いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?   作:ユキアン

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第11話

結局、初日から特訓内容は変わらず裏でこっそりと日課の訓練と言う名の実践を追加していた兵藤君はかなり強くなりました。まあ、フェニックス相手にはまだまだ足りませんけどね。初日の風呂で話したことを兵藤君は部長には話せなかった様です。

 

話せば部長は確実に怒って意地を張るでしょうしね。器の小さい人ですね。あと4時間でレーティングゲームが始まります。デビューが黒星なのはあまり好ましくないんですけどね。そんなことを考えつつエクソシスト時代の服を着込んで体内の魔剣を確認していると白音さんが部屋に入ってきました。

 

「どうかされましたか?」

 

白音さんにイスを勧めて僕はベッドに腰掛けます。

 

「祐斗さんは、このレーティングゲームをどう思っていますか?」

 

「リアス・グレモリーの王としての分水嶺です。勝敗は関係ありませんが、内容によっては僕は部長を見限ります。当ては無いのでしばらくはこのままで居るでしょうが、チャンスがあれば離れます。はぐれになるか、別の王の眷属になるかは分かりませんけどね」

 

「……そう、ですか。部長は勝てるでしょうか」

 

「さあ、どうでしょうね?僕が本気を出せば必勝は約束されています。僕を上手く使いこなせば8割は大丈夫でしょう。兵藤君が今の限界以上の力を引き出せば4割といった所でしょうか。ただリアス部長ではライザー様は絶対に倒せないとだけ言っておきましょう。ですが白音さんなら、あの力を、仙術を使えば1割は勝てるでしょう」

 

「……無理です。お姉ちゃんには出来たのに、私には出来なかった。気を選り分けれなかった。飲まれて、祐斗さんを傷つけた」

 

2年前のことをまだ気にしておられたのですね。まあ簡単に説明すると独学で手を出したのが失敗でしたね。ちゃんとした文献もなく師もいない、僅かな噂のみで使わせてしまった僕のミスです。白音さんのお姉さんは初めてでも使いこなせていて、その後に世界の悪意に飲まれたと白音さんから聞いていたので問題無いと思っていたのですが、見事に暴走してしまいました。

 

そして白音さんを元に戻す為に研究を行いながら丸一日押さえつけていた際にボロボロにされたのです。僕は気にしていないのですが、白音さんはそれがトラウマになってしまい、仙術に対して極端に怯える様になってしまいました。

 

「なら、使わなくても大丈夫です。リアス部長は仙術に関しては全く知りません。このまま黙っていれば何も問題ありません。そもそもレーティングゲームに勝っても負けても僕達には何の関係もありませんから」

 

「でも、それは」

 

「酷いと思いますか?ですが、僕にはリアス部長の為に動かなければならない理由がありません。眷属ですから命令があれば動きますが、命令外に関しては特にするつもりはありません」

 

「良いんですか?」

 

「ええ。元々、僕が悪魔の保護下に入る為に交わした契約は年間2万本の魔剣を納めることだけですから。いざとなれば悪魔と敵対しても構いませんしね。それだけの力は既に手にしました。面倒なのでそんなことはしたくありませんが」

 

纏まっている所に神獣弾を撃ち込んだりするならともかく、領地を一つ一つ潰していくのは効率が悪いですし、魔王様達を狙うのも何処か違いますからね。

 

「まあ気楽に戦えば良いですよ。もしもの保険をサーゼクス様は用意しているみたいですし」

 

グレイフィア様に貰った資料の一番最後には花嫁泥棒に来ても問題無い様に手配もしていると書かれていましたからね。僕はそんなことするつもりはありませんが、兵藤君には必要でしょうしね。

 

「保険ですか?」

 

「ええ、保険です。それを活かせるかどうかは分かりませんけどね。その鍵は全て兵藤君が握っています」

 

「イッセー先輩が?」

 

「その時になれば分かりますよ」

 

「祐斗さん、楽しそうですね」

 

「ええ、とてもね」

 

楽しみですよ。実に楽しみです。兵藤君がどんな行動を取るのか、本当に楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

