バイクに乗ってから、
最初はいつもの街の中を走り
段々と見知った風景が無くなって行き
いつの間にか全く知らない場所まで来た
陽介「佐藤、どこまで行くんだ?」
ますき「分かんねぇ。」
佐藤はバイクを止めようとしない
段々と見える建物が少なくなって
自然の景色が増えていき
都会と呼べる部分から遠ざかっていく
陽介(どこまで行く気だろう。)
もう全く知らない場所まで来た
右側を見れば木々が見えて、
左側を見れば月に照らされた海が見える
本当に目的地がないのだろうか
そんな事を考えてると、急にバイクが止まった
ますき「__この辺でいいだろ。」
陽介「!」
止まった場所は景色がよく見えるが、
特に変哲の無いガードレールの前だ
佐藤はバイクから降り、
俺も佐藤に続いてバイクを降りた
陽介「なんでこんな所まで来たんだ?」
ますき「何となくだ。」
陽介「そうか。」
佐藤はこういうところあるよな
行き当たりばったりと言うか、
考える前に行動すると言うか
まぁ、それも佐藤の面白い所なんだけど
俺はそんな事を思いながらガードレールの前に立ってる佐藤の横に立った
陽介、ますき「......」
ガードレールの前に2人で並び、
綺麗な海の景色を眺めてる
話したい内容は分かってる
けど、そのせいで中々話を振れない
そんな風に沈黙したまま時間が流れていく
ますき「......修学旅行。」
陽介「ん?」
ますき「どうだった。楽しかったか?」
佐藤はそう尋ねて来た
聞いてくる内容が保護者のそれだな
俺はそれに笑みをこぼしつつ、
佐藤の質問に答えた
陽介「楽しかったよ。修学旅行は初めてだったし、学校の皆といつもより長い時間一緒にいるのも面白かった。」
ますき「そうか、よかったな。」
陽介「あぁ、本当に良かった。」
ますき「......」
佐藤はボーっと海の方を見てる
一見すれば綺麗な表情をしてる
けど、これはボーっとしてるだけだ
それでも、こんな風に見えるんだから
何と言うか、得な見た目してるな
ますき「なんだ?」
陽介「いや、佐藤って何してても様になるなって思って。」
ますき「そうか?」
陽介「そうだよ。本当に綺麗な見た目をしてるからな。」
ますき「......そうか。」
これは照れてる表情だ
佐藤の変化は分かりやすい
この場合は耳がすぐに赤くなったりする
あと、少しだけそっぽを向く
陽介「佐藤って可愛いよな。」
ますき「!///」
陽介「なんか日頃はかっこよさそうに振舞ってるけど、お菓子作り好きだったり、少女マンガ読んで泣いてたりと乙女だよな。」
ますき「う、うるせぇ......///」
向こうを向いてるが顔が真っ赤なのが分かる
とうとう繕う余裕も無くなったようだ
まぁ、元から余裕があると思ってなかったけど
陽介「あはは、佐藤は面白いな。」
ますき「たくっ、お前ってなんでこういう時にふざけるんだよ......」
陽介「うーん、分からないな。けど、話してる内容は全部本音だぞ?」
ますき「......そうかよ///」
佐藤はそう言った後、小さく息を吐いた
そして、俺の目を真っすぐ見て来た
佐藤の身に纏う空気が少しだけ変わり
これから、本題に入るんだと言う事が分かる
ますき「私の言いたいこと、分かるか?」
陽介「.....俺には分からないな。」
ますき「......///」
俺はそう答えると、佐藤の様子を伺った
もちろん、分からないと言うのは嘘だ
でも、自分で言いたいって言ってたし
こういう方がいいだろう
陽介「是非とも教えてくれ。」
ますき「......性格わりぃな///」
陽介「あはは__!!」
顔を赤くした佐藤を見て笑ってると、
いきなり腕を引かれた
俺と佐藤の顔の距離が近くなり、
一気に心臓が跳ねた
ますき「教えてやるよ、出水///......んっ///」
陽介「っ!」
佐藤はゆっくり唇を合わせて来た
柔らかい感触と口内に入ってくる舌の感覚
そして、目に大きく写る佐藤の姿
それで、今の状態を確かに認識できる
ますき「ん、ちゅ......///」
陽介(な、なが......っ!)
呼吸が上手く出来ない
俺もテンパっているんだろうか
頭がボーっとして、溺れているような感覚になる
ますき「__ちょっとは伝わったか?///」
陽介「......少女漫画の真似だよな?」
俺は佐藤にそう言った
すると、佐藤は目を見開き
驚いたような声を出した
ますき「な、なんでわかった!?///」
陽介「最初から何となく、この場所に来た位から。」
大方、告白の仕方とか分からなくて
取り合えず手に取った少女漫画の真似をする
佐藤なら多分、こんな感じだろう
何と言うか......可愛いな
ますき「じゃあ、こう言うのもいいんだろ///」
陽介「おっと。」
ますき「......///」
佐藤は俺に抱き着いて、
顔だけあげて俺と目を合わせてくる
少しだけ俺のほうが背が高く、
目線を合わせるため健気に顔を上げてる姿はなんとも可愛らしい
ますき「お前が好きだ///守ってくれた、あの日から......///」
陽介「......そっか。」
ますき「!///」
俺は佐藤を抱きしめ返した
心音がこっちにまで伝わってくる
この鼓動を感じるたび、
この子を守れてよかったって思う
陽介「俺は佐藤が大事だよ。そして今をくれたことを感謝してる。」
俺は小さな声でそう言った
俺の人生は間違いなく、この子から変わった
色々、遠回りをしたんだと思うけど
きっと、これが、出会う事が
俺の人生の正規ルートだったんだろう
ますき「......さっさと決めろよな///」
陽介「......分かってる。」
俺は少しだけ目を瞑った
そうだ、もう選ぶ時が来たんだ
選ぶ、なんておこがましいけど
陽介「俺は......」
大きく空気を吸った
ここが未来への大きな分岐点
次の一言で決まるんだな
陽介「俺が好きなのは__」
ますき「!」
俺は目を見開いて、
意を決して次の言葉
自分が心から望んだ相手の名前を口にした
ここからルートが分かれます。
最初はますきです。
後はその時その時で決めます。