狂犬と消失少年   作:火の車

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クリスマス(後編)

 あれから、俺と六花は雨風しのげる場所を探した

 

 早足で歩き回り、俺と六花はある施設に入った

 

 そして......

 

六花「__お、お風呂、いただきました......///」

陽介「......あぁ。」

 

 俺と六花は所謂、ラ〇ホというところにいる

 

 一応言おう、狙っていたわけじゃない

 

 ただ、近くにここと同種の施設しかなかったんだ

 

 今の状況を説明しておくと

 

 とりあえず部屋に入った後、

 

 風邪ひかないよう先に風呂に入れて、今に至る

 

陽介「じ、じゃあ、俺も風呂入ってくるよ。」

六花「はい......///」

 

 俺は六花にそう言って、

 

 少し早歩きで風呂に向かった

__________________

 

陽介「__はぁぁぁぁ......」

 

 俺は湯船に体を沈めながら

 

 大きく息を吐いた

 

陽介(まさか、こんなことになるとは。)

 

 多分、今までの先輩後輩の関係なら、

 

 意識する事なんてなかったんだが

 

 さっきの事もあって、かなり意識してる自分がいる

 

陽介(変な気は起こさないけど、状況的に......)

 

 下手な事して六花が調子崩したらダメだし

 

 とりあえず、風邪ひかないように

 

 六花が安心できるように努めよう

 

陽介「よし、何か行けそうな気がしてきた。」

 

 俺はそう呟いて、

 

 頭と体洗って、自分の頬を叩いてから

 

 風呂を出た

__________________

 

 部屋に戻ると、

 

 六花はベッドにポツンと座っていた

 

六花「あ、おかえりなさい。」

陽介「風呂行ってただけだぞ?」

 

 俺は笑いながら、

 

 置いてある椅子に座った

 

陽介「この雪、明日の朝まで降るらしい。今日は泊りだな。」

六花「お、お泊り......!?///」

 

 六花は一気に顔を赤くした

 

 あんまりそう言う反応をしないで欲しい

 

 何かそう言う風に見えてしまう

 

陽介「さて、寝るにしても少し早いし、何かするか。」

六花「じ、じゃあ。」

陽介「ん?」

六花「出水さんの女性の好みを知りたいです///」

陽介「俺の好み?」

 

 俺は六花にそう聞かれ、

 

 少し考えた

 

 好みの女子、女性か

 

陽介「好みとかは特にないな。」

六花「!」

陽介「でも、俺を支えてくれた皆は好きだよ。六花とか。」

六花「ふぇ!?///」

陽介「あはは、顔真っ赤だな。」

 

 六花は表情がコロコロ変わって面白い

 

 ついつい、からかいたくなる

 

陽介「逆に、六花の好みは?」

六花「出水さんです。」

陽介「お、おう。早いな。」

 

 六花は直球だな

 

 少し驚いた

 

 まぁ、でも、それだけ好かれてるって事だろう

 

六花「私は出水さんだから好きになれたと思っています。だから、その、あの.....///」

陽介「ありがとう、六花。」

 

 俺は六花の頭を撫でた

 

 六花は少しくすぐったそうにしてる

 

陽介「俺もそこまで好かれてると嬉しいよ。」

六花「はぃ......///」

陽介(ほんと、こんな子が俺を。)

 

 もし、六花と一緒になったら

 

 とか、少し考えてみる

 

 思い思われていて、きっと幸せなんだろうな

 

陽介「......それも、いいかもな。」

六花「え?」

陽介「なんでもないよ。」

 

 俺はそう言って、

 

 部屋にある時計を確認した

 

 時計の針はもう、0時前を刺してる

 

陽介「そろそろ寝ようか。」

六花「......はい。」

陽介「?」

 

 俺は六花の返事に疑問を感じたが

 

 部屋の電気を消し、

 

 一つしかないベッドに六花と入った

 

陽介「......」

 

 俺は暗い部屋の天井をボーっと眺めてる

 

 眠れなかった時期のせいで夜更しになれてるからか

 

 なんか、あんまり眠たくない

 

陽介「......」

 

 部屋には時計が時を刻む音だけが響いてる

 

 それにしても眠れない

 

 ボーっとしてるうちに20分も経った

 

 時刻は0時13分、もう12月25日だ

 

六花「__あの、出水さん......?」

陽介「ん?どうした?」

 

 それから、更に20分ほどボーっとしてると

 

 六花が話しかけて来た

 

 六花も眠れないんだろうか

 

 俺はそう思い、六花の方を見ようとした

 

陽介「っ!?」

六花「......///」

 

 その時、六花は俺の上に乗ってきた

 

 それと......