レーティングゲーム開始10分前、僕達は部室に揃って最後の準備を整えていた。僕以外の皆は学校の制服で僕だけがエクソシスト時代の服装だ。この時点でリアス部長の評価はマイナスだ。僕のこの服は見た目は普通の神父服を改造しただけに見えるが、裏地にはびっしりと聖なる守りの術式が敷き詰められている鎧なのだ。

 

白音さん達の服にも家を出る前に簡易的な旧き印を刻んでおいたのである程度の防御力を発揮してくれるだろう。こういう道具を用意するのはルールには抵触しないので戦力差を詰める為には用意するべきだ。

 

今回のレーティングゲームでは一番シンプルなルールが用いられている。禁止されているのは試合中の自分たちの転移行為のみ。外部に用意してある道具を転送したりするのはOKで、肉体と魔力を回復させるフェニックスの涙と呼ばれ道具は2個まで、あとは王が敗れれば負けと言うシンプルな物だ。

 

だが、部長は特に道具を用意した様子は無い。僕はこの神父服に魔力回復用の薬と符を大量に用意して来ている。他にも使えそうな物はお金に糸目をつけずに用意してある。白音さんも傷を癒す薬を、ギャスパーはニンニク対策のマスクをそれぞれ用意している。対して部長達は何も用意していない。兵藤君は僕が以前渡した魔力を蓄えておける魔剣を持っている。まあそれ以外は用意出来ないから仕方ないだろう。

 

ちなみにルゥは今回戦わせるつもりは無いので家で寝ています。ヴァレリーさんも家にいるので何かあっても問題無いでしょう。

 

「皆様、間もなくゲームの開始時刻です。準備はよろしいでしょうか?」

 

部室にグレイフィア様が転移で現れる。

 

「問題無いわ」

 

「では、最後の確認を。試合開始と共にこちらの魔法陣から皆様は戦闘用に用意されたフィールドに転送されます。転送先は異空間に作られた世界ですのでどれだけ壊されても構いません。思う存分、ご自由にどうぞ」

 

最後の一文は僕に対して言っている様ですが、命令が無い限りはそんなことしませんよ。

 

「それでは眷属の方々は魔法陣の上に移動をお願いします」

 

グレイフィア様の指示に従って魔法陣の上に移動する。

 

「それではこれより転移します。なお、一度フィールドに転移しましたらゲーム終了まで魔法陣による転移は出来なくなりますのでご注意ください。それではお嬢様、ご武運を」

 

その言葉と共にフィールドに転移される。今回のレーティングゲームのフィールドはどうやら駒王学園のようですね。転移前の部室と変わらない様に見えますが天井と壁に書かれている魔法陣に僕の力を感じない所を見ると作動させることも出来ないのでしょう。

 

『皆様、ようこそおいでくださいました。私はこのたびグレモリー、フェニックスご両家開催のレーティングゲームの審判(アービター)を仰せつかりましたグレモリー家使用人、グレイフィアと申します。我が主、サーゼクス・ルシファー様の名の下に今宵のゲームを見守らせて頂きます。

 

早速ですが、ゲームのルールを説明いたします。今宵のゲームの舞台はリアス様の通う人間界の学校、駒王学園となっております。実際の物とは違い、予め仕掛けてありました魔法陣はイミテーションとなっております。そして転移先が本陣となっております。リアス様の本陣は旧校舎2階のオカルト研究部部室、ライザー様の本陣は新校舎最上階の生徒会室となっております。兵士(ポーン)の方々はプロモーションする際には敵本陣周辺までお越し下さい。なお、人間界の夜明けまでが制限時間となっておりますのでご注意ください。予想では4時間47分となっております。それではゲームスタート』

 

そして学校のチャイムがフィールド内に鳴り響く。もの凄く緊張感が無くなるね。

 

「では、まず皆これを付けてちょうだい」

 

部長はそう言うと副部長が皆にイヤホンタイプの通信機を配った。まさか戦闘中に破損の恐れがある物を使うとは思っていなかった。

 

「戦場ではこれを使ってお互いにやり取りするのよ」

 

「すいません、部長。もっと便利な物を用意しています」

 

僕は収納の魔法陣から人数分の術式をかき込んだ紙を取り出してそれを配る。

 

「その紙をこうやって肌に触れさせて下さい。そうするとそこに魔術刻印が刻まれます」

 

