日菜さんと付き合って1年と少しが経った後
俺は高校を卒業し
その後、日菜さんと同じ大学に進学して
順調に卒業......
まぁ、それまでは良かったんだけど
陽介「__久しぶりだな、日本。」
俺は大学卒業後、海外を飛び回ってた
何カ国行ったかはちゃんと覚えてないけど
結構な下積みを作ってこれて、大きな収穫を得た留学?になった
陽介「......あっ。」
荷物が入ったカバンを持って空港を出ようとした時、俺はある事に気付いた
これは致命的だ
100%日菜さん拗ねるし、チュチュにも怒られる
陽介「き、帰国の連絡するの忘れてたー!!!」
周りの客(何叫んでるんだろう?)
陽介(い、1時間は説教だな......)
俺は帰国早々大きく肩を落とし
取り合えず家に帰るため空港を出た
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”事務所”
とある芸能事務所のレッスンルーム
そこではパスパレの5人がレッスンに勤しんでる
だが1人、異様な雰囲気を放つメンバーがいた
日菜(ズーン......)
麻弥(空気重っ!!)
陽介が日本を去って3年
気分で動く日菜にとってこれは致命的だった
練習では集中力を欠きミスを連発
ライブは何とか乗り越えるものの
日菜本来の高い演奏技術は鳴りを潜めていた
イヴ「ひ、ヒナさん?」
日菜「......なに?」
彩「き、今日も調子よくないよね?帰って休んだ方がいいんじゃ?」
日菜「......大丈夫。」
千聖(これは重症ね。)
メンバーの心配の声には生返事しか返ってこない
まるで魂の一部が欠落したように
日菜の目は生気が弱まっている
千聖「日菜ちゃん?彼は今年には帰って来るんでしょう?そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないかしら?」
日菜「もう3年もあってないんだもん......しかも、まだ連絡も来てないし......」
彩(た、確かに。)
麻弥(日菜さんは出水さんを溺愛してますし、1年も会ってないとなると......)
イヴ(チメイショウです......)
どうしようもない
パスパレの4人はお手上げ状態だ
これはもう陽介の帰りを待つしかない
4人がそう考えていると
部屋の外から何かの話声が聞こえて来た
『__ぜひうちで接待に君の力を貸してくれ!』
『頼むよ!』
『勘弁してください。俺はまだ新人の身なので。』
彩(あれ?)
麻弥「この声は......」
パスパレ5人はドアの方を凝視した
そして、数秒後
そのドアはゆっくりと開かれた
日菜「っ!!」
陽介「__ど、どうもー、日菜さんはここにいますか?」
日菜「よ、陽介、君......?」
そこから現れた陽介の姿を見て
日菜は物凄い速さで動きだした
”陽介”
陽介「おっと。」
レッスンルームに入ると日菜さんが飛びついてきた
日菜さんは練習着を身に纏っていて
ほんの少し前まで練習してたのが分かる
ていうか、今の動き凄かったな
陽介「ただいま戻りました。帰国の連絡は......忘れちゃいました。あはは。」
日菜「むぅー!忘れちゃった、じゃないよー!あたし、すごい落ち込んでたのにー!」
陽介「す、すいません。謝るので二の腕抓るのをやめてください。」
日菜さんは抱き着きながらも二の腕を抓ってくる
幸せな感触と鋭い痛みが同時に来る
でもまぁ日菜さん可愛いし、オッケーだな
千聖「相変わらずイチャついてるわね。」
陽介「あ、どうも、白鷺さん。」
千聖「えぇ、お噂はかねがね聞いてるわ。歴史に名を遺すと言われる世界一の若手料理人さん?」
陽介「あ、あれは完全に成り行きなんですがね......」
俺が海外に行ってた理由は料理の修行
そのはずだったんだけど......
なぜか国際料理コンクール?に出されて
そこでなんか色々な賞を受賞して
なんか色々な取材とか受けて帰国
......で、今に至る
日菜「陽介君!」
陽介「あーはいはい。分かってます。」
日菜「......♪」
俺はくっ付いてる日菜さんの頭を撫でた
もう磁石でくっ付いてるってレベルで離れない
まぁ、離れる必要はないしいいんだけど
彩「す、すごい!有名人が目の前にいるよ!」
イヴ「アヤさん!私達もアイドルですよ!?」
麻弥「驚いて混乱してますね、これは。」
陽介「皆さん、俺がいない間の日菜さんはどうでしたか?」
千聖「面倒臭かったわ。」
彩「日菜ちゃんじゃなかったね。」
麻弥「まぁ、大変ではありましたね。」
イヴ「ちょっとウザかったです!」
日菜「イヴちゃん!?」
若宮さん、さらっと毒吐いたな
流石の日菜さんも動揺してるぞ
でもまぁ、大体の状況は分かった
陽介「いやー、ご迷惑をおかけました。」
千聖「全くよ。でも、これからは手綱を握ってくれる旦那がいるし、大丈夫ね。」
陽介「まだ結婚はしてないんですがね。」
彩(まだ、なんだよねー。)
麻弥(どうせ、すぐに招待状が来るでしょうね。)
イヴ(ヨウスケさんのあの目は何かを狙ってる目です!)
