狂犬と消失少年   作:火の車

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”やみすぎ問題”

ますき「うちの主人公が病み過ぎてる件について。」

陽介「しかたないだろ。」

ますき「まぁ、そうだな。」

陽介「そんなこんなで、このシリーズで初めてなわけだが。」

ますき「まぁ、ここでごちゃごちゃ言っても仕方ないな。」

陽介「そうだな。」

ますき「というわけで、本編開始だ。」


手招き

 ”ますき”

 

 朝、目を覚ますと、そこにあるはずの気配はなかった。

 布団は丁寧にたたまれてて、もう起きてるのかと思った。

 

ますき「__おーい、出水ー。」

 

 呼んでも返事がない。

 私は体を起こした。

 

ますき「いない?」

 

 私は部屋を見回した。

 

 机の上に何かの紙がある。

 私はそれを手に取った。

 

『佐藤へ

わざわざ、泊めてくれてありがとうな。

異性の俺を部屋に入れるなんて嫌だっただろうに。

そして、一晩、すごい楽しかった。

家族愛ってやつを見れて、綺麗だって思ったよ。

でも、俺は駄目だった。

そんな綺麗なものを見てるのに息が出来なくなっちまった。

俺の事は探さなくてもいい、忘れてもいい。

お父さんとお母さんによろしく言っといてくれ。』

 

 おかれてた紙にはそう書かれてあった。

 

 気づいたら家を駆けだしてた。

 探さなくていい、そう書いてあった。

 けど、探さないといけない気がした。

 それくらい、あいつの雰囲気は危うかった。

 

ますき(馬鹿野郎が!)

__________________

 

 ここは、どこだろう?

 

 夜からずっと歩いて、たどり着いたのは全く知らない場所だった。

 

陽介(......ま、どこでもいいや。)

 

 ここに来るまで、夜の街で色々なものを見た。

 非行をしてる子供。

 浮気をしてる大人、それが見つかって大喧嘩をしてる夫婦。

 

 どれも、普通、見ていて気持ちのいいものじゃない。

 でも、今の俺にはそれがどうも落ち着いた。

 俺の親のような、人間の本質を見てる気がして、心が落ち着いた。

 

陽介「......どうかしてるな、俺。」

 

 佐藤の家族は暖かかった。

 俺なんかを受け入れてくれて、優しくしてくれて。

 

 そう思う、でも、俺が息苦しくなった。

 息が出来なくて、まるで水の中にいるみたいだった。

 

陽介(俺はどこに向かってるんだろう。)

 

 あてもないまま歩いて、今いるのは全く知らない場所。

 俺は何のために、外に出たんだ?

 

陽介「そっか......」

 

 思い出した。

 

陽介「__俺は死にたいんだった。」

__________________

 

 ”ますき”

 

ますき「__くそっ!」

 

 家を駆けだしてから、しばらく経っちまったがあいつの手掛かりがつかめねぇ。

 もしかしたら、想像より遠くに行ってるのか。

 

ますき(どこだ、どこにいやがるっ!)

 

 私はあたりを見回した。

 

ますき「!」

 

 ある方向を向いた時、不思議な感覚に襲われた。

 一瞬、そこに出水がいた気がした。

 

ますき「なんだ、今のは......?」

 

 困惑した、が、私は走り出してた。

 根拠はない、でも、この先にあいつが、出水がいる気がしたんだ。

__________________

 

陽介「__寝てた、のか?」

 

 俺は道端にあるベンチで目を覚ました。

 どうやら、歩き疲れて眠ったらしい。

 俺は周りを見た。

 

陽介「ここは、バス停?しかも、山の近く?」

 

 俺は周りを見た。

 道路の途中にポツンとある、古びたバス停。

 

陽介「なんで、こんなところに......?」

 

 俺は近くにあったガードレールの下を見た。

 

陽介「!」

 

 下には、人のようなもの......いや、人がいる。

 

陽介「なんで、あんなところで寝てるんだ?」

 

 いや、違う。

 死んでる、じゃなきゃ、あんなところで寝るわけない。

 しかも、一人じゃない。

 何人も、ここで......

 

陽介「......ここなら。」

 

 俺は何かを感じ取った、ここを超えれば俺は死ねる。

 

陽介(そうか、俺はここで......)