右手の甲に紙を押し付けるとそこに三日月と星を模した様な術式が描かれる。それを皆に見える様に見せる。

 

「これに魔力を通すことで通信が出来る物です。破損の恐れがある通信機よりは安全ですし、素の兵藤君の魔力でも使うことが出来る省エネタイプの物です。その分距離が短いんですがこの学園の端から端なんて距離じゃない限りは通じます。ちなみに1日もすれば消えるインスタント式です。天界側には普通にあるんですけど、冥界側には無かったりします?」

 

「ええ、少なくとも私は聞いたことが無いわ」

 

部長が素直に驚いている。ふむ、それなら仕方ないですね。

 

「じゃあ次に作戦を考えないとね」

 

えっ?それはもちろん幾つかプランを用意してあって、どれが一番良いかを確認するんですよね。

 

「まずは兵士(ポーン)の対処が先決かしら?8人全員が女王(クイーン)にプロモーションしたら厄介よ」

 

まあそうですね。それは基本でしょう。予め用意しておいた学園の地図を広げて、そこにペンで予想される侵攻ルートと主戦場になると思われる場所に矢印や印を付ける。

 

「とりあえずこれが予想される敵の侵攻ルートです。おそらくは向こうもルートの決定や戦力の振り分けを考えているでしょうから今の内に赤く塗った部分に罠を仕掛けておいた方が良いでしょう」

 

地図には旧校舎周辺の森と旧校舎と新校舎を直接繋ぐ道が赤く塗ってある。

 

「そうね。それが良いわね。白音とギャスパーは周囲の森を、祐斗は新校舎への道に罠を仕掛けて来て。朱乃は念のために旧校舎全体に三重の結界を張ってちょうだい」

 

「「「「分かりました」」」」

 

今の指示には全く問題ありませんね。割り振りも最善です。

さて、とりあえずエクソシスト式と天使式の罠を仕掛けておきますか。あと、地味に効く聖歌を録音した物も流しておきましょう。我慢すればなんとか通れる位に微弱な物ですが、注意力が散漫になって罠の方に引っかかってくれるでしょう。最後に古典的な二重の落とし穴を掘っておきましょう。明らかに地面が掘り返された後がある落とし穴と、その奥に巧妙に隠された落とし穴を仕掛けると言う物ですが、これが意外と効率がいいんですよね。穴の底には聖書と十字架を放り込んでおきましょう。

 

とりあえずはこんな所でしょう。部室に戻ると既に他の皆は揃っていて、部長の作戦を決めていたようだ。まずは主戦場になると思われる体育館とグラウンドの二カ所に戦力を分散。体育館に何人かを誘き寄せてから副部長が体育館を爆破して纏めて撃破する予定だ。

 

その間、もう片方の主戦場であるグラウンドでは時間稼ぎを行う。オーソドックスではあるがこの作戦には大きな問題点がある。その作戦が有効なのは数が最低でも同じ時でなければ各個撃破される可能性が高いということだ。体内に仕込んである探知系の魔剣に魔力を流して敵の位置を確認する。生徒会室に1、体育館に4、フィールドの上空ギリギリに1、残りがグラウンドか。

 

「体育館にはイッセーと白音が、グラウンドには祐斗とギャスパーが向かってちょうだい。祐斗達は無理をする必要はないわ。体育館の方の決着が付いて、合流するまでは他の場所に敵が行かない様にしてくれるだけで良いわ」

 

「分かりました。それではギャスパー、行きましょう」

 

「はい、祐斗さん」

 

ギャスパーを連れて部室を出ると同時に体内の隠蔽系の魔剣を発動させて、自分とギャスパーの気配を周囲に同化させて移動する。そのままグラウンドの端の方にある建物の影に身を潜める。改めて探知系の魔剣を発動させてみると三人が旧校舎の方に向かって移動を始めている。まあその方向は僕が罠を仕掛けた場所ですから放っておけば良いでしょう。抜けられたらここから魔剣を精製して壊れた幻想で爆破すれば良いだけですし。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士(ポーン)1名、リタイア』

 

位置的には最初の落とし穴に引っかかっていますね。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士(ポーン)1名、リタイア』

 

今度は落とし穴を飛び越えようとジャンプして奥の落とし穴に引っかかりましたね。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士(ポーン)1名、リタイア』

