狂犬と消失少年   作:火の車

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修学旅行1

 長いバスの旅を終えて、目的地に着いた

 

 綺麗な雪景色が見えて、すごくいい場所だ

 

陽介「__おぉ。」

 

 俺達はすぐにホテルに移動し、

 

 指定された部屋に入った

 

 和室で寝泊まりするのは久しぶりだ

 

 日本人の本能ってやつなのかな

 

陽介(落ち着くなぁ......)

 

 部屋にはお茶とかお菓子も置いてるし、

 

 もう、この部屋だけで充分満足できそうだ

 

 俺はついつい和んでしまった

 

陽介「いやぁ、いい空間だなぁ......」

つぐみ『__出水君ー?』

陽介「ん?羽沢?」

 

 部屋で和んでる途中、

 

 外から羽沢の声が聞こえて来た

 

 俺はドアの方に歩き、開けた

 

陽介「どうかしたか?」

つぐみ「この後、皆でスキーに行くけど、出水君も来る?」

陽介「あぁ、行くよ。」

つぐみ「じゃあ、準備して!待ってるから!」

陽介「分かった。」

 

 俺は一旦、部屋に戻り、外に出る準備をした

 

 そして、羽沢と一緒にホテルを出た

__________________

 

 スキー場には初めて来た

 

 一面真っ白な雪景色で別世界に来たみたいだ

 

 そんな中を俺は......

 

陽介「__うわぁぁぁぁあ!!!」

 

 漫画の様に綺麗に転がっている

 

 ここまで来れば芸術的だと思う

 

つぐみ「い、出水君、大丈夫ー!?」

陽介「あ、はは、大丈夫。」

 

 何とか転がるのが止まると、

 

 5人が後から追いついてきた

 

巴「い、生きてるかー!?」

陽介「生きてるよ、流石に。」

モカ「いやー、芸術的な転がり方だったねー。」

ひまり「ほんとに漫画みたいだった!」

蘭「陽介って、運動苦手だったっけ?」

陽介「基礎体力は人並みだけど、絶望的にセンスがなくてな......あはは。」

 

 球技とかは絶望的に弱いんだよな

 

 走るとかは全然出来るんだけど

 

 道具を使うとかになると駄目で仕方ない

 

巴「体育とかでもサッカーとかはダメだったよな?」

ひまり「足は滅茶苦茶に速いのに!」

陽介「いやー、お恥ずかしい。」

 

 俺は頭を掻きながらそう言った

 

 まさか、ここまで出来ないとは

 

 軽く誤算だったかもしれない

 

蘭「出水はスキー禁止だね。」

陽介「え?」

蘭「流石にあれ見たらさせられないって。怪我してからじゃ遅いし。」

巴「まぁ、そうだな。」

ひまり「スキー以外にも出来る事はあるし!」

モカ、つぐみ「!」

 

 まぁ、言ってる事は最もで

 

 確かに怪我してからじゃ遅いし

 

 初心者コースであれだしな

 

陽介「じゃあ、俺はお土産でも見に行こうかな。」

モカ「あたしも行くー。」

つぐみ「わ、私も行きたい!」

陽介「へ?」

蘭「まぁ、いいんじゃない。(どうせ止めても聞かないし。)」

 

 青葉と羽沢はスキーが出来るのに

 

 何故か付いてくることになった

__________________

 

 ホテルの近くに大きなお土産屋さんがあった

 

 お土産以外にも魚介とか色々あって、

 

 すごく充実した施設になってる

 

モカ「__あ、美味しい......」

陽介「食べたのか?」

 

 青葉は魚介を見ながらそう言った

 

 口の端からよだれが垂れてる

 

 すごい食い意地だ

 

つぐみ「も、モカちゃん......?」

モカ「やだなー、そこまで食い意地張ってないよー。」

陽介「口元のよだれを拭ってから言ってくれ。」

モカ「おっとー?」

陽介「ほら、顔こっちに向けて。」

モカ「むぐっ///」

つぐみ「!」

 

 俺はハンカチを取り出し、

 

 青葉の口元を拭った

 

 袖口で拭うとかは良くないし

 

陽介「ほら、綺麗になったぞ。」

モカ「お、おー......///」

つぐみ(ず、ずるい!)

陽介(どうしたんだ?2人とも。)

 

 青葉は顔を赤くしてるし、

 

 羽沢は少し頬を膨らませてる

 

 総じていえる事は可愛いなんだが

 

 なんでこうなった?