 

 俺はガードレールに手をかけた。

 しかし、止まった。

 

陽介「動かない......なんでだ......?」

 

 死ぬのが怖い。

 生きる希望がないとしても、飛び降りて死ぬなんて怖いに決まってる。

 

陽介(俺生きて何になる。)

 

 親に捨てられて、目も無くなって。

 もう、俺は普通に生きられない。

 俺の人生にもう価値なんて残ってない。

 

 そう思うと、突然、体が軽くなった気がした。

 

『こっちにおいで。』

 

 下からそんな声が聞こえてきた気がした。

 何かに手招きされてるように、体が勝手に動く。

 もう怖くない。

 

陽介(生まれ変わったら、裏切りなんてない。幸せな__)

ますき「__出水!」

陽介「佐藤......?」

ますき「何してやがる!戻れ!」

陽介「っ!」

 

 下からの手招きがなくなった気がした。

 逆に、後ろ髪をひかれてるような、そんな感覚に襲われた。

 

陽介「なんで、ここに?」

ますき「分かんねぇ!勘だ!」

陽介「ははっ、めちゃくちゃだな。」

 

 そうしてる間に佐藤は俺に近づいてきた。

 

ますき「てめぇ、何やってやがる!」

陽介「......さぁな。」

ますき「分かるぞ、お前、死のうとしてたんだろ?」

陽介「!」

ますき「バカ野郎が!」

 

 佐藤はかなり怒った様子だ。

 なんで、赤の他人の俺なんかのために。

 

陽介「俺の事は気にしなくてもいいよ。」

ますき「お前がそう思っても私は気になんだよ!」

 

 佐藤は俺の胸倉を掴んできた。

 

陽介「......俺はもう、普通に生きれないよ。だって、もうこんなだからさ。」

 

 俺はそう言った。

 

陽介「だから、俺はいない方がいいんだよ。」

ますき「ふざけんな!」

陽介「!」

ますき「私にはお前の親に捨てられた苦しみなんて理解出来ねぇ!」

陽介「だったら、ほっといて__」

ますき「でもな、目を失った苦しみは分からないじゃ済まねぇんだよ!」

陽介「目......」

ますき「私にはまだ、責任が残ってんだよ!」

 

 佐藤は手に力を込めた。

 

ますき「お前が生きる意味を見失うのも、何となくわかる!親がいなけりゃ寂しい!」

陽介「親......」

ますき「でも、生きてりゃ、もしかしたら、お前が救われる日が来るかもしれねぇだろ!」

陽介「救われる?俺が?」

ますき「あぁ。」

陽介「ありえないよ。」

ますき「そんなの分かんねぇだろ!未来なんて何が起こるか分かんねぇだろ!」

 

 佐藤は俺の目をまっすぐ見てる。

 その目はとても鋭くて、逃がさない、そう言ってるようだ。

 

ますき「そんな可能性がある未来を自分から放棄すんじゃねぇよ!バカが!」

陽介「......」

ますき「お前がまだ、生きたくないってんなら。こうしろ。」

陽介「......?」

ますき「私のために生きろ!」

陽介「!?」

 

 俺は呆気にとられた。

 佐藤のために生きろ?意味が分からない。

 

ますき「私はまだお前に対する責任を果たしてねぇんだよ。だから、私が責任を果たすために生きろ。」

陽介「佐藤......?」

ますき「その間にお前が本当に生きる意味を見つければいい。」

陽介「......」

ますき「分かったか!」

 

 佐藤は物凄い圧をこっちにかけてくる。

 

陽介「は、はい......」

 

 俺はそう答える事しか出来なかった。

 

ますき「じゃあ、戻るぞ!」

陽介「お、おう。」

ますき「って言っても、家じゃ息苦しいんだよな。どうするか......」

 

 佐藤は考えてるようだ。

 

ますき「......よし、思いついた。」

陽介「?」

ますき「お前に住む場所をやるよ、とっておきのな。」

陽介「?」

 

 俺は佐藤の言葉の意味を理解できなかった。

 が、この後すぐに理解することになる。

 

 

 

 




”次回登場?”

チュチュ「さぁ!出番よ出番!」

パレオ「そうですね!チュチュ様!」

チュチュ「私達がどんな役回りで出てくるのか、楽しみにしてなさい!」

パレオ「チュチュ様はいじられ役ですよ♪」

チュチュ「え......?」

パレオ「嘘です☆」

チュチュ「な......!パレオー!」

パレオ「申し訳ございませ~ん!次回に続きまーす!」

チュチュ「こらー!待ちなさい!」
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