狂犬と消失少年   作:火の車

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つぐみルート
幸せな未来予想図


 放課後の誰もいない教室

 

 風に揺られたカーテンの隙間から夕陽が差し込んできて、とても綺麗な景色だ

 

 俺はそんな教室で1人、席に座っている

 

 その時、教室の静かにドアが開いた

 

つぐみ「__もう下校時刻ですよ、って出水君?」

陽介「よかった、羽沢が来てくれて。」

つぐみ「え?」

 

 そう言うと羽沢は首を傾げた

 

 実の所、羽沢が来るのは分かってた

 

 日菜さんに頼んでおいたから

 

 俺はそんなことを考えながら

 

 羽沢の方に歩み寄った

 

陽介「羽沢が来るのを待ってたんだ。」

つぐみ「どういう事?」

陽介「それは......」

 

 少しだけ緊張してる

 

 それでも、少しだけ

 

 羽沢から出る優しいオーラからだろうか

 

 何と言うか、安心感が凄い

 

陽介「今日は羽沢に言いたいことがある。」

つぐみ「!」

陽介「聞いてくれるか?」

つぐみ「......うん。」

 

 羽沢は深く頷いた

 

 俺はそれを見て少し呼吸を整え

 

 頭の中と心を少し整理するため目を閉じた

 

陽介(大丈夫。何回もイメージはした、いける。)

 

 俺は目をゆっくり開き

 

 羽沢の姿を視界に収めた

 

 少し緊張した面持ちで不安そうな顔をしてる

 

 俺はその様子を見た後、次の言葉を口にした

 

陽介「俺は羽沢が好きだ。」

つぐみ「!///」

陽介「可愛らしくて健気な姿も頑張り屋で優しい性格も、全部が好きだ。だから、俺と付き合ってくれ。」

つぐみ「......」

 

 羽沢はうつ向いている

 

 表情の変化が読み取ることができない

 

 一体、どんな表情をしてるんだろう

 

 俺は内心不安に思いつつ羽沢の方を見た

 

つぐみ「......よかった。」

陽介「羽沢__!」

つぐみ「本当に、よかった......!///」

 

 羽沢は突然、顔を上げた

 

 夕日に照らされた笑顔は美しく

 

 涙で潤んだ瞳は宝石のように光り輝いている

 

 俺はそんな姿に見惚れてしまった

 

つぐみ「私、絶対にダメだって思ってた、出水君に告白した人、みんな素敵な人だから、私なんてダメだって思ってた。」

陽介「羽沢だって、すごいレベルの美人さんだよ。」

つぐみ「ふふっ、ありがとう///」

 

 羽沢は笑いながらそう言って

 

 俺の方にゆっくり歩み寄ってきた

 

 そして、俺の前で足を止めた

 

つぐみ「私も、出水君のことが大好きだよ!///」

陽介「!」

つぐみ「だから、その......よろしくね?///」

 

 羽沢は少し困ったように笑ってる

 

 照れてるのが分かって、すごく可愛い

 

 俺はそんな羽沢をじっと見つめた

 

つぐみ「い、出水君......?///その、あんまり見られると......///」

陽介「なぁ、羽沢。」

つぐみ「ど、どうしたの......?///」

 

 羽沢は顔を赤くして様子を伺ってる

 

 本当に小動物感があって可愛らしい

 

 そう、可愛らしいんだ

 

 そんな子を見ればよくも出てくる

 

陽介「キス、してもいいか?」

つぐみ「ふえ......?///」

 

 羽沢の顔を少し持ち上げつつ

 

 真剣な声で俺はそう言った

 

 羽沢は状況を一瞬掴めなかったようで

 

 少ししてから慌て始めた

 

つぐみ「き、ききキス!?///」

陽介「あぁ。」

つぐみ「え、えっと、その......///」

 

 羽沢は目を右往左往させてる

 

 恥ずかしそうにこっちを見たと思えば

 

 また視線を逸らしていく

 

 俺がしばらくその様子を観察してると

 

 羽沢が意を決したように口を開いた

 

つぐみ「キスは......まだ恥ずかしいかな......///」

陽介「そうだよな。急に言って悪かっ__!」

 

 謝罪の言葉を口にしようとした時

 

 唇に不思議な感触があった

 

 羽沢か人差し指を俺の唇に当てていた

 

 ほんの一瞬触れると羽沢は指を離した

 

つぐみ「ん......///」

 

 指を離すと今度は自分の唇にさっきの指を当て始めた

 

 その顔は真っ赤で夕日にも負けてない

 

 俺は思考がフリーズした

 

 少しして羽沢は指を離した

 

つぐみ「今は恥ずかしいから......これで我慢してね?///」

陽介「お、おう。」

 

 本人は控えめにしたつもりだろうけど

 

 正直、これ方が恥ずかしいと思う 

 

 て言うか、これは天然なのか?

