いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?   作:ユキアン

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第1話

やあ皆、君たちは転生を信じるかい?僕は信じてなかった。うん、過去形。何が言いたいかと言うと転生しちゃった(笑)

 

別に子供を助けようとして車に跳ねられたりした訳じゃない。前世の一番最後の記憶は部屋がもの凄い勢いで揺れていた事位しかはっきりと覚えていない。おそらくは地震だろう。そしていつの間にか赤ん坊として生まれ変わっていた。しかも前世とは違う世界だと思う。何故分かるかって?それにはまず僕の家族について説明しなければならない。

 

僕は教会の入り口に捨てられていた孤児で、そのまま教会が経営する孤児院に入れられた。その事に関しては別に気にしない。僕の意識がはっきりした時には既に捨てられた後だったから。年老いた神父様が僕の父親で、神父様の奥さんが僕のお母さん、そして一緒の境遇の孤児が僕の兄弟。それで良いじゃないか。

 

前世では無宗教だったが、それは宗教に触れる機会が葬式とか正月やクリスマスなど、まあ普通の日本人だったからだし、ちょっと触れてみれば面白いと感じられたからそれを受け入れた。それなりに戒律はあるけどそれを守って生きていこうと思う。なんだかんだで命を救われているからね。宗教の話は此所までにしておこう。面倒な事が多いからね。

 

そして5歳の時に、僕達はとある方と出会った。ぶっちゃけると本物の天使様と。周りの兄弟達が目を輝かせている中、僕だけは唖然としていた。前世にも居たのかなと思ったのだが、僕には神から与えられた力があるから同じ力を持つ者達の元に来る様にと言われた。その次の日には荷物を纏めてイタリアにまで送られてしまった。

 

え?5歳の子供をいきなり外国に送り込むの?ちょっと待って、英語ならともかくイタリア語なんて知らないから。というかこれからどうすれば良いのか知らないんですけど。そう思っていたのだが、向こうの空港に迎えの人が来ていた。神父服って目立つんだよね。とりあえず近づいて見たのだが、どう話しかけて良いのやら全く分からなかったが、向こうの人は普通に日本語を話せたので助かった。何でも翻訳魔法みたいな物があるらしい。何それ、めちゃくちゃ覚えたい。海外旅行が楽になりそうだ。

 

その後、そのままバチカンまで連れて行かれる。何でも僕と同じで神器、神から与えられた力を持つ中でも、今回は剣に関する力を持っている同年代が集められているらしい。神から与えられた剣か。神造兵器と言われると前世で好きだった7人の魔術師と英雄が殺し合うゲームを思い出す。エクスカリバーとかだといいなぁ~とか声に出すと、あるらしい。折れて7本の新しい聖剣に作り直したらしいけど本物が。え?この世界じゃあ、神話って本当にあった事なの?

 

聞いて見ると本当にあった事で英雄の肉体を持って産まれて来る者もいれば魂を受け継いで産まれてくる者もいるし、各神話の神々も存在しているそうだ。なんと言うパワーインフレの世界なんだ。戦いには巻き込まれたくないなぁ。普通に神父様になって暮らそうと思ってたのに。なんかエクソシストとかも居て、悪魔とか堕天使とかと戦っている教会関係者も居るんだって。もしかしてイスカリオテもあるのかな?ちなみに僕もそっち方面で期待されているらしい。

 

勘弁して下さい、えっ、ウチの神父様も元エクソシストで結構有名だったの?そう言えばなんかライトセイバーの柄みたいなのが部屋に幾つか置いてあったけどあれってエクソシストの武器なの?聞いて見るとそうらしい。通常はそのライトセイバーと銃を持って戦うのが基本らしい。ウチの神父様は普通のライトセイバーと投擲用の短いライトセイバーを持って戦うのが基本だったらしい。

 

そんな話をしながらとある聖堂へと連れて行かれた。そこには既に多くの子供が集められていた。人種は様々だけど、みんな揃って十字架を首に掛けている。そう言う僕も神父様に飛行機に乗る前に掛けられている。天使様が作った身分証明用の物らしいので外さない様にと言われている。

 

僕が一番最後だったのか、僕が聖堂に到着すると同時に先日とは違う天使様が現れた。これから一人ずつ神から授かった力、神器を出す儀式を行うらしい。まずは右手を上げて降ろし、自分が一番強いと思う剣を使う人物の一番強いと思う姿を想像し、それを真似るのだそうだ。そんな事で神器が出せるのかと疑問に思うのだが、強く念じる必要があるらしい。なるほどと思いつつ考える。