陽介「?」
なんだろ、すごい視線を感じる
しかも妙に生暖かいし
陽介「日菜さんはこれからどうしますか?俺はチュチュ達の帰国の挨拶......説教を受けに行きますが。」
日菜「あたしも行く!レッスンも終わったし!」
陽介「そうですか。じゃあ、待っているので一緒に行きましょう。」
日菜「うん!」
日菜さんは頷くと急いで部屋を出て行った
俺は日菜さんを待つ間、パスパレの皆さんと話をして
それから少しして俺と日菜さんは事務所から出た
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道を歩いてると人の視線を感じた
もうこっちにも顔が知れ渡ってるらしい
勘弁してくれとしか思わない
俺は日菜さんと歩く楽しさと道行く人に見られる面倒くささを感じつつ
どこか懐かしいチュチュのマンションに来た
陽介「__ただいまー、チュチューパレオー。」
チュチュ「え、陽介?」
ますき「あ、出水?」
六花「出水さん!?何で日本に!?」
陽介「帰ってきちゃった☆」
俺は冗談めいた口調でそう言った
すると、チュチュはゆっくりこっちに歩いてきた
足音が大きくなってるのは気のせいじゃない
チュチュ「おかえり、陽介。」
陽介「あ、あぁ、ただいま__」
チュチュ「なんて、言うと思ったの!?そこに座りなさい!」
陽介「は、はいぃ!!」
俺はチュチュにどやされ
急いでその場に正座で座った
チュチュの足音が大きくて怖い
チュチュ「陽介、私は言ったわよね?帰って来るときは連絡する事って。」
陽介「はい......」
チュチュ「それなのに連絡もよこさないで急に帰ってきて......バカなの?」
陽介「大変申し訳ございません......」
チュチュは19歳になって大変美しい女性になられた
身長も伸びた、だからこそ怖い
昔から母親みたいだったけど、大きくなって母親みが増した
日菜(さ、流石お義母さん。陽介君が小さく見える。)
レイ(こうなると思った。)
ますき(なーにやってんだか。)
パレオ「まぁまぁ、チュチュ様!今日くらいは良いじゃありませんか!」
チュチュ「あんたは陽介を甘やかしすぎなのよ!」
パレオ「きゃー!怖いですー!」
六花(子供に厳しい親と甘やかす親の構図になっとる。)
そろそろ許してほしい
固い床に座ると足痛いし
チュチュ「もういいわ。立ちなさい。」
陽介「ありがたき幸せ。」
チュチュ「ふざけてるとぶん殴るわよ?」
陽介「申し訳ございません。」
俺はチュチュに頭を下げた
いやもう、怖い
仮にチュチュが結婚したら相手大変だな
絶対に尻に敷かれる
パレオ「ようさんの話は海を渡って伝わってきましたよ!」
ますき「大物になりやがったな。」
陽介「それを言うなら、RASの話も聞いたよ。海外ツアーしたんだろ?」
レイ「出水君とは綺麗にすれ違ってたよね。」
六花「折角だから見てもらいたかったです。」
陽介「いやー、俺も見たかったんだけど。滞在期間とかの関係でなー。」
俺は軽く頭を掻いた
ほんと、綺麗にRASのライブと被らなかった
色んなレストランやホテルに呼ばれて
ライブに行けると思ったら飛行機で飛ぶことが多かった
いやー、残念だ
チュチュ「陽介。」
陽介「なんだ?」
チュチュ「これからどうする気なの?」
陽介「これから?」
なんだろ、あんまり考えてなかった
でもここで、何もないなんて言ってみろ?
今度こそあのヒールで蹴り入れられる
なんかイメージしたこと言えばいいや
陽介「まぁ、しばらくは日本で仕事して......」
日菜「!」
陽介「また海外に出る......」
日菜「え......?」
陽介「ことはなく、自分で店を持つことも考えようかなって。」
向こうのシェフにも言われたし
自分の店を持つのもいいかもしれない
どんな店がいいかな?
