狂犬と消失少年   作:火の車

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文化祭1

女子「__出水君!ナポリタン追加!」

陽介「オッケー。」

 

 今日は文化祭当日だ

 

 うちのクラスのメイド喫茶は好評で

 

 さっきから客足が絶えない

 

陽介(まぁ、可愛いメイドがたくさんいるしなぁ。)

 

 チラッと見たけど、皆よく似合ってた

 

 可愛いメイドが接客してくれるんだし

 

 お客さんもたくさん集まるよな

 

 俺はそんな事を思いながら注文が来た品を仕上げていった

__________________

 

 暫く手を動かしてるうちに

 

 昼を過ぎて、俺は休憩時間になった

 

陽介「__ふぅ、疲れた。」

モカ「お疲れー。」

陽介「なんだ、青葉も休憩か?」

モカ「あたしだけじゃないよー。」

つぐみ「お疲れ!出水君!」

巴「よー!陽介!」

ひまり「お疲れさまー!」

蘭「つ、疲れた......」

 

 どうやら、いつもの5人は同時に休憩らしい

 

 相当な激務だったのか、美竹の顔が死んでる

 

陽介「ははは、メイドは大盛況だったみたいだな。」

蘭「違う、そうじゃないよ......」

陽介「え?」

つぐみ「実は、今日来てたお客さんは出水君の料理目当てだったらしいんだよ!」

ひまり「なんか、SNSでここの料理が美味しいって投稿があって、人が集まってたみたい。」

陽介「そ、そんな事が。」

 

 その投稿をした人物は著名人かなんかか?

 

 まぁ、褒められるのはいいんだが

 

巴「まじで旨かったからなー。」

陽介「ありがと。」

モカ「ようくん、お疲れだねー?」

陽介「まぁ、流石に疲れはした。」

 

 フライパン振ったりしたし

 

 流石に肩が凝った

 

モカ「そんなようくんには、美少女メイドモカちゃんが癒してあげるよー。」

陽介「え?何かしてくれるのか?」

モカ「うんー、何かあるかなー?」

つぐみ「わ、私もしたい!」

陽介「!?」

ひまり「あ、そう言うの事なら来て!2人とも!」

 

 そう言って、上原は青葉と羽沢連れて行った

 

 どうやら、何かの打ち合わせをしてるみたいだ

 

モカ「なるほどー。」

つぐみ「それでいいのかな?」

ひまり「大丈夫大丈夫!(多分)」

 

 そんな声と共に3人は戻ってきた

 

 そして、青葉と羽沢は俺の前に立った

 

陽介「?」

モカ「それじゃあ、作戦開始ー。」

陽介「!」

 

 青葉はそう言うと、俺の膝の上に乗ってきた

 

 俺は驚いたが、何とか落とさないようにした

 

陽介「な、なんだ!?」

モカ「モカちゃんセラピーだよー。」

陽介「アニマルセラピーの一種か?」

モカ「癒されるでしょー?」

 

 青葉はそう言いながら俺にじゃれてくる

 

 なんだろう、メイド服の生地が柔らかいのと

 

 女の子特有の柔らかさと重なって......

 

陽介「確かに、癒される。柔らかい。」

モカ「!///」

陽介(なんだろう、どこかで感じたことがあるんだよな。)

 

 最近もあった

 

 ソファに座ってるときに......

 

陽介「あ、クッションだ。」

モカ「え?クッション?」

陽介「そうそう、家に置いてるクッションに感触がそっくりなんだ。すっごい柔らかい。」

モカ「///」

 

 俺はそう言いながら青葉を抱きしめた

 

 いやぁ、癒される......

 

モカ(す、すごく恥ずかしい......///)

蘭(も、モカが大人しい!?)

ひまり(あんなモカ、見たことない......)

巴(流石、陽介だぜ。)

つぐみ「い、出水君!」

陽介「羽沢?」

 

 しばらくすると、羽沢が声をかけて来た

 

 俺は羽沢の方を向いた

 

つぐみ「あ、あーん......///」

陽介「!?」

 

 羽沢はカレーを差し出して来た

 

 これは、メイドっぽいな(?)