 

僕が一番強いと思う剣を使う人物か。考えが終わる前に他の子供達が次々に神器を召還していく。殆どの子供がその地方の神話の神々や英雄の真似をして、色々な剣が現れる。それがどんな物なのかを天使様が説明して下さる。そしてとうとう僕の番になったのだが、未だに一番強いという人物が決まらない。

 

戦場は常に虚ろで、状況によっては際弱が最強に勝つこともある。常勝不敗の人物など、僕は知らない。ああ、だけど、自分を殺してまで戦い続け、裏切られようとも一人も恨まずに死んでいき、英霊となって真の答えを得た変わり者が居たな。彼の心のあり方は僕は強いと思う。

 

右手を上げて降ろし、目を瞑ってアレの詠唱を始める。

 

「I am the bone of my sword.」

 

一度詠唱を始めると頭に次々と詠唱が思い浮かぶ。

 

「Steel is my body, and fire is my blood.」

 

様々な剣が思い浮かぶ。前世の漫画などで見た物や、彼が見て来た物が。

 

「I have created over a thousand blades.」

 

身体の中で何かが熱くなっていくのが分かる。

 

「Unknown to Death.」

 

周りでみんなが困惑しているが関係ない。

 

「Nor known to Life.」

 

知らないはずの知識や経験が僕に刻み込まれていく。

 

「Have withstood pain to create many weapons.」

 

彼の思いが世界を超えて流れ込んでくる。

 

「Yet, those hands will never hold anything」

 

そして前世の記憶が記録になっていく。

 

「So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.」

 

詠唱の完了と同時に自分の中の何かが弾け、床一面に様々な聖剣、魔剣、名剣、無銘の剣が突き刺さる光景を見て、そこで意識が無くなる。

 

 

 

 

 

 

次に目を覚ますと何処かのベッドに寝かされていた。身体を起こして自分の身体を調べる。前世の事は思い出せるが、まるで本を読んでいる様な感覚で現実味が無い。それから自分の中に何かがあり、そこに意識を集中しながら剣を想像すると自分で思った所に剣が現れる。またアーチャーとは違い、槍などは出せないが形はある程度変形させて出す事は出来る。大きさも自由自在で姿は同じでも能力は別にする事も出来る。消すことは出来ないが折れば消えるので今まで出した分を折っていく。

 

アーチャーの経験も身体に刻まれたおかげでそれなりに動く事も出来る。さすがに5歳児での動き方はアーチャーにも無いので成長に合わせて摺り合わせていくしかないのだろう。アーチャーの記憶もあるけど、前世の記憶と同じく現実味がないので『正義の味方』に引きずられる事もなさそうだ。そこまで確認した所で誰かが部屋に入って来た。

 

「目を覚ました様ですね」

 

部屋に入って来たのは女性の天使様だったのだが、問題なのは背中の翼の枚数が多いという事だ。ここに来るまでの案内をしてくれた人の話によると基本的に上位に成る程翼の数が多いのだが、目の前に居る方は最低でも上位級、もしかしたら最上位級の方である可能性がある。

 

「そのままで結構ですよ」

 

頭を下げようとした所で天使様から止められる。

 

「貴方に、色々と聞きたい事があるのですが、構いませんか?」

 

「はい、僕に答えられる事なら何なりと、天使様」

 

「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はガブリエル」

 

予想以上の方が出て来られた!?何故そんなトップクラスの天使が!?

 

「木場祐斗です」

 

「では、祐斗さん。貴方に問います。貴方があの神器を出す際に想像していたのは誰ですか?」

 

「……此所とは違う世界に置いて、9を救うために1を切り捨て続けて来た英雄であり、化け物である男です。悩んでいた際に、ふっと頭の中に思い浮かんで来たのです。彼の全てが。あの詩は彼の一生を綴った物と思われます」

 

どう言おうか悩んでけど、事実だけを言えば良いだろう。

 

「そうですか。嘘はないようですね」

 

危なかった。やはり嘘発見用の術式とかがあったみたいだ。下手に誤摩化さなくて良かった。

 

「貴方の神器なのですが、何があったのか本来の物が変質した様です。本来の物は魔剣創造、あらゆる属性の魔剣を造り出せる物なのですが、あの時造り出された剣は魔剣、聖剣、名剣、一般的な剣など無作為に造り出されていました。込められている力も普通の物よりも強力でした。魔剣創造の聖剣版である聖剣創造で作った物と打ち合わせてみた所、一振りが百振りを叩き折って、なお健在している物もありました。また殆どの剣が特殊な能力も備えていましたが詳細が判明した物は半分以下です。貴方には分かりますか?」

