踏み越えたステップ
今日は1月14日
陽介たちは修学旅行から帰ってきて
いつも通りの生活を送っている
今はいつもの5人と弁当を食べてる
巴「おぉ、今日の弁当もすごいな。」
ひまり「す、すごい量......」
陽介「そ、そうか?」
巴とひまりは俺の弁当を覗いている
陽介の今日の弁当は2段重ねで
おかずの種類もかなり豊富に作られている
陽介「さ、最近、食欲旺盛でな。」
蘭(......ダウト。)
引きつった顔でこらえる陽介を見て
蘭は心の中で小さく呟き
そして、横にいる少女の方を見た
モカ「今日も美味しそー。」
陽介「そ、そうか?なら、食べてもいいぞ。」
モカ「わーい!よう君大好きー!」
陽介「そ、そうか!」
蘭(これ、絶対にモカが喜ぶからだよね。)
蘭は溜息を付きながらそう考えた
なんでこんな回りくどい事をするのかと
もうさっさと付き合えばいいのにと
巴(あー、これはあれか。陽介はモカが。)
ひまり(そっかー、いずみんはモカに行くんだー......って。)
つぐみ「......」
巴とひまりは息を呑んだ
つぐみは陽介とモカのやり取りをじっと見つめている
だが、その表情はいたっていつも通り
2人はそのことに驚いた
巴「つ、つぐ?」
つぐみ「どうしたの?」
ひまり「いや、あの、大丈夫......?」
つぐみ「私はいつも通りだよ?」
つぐみは笑顔でそう答えた
いつも通りの可愛い笑顔
それに今は違和感を感じる
ひまり「い、いいの?いずみんが......」
つぐみ「......いいんだよ。」
ひまり、巴「!」
つぐみは静かにひまりの問いかけに答えた
そして、陽介とモカに聞こえないよう
静かな声で話し始めた
つぐみ「出水君が幸せそうで私も嬉しいし、それに......」
巴「それに?」
つぐみ「約束してるから。私を選んでくれなかったら、出水君にブラックコーヒー飲んでもらうって。」
巴「......そっか。(たくっ。)」
巴は頭をガシガシと掻いた
横にいるひまりも微笑んだ
ひまり、巴(ブラックコ-ヒー、いずみん(陽介)の好物だよ。)
2人はそんな事を考えながら
横にいる陽介とモカの方に目をやった
モカ「これも美味しいー。」
陽介「よかった。最近の研究で出来た新作なんだ。」
モカ「よう君は研究熱心だねー。」
蘭(これ、『料理』の研究じゃなくて『モカの好み』の研究なんだけど......あたし、何時間も話聞かれたし。)
モカ「さいこーだよー。」
陽介「もっと食べて良いぞ。」
モカ「わーい。」
蘭(まぁ、モカが楽しそうだし、いいかな。)
蘭は2人を見て小さく笑い
残ってる自分の弁当に手を付けた
__________________
”陽介”
昼休みから時間が経ち放課後になった
俺は凝った肩を軽く叩き
横の席の青葉の方を見た
モカ「んー......もうたべらんないよー......」
陽介「......」
青葉は授業を真面目に聞くのがバカらしいくらいぐっすり眠ってる
正直に言うとすごい可愛い
いつも自称してるけど
美少女、そんな言葉が当てはまる
陽介「青葉、授業終ったぞ?」
モカ「んー......?」
陽介「青葉?」
モカ「ぎゅー。」
陽介「!?」
眠っている青葉を起こすと
青葉は眠そうな目のまま抱き着いてきた
......腕にだけど
陽介「あ、ああ青葉!?」
モカ「んー?__っ!?///」
俺が大声で名前を呼ぶと
青葉の目がぱっちりと開いた
そして、バッと俺の腕から離れていった
モカ「ご、ごめんー、よう君ー///」
陽介「だ、大丈夫だよ。起きたみたいでよかった。」
モカ「あ、あはは~///」
青葉は顔を赤くして笑ってる
この可愛さは反則だ
目をそらしたくても凝視してしまう
周りの生徒(この2人、これで付き合ってないのか。)
陽介「さ、さて、片付けでもするかー!」
モカ「う、うんー、そうだねー///」
それからしばらくして担任が来て
ホームルームが始まった
__________________
ホームルームが終わり
他の生徒は教室を出て行った
俺も帰ろうと思い鞄を肩にかけた
その時、1つの足音が聞こえて来た
蘭「__陽介。」
陽介「美竹?バンドの練習じゃなかったか?」
蘭「今から行くよ。でも、少し話したくて。」
美竹はそう言いながら歩み寄ってきた
話したいことって何だろう
俺はそんな事を考えた
蘭「今日の7時、ここに来て。」
陽介「え?ここって、CiRCLEじゃないか。」
蘭「そうだよ。まぁ、取り合えず来てね。」
陽介「まぁ、大丈夫だが。」
なんで、ここに呼ばれるんだ?
