狂犬と消失少年   作:火の車

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雪の中の告白

 羽沢に告白されて一晩明けた

 

 あの後は0時まで佐藤と電話して、

 

 お互いに眠たくなって眠った

 

つぐみ「__出水くーん!」

陽介「あ、羽沢。」

 

 朝ごはんの時間になり食堂に来ると、

 

 羽沢が向こうから駆け寄ってきた

 

つぐみ「おはよう!」

陽介「あぁ、おはよう。」

つぐみ「今から朝ごはんだよね?一緒に食べよ!」

陽介「いいよ。」

つぐみ「やった!」

陽介(......うん、可愛い。)

 

 朝ごはん一緒に食べるだけでこの喜びよう

 

 誰だってかわいいと思うだろ?

 

 俺はそんな事を考えつつ朝ごはんを取りに行った

 

 ”モカ”

 

モカ(ど、どうしよう......)

 

 早くに食堂に来てようくん待ってたけど

 

 なんて話しかけて良いか分からなくなって、

 

 つぐに先を越されちゃった......

 

モカ(はぁ、今回は諦めよ......)

蘭「__はぁ、何してんの?」

モカ「あれ、蘭......?」

 

 あたしがお盆を持って出来に座ろうとすると、

 

 どこか呆れた顔の蘭が話しかけて来た

 

 そして、軽くデコピンをしてきた

 

モカ「痛いよ~......」

蘭「なに1人で食べようとしてんの?陽介のとこ行けばいいじゃん。」

モカ「いや、だって、つぐが......」

蘭「そんなの気にしなくていいって。(つぐみも気にしないだろうし。)

モカ「で、でも......」

蘭「つべこべ言わず、行くよ。......陽介!」

陽介「ん?どうしたー?」

モカ「ら、蘭~!」

 

 あたしは蘭に手を引かれ、

 

 ようくんとつぐのいるテーブルに向かった

__________________

 

 困惑したまま引っ張られ、

 

 もう2人のところまで来ちゃった

 

蘭「ここ、モカも座っていい?」

陽介「いいぞ?なぁ、羽沢?」

つぐみ「うん!モカちゃんも一緒に食べよ!」

モカ「!」

 

 2人は迷うことなく承諾した

 

 なんで、2人で楽しそうに食べてたのに

 

 あたしは困惑した

 

蘭「ほら、座りなよ。」

陽介「美竹は食べないのか?」

蘭「あたしはいいよ。巴とひまり起こしに行かないといけないし。」

陽介「あっ(察し)」

 

 よう君は何かを察した顔をした

 

 想像通り、あの2人は夜更しして

 

 今も部屋で寝てる

 

蘭「そういう訳だから。3人でごゆっくり。」

つぐみ「またね、蘭ちゃん!」

陽介「じゃあなー。」

 

 2人は歩いて行く蘭に手を振ってる

 

 こういうところも2人はよく似てる

 

 やっぱり、この2人なら......

 

モカ(きっと、幸せに......)

陽介「青葉?」

モカ「っ!ど、どうしたの~?」

陽介「なんか、ボーっとしてるから。調子悪いのか?」

つぐみ「大丈夫?」

 

 2人は心配そうにこっちを見てる

 

 この2人の子供ってこんな気分なのかな

 

 もう、考えただけでない自信失くしそう......

 

モカ「だ、大丈夫だよ~。」

つぐみ「そう?」

モカ「う、うん~。2人の気のせいだよ~、あはは~。」

陽介「......?」

モカ(やっぱり、あたしじゃ......)

 

 あたしは楽しそうな2人に疎外感を感じながら

 

 味気が無くなった朝食を詰め込んだ

__________________

 

 ”陽介”

 

 青葉の様子がおかしい

 

 気のせいとかでは絶対にない

 

 なんか、元気がないように見える

 

陽介(何があったんだ?)

 

 熱があるようには見えなかった

 

 じゃあ、何か他の不調?

 

 それとも......