 

陽介(......感触がおかしい?)

 

 布と布が擦れる感覚がない

 

 いや、まて、これ......

 

六花「どう、ですか......?///」

陽介「!?(これは)」

 

 暗いと言っても

 

 目も普通になれてる

 

 だから、六花の姿も見える

 

 俺は自身の目をふさいだ

 

陽介「ちょ、何やってるんだ!?」

 

 六花は先ほどまで着ていた、

 

 部屋に備え付けられていた浴衣を着ていない

 

 俺が来てる浴衣越しに、

 

 女の子らしい柔らかい感触が伝わってくる

 

六花「......出水さんが何もしないから///」

陽介「え?」

六花「だから......んっ///」

陽介「!!」

 

 六花はそう言いながら顔を近づけ

 

 唇を合わせて来た

 

 六花の舌が口の中に侵入してきて、

 

 呼吸が上手くできない

 

 しばらくすると、六花は離れた

 

六花「はぁ、はぁ......///」

陽介「ろ、六花......?」

六花「ここで、シましょう......?///」

陽介「えぇ......!?」

 

 俺は耳を疑った

 

 六花はこういう事言う子だったか?

 

 てか、これ不味いんじゃ

 

陽介「六花、それは不味いって!まだそう言う関係じゃないし!」

六花「分かってます......」

陽介「!」

六花「だからこそ、今なんです。」

 

 六花は静かな声でそう言った

 

 俺はその言葉の意味が分からない

 

 だからこそ?

 

六花「もしも、私が出水さんに選ばれなかったら、さっきそれが頭をよぎりました。」

陽介「......」

六花「だから、今日......」

 

 六花は俺の浴衣をはだけさせ

 

 ゆっくりと胸元に手を当てて来た

 

 少しひんやりとした手に触られ

 

 体が少しびくっとした

 

六花「私に、思い出をください......」

陽介「!!」

六花「今夜だけは、私だけを見てください......」

 

 六花は泣きそうな震えた声でそう言った

 

 俺の胸元にある手も震えてる

 

 きっと、怖いんだ、拒絶されるのが

 

陽介(六花......)

 

 六花の顔を見ると、心が痛くなる

 

 俺は、どうすればいいんだ?

 

 これを受け入れれば、六花は救われるかもしれない

 

 でも、それはあまりに不誠実で

 

 近い未来、六花に牙をむく可能性もある

 

 それは、絶対にダメな事だ

 

 どうすれば、六花を救える?

 

陽介(考えろ、考えろ、俺!)

六花「出水さん......」

陽介「!」

 

 時間をかけて考えてる場合じゃない

 

 行動に移せ、止まるのが六花を不安にする

 

 俺はそう思い、固まる口を動かした

 

陽介「六花。」

六花「!!」

 

 俺は静かに名前を呼び、

 

 衣服を身にまとってない六花を抱きしめた

 

 安心させるように、優しく抱きしめた

 

陽介「まず、俺は六花の事が嫌いじゃない。」

六花「出水、さん......?」

陽介「むしろ、大好きだ。」

六花「......///」

 

 俺はゆっくりと、

 

 出来るだけ落ち着いた声で話した

 

 六花の抱きしめてくる力が強まった

 

陽介「だからこそ、六花とは誠実でありたい。」

六花「!」

陽介「俺は絶対に六花を傷つけたくない。だから、今はダメだ。」

六花「そう、ですか......」

 

 六花は沈んだ声でそう言った

 

 そして、六花は悲しそうな顔をして離れようとした

 

六花「!」

陽介「だからさ。」

 

 俺はそんな六花を抱き留め、

 