ここは美竹たちが練習で使ってる場所だし
うーん、よくわからん
蘭「それとこれ。」
陽介「?」
美竹はなにかが書かれた紙を渡して来た
俺はそれを受け取り内容を見た
その時、俺は驚きで目を見開いた
蘭「ブラックコーヒー無料だって。」
陽介「......期日は明日、か。」
蘭「そういうこと。がんばれ。」
これを貰って、大体わかった
今日に呼ばれた理由は......
俺は小さく息をついた
蘭「じゃあ、また。」
陽介「......あぁ。」
美竹は軽く手を振りながら教室を出て行った
俺は貰ったブラックコーヒー無料券
そう書かれた手紙を見た
陽介(『頑張ってね。』か......)
可愛らしい字で書かれた文章
こういうのが一番心に刺さってくる
俺は少しだけ目を閉じた後
財布にその手紙を入れ
その後、教室を出て行った
__________________
1月なだけあって夜は寒い
俺は一度家に帰り服を着替え
チュチュ達に夕飯を出した後CiRCLEに来た
蘭「来たね。」
陽介「美竹?待ってたのか?」
蘭「陽介がビビッて帰らないようにね。」
陽介「さっきのを見て、流石にそんな事しないよ。」
蘭「うん、知ってる。」
美竹はそう言いながら
俺に向けて手招きをしてきた
蘭「モカがいるところに案内するよ。ついて来て。」
陽介「分かった。」
俺は美竹の後ろをついて行き
CiRCLEの中に入って行った
__________________
決して長くない通路を歩き
一番奥にある部屋の前に来た
蘭「ここにいるけど、覗いてみる?」
陽介「ちょっと気になる。」
蘭「じゃあ、見てみて。」
陽介「あぁ__!!」
扉にあるガラスの部分からのぞくと
そこにはギターを弾く青葉の姿が見えた
汗ばん見ながら真剣な顔で弾いてる
その姿は可愛いというより美しい
俺はその姿に見惚れてしまった
蘭「モカ、あたし達にバレないように練習してるんだ。」
陽介「人に努力を見られたくないタイプだからな。」
蘭「その通り。」
美竹はそう言いながら
俺の肩を軽くたたいてきた
そして小さな声で耳打ちしてきた
蘭「行っておいで。」
陽介「......あぁ。」
蘭「じゃあ、あたしは帰るよ。」
俺が頷くと
美竹は来た通路を歩いて行った
だが、その途中に足を止め
こっちを見た
蘭「モカは今日、あたしの家に泊まることになってるから。」
陽介「え?」
蘭「だから、まぁ、誤魔化す用意は出来てるよ。」
美竹は笑いながら歩いて行った
いや、そんな事考えてないし
イヤというわけではないんだが
俺はそんな事を考えながら
小さくため息をついた
陽介「......行こう。」
俺はそう呟き
青葉がいる部屋のドアを開けた
__________________
”別視点”
陽介「__し、失礼しまーす。」
モカ「え......?」
陽介が部屋に入ってくると
モカは驚いたのか目を丸くした
モカ「な、なんで、よう君が?」
陽介「えーと、色々あってな。」
陽介は目をそらしながらそう言った
隠れて努力するタイプのモカに対して
蘭に呼ばれたとは言えない
陽介はとりあえず誤魔化すことにした
"陽介”
陽介(それにしても......)
モカ「?」
近くで見るとさらにすごい
なんか、すごい色気がある
つい、そんな目で見てしまう
陽介(駄目だっての!このバカ!)
モカ(なにしてるんだろー?)