 

「基本は伝説や神話で登場した剣のはずです。どれが何なのかは見て触れれば、分かると思います」

 

アーチャーと混ざった今の僕には解析位なら可能だ。最も、剣と自分の身体位しかまともに解析出来そうにないけどね。

 

「そうですか。なら疲れている所悪いのですが、判別を行ってもらえますか?」

 

「はい。その前に聞きたいのですが、僕が倒れたのは何が原因だったのでしょうか?」

 

「力の使い過ぎです。アレだけの量と質の剣を作ったことで貴方の魔力が尽きたことが原因です」

 

やはりそうなのか。そちらの方も追々鍛える必要があるな。主に生き残るために。

 

「なるほど、ありがとうございます」

 

ガブリエル様直々に案内されて剣が保管されている場所まで行く。魔力を持たない普通の剣は既に別の場所に運び込まれたそうだが、魔剣を処分しようとして負傷した者が居るので迂闊に触れないので聖堂に突き刺さったままになっている。

 

「とりあえず、聖剣と魔力が籠っているだけの魔剣を分けて下さい。呪い付きの方は後々処分の方法を考えます」

 

「分かりました」

 

とりあえず近くに有った聖剣から順に解析をかける。

 

「ガラティーン、グラム、ダモクレスの剣、リジル、アスカロン、バルムンク、ラハイヤン、天叢雲剣、十束剣、カラドボルグ、ミスティテイン、フラガラッハ、アロンダイト、魔剣の性質を持ったグラム、ここら辺のは魔剣ばっかか、バルムンク、ティルヴィング、レーヴァテイン、アロンダイト?ああ、アーサー王を裏切った後の物か、それから村雨?一人も斬ってないから妖刀らしくないな、これはノートゥング?グラムのモデルになった奴だっけ?十束剣、布都御魂剣、エクスカリパー?」

 

「エクスカリバーですって!?」

 

ガブリエル様が驚いているが、こいつは偽物だ。

 

「いえ、エクスカリパーです。能力は、どんな防御も無視して絶対にかすり傷を負わせる?剣として使わなければ強力?彼の世界にあったのか?こっちはゾンビキラー?アンデット系統を一撃で葬るみたいですね。次は、TCM?10種類の剣に変化する剣か。内容は鋼鉄、爆発、加速、封印、氷炎、真空、重力、光、羅刹、浄化か。ただし所有者を選ぶ。使えないと。鎧の魔剣?鎧化の呪文を唱えると雷撃以外の攻撃を防ぐ鎧に変化するのか。覇者の剣レプリカ?レプリカなので性能は劣化しているが量産品よりは強い。その横が本物か。レプリカは要らないと。次は、見るからに剣じゃないのに何かの力を感じる、首領パッチソード。ただのネギだね。なんか変なのが混じりだしてきたな。この3本は兄弟剣か。フレイムタン、サンダーブレード、アイスブランド、炎、雷、氷を操れる剣。次が、危ない!!」

 

次に触れようとした物は見た目的には変わった形をしているだけだが、直感が告げている。こいつは精神を一気に汚染してくると、それどころか世界をも汚染すると。こいつだけは今此所で破壊する必要がある。

 

「どうかしたのですか?」

 

「離れていて下さい。無意識だったとはいえ、こいつは作られてはいけなかった。すぐに存在を抹消しなければならないんです」

 

僕の身体の中にある神器にありったけの体力と気力を注ぎ込み最も有名であろう剣を作り上げる。こいつでなら行けるはず。残しておいた魔力を造り出した剣、エクスカリバーに注ぎ込んで振り下ろす。世界を汚染する剣は塵一つ残すこと無く、極光に飲み込まれて消えていく。エクスカリバーを杖代わりに身体を支える。他にヤバい物が無いかを確認する。世界を汚染する様な物は、もう残っていないようだ。精神を汚染する物は他にも有るようだが。そっちも先に破壊してしまおう。もう一度エクスカリバーを作り出すのは骨が折れる。身体を引きずりながら精神汚染系の剣を叩き折っていく。

 

「とりあえず、危ないのは処分し終わりました。後は、お任せします」

 

そこまで言った所で本日二度目の気絶をした。

 

 




BGMがエミヤだったのが悪い。
あと無限の剣製と魔剣創造が似ているのも悪い。
だから僕は悪くない。
Q.E.D終了。

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