 

 俺はそう思いながら、差し出されたカレーを食べた

 

つぐみ「ど、どうかな?」

陽介「なんだろう、すごい状況だなって思う。」

 

 膝の上に青葉

 

 カレーを食べさせる羽沢

 

 羨ましいと思われる状況だが

 

 不思議だな

 

モカ「あ、そうだー、ようくんー?」

陽介「なんだ?」

モカ「明日、あたしと回ろうよー。」

つぐみ「あっ。」

陽介「明日?明日は悪いが先約が入ってるんだ。」

モカ、つぐみ「え?」

 

 俺がそう言うと

 

 2人は目を丸くした

 

陽介「前、湊さんに誘われてな。それで、回りましょうって。」

モカ「そっかー......」

つぐみ「それじゃあ、仕方ないね......」

陽介「悪いな。(なんで羽沢まで?)」

 

 こんな感じのやり取りをしてるうちに休憩時間が終わった

 

 そして、仕事が再開された

__________________

 

 昼からの仕事も特に内容は変わらない

 

 注文が来た料理を作るだけだ

 

陽介「ふんふーん。」

 

 慣れたもので、鼻歌を歌う余裕も出て来た

 

陽介(それにしても、明日、俺は自由だけど、大丈夫なのか?)

女子「出水君!」

陽介「ん?」

女子「お客さんだよ、出水君に!」

陽介「?」

 

 俺は他のメンバーに任せ

 

 客の対応に向かった

__________________

 

 厨房から出て来ると

 

 やっぱり、すごい人数がいた

 

陽介(確か、窓際の席だっけ?)

 

 俺は言われた席に向かって行った

 

 そこにはよく知る人が見えた

 

陽介「チュチュ、パレオ!」

チュチュ「来たわね、陽介!」

パレオ「こんにちはー!」

 

 俺は2人に近づいた

 

陽介「来てたんだな。」

チュチュ「当然よ!」

パレオ「チュチュ様がどうしても来たいと申しますので!」

陽介「ははは、ありがと。」

 

 RASで忙しいのに

 

 俺の行事に毎回来てくれる

 

 嬉しいものだな

 

チュチュ「それにしても、すごい数ね。」

陽介「確かに、そうだな。」

パレオ「さっきSNSを見たんですけど、著名なレポーターの方がここを呟いてたんですよ!」

陽介「え?」

 

 まじでそんな人が

 

 てか、なんで文化祭にそんな人が来てるんだ?

 

チュチュ「まぁ、頑張りなさい。」

陽介「分かってるよ。」

男「__ねぇ、この後時間あるぅ?」

陽介「なんだ?」

 

 厨房に戻ろうとすると、変な声が聞こえて来た

 

 俺は声がした方を向いた

 

男「俺とデートしようよ。」

モカ「えー、嫌ですー。」

 

 絡まれてるのは青葉だった

 

 話しかけてるのは金髪にピアスを開けた

 

 20代くらいの男だ

 

男「そう言わないでさ。」

モカ「あのー、仕事中なので戻ってもいいですかー?」

男「ちょ、待てよ!」

モカ「っ!」

 

 青葉が去ろうとすると

 

 男は青葉の腕を掴んだ

 

 俺はまずいと思い、それに近づいた

 

陽介「あの。」

男「あぁ?」

陽介「青葉が迷惑してるので放してあげてください。」

男「嫌だよ。なんで、そんなことしなくちゃいけねぇんだ。」

陽介「迷惑、と言いましたが。聞き取れませんでしたか?」

男「聞こえてるっての!」

陽介「じゃあ、理解が出来なかったんですね、残念です(頭が)」

男「なんだと!?」

 

 男はそう言って、席から立ち上がった

 

 そして、俺に詰め寄ってきた

 

男「おまえ、調子乗ってんじゃねぇぞ?」

陽介「いえ、調子には載ってません。俺は注意をしてるだけです。」

男「それが調子に乗ってるって言ってんだよ!分かんねぇのか!?」

陽介「......はぁ。」

男「なんだよ、そのため息は?」

陽介「いや、注意しただけで調子に乗ってるように感じるなんて、さぞ、甘やかされてたんだろうなと思いまして。」

 

 この若さでこんな行い

 

 碌な育てかたされてないんだろうな

 

男「俺の親父はヤクザの幹部だぞ?お前なんて、いつでもボコれるんだぜ?」

陽介「......(へぇ、ヤクザねぇ。)」

男「どうだ? ビビっただろ?」

陽介「じゃあ、その組織の名前を教えてください。」

男「は?」

 

 俺はその男にそう問いかけた

 

 すると、男は途端に焦りの表情を浮かべた

 

男「そ、そりゃあ、あれだよ、あれ。」

陽介「あれ?」

男「......○○組だ!」

 

