狂犬と消失少年   作:火の車

37 / 82
体育祭後

 夢を見た

 

 外を見るともう夜で

 

 俺は暗い中で食事をしてる

 

陽介(なんで、1人で食べてるんだろ?)

 

 俺は家族がいる

 

 だから夜ご飯は皆で食べる

 

 なのに、なんで、俺は1人なんだ?

 

 俺がそう思ってると

 

 テーブルの真ん中に火が灯された

 

陽介「!」

 

 火が灯されて見えたのは

 

 家族なんかじゃなかった

 

 それは、2人を模したハリボテで

 

 全く無感情に椅子に置かれてるだけだ

 

陽介「な、なんで......?」

 

 そう問いかけても、答えてくれる人はいない

 

 だって、ここには俺とハリボテしかいないから

 

陽介(あれ?)

 

 そう言えば

 

 俺って、最後に家族揃ってご飯食べたのいつだっけ?

 

 食卓囲ったのいつだっけ

 

陽介「誰も、いなかった。」

 

 最初こそいたのかもしれない

 

 でも、最後には消えてた

 

陽介「と、言うことは.......」

 

 俺は家族に裏切られたのか?

__________________

 

陽介「__ん.......」

 

 目を覚ますと、そこは保健室のベッドの上だった

 

 もう外も暗く、夜になってる

 

陽介「っ......」

 

 すごく頭が痛い

 

 そして、何の夢を見てたか思い出せない

 

陽介「俺は、一体......?」

 

 そう呟くと、保健室のドアが空いた

 

 そして、カーテンが開かれた

 

陽介(だ、誰だ。)

ますき「__よう、出水。」

陽介「佐藤か。」

 

 俺は内心ホッとした

 

 すると、佐藤がこう言ってきた

 

ますき「災難だったな。」

陽介「!」

ますき「話は聞いた。悪いが、お前の親はくそ以下だ。」

陽介「......分かってるよ。」

 

 俺は静かにそう答えた

 

 あんなのを見れば、馬鹿な俺でも多少は分かる

 

陽介「でも、あんな2人でも家族だから。」

ますき「!」

陽介「捨てきれないんだ......」

ますき「そうか。」

陽介「悪いな。」

ますき「謝る必要はねぇよ。気持ちはわかるしな。」

 

 佐藤はそう言って

 

 俺の鞄を持った

 

ますき「帰ろうぜ。」

陽介「あぁ。」

 

 俺はベッドから立ち上がり

 

 保健室から出た

 

 そして、佐藤に家まで送ってもらった

__________________

 

 体育祭から一晩明けた

 

 昨日は帰ってからチュチュとパレオが怒ってて

 

 それを宥めるのが大変だった

 

 まぁ、佐藤にも協力してもらったが

 

 俺はそんなことを思いながら教室に入った

 

男子「__出水!」

陽介「!?」

男子2「お前、大丈夫かよ!?」

女子「昨日はあれから何も無かった!?」

 

 教室に入るとクラスメイトのみんなが

 

 俺に色々な言葉をかけてきた

 

 俺はそれに答えながら、自分の席に行った

 

陽介「な、なんだ?」

蘭「皆、陽介を心配してたんだよ。」

陽介「俺を?」

巴「あぁ!昨日のあれを周りのヤツらが全員聞いててな!」

ひまり「それで、こうなったわけ!」

陽介「な、なるほど。」

つぐみ「でも、1番心配してたのは、モカちゃんだよね!」

陽介「青葉?」

 

 俺は青葉の方を見た  

 

モカ「そうかなー?」

蘭「そうだよ。あの人が来た時も見たことないくらい怒ってたし。」

巴「あれは、アタシもビビったよ!」

ひまり「なんであんなに怒ってたの?」

モカ「......なんでもないよー」

陽介「?」

 

 青葉は目線を逸らしながらそう答えた

 

 でも、確かに、昨日はすごい怒ってたな

 

モカ「友達があんな事になったら誰でも怒るでしょー?」

巴「あ、熱いぜ、モカ!」

ひまり「今のカッコよかったよー!」

つぐみ「流石、モカちゃんだね!」

蘭「悪くないね。」

モカ「あははー、とうもどうもー。」

 

 青葉はいつもの調子でいる

 

 それに最早、安心感すらある

 

モカ「もうすぐ先生来るよー。」

ひまり「え!?もうそんな時間!?」

モカ「嘘だよー」

ひまり「もー!モカー!」

モカ「あはは〜」

 

 それからしばらくすると

 

 担任が来て

 

 軽い連絡などをするとすぐに学校が終わった

__________________

 

 放課後、俺は生徒会室に呼ばれた

 

 昨日の事の話だろうと思い

 

 俺はすぐに生徒会室に行った

 

陽介「__失礼します。」

日菜「陽介君!」

陽介「うわ!」

 

 生徒会室に入った瞬間

 

 氷川さんは俺に抱き着いてきた

 

陽介「ど、どうしたんですか?」

日菜「昨日の話聞いたよ。全く、ひどい人だね!」

 

 氷川さんは怒ったようにそう言った

 

 どうやら、昨日の事は耳に入ってるみたいだ

 

つぐみ「日菜先輩、座ってください。」

日菜「あ、うん。わかった。」

 

 氷川先輩は椅子に座った

 

 そして、俺も羽沢に言われ、椅子に座った

 

陽介「あの、なんで俺は呼ばれたんでしょうか?」

日菜「実は、ある所から、こんなのが届いたの。」

陽介「これは?」

 