 

蘭「__陽介。」

陽介「あ、美竹。」

蘭「少し、話があるの。」

陽介「話?(この雰囲気。)」

 

 いつもの美竹じゃない

 

 ちょっと張り詰めてる気がする

 

 こっちの息が詰まりそうだ

 

蘭「陽介は気づいてるよね。モカがおかしいってこと。」

陽介「あぁ、美竹は知ってるのか?」

蘭「うん、知ってる。」

陽介「!」

 

 美竹は軽くうなずいた

 

 これで俺は余計に分からなくなった

 

 体調不良じゃないのは確実になった

 

 でも、美竹が深刻そうな理由が分からない

 

蘭「今の陽介にあんまり、こんな話したくない。でも、話さないといけない。」

陽介「それは......?」

 

 美竹は拳を握り込んで歯を食いしばってる

 

 本当に話ずらいと思ってるんだ

 

蘭「実は__」

女子「み、美竹さん!」

蘭、陽介「!!」

 

 美竹が何かを言おうとした時、

 

 1人の女子がこっちに走ってきた

 

蘭「なに?」

女子「そ、その、青葉さん見てない?」

蘭「モカなら、自由時間になってから見てないけど。」

陽介「どうかしたのか?」

女子「そ、その、今外が大雪で全員ホテル待機になったんだけど......青葉さんだけいないの......」

蘭、陽介「っ!?」

 

 女子のその言葉で背中が寒くなった

 

 自由時間に入ってから30分ほど

 

 仮にすぐに外に出てたとしたら......

 

女子「ここ、雪崩も起きるらしいし、もしものことがあったら......」

陽介「......起こさない。」

蘭「陽介?」

 

 俺は小さな声でそう言い、

 

 出入口の方を向いた

 

陽介「青葉を探してくる。」

蘭「ちょっと、危ないって!」

陽介「大丈夫だ。別に死にはしない。行ってくる!」

蘭「ちょっと、陽介!」

 

 俺は美竹の声を無視し、

 

 ホテルの外に出て行った

__________________

 

 ”モカ”

 

 外は、すごい雪が降ってる

 

 向こうじゃ滅多に見れないくらい降ってる

 

モカ(__ま、前が見えない......)

 

 まるで雪のカーテン

 

 幸いにも屋根がある場所に来れたけど、

 

 これはしばらく帰れない

 

 帰ろうとしたら迷子になって凍死しそう

 

モカ(でも、ちょうどよかったかも。)

 

 この感じじゃ、絶対にホテル待機だし

 

 ホテルにいたらきっとよう君に会っちゃう

 

モカ(......さらに思い知っちゃったよ。)

 

 本当につぐと相性がいい

 

 しかも、あの雰囲気

 

 2人の間には絶対に何かあった

 

 あたしが余計なことをしなければ、

 

 よう君は幸せになれる......

 

モカ(......でも、諦めるのは......)

 

 嫌だ、なんて思っちゃう

 

 蘭のせいだ

 

 蘭のせいでその気になったから、

 

 諦めたいのに諦められない

 

モカ「......どうすればいいの~......?」

陽介「__あ、こんな所にいたのか。」

モカ「え?」

 

 あたしが1人で考え事をしてると

 

 白い息を吐いて、少し疲れてる

 

 いつも通り優しい表情のよう君がいた

 

モカ「な、なんで、ここに?」

陽介「大雪で危ないから、探しに来た。安全な所にいてくれてよかった。」

 

 よう君は安心した様な声でそう言った

 

 本当に心配してくれてたんだ

 

 やっぱり、よう君は優しい

 

陽介「さぁ、帰ろう......って、言いたいところだけど。」

モカ「?」

陽介「ちょっと、疲れたから、休んでもいいか?」

 

 よう君は笑いながらそう言った

 

 そして、あたしの横に座った

 

陽介「いやー、体力がないと困るな、あはは。」

 

 よう君はずっと笑ってる

 

 こんなに笑えるようになったんだって、

 

 すごく嬉しく思う

 

モカ「......」

 

 どう接していいか分からない

 

 告白したい気持ちとしたくない気持ち

 

 其の2つが混在してぐちゃぐちゃになってる

 

陽介「......青葉、何か悩みあるのか?」

モカ「え?」

 

 突然、よう君がそんな事を言ってきた

 

 あたしは心を読まれたような感覚になって

 

 ひどく驚いた

 

陽介「朝から元気ないだろ?」

モカ「......!」

陽介「何かあったなら相談してくれ。」

 

 よう君はそう言ってあたしの方を見てる

 

 まさか、気付かれてたなんて......