 男は言うのを渋りながらそう言った

 

 もう、これは勝ったな

 

陽介「○○組か......」

男「ど、どうだ!?今なら謝れば__」

陽介「それ、焼肉屋ですよね?」

男「!!」

 

 もう、これは笑うしかない

 

 まさか、馬鹿正直に喋るなんて

 

陽介「お父さんが焼肉屋の店長かなんかですか?」

男「ぐっ!」

陽介「確か、他県にある店で、この辺りにいる人が聞けば、そう言う組織の名前に聞こえますよね。」

男「そ、そんなわけ......」

陽介「もう、嘘はやめた方がいいですよ?恥をさらすだけなので。」

 

 俺は笑いながらそう言った

 

 男はもう、顔真っ赤だ

 

陽介「俺はね、色々なわけあってこの辺りにあるそう言う組織の事は調べてるんですよ。」

男「は、はぁ......?」

陽介「本当にもしもの時のために、全部、調べた。だから、あなたの嘘なんて通用しない。」

男「く、くそぉ!」

陽介「っ!!」

 

 男は俺の顔を殴り

 

 尻もちをつくと、更に詰めて来た

 

男「この眼帯根暗野郎が!」

陽介「!(しまった!)」

 

 男は俺の眼帯に手をかけ

 

 引きちぎった

 

 俺は目を抑えた

 

男「おいおい、中二病かよ。」

陽介「......それだったら、よかったんですけど。」

男「なんだそれ?」

チュチュ「やめなさい。」

男「あ?何だこのガキ?」

チュチュ「人の眼帯を取るなんて、マナーがなってないわね。犬の方が十分にマシよ?」

男「なんだとぉ......!!」

 

 今度はチュチュの方に行った

 

 チュチュはああ見えてかなり怖がってる

 

 その証拠に足が震えてる

 

陽介「待て。」

男「チッ、なんだよ。」

陽介「チュチュに近づくな。この外道。」

 

 俺はそう言って、男とチュチュの間に立った

 

男「なんだ、このガキが大事なのか?ロリコンかよ。」

陽介「うるさい。チュチュがガキなら、あんたはクソガキだ。」

男「お前、うぜ__っ!!!」

 

 俺は男を突き飛ばした

 

 男は舌を噛んだようで痛がってる

 

男「お、お前......って、は?」

陽介「......」

チュチュ「よ、陽介!隠しなさい!」

モカ(や、やばい!)

 

 突き飛ばしたことで俺の手は目から外された

 

 それで晒されるのは、見るも無残な目だったものだ

 

男「な、なんだよそれ?」

陽介「さぁ、何なんだろうな。」

 

 俺は男の前にしゃがみこんだ

 

陽介「......」

男「き、気持ちわりぃ!!」

陽介「......っ。」

 

 男は俺を押しのけ

 

 部屋の中から出て行った

 

 俺は静かに目を隠した

 

つぐみ「い、出水君!」

陽介「羽沢。」

つぐみ「これ、使って!」

 

 羽沢は俺の目にタオルを巻き付けた

 

 眼帯の代わりだろう

 

チュチュ「よ、陽介、大丈夫なの!?」

陽介「大丈夫。あの人は追い返せたから。」

チュチュ「そうじゃなくて!目を、こんな所で出して......」

陽介「......」

 

 周りを見ると

 

 皆、困惑してる

 

パレオ「ど、どうして、こんなところで!?」

陽介「あの人は、怖がりだったから。チュチュに被害を生かせないようにするには最適だと思って。」

チュチュ「だ、だからって......」

モカ「よ、ようくん......」

陽介「青葉、大丈夫か?」

モカ「うん......」

陽介「なら、よかった。」

 

 俺は不安そうにしてる青葉にそう言った

 

 そして、空いてる手で頭を撫でた

 

モカ「でも、ようくんの秘密が......」

陽介「俺は大丈夫だよ。もう、慣れてるし、青葉たちもいるし。」

日菜「__騒ぎってここー!?」

陽介「氷川さん?」

日菜「あれ、陽介君!?眼帯は!?」

陽介「取られちゃいました。」

 

 そう言うと

 

 氷川さんは慌てて近づいて来た

 

日菜「と、取り合えず!保健室行こ!ここじゃ、人が多いから!」

陽介「はい、分かりました。」

 

 俺は氷川さんと保健室に向かった

 

 チュチュとパレオ、青葉と羽沢も同行した

 

 こうして、文化祭1日目が終わった

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