 氷川さんが出したのはボイスレコーダー

 

 しかも、どこかで見たことがある

 

陽介「父さんの同僚が持ってた、ボイスレコーダー......」

日菜「これに入ってる音声、聞いちゃったんだ。」

陽介「っ!」

 

 氷川さんは低い声でそう言った

 

 俺も嫌な記憶が蘇ってきた

 

日菜「正直、寒気がした。こんなひどい親がいたんだって。」

陽介「......はい。」

つぐみ「私達が思ってる以上に出水君は、辛かったんだね......」

 

 あの音声が蘇ってくる

 

 そして、思い出す

 

 俺は、父さんと母さんの邪魔だったって事を

 

 これが、真実だって事を

 

日菜「こんな事、言いたくないんだけど。陽介君は絶対に親の所に行っちゃだめだよ。」

陽介「......分かってます。」

つぐみ「!」

陽介「俺も一度、それを聞いています。」

日菜「だったら、もうあの人に会わないように__」

陽介「すいません。」

 

 俺はそう言って椅子から立ち上がった

 

 氷川さんと羽沢は驚いた顔をした

 

陽介「もう少し、整理させてください。」

日菜「っ!......分かった。」

 

 俺は氷川さんがそう答えたのを聞くと

 

 生徒会室から出た

__________________

 

 まだ外は明るい

 

 でも、生徒はほぼ下校してる

 

陽介「......」

 

 そんな廊下を一人で歩いてると

 

 嫌でもほかの事に意識が向く

 

 あのレコーダーの音声が聞こえてくる気がする

 

陽介(......うるさい。)

 

 まだ、夢であってほしいと願ってる自分がいる

 

 今、起きてる事が全部夢で

 

 本当の俺は左目があって

 

 家族3人で仲良く暮らしてるんじゃないかって

 

 まだ、俺はそう思ってるんだ

 

 夢の中だから味を感じないじゃないかとか

 

 そんな事を偶に考える

 

モカ「__ようくんー。」

陽介「青葉?」

 

 廊下を歩いてると

 

 青葉が歩いてきた

 

陽介「何してるんだ?」

モカ「ようくんと帰ろうと思ってー。」

陽介「俺と?」

モカ「そーだよー。」

 

 青葉は頷きながらそう言った

 

 いつもはあの4人と一緒なのにな

 

陽介「まぁ、そういう事なら。」

モカ「じゃあ、行こっかー。」

 

 そうして、俺と青葉は一緒に帰ることになった

__________________

 

 俺は青葉と横並びで歩いてる

 

モカ「__いやー、秋だねー。」

 

 青葉はそんな事を言ってきた

 

 確かに、葉っぱの色も変わって

 

 いつもの道なのに秋を色濃く感じる

 

陽介「そうだな。」

モカ「ようくんは何の秋が好きー?」

陽介「うーん、食欲の秋だな。」

モカ「あっ、あたしと一緒だー。」

陽介「まぁ、俺は食べるって言うか、作る方だけどな。」

モカ「それなら、さらにモカちゃんと相性抜群じゃんー。」

陽介「間違いないな。」

 

 青葉の食欲はすごい

 

 自分の弁当食べてから俺の弁当も食べるからな

 

 それでなんで、体型をキープできるんだろう

 

陽介「何か作ろうかな。」

モカ「おー、なになにー?」

陽介「カップケーキとかのお菓子系かな。」

モカ「食べたい食べたいー。」

陽介「ははは、作ったら持っていくよ。」

 

 そんな話をしながら

 

 俺たちは道を歩いた

 

陽介「__ん?青葉?」

モカ「どうしたのー?」

陽介「ちょっと、大人しくしてくれ。」

モカ「!?///(ち、近__)」

陽介「ほら、取れた。」

モカ「え?」

 

 俺は青葉の頭についてた葉っぱを取った

 

 青葉はポカーンとしてる

 

陽介「ついてたぞ?」

モカ「あ、そ、そう言うー......///」

陽介「どうした?」

 

 青葉の顔が赤い

 

 どうしたんだろう?

 

陽介(熱でもあるのか?)

モカ「もー、ようくんはー///」

陽介「?」

 

 何のことを言ってるんだろう

 

モカ「か、帰るー......///」

陽介「え?」

モカ「じゃあねー///」

陽介「ちょ、青葉!?」

 

 青葉は突然走り出した

 

 俺はその場に取り残された

 

陽介「な、なんだったんだ?」

 

 俺は不思議に思ったが

 

 1人で家に帰ることにした

__________________

 

 ”モカ”

 

モカ「__もー、ようくんはー......///」

 

 あたしは少し走った後

 

 そう呟いた

 

 あんなに近くに顔が来たから

 

 焦ったのなんの......

 

モカ「ようくんって本当に意外とタラシだよねー///」

 

 あたしはそう呟いて

 

 鞄の中からあるものを出した

 

モカ「このお守り、効果あるんだねー///」

 

 あたしが握ってるのは

 

 この前道端で貰った、縁結びのお守り

 

 これ、本物なんだね

 

モカ(皆、なんで怒ったのとか、あたしに行ってくるけどー。)

 

 あたしはため息をついた

 

 そして、こぶしを握りしめた

 

モカ「......そんなの、好きだからに決まってるじゃん。」

 

 あたしは秋晴れの空に向かって

 

 小さくそう呟いた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。