日菜「陽介君お店持つの!?」
陽介「まだイメージ段階ですけど、資金も十分ありますし出来ない事はないですね。」
日菜「そうなんだー!楽しみー!」
ますき「取り合えず、オープンしたら呼んでくれよー?」
陽介「分かった分かった。とっておきの食わせてやるよ。」
とまぁ、活動方針の発表はこんなもんかな
別にこれは追々でもいい事だし
今は日本のホテルとかレストラン回って仕事だな
ますき「おい、出水。」
陽介「ん?」
ますき「仕事もいいが、あっちはどうするんだ?」
六花「あ、私も気になります。」
陽介「まぁ、そっちは......」
俺は日菜さんの方を見た
そして、少しして視線を外し
少しだけ笑った
日菜「?」
陽介「すぐにしようかな。」
ますき、六花「!」
陽介「日菜さん?」
日菜「どうしたの?」
陽介「少し外出ませんか?屋上ですけど。」
俺はそう言うと日菜さんは頷き
俺と日菜さんは室内から出た
出る直前、皆に生暖かい目で見られてたけど
もういいや
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もう春と言っても時間は遅くなってて暗く
プールサイドにあるライトが綺麗に光ってる
家がこんなに雰囲気がいい場所でよかった
日菜「わー!たかーい!」
陽介「そう言えば、あんまり来たことありませんでしたね。」
日菜「うん!だから今、すっごくるん♪ってしてる!」
陽介「それはよかったです。」
日菜さんは楽しそうに景色を見てる
俺は笑いながらその様子を見て
ゆっくり歩いて日菜さんの隣に立った
陽介「......日菜さん。」
日菜「どうしたの?」
陽介「良い話とほどほどにいい話、どっちから聞きたいですか?」
日菜「なんだか変な質問だね?」
日菜さんはそう言いながら
俺の質問について考えてる
そして、少しして答えを口にした
日菜「良い話!」
陽介「了解しました。」
俺はそう言って少し息をついた
まぁ、日菜さんはそう言うと思った
俺はそう思いながら、日菜さんの手を取った
日菜「っ!///」
陽介「この3年、俺は日菜さんの事をずっと考えてた。そして、あなたを幸せにする準備が出来た。」
日菜「幸せにする準備......ってことは!///」
陽介「多分、正解です。」
俺はそう言って懐にある箱を取り出し
それの中に入ってる指輪を丁寧に日菜さんの左手薬指にはめた
そして俺はゆっくり口を開いた
日菜「!///」
陽介「結婚しましょう、日菜さん。」
俺は笑みを浮かべながらそう言った
すると日菜さんは一気に顔を紅潮させ
一筋の涙が頬を伝っていった
日菜「この3年間、すごく寂しかった......」
陽介「す、すいません。」
日菜「いいの!だって今、こんなに幸せで、るん♪ってしてるから///」
日菜さんは満面の笑みでそう言った
涙で濡れた瞳は照明で照らされ
いつも違った笑顔はどこか幻想的だ
この人の魅力は底が知れないな
日菜「あたし、頑張る!///陽介君のお嫁さん!///」
陽介「もう充分ですが、面白そうなので頑張ってください。」
チュチュ「__陽介!」
陽介「ん?チュチュ?」
日菜さんと顔を合わせて笑ってると
プールの向こうからチュチュの声が聞こえた
声の方向を見ると向こうには皆がいて
こっちをニヤニヤしながら見てる
陽介「どうしたー?」
チュチュ「あなた、ヒナ・ヒカワと付き合うようになってよく我慢してたし......一晩くらい帰って来なくてもいいわ!」
陽介「え?」
日菜「っ!?///」
一晩帰って来なくていい?
......あっ(察し)
なるほど、そういうことか
日菜「な、なにいってるのー!?///」
陽介「あぁ、ありがとう!チュチュ!言葉に甘えさせてもらうよ!」
日菜「陽介君!?///」
陽介「日菜さんが望まないなら普通にデートでもいいですよ。」
日菜「う、うぅ......///」
この人、自分から基本来るのに
打たれたら結構弱いんだよな
まぁ、そこが可愛いんだよ
日菜「......いじわる///」
陽介「あはは、可愛いですね。」
日菜「もう!もう!///」
陽介「じゃあ、行きましょうか。」
俺はプンプンと怒ってる日菜さんを引っ張り
屋上から室内を経由しマンションを出て行った
俺はこれから離れてた3年と待たせた5年を埋めに行くわけだが
しばらく休みだし、長く楽しむとしよう