 

つぐみ「そ、そう言えば、出水君はどんなお土産を買いたいの?」

陽介「うーん......考えてないな。」

モカ「じゃあ、このうにとかー。」

陽介「予算オーバーだよ。」

 

 生ものとか腐らせそうで怖いし

 

 日持ちするお菓子とかがいいな

 

 まぁ、別に今買うわけじゃないし

 

 今日は見るだけでもいいかな

 

 俺はそんな事を考えながら、

 

 店の中を見て回ることにした

__________________

 

 しばらく歩いて回ってると、

 

 変な屋台を見つけた

 

 というか、どこかで見たことがあるような

 

おばさん「__おやおや、いつぞやの。」

陽介、つぐみ「!?」

おばさん「久しぶりだねぇ、お兄さんに可愛らしいおねぇさん。」

 

 屋台から顔を出したのは、

 

 夏祭りの時に会ったおばさんだった

 

 いや、こんな所で何をしてるんだ

 

おばさん「お兄さんの方はかなり変わったようだねぇ。」

陽介「!」

おばさん「心を壊さなくてよかったねぇ。」

 

 このおばさん、本当に何者なんだろう

 

 俺の事なんでも分かってるんじゃないか?

 

おばさん「どうだい?一つ占いでも?」

陽介「え?お守り屋さんなんじゃ?」

おばさん「今日は占いの気分なのさ。」

つぐみ(き、気分で変わるものなんだ......)

 

 俺と羽沢は首を傾げつつ、

 

 おばさんの屋台の方に歩いて行った

 

おばさん「さぁ、占ってあげよう。」

陽介「これは何占いなんですか?」

おばさん「なんでもいいよぉ。恋愛、受験、就職、なんでも。」

陽介「じゃあ、就しょ__」

つぐみ「れ、恋愛で!」

陽介「え?」

おばさん「オッケーじゃ。」

陽介「いや、ノリが軽い!」

 

 そんなツッコミも無視されて、

 

 おばさんは占いの準備を始めた

 

おばさん「ふむむムムム......」

陽介「......」

つぐみ(ど、どうなるんだろう。)

 

 おばさんは水晶を凝視してる

 

 そして、しばらくすると、

 

 俺達の方を見た

 

おばさん「ほう......これは......」

陽介「どうなんですか?」

おばさん「子どもが3人いる未来が見えたよ。」

陽介「何の占いしてるんですか!?」

つぐみ「っ!!///」

おばさん「幸せそうな家庭だったねぇ......」

陽介「本当に何を見たんです!?」

つぐみ「......///」

 

 なぜ、俺がこんなに焦ってるのかというと

 

 無駄に現実味がある答えだからだ

 

 今まで告白されたのが、

 

 湊さん、六花、日菜さんというわけで

 

 仮にそう言う未来があったとして、

 

 全員の行動から考えてあり得るからだ

 

おばさん「お盛んだねぇ、お兄さんや。」

陽介「......(何も言えない。)」

つぐみ(あ、あわわわわ!///)

おばさん「お兄さんとお姉さんにはこれをあげよう。」

 

 そう言っておばあさんはお守りを渡して来た

 

 お守りが凄い数になったな

 

 縁結びに交通安全、厄除け、それに、これは

 

おばさん「安産祈願だよ。」

陽介「早いわ!!!」

つぐみ「あ、ありがとうございます!///」

陽介「ん!?」

おばさん「頑張りんさい。」

陽介「......」

 

 俺はその瞬間に考えるのをやめた

 

 もうあれだ、深く考えたら負けだ

 

 絶対に自滅してダメージを受ける

 

 出来るだけ目線を外そう!

 

おばさん「そう言えばなんじゃが......」

陽介、つぐみ「?」

おばさん「お前さんら、もう1人の子はどうした?」

陽介、つぐみ「......あっ。」

 

 俺と羽沢は思い出したような声を出した

 

 そう言えば、青葉、トイレ行ってるんだった

 

 あれ、これ、マズいんじゃ......

 

陽介「い、行くぞ、羽沢!」

つぐみ「う、うん!」

 

 俺と羽沢は屋台を出て、

 

 青葉を探しに行った

 

おばさん(2人に幸あれぇ。)

 

 ”その頃のモカ”

 

モカ「おいひい~。」

 

 1人で大量に試食を食べ回っていた

 

 

 


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