狂犬と消失少年   作:火の車

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卒業の日

 友希那さんと付き合い始めて約2か月

 

 最近は気温も少し上がってきて

 

 寒いと感じる事は少なくなってきた

 

 今日は3年生が卒業する日

 

 友希那さんが学校からいなくなる

 

 そのことに多少の寂しさを感じてる

 

 そんな中、俺は校内のベンチに座ってる

 

友希那「__陽介。」

陽介「あ、友希那さん。」

 

 12時を過ぎた頃

 

 胸元に花をつけた友希那さんが走ってきた

 

 向こうを見れば、同級生同士で話したり、写真を撮ったりしてる

 

陽介「いいんですか?まだ向こうは盛り上がってますが。」

友希那「リサに行って来いと言われたのよ。そもそも、私は陽介が一番大事よ。」

陽介「......そうですか。」

 

 俺は恥ずかしくなって少し目を背けた

 

 こうも直球で言われると流石に照れがある

 

 そんな俺を見て友希那さんは笑ってる

 

 俺は気を取り直して、友希那さんを見た

 

陽介「ご卒業おめでとうございます、友希那さん。」

友希那「あら、陽介なら私がいなくなって寂しいと言うと思ったのだけれど?」

陽介「......どこまでわかってるんですか?」

友希那「何でも分かってるわよ。」

陽介(う、うーん。)

 

 俺は頭を抱えた

 

 この人、本当はエスパーなんじゃないのか?

 

 そんなに分かりやすいつもりはないんだが

 

友希那「これからもあなたと私は一緒にいるわけだし、寂しくはないわよ。」

陽介「それは分かってますよ。でも、1つの節目として感慨深いと言う事もあるので。」

友希那「そうかしら?」

 

 友希那さんは首をかしげながらそう言った

 

 なんか、卒業の感動?と言うのか

 

 そう言うのをあんまり感じないな

 

 まぁ、らしいと言えばらしいのかもしれない

 

 俺がそんな事を考えてると

 

 友希那さんは何かを思い出したような顔をした

 

友希那「そう言えば。」

陽介「?」

友希那「卒業するとき、第2ボタンをあげると聞いたの。」

陽介「第2ボタン?」

 

 そう言えば、そういうのあったな

 

 確か1番大切な人を表すって

 

 そんな事を思ってると、

 

 友希那さんは自らの第二ボタンに手をかけた

 

友希那「これは陽介にあげるわ......一番、大切な人だもの///」

陽介「ありがとうございます。」

 

 俺はボタンを受け取った

 

 さっきまで制服についてたもの

 

 何と言うか、不思議な感じがするな

 

 暖かい部分と冷たい部分がある

 

友希那「これからも、愛しているわ///」

陽介「俺も愛してます、ずっと。」

 

 俺と友希那さんはその場で抱き合った

 

 誰かに見られてるとか考えたけど

 

 もう、そんな事どうでもよくなった

 

 友希那さんは体温が高くて、良い匂いがする

 

友希那「陽介......///」

陽介「友希那さん......」

 

 段々とお互いの顔が近づいて行く

 

 お互いの息がかかる位置まで来て

 

 もうキスをする直前、だがその時

 

 パシャと、カメラのシャッター音が聞こえた

 

友希那、陽介「!?」

リサ「あっ......」

友希那「り、リサ......!///」

リサ「やっば!やっちゃった!」

チュチュ「何してるのよ!」

リサ「ご、ごめんって!」

 

 音がした方を見ると、

 

 今井さんとチュチュ、パレオがいた

 

 友希那さんは顔を真っ赤にして怒ってる

 

陽介「な、何してるんだ?今井さんはともかく2人まで。」

リサ「え、あたしは?」

チュチュ「湊友希那の卒業を祝いに来てあげたのよ。陽介のgirl friendだもの。」

陽介「それで、写真を撮ってた意味は?」

パレオ「お2人があまりにイチャイチャしていたので、後で茶化してやろうとリサ様が!」

リサ「えー!?あたしだけ!?」

 

 大体の状況は理解した

 

 まぁ、今井さんだったな

 

 俺は小さくため息をついた

 

陽介「いるなら声かけてくれよ。」

チュチュ「あら、続きはしないのね?」

陽介「また後でするよ。」

友希那「!?///」

リサ(あっ、友希那の顔真っ赤だ。撮っとこ。)

友希那「リサっ!///」

 

 また、今井さんが怒られてる

 

 友希那さんを弄りたい気持ちは分かる

 