 言葉を続けた

 

陽介「もう一度、キスしよう。」

六花「え......?」

陽介「六花、目をつぶって。」

 

 俺がそう言うと、六花は目を閉じた

 

 俺はその六花に顔を近づけ、

 

 唇を合わせた

 

六花「ん......っ///(優しい......)」

 

 出来るだけ優しく

 

 さっきと違って、穏やかに

 

 触れ合うようなキスだ

 

 5秒ほどして、俺は六花から離れた

 

陽介「これも、思い出になるか?」

六花「はい///」

陽介「良かった。」

 

 俺は六花の頭を撫でた

 

 六花は嬉しそうな表情を浮かべてる

 

陽介「じゃあ、六花。」

六花「はい?」

陽介「服、着ような?」

六花「!?///」

 

 俺がそう言うと、

 

 六花は布団の中に飛び込み

 

 そして、中でごそごそし始めた

 

六花「す、すみません///」

陽介「大丈夫、とは言えないけど。俺こそ悪かった。」

 

 俺はそう言いながら

 

 掛け布団を少しめくり、自分の横を叩いた

 

 六花はそれを見て、首を傾げた

 

陽介「寒いし、近くで寝よう。」

六花「!」

 

 優しい声でそう言うと、

 

 六花はゆっくり、俺の横に来て、そこで寝転んだ

 

 それを見て、俺もベッドに寝ころんだ

 

陽介「抱き着きたいなら、好きに抱き着いてもいいよ。」

六花「え......?///」

陽介「こんな事、滅多にないから。六花の好きにしてくれ。」

 

 俺がそう言うと、

 

 六花は迷いなく、俺の腰辺りに手を回し

 

 体を密着させてきた

 

六花(出水さんがこんなに近くに......///)

陽介「今夜はさ。」

六花「?」

陽介「六花だけ、見てる。」

六花「~!///」

 

 それから、俺は六花を抱きしめ続け

 

 しばらくすると、六花は寝息を立て始めた

 

 その表情は心底幸せそうで、

 

 俺も嬉しくなった、ただ......

 

陽介(ね、寝れない......!)

 

 自分の腕の中に女の子がいるなんて初めてだし

 

 しかも、こんなかわいい子だぞ?寝れるか?

 

 いや、寝れるわけない

 

 さっきまでの発言を考えるとさ、

 

 今の俺、最高にダサいな

 

陽介(これ、いつ寝れるかな......)

 

 俺は腕の中に六花を感じながら

 

 長い時間を過ごした

__________________

 

陽介「__ふぁ~......」

 

 朝、俺はベッドの上で目を覚ました

 

 あれから何だかんだあって、

 

 寝たのは4時くらいだった

 

陽介「あれ?」

 

 横を見ると、六花の姿がなかった

 

 体勢的には寝た時と一緒だし、

 

 ベッドも広いから落ちたなんてない、はず

 

六花「あ、おはようございます!」

陽介「あ、六花。おはよう。」

 

 横を見ると、

 

 乾かしてた服に着替えた六花が立っていた

 

 俺は眠い目をこすり、ベッドから降りた

 

陽介「六花はよく眠れたみたいだな。」

六花「はい!とても幸せに眠れました!」

陽介「あはは、それならよかった。」

六花「あ、出水さんの服はそこに置いてありますよ!」

陽介「お、ありがとう。」

 

 俺はそう言って、

 

 テーブルに置いてある自分の服を取った

 

陽介「じゃあ、ちょっと着替えてくる。」

六花「はい!」

 

 俺はそう言って、洗面所に向かい

 

 服を着替えた

 

 そして、すぐに部屋に戻った

 

陽介「__さてと、じゃあ、そろそろ帰るか。」

六花「あの、出水さん。」

陽介「ん?どうした?」

六花「すごく、言いずらいんですが......」

 

 六花は本当に言いずらそうに

 

 言葉を絞りだすようにこういった

 

六花「前が、見えません......」

陽介「え?」

六花「昨日は、コンタクトだったので......」

陽介「あー。」

 

 なるほどなー

 

 六花っていつも眼鏡つけてるし

 