 

 だとしたら、ヤバすぎる

 

つぐみ(出水君、どうしたんだろ?///)

陽介「羽沢は、凄いんだな。」

つぐみ「え?」

陽介「いや、なんでもない。」

 

 あれは天然だった

 

 俺は変な汗を流しつつ

 

 顔を赤くしてる羽沢の方を見た

 

つぐみ「き、今日は帰ろ!///一緒に!///」

陽介「あぁ、帰ろう。」

 

 俺がそう言うと羽沢は手を握ってきた

 

 少し驚いたが、俺達はそのまま教室を出て

 

 2人一緒に帰路についた

 

 帰ってる途中、ずっと羽沢が笑ってて

 

 隣にいる俺も自然と笑顔になれて

 

 とても穏やかな時間だと感じられた

__________________

 

 羽沢と付き合い始めてから2週間が経った

 

 俺達の仲は良好で

 

 今日は羽沢珈琲店に手伝いに来てる

 

ひまり「__来たよー!つぐ、いずみん!」

巴「おー、やってるなー。」

つぐみ「あ、いらっしゃい!」

蘭「出水は真面目に働いてるみたいだね。」

モカ「感心感心~。」

 

 昼を少し過ぎたころ

 

 いつものみんなが店に入ってきた

 

 羽沢は嬉しそうに4人に近づき

 

 俺はお絞りとお冷を用意してから

 

 4人の方に近づいて行った

 

陽介「はい、どうぞ。」

巴「ありがとよ!」

モカ「流石、よう君~。仕事できるね~。」

陽介「あはは、ありがとう。」

モカ「よきにはからえ~。」

ひまり「もう!何言ってるの!」

蘭「いつもこんなもんでしょ。」

 

 青葉はいつものように冗談めいた話し方をしてる

 

 青葉は羽沢と付き合ってからいろいろなことに協力してくれて、いつもお世話になってる

 

つぐみ「ご注文は?」

モカ「いつもの~。」

蘭「いつも通り。」

ひまり「私もー!」

巴「あたしもいつものだ!」

つぐみ「かしこまりました!出水君!」

陽介「あぁ、分かった。」

 

 俺はそう言って厨房に下がり

 

 注文された品の準備に行った

 

 ”別視点”

 

モカ「それにしても~。」

 

 陽介が下がった後

 

 モカはつぐみの方に視線を向けた

 

 つぐみは首を傾げ、モカの方を見た

 

モカ「もう2人は夫婦みたいな雰囲気あるね~。」

つぐみ「も、モカちゃん!?///」

ひまり「あ、分かるー!」

 

 モカの言葉に他の3人もうなずいた

 

 つぐみは顔を赤くして慌てた様子だ

 

 それを見て4人は笑みを浮かべた

 

巴「もう羽沢珈琲店のエプロンも板についてるしな。」

蘭「陽介がこの店を継ぐ日も近いかもね。」

つぐみ「も、もう!///」

陽介「__俺も出来るだけ早くそうしたいかな。」

つぐみ「!?///」

ひまり「きゃー!大胆!」

 

 陽介は4人の前に注文の品を並べ

 

 笑いながらそう言った

 

 つぐみはそれを聞いてさらに顔を赤くした

 

陽介「羽沢珈琲店を継げるように頑張るよ。」

つぐみ「い、今でもお父さんよりおいしいコーヒー淹れるから拗ねてるのに......?」

蘭「も、もうそのレベルなの?」

巴「いやー、陽介だし当然だろ!」

陽介「もっと高められると思うんだけどな。」

 

 陽介は難しい顔をしている

 

 その様子を見て5人は苦笑いを浮かべた

 

 これ以上とは何だろう

 

 そんな感情が表情から見て取れる

 

ひまり「て言うか、いずみんがここを継いだら出水珈琲店になるの?」

陽介「それはならないかな。」

つぐみ「え?」

陽介「ここはずっと、羽沢珈琲店だし。俺が出水のままとも限らないし。」

つぐみ「ふぇ?///」

蘭、モカ ひまり、巴「!?」

 

 5人の体が固まった

 

 陽介は笑みを浮かべながら

 

 他のテーブルの片付けをしている

 

つぐみ「い、いい出水君!///」

陽介「ん?どうした?」

つぐみ「え、えっと、その......///」

陽介「あはは、顔真っ赤だな。」

つぐみ「そ、そうじゃなくて!///」

 

 つぐみは大声で何かを言おうとしてる

 

 陽介は笑いながらつぐみを見ている

 

陽介「羽沢。」

つぐみ「な、なに?どうしたの?」

陽介「俺、自分の名字嫌いだから、出来れば変えたいかな。」

つぐみ「っ!!///」

巴(お、おぉ......)

ひまり(大胆プロポーズ......!)

蘭(つぐみ、顔真っ赤だね。)

モカ(これは、苦労しそう......もとい、面白くなりそうですな~。)

 

 4人は陽介とつぐみのやり取りを見守った

 

 楽しげに会話をする2人の姿はまるで近い未来を確信させるような

 

 仲睦まじいものだった

 

 

 

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