 通常時は滅茶苦茶に可愛い人だし

 

チュチュ「まぁ、卒業おめでとうと言っておくわ。これからもうちの陽介をよろしく。」

友希那「当然よ。一生離れるつもりはないわ。」

チュチュ「そう。ならいいわ。」

友希那、陽介、パレオ、リサ「!」

 

 チュチュは友希那さんの方に手を出した

 

 俺はかなり驚いた

 

 友希那さんに限定されるけど、

 

 こんなに素直なチュチュは初めて見た

 

チュチュ「陽介がいるし、もうぶっ潰すなんて言ってられないわ。これからはよきライバル......もとい、嫁姑関係として、よろしく。」

友希那「!......えぇ、チュチュ。」

パレオ「チュチュ様......!」

リサ「いいお母さんじゃん!出水君!」

陽介「......えぇ、本当に。」

 

 俺は小さな声でそう言った

 

 ちょっとだけ涙が出て来た

 

チュチュ「陽介。」

陽介「なんだ?」

チュチュ「何を泣いているの?......まぁ、いいわ。これを受け取りなさい。」

 

 チュチュはある物を差し出して来た

 

 何かの手帳のようなもので

 

 俺は訳も分からず、それを受け取った

 

陽介「なんだ、これは?」

パレオ「それはようさんの今までのバイト代ですよ。」

陽介「え?」

チュチュ「返却は受け付けないわ。」

陽介「いや、受け取れないって!学費とか__」

チュチュ「そんなの、もう返済済みよ。」

陽介「ど、どういう事だ?」

 

 訳が分からない

 

 前の学校に羽丘の学費

 

 そんなのを返しきれた覚えは全くない

 

 ていうか、学生の間に返せる額じゃない

 

チュチュ「毎日の家事にも給料があるのよ。別にバイトだけで返せとは言ってないわ。」

陽介「え、いや、それにしても__」

チュチュ「ウジウジうるさいわね!返済は終了!それは陽介のモノよ!」

 

 チュチュは怒鳴るようにそう言ってきた

 

 俺はその勢いに押されてしまい

 

 少しだけたじろいだ

 

チュチュ「それでfianceeに何かしてあげなさい。」

パレオ「ここからデートですよね!ごゆっくり!」

リサ「あたしも帰るよー!ごゆっくりー!」

 

 3人は校門の方に歩いて行く

 

 未だに俺は混乱したままだ

 

 歩いてる途中、チュチュは振り返り

 

 俺の方に笑いかけて来た

 

チュチュ「契約書の無い契約を信用しない事ね。」

陽介「!!」

 

 チュチュはそう言って学校から出て行った

 

 俺と友希那さんはその場に残され

 

 少しだけ静寂が流れた

 

陽介(最初からこれを考えてたのか......)

友希那「ふふっ、完全に騙されてたわね。」

陽介「は、はい。こんなの全く知りませんでした。」

 

 家事なんて好きでしてたし

 

 あれで給料が出てたのが信じられない

 

 本当にチュチュに騙された

 

友希那「ねぇ、陽介。」

陽介「どうかしましたか?」

友希那「少し、おねだりしてもいいかしら?」

陽介「え?別にいいですけど、珍しいですね?」

友希那「今、欲しいものが出来たの。」

陽介「!」

 

 友希那さんは笑みを浮かべながら手を握ってきた

 

 そして、楽しそうな声で次の言葉を口にした

 

友希那「私、あなたからの指輪が欲しいわ///」

陽介「っ!?」

友希那「これから大学に行ってしまって、あなたの近くにいられないし......その、あなたのものという証拠が欲しいの///」

 

 俺は固まってしまった

 

 物凄く可愛いおねだりだ

 

 これはもう、やるしかない

 

 もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃない

 

陽介「分かりました、行きましょう。」

友希那「!///」

陽介「俺も友希那さんに手出しされたくないので、今すぐに行きましょう。」

 

 俺は友希那さんの手を引き、

 

 学校の外の方に歩き始めた

 

 どんなのを買おうかとか

 

 どんなのが友希那さんに似合うだろうとか

 

 そういう事を考えてる

 

友希那「せ、積極的ね......///」

陽介「友希那さんが可愛いのが悪いです。」

友希那「~っ!///」

 

 俺と友希那さんはそのまま学校を出て

 

 付き合ってから何回目かのデートをした

 

 その途中に友希那さんに指輪を買って

 

 それをつけた友希那さんを見て

 

 いつか訪れる未来を想像することになる

 

 

 

 

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