今の内から煩悩を持ちすぎあだ
これから、長い時間をかけて
確かなステップを踏んでそういう事に至るんだ
俺は心の中で自分をそう一括した
陽介「青葉、今日は話したいことがあるんだ。」
モカ「!」
俺は気を取り直し話を切り出した
それを聞くと青葉の体が強張り
俺の方を凝視してきた
モカ「それは、あたしの想像通りの話かな?」
陽介「そうだと思う。」
モカ「......じゃあ、聞かせて欲しいな。」
陽介「分かった。」
俺は少しだけ青葉に近づいた
正直、何も言葉は考えれてない
何を言うべきかもわからない
だから、直球に本心を話そう
俺はそう思いながら勢いに任せて口を開いた
陽介「俺と結婚してくれ、青葉。」
モカ「__え......?」
陽介「あっ......」
モカ「え、えっと、今のって......」
青葉は困惑してる
いや、それはそうだろ
なんで、付き合うから結婚に飛ぶんだよ
テンパりすぎて普通に間違えたよ
陽介「い、いや、間違い......なんだけど、そうでもないと言うか。ちょっと飛び過ぎたと言うか......」
モカ「......」
やばい、自分が何を言ってるか分からない
これ絶対に青葉引いてるって
俺の人生終了だよ
モカ「......よう君。」
陽介「ど、どうした?」
青葉が近づいてくる
俺は焦りから冷静に青葉を見れない
気づけば、青葉は目の前にいた
モカ「......いい、よー?///」
陽介「へ......?」
モカ「あたしも結婚したい......///」
陽介「っ!?」
青葉は小さな声でそう言い
俺の背中に腕を回して来た
それを聞いて、一瞬思考が停止した
モカ「間違いだから、ナシ......?///」
陽介「いや、ナシじゃない。」
モカ「じゃあ、今日から恋人......もとい、婚約者だねー///」
陽介「!!」
青葉は笑顔でそう言ってきた
まるで、暖かい太陽のような笑顔
俺はそれをみて、青葉を抱きしめた
モカ「もー///乱暴だよー///」
陽介「ごめん、嬉しくてつい。」
俺はしばらく青葉を抱きしめた
柔らかく、優しい感触
それを体一杯に感じられて
俺にとって私服と言える時間だ
そんな事を思いながら抱きしめてると
青葉が背中を叩いてきた
モカ「よ、よう君?そろそろ、放さないー?///」
陽介「もう少し。」
モカ「う、うー......///」
青葉は恥ずかしそうに目を伏せた
そして、俺の服を引っ張り始めた
モカ「あ、汗かいちゃってるし、恥ずかしいよー......///」
陽介「青葉の匂いだから、大丈夫。」
モカ「~!///(モカちゃんが大丈夫じゃないよ~!///......でも、なんだろう......///)」
今までにないタイプの幸せだ
なんだろう、体が浮いてるみたいだ
そんな事をもいながら抱きしめてると
何か違和感を感じた
モカ「はぁ、はぁ......///」
陽介「あ、青葉!?大丈夫か!?」
モカ「ふえ......?///」
青葉は虚ろな目でこっちを見てる
顔も真っ赤で息も荒い
でも、体調不良って感じもしない
モカ「おかしい......///」
陽介「え?」
モカ「なんだか、体が熱くて、恥ずかしいのに嬉しくて、なんだかキュンキュンしてる......///」
陽介「っ!!」
そう言う青葉の姿を見て
俺は息を呑んだ
目は虚ろなまま潤んでいて
汗が流れる首筋は妙に魅力的で
俺の目はそこに誘導されている
モカ「ねぇ、よう君ー......///これ、どうにかしてー......?///」
陽介「っ!!」
モカ「......!///」
俺は強引に青葉の唇を奪った
舌って、甘いものだったのか
何だか甘味を感じる
モカ「チュ、ん......はぁ///んっ......///」
上手く呼吸が出来ないまま
青葉と唇を合わせ続け
数秒ほどすると話した
俺も青葉も息切れしてて
酸素を欲して大きく呼吸をした
モカ「よう君ー......///」
陽介「あ、青葉......?」
モカ「モカちゃん、我慢できない......///」
陽介「っ!?」
青葉はそう言いながら
来ているTシャツを脱ぎ捨てた
可愛らしい薄い緑色の下着が露になり
汗ばんだ体も俺の目に飛び込んできた
陽介(もう、無理だろ。)
モカ「ひゃ!///」
俺は目の前にいる青葉を抱きしめ
首元に顔を埋めた
さっきよりも濃い匂いがする
落ち着くようで落ち着かない
モカ「......あと、1時間くらいあるから///よう君の好きにして......?///」
陽介「分かった。でも、下手だと思うから先に謝っとく。」
モカ「きっと、よう君なら大丈夫だよー///」
それからの事はあまり覚えてない
覚えているのは青葉の姿だけで
気づけば1時間が経っていた
こうして、何か色々なステップを踏み越えて青葉と付き合い始め
CiRCLEを出た後は俺の家に行った
翌日、ブラックコーヒーを飲みつつ
あの4人に質問攻めをされた
だが、それはまた別の話だ