 コンタクト寝てるときに外すよな

 

陽介「まぁ、大丈夫だよ。」

六花「え?」

陽介「取り合えず、帰ろう。」

 

 俺はそう言って

 

 六花と共にホテルを出た

__________________

 

 帰り道

 

 俺と六花はまず電車に乗り、

 

 住んでる町まで帰ってきた

 

 まだ早朝なこともあって、人通りは少ない

 

 そんな道を俺は六花を背負いながら歩いてる

 

六花「__あ、あの、重たくないですか?」

陽介「全然。むしろ、軽すぎるくらいだよ。」

 

 不安そうな六花に俺はそう答えた

 

 マジで軽いよ?

 

 非力な俺でも全然余裕で背負えるから

 

陽介「さーてと、六花の家はー......」

 

 少し遠くに目をやると、

 

 六花の住み込んでる銭湯が見えて来た

 

 少し歩いて、銭湯の前まで来た

 

陽介「__えっと、確かボイラー室の裏部屋だっけ?」

六花「はい。」

 

 俺は六花の答えを聞いて

 

 小声でお邪魔しますと言いながら

 

 ボイラー室の方に入って行った

__________________

 

 六花の住んでる部屋は

 

 かなり風情のある和室だった

 

 俺は置いてある眼鏡を六花に手渡した

 

六花「ここまで、ありがとうございました。」

陽介「気にしなくてもいいよ。」

 

 俺は笑顔でそう答えた

 

 そして、六花に背中を向けた

 

陽介「じゃあ、俺は帰るよ。」

六花「はい。」

 

 俺は部屋から出ようとした

 

六花「あの、出水さん。」

陽介「ん?」

 

 その時、六花が声をかけて来た

 

 俺は六花の方に振り向いた

 

六花「大好きです、出水さん///」

陽介「ありがとう、六花。」

六花「それでは、また///」

陽介「あぁ。」

 

 俺はそう言って、軽く手を振りながら

 

 六花の部屋から出た

 

六花「本当に、好き......///」

__________________

 

 旭湯を出て

 

 少し歩き、俺は家に帰ってきた

 

 チュチュとパレオはもう起きてるみたいだ

 

陽介「__ただいまー。」

チュチュ「あ、陽介!」

パレオ「おかえりなさいませー!」

 

 家に入ると、

 

 チュチュとパレオが出迎えてくれた

 

 この感じ、やっぱりいいな

 

チュチュ「かなり災難だったわね。雪で電車がstopするなんて。」

陽介「あはは。まぁ、災難だけじゃなかったよ。」

 

 俺は軽く笑いながらそう言った

 

 まぁ、六花といるのは楽しかったし

 

 嘘はないよ?

 

パレオ「あれ?」

陽介「ん?」

 

 俺の方を見てたパレオは首を傾げた

 

 俺はパレオの方を向いた

 

陽介「どうした?」

パレオ「ようさんの首元に虫に刺された跡みたいなものが......」

陽介「え?」

 

 この時期に虫刺され?

 

 いや、そんな事はほぼないだろ

 

パレオ「あ、見ますか?」

陽介「ありがと。」

 

 俺はパレオに渡された手鏡を覗き込んだ

 

 そこには確かに、虫刺されに似た跡がある

 

 でも、これ、少し違うな

 

陽介「あー。」

チュチュ、パレオ「?」

陽介「まぁ、これは問題あるものじゃないよ。大丈夫。」

チュチュ「そう?」

陽介「そうそう。あ、俺、一回部屋行くよ。」

チュチュ「分かったわ。」

 

 俺はそう言って

 

 自分の部屋の方に歩いて行った

 

 その途中......

 

陽介(やってくれたなー、六花。)

 

 大体わかるけど、これキスマークだ

 

 多分、俺が寝てる間に付けたんだろうな

 

 俺は軽く頭を掻いた

 

陽介(意外と悪い子だな、六花。)

 

 俺は笑みを浮かべながら

 

 心の中でそう呟いた

 

 これが、俺のクリスマスの出来事だった

 

 




本日、とうとうRASが追加ですね。
すごく楽しみです。六花欲しい。
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