「!?」

つぐみ「な、なんで、そんなもの?」

陽介「......親と接触した時のため。」

ひまり「親?」

モカ(もしかして......今の。)

陽介「あんまり乱用できないけど、偶にくらいなら大丈夫。学校、行こうぜ。」

蘭「ちょ、陽介!」

 

 俺は5人にそう言うと、学校に向かって歩き始めた

__________________

 

 学校について

 

 俺たちは教室に行き

 

 自分の席に腰を下ろした

 

陽介(__まずいな。)

 

 あの薬は効果が出やすいようにかなり強い

 

 その分、依存になったり、脳ダメージを受けやすい

 

 それをこんなに早く使うと思わなかった

 

モカ「ようくんー。」

陽介「青葉?」

 

 席に座ってると、青葉が話しかけて来た

 

 いつもより声が低い

 

陽介「どうした?」

モカ「ようくんの親、さっきすれ違った人だよね。」

陽介「......そうだ。」

 

 俺がそう答えると、青葉は俺の肩に手を置いた

 

モカ「大丈夫。あたし達が付いてるからね。」

陽介「!」

蘭「なにしてんの?」

モカ「なんでもないよー。」

 

 美竹に呼ばれると

 

 青葉はいつもの調子に戻った

 

陽介「......ありがとう。」

蘭「なにが?」

陽介「なんでもないよ。」

 

 それから、俺達は始業式に行った

 

 相変わらず、自由な氷川さん、苦労する羽沢の構図は変わらなかった

 

 でも、氷川さん、俺の方見るたびに大人しくなってたな

 

 どうしたんだろう?

__________________

 

 始業式は相変わらず

 

 自由な氷川さん、苦労する羽沢の構図は変わらなかった

 

 でも、氷川さん、俺の方見るたびに大人しくなってたな

 

 どうしたんだろう?

 

 そんな事を考えながら、俺は教室に戻った

 

担任「__今日はここまでです。」

 

 宿題を提出したり、連絡を済ませると

 

 すぐに下校する時間になった

 

陽介(うーん、今日の夕飯は......肉じゃがとかいいなー。)

モカ「今日の夕飯は肉じゃがー。」

陽介「え!?」

モカ「って、顔に書いてあったよー。」

陽介「すごいな、当たりだ。」

モカ「ふっふっふ~、モカちゃんの目は確かなのだよ~。」

 

 青葉はそう冗談めいた口調で言った

 

 正直、かなりすごい事だと思うが

 

 絶対に才能の無駄遣いだよな

 

巴「何やってんだ、2人とも?帰るぞ?」

陽介「あぁ、分かった。」

モカ「りょーかいー。」

 

 俺は席を立ち、教室を出た

__________________

 

ひまり「__ここで問題!」

 

 帰り道、上原が大きな声でそう言った

 

 問題ってなんだろう

 

ひまり「2学期にあるイベントと言えば!」

蘭「文化祭?」

巴「球技大会!」

つぐみ「体育祭かな?」

陽介「テスト。」

モカ「からの補修~。」

ひまり「後半の二人!?」

 

 上原は俺と青葉を見て叫んだ

 

 現実を言わないでと目で訴えてきてる

 

陽介「悪い悪い。」

モカ「ごめーん。」

ひまり「まぁ、いいよ!」

巴「それで、どうしたんだ?」

ひまり「いやー、楽しみだなーって!」

蘭「ひまりはいつでも楽しんでるでしょ。」

 

 美竹は上原にそう言った

 

 まぁ、全くその通りだと思うが

 

モカ「ようくんは何が一番楽しみー?」

陽介「俺はこれと言ってないよ。」

ひまり「えー!なんでー!?」

陽介「羽丘の文化祭とか初めてだし、一番はないかなって。」

蘭「そういう事ね。」

 

 5人は納得したようにうなずいた

 

日菜「よーうーすーけー君!」

陽介「え?__うわっ!」

 

 俺は後ろから氷川さんに猛追された

 

 びっくりしたが、そこまで苦しくなかった

 

 むしろ、抱き着いただけだった

 

陽介「どうしたんですか?」

日菜「陽介君見つけたから、追いかけて来たんだー!」

陽介「そうですか。」

蘭「......犬2号。」

陽介「何か言ったか?」

蘭「なんでもないよ。」

 

 俺がそう尋ねると

 

 美竹は首を横に振った

 

日菜「あ、そうだ、陽介君!」

陽介「はい?」

日菜「陽介君に体育祭の事を言いに来たんだよー!」

陽介「体育祭?」

日菜「うん!」

 

 氷川さんは元気にうなずいた

 

 なんで、俺に?

 

日菜「陽介君、何か要望とか無いかなって!」

陽介「要望?」

日菜「うん!陽介君の要望なら100%通すよ!」

陽介「いや、それはダメでしょ!?」

日菜「大丈夫大丈夫!上級国民って事で!」

陽介「学校でしょう?」

日菜「じゃあ、上級生徒?」

陽介「いや、なんで身分制になってるんですか......」

 

 俺は少しため息をつき

 

 氷川さんの申し出を断った

 

 流石に1人の生徒が優遇されるのは良くないし

 

日菜「えー、なんでもいいんだよー?」

陽介「いや、いいです。」

日菜「今なら、女の子も選り取り見取りだよー?もちろん、あたしも!」

陽介「いや、いいです(2回目)」

 

 なんでシレっと自分を候補に入れるんだろう

 

 まぁ、冗談で言ってるんだろうけど

 

日菜「もー、つれないなー。」

陽介「俺の事を何だと思ってるんですか。」

モカ「いやー、権力持ってるねー。」

陽介「いや、権力って言われてもな。俺はそんなたいそうな人間じゃないし。」

 

 俺は首を振りながらそう言った

 

蘭(日菜さんをまさか、あんな風にするなんて。)

巴(流石、陽介。)

ひまり(つ、強い。)

 

 その後、俺達はそれぞれ帰路についた

__________________

 

陽介「ただいまー......って、うん?」

 

 家に帰ってくると、少し騒がしかった

 

 俺は不思議に思いながら奥に行った

 

陽介「なにしてるんだ?」

チュチュ「あ、陽介!」

パレオ「おかえりなさいませー!」

陽介「いや、ほんとに何してるんだ?」

 

 部屋に入ると

 

 2人はリュックにカメラやらシートやらを詰め込んでいる

 

パレオ「これは、ようさんの体育祭を見に行く準備ですよー!」

陽介「!?」

チュチュ「そうよ!」

陽介「え?来るのか?」

チュチュ「当り前じゃない!キッチリ撮影もしてやるわ!」

 

 チュチュは嬉しそうにそう言った

 

陽介「ははは、そうか。」

パレオ「パレオも応援しますよー!」

チュチュ「楽しみにしてなさい!」

陽介「分かった。」

 

 俺はそう答え、昼ご飯を作りに行った

 

 なんだか、2人が見に来てくれるのがうれしくて

 

 すこし手の込んだ物にした

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