 

そして最後の一人は羽を出して飛び上がった所を少し高い位置に仕掛けておいたエクソシスト式の罠に引っかかり、地面に落ちた先に仕掛けてあった天使式の罠に引っかかりリタイアしたみたいです。全部の罠をコンプリートしてくれるなんて仕掛けた側からすれば嬉しい限りです。

 

「祐斗さん、もしかしてライザー様の眷属の方って」

 

「それほど強くはありませんよ。基本的にライザー様一人居ればどうとでもなるチームですから。それでも女王(クイーン)であるユーベルーナさんの様に十分強い人も居ますよ。まあ、副部長よりも弱いですけど。でもかなり高い確率でフェニックスの涙を所持しているでしょうから副部長が負ける可能性もあります。おそらく何も回復道具を持ち込んでいないでしょうから。何故用意しないんでしょうね?お金なら持っているでしょうに」

 

「でも、祐斗さんの在庫も異常だと思いますよ。何処と戦争するつもりなんですか?」

 

「念のためですよ。僕、全力で戦うとアレだけの量が有っても1日で底を尽きますから」

 

デモンベインにアルハザードのランプを搭載して全力でバルザイや黄金の剣を作り続けて、神獣弾や必滅呪法を連続で発動させればそれ位消費しますからね。上級悪魔1個師団が一月は全力で戦える物資が消えてなくなりますよ。燃費が悪過ぎますよ。

 

ですが、1個師団以上の働きは見せれます。というか単機で三大勢力と戦えますよ。無限の龍神オーフィスや赤龍神帝グレートレッド相手にどこまで戦えるかは分かりませんけど。

そんなことを考えていると体育館の方で大きな爆発音が聞こえてきました。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士(ポーン)3名、戦車(ルーク)1名、リタイア』

 

どうやら作戦は成功した様ですね。そう思っていたら再び爆発音が聞こえてきました。確認の為に全員に念話を送ります。

 

『後の方の爆発は何事ですか?』

 

『オレ達が狙われて白音ちゃんが!!』

 

『落ち着きなさい、兵藤君!!白音さん、大丈夫ですか?』

 

『……なんとか。しばらく休めば大丈夫です』

 

『兵藤君、白音さんを校舎内に運んで来ださい。敵はどうしていますか?』

 

『今、副部長が戦ってる』

 

『なら兵藤君は、ちょっと待って下さい。部長はどうしました?』

 

普通なら一番驚いているはずの部長の声が聞こえません。副部長は戦闘中ですから仕方ないとしても、部長が通信に出ないのはおかしいです。

 

『『『え?』』』

 

慌てて探知系の魔剣を発動させるとライザー様と共に屋上に向かっている様です。

 

『兵藤君!!白音さんを校舎内に運んだら急いで生徒会室でプロモーションを!!その後は屋上へ!!白音さんも回復次第屋上へ向かって下さい。部長が何故かライザー様と一騎打ちをしようとしています!!』

 

『『『なっ!?』』』

 

「ギャスパーも副部長の援護に行って下さい。ここは僕一人で抑えます」

 

「は、はい。気をつけて下さいね」

 

ギャスパーに副部長が居る辺りを教えてグラウンドの中央に姿を現す。

 

「リアス・グレモリーが騎士(ナイト)、木場祐斗。誠に遺憾だけど、君たちを部長達の元に行かせるわけにはいかなくなった。正々堂々かかってくるも良し、闇討ちするも良し。だが、逃がしはしない」

 

グラウンドに居るライザー様の眷属全員を囲う様に聖剣を四隅に打ち込み、結界を張る。

 

「この結界を解く方法は一つ、この魔剣で結界の隅にある剣を叩き折るだけだ」

 

そう言って剣を折ることに特化した魔剣をグラウンドの中央に突き刺す。

 

「急いだ方が良いですよ。ウチの兵士(ポーン)は赤龍帝ですから」

 

その言葉によって場の雰囲気が変化した。一人が私の後ろに回る様に移動を始め、残りの全員が魔力を高め始めた。それに合わせて僕も魔力を高め始めます。しばらくするとまず最初に結界に魔法を撃ち込んで破ろうとしていましたが、その全てが結界に触れることはなくすり抜けていきます。