 

モカ「......よう君は好きな人とかいる?」

陽介「え?」

モカ「......」

陽介「え、えーっと......」

 

 よう君は困ったような表情を浮かべてる

 

 当り前だよ、突然こんな質問されたら

 

 あたしだって絶対に困る

 

陽介「そ、そうだな、特定の人物はいないと言うか、決められないと言うか......」

モカ(そっか、多分、湊さんに日菜先輩、つぐあと六花も......)

陽介「でも、もうすぐに決める。先延ばしにし過ぎるのは悪いから。」

モカ「っ!」

 

 真面目な顔でよう君はそう言った

 

 そっか、もう決めるんだ

 

 それでいいんだよ、よう君

 

モカ(......っ。)

 

 出来れば、つぐを選んでほしい

 

 そう思うけど、何かが勝手に蠢いてる

 

 それは頭のてっぺんから下に降りて行って

 

 神経を段々、支配される

 

陽介「?」

モカ「......っ!」

陽介「青葉?」

モカ(もう、ダメ......ッ)

 

 あたしはよう君の袖口を掴んだ

 

 もう、止まれない

 

 だって、あたしだって......

 

モカ「......よう君が好き。」

陽介「え?」

 

 ”陽介”

 

 青葉は消え入りそうな声でそう言った

 

 聞き逃すことなんて無い

 

 確かに、好きと聞こえた

 

モカ「本当は言いたくなかったんだ......」

陽介「っ!」

モカ「あたしはよう君に幸せになってほしい......だから、出来ればつぐと一緒になってほしかった。」

 

 青葉はつらつらと言葉を並べた

 

 段々と目から涙が零れてきてて、

 

 声が震えてきてる

 

モカ「でも、蘭に背中を押されて、こんなによう君に優しくされたら、止まれないよぉ......!!」

陽介「青葉......」

モカ「お願い、よう君......幸せにできる自信なんてないけど、頑張るから、あたしと一緒にいて......」

 

 青葉が袖口を掴む力が強くなった

 

 美しく悲痛な感情が伝わってくる

 

陽介「......そんな自信、いらないよ。青葉。」

モカ「え......?」

陽介「むしろ、自信がないのは俺の方だよ。」

 

 俺は青葉に上着を着せながらそう言い

 

 少しだけ大きく息をした

 

陽介「こんな素敵な子にこんなに思われて、俺の方が幸せにできる自信ない。」

モカ「そ、そんなこと、よう君は......」

陽介「出来る事なら、みんな幸せにしたい。勿論、青葉も。」

モカ「っ......///」

 

 俺は青葉の頭を撫でた

 

 なんか、モフモフしてて、

 

 日ごろの青葉を表してるようだ

 

陽介「みんな、俺を幸せにしてくれた。青葉も普段は面白くて変なことも言うけど、母さんが来たときは守ってくれて、俺を友達だって言ってくれた。その事は感謝してもしきれない。」

モカ「よ、よう君~......///」

陽介「結果はどうなるか分からないけど、その、そうなってるかもしれないし。そうならなくても、青葉とは一緒にいたいって思う。」

 

 俺はそう言ってベンチから立ち上がり、

 

 振り向いて青葉の方に手を差し出した

 

陽介「雪がちょっと弱くなった。今のうちに帰ろう。」

モカ「うん~!よう君~!///」

 

 青葉は弾けんばかりの笑顔で頷き、

 

 差し出した俺の手を握った

 

モカ「......大好きだよ~///」

陽介「俺も好きだよ、今は、友達として。」

モカ「うん~......!///」

 

 俺と青葉は手を繋いでホテルに帰った

 

 帰ったら4人が待ち構えてて、

 

 羽沢がちょっとだけむくれてた

 

 でも、まぁ、これもいい思い出だな

 

 

 

 

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