 

この結界は今は触れたものに強力な聖なる力を浴びせるだけの物ですから。物理的な障壁では有りませんので攻撃が当ることは有りません。ですが、その聖なる気から近づけないでいます。結界を破れないと見た相手は僕に向かって魔法を打ち込んで来ます。僕はそれを避けることはせずにそのまま受けることにしました。

 

「やったわ。シーリス、すぐにその剣で結界を」

 

身体を炎に包まれながら、確かにそう聞こえた。甘いですね。アナウンスが流れていないのに敵を倒したと判断したのは。シーリスと呼ばれた相手は僕の背後に回っていた人の様ですね。後ろから駆け出して魔剣に手を伸ばします。まあそんなこと許さないんですけどね。

魔剣に伸ばした腕を直前で掴んで止め、驚いて動きが止まった所で掴んでいる腕の骨を握りつぶし、指示を出していた人の方に放り投げる。その勢いで僕を包んでいた炎が飛び散っていく。

 

「甘過ぎますね。リタイアのアナウンスは流れてもいないのに」

 

「そんな、無傷だなんて!?」

 

伊達に各属性無効の魔剣を体内に埋め込んでいませんからね。神父服も対フェニックス用の術式を用意してありますから燃えてませんし。

 

「さあ、どんどんかかって来て下さい。僕は今の所動く気はありませんから。時間を稼ぐのが目的なのでね」

 

剣を産み出すことはせずに拳を握る。確かライザー様の眷属には妹のレイヴェル様が居たはずですからね。時間が有れば対フェニックス戦の実験台になってもらいましょう。その後、折角襲いかかり易い様に無手で構えているのにも関わらず膠着状態が続く。そしてゲームが動く。

 

『リアス・グレモリー様の女王(クイーン)、リタイア』

 

どうやら副部長が負けた様ですね。

 

『ギャスパー、どうなっていますか?』

 

『副部長が油断してフェニックスの涙を使われました。僕には手を出すなって』

 

『仕方有りません。ギャスパーはそのままライザー様の女王(クイーン)を抑えて下さい。白音さん、そちらは?』

 

『とりあえず動ける位にはなりました。今、屋上に向かっています』

 

『兵藤君、部長、聞こえますか?』

 

二人はどうやら戦闘に意識が傾いていて答えられないみたいですね。

 

『僕の方はこのまま残りを拘束し続けます。何かあれば連絡を、特に白音さんは部長が勝負を諦めかけたら連絡を下さい。一度だけ部長に手を貸します』

 

『ありがとうございます、祐斗さん』

 

「そちらの女王(クイーン)が落とされた様ですね」

 

「ええ、そのようですね。ギャスパー、ウチの僧侶(ビショップ)と共に戦えば負けなかったのにくだらないプライドから負けた様です」

 

「それは貴方もでしょう。この人数差で勝てると思っているのですか?」

 

「思っているからこうやって正面に立って時間を稼いでいるんですよ。部長からのオーダーは時間稼ぎですのでね。別に貴女達を撃破する必要がないんですよ。ああ、一つ言い忘れていましたけどこの結界出ようと思えば普通に出れますよ」

 

その言葉に頭の悪そうな一人が結界から出ようと駆け出し、光力に焼かれて光となって消えていく。

 

『ライザー・フェニックス様、僧侶(ビショップ)1名、リタイア』

 

「耐えられればね。ちなみに僕は普通に耐えれます」

 

そう言って刺しておいた魔剣を引き抜いて一度結界の外まで出てから再び戻る。

 

「はい、ということで貴女達を放置しておいても良いのですが部長から指示がこないのでここで待機させてもらっています」

 

「舐められたものですわね」

 

「舐めてなどいませんよ。戦いにおいて油断や慢心程危険な物はない」

 

『祐斗さん、もう駄目です。イッセー先輩がボロボロで、部長、今にも投了(リザイン)しそうです』

 

『分かりました。少しこちらも動きます』

 

「さて、残念ですがそろそろ僕も動かさせてもらいましょう。とは言っても、既に仕込みは終わっているんですけどね」

 

結界の中央に結界を構成しているものと同じ物を突き刺すと同時に、結界が完成する。結界の中を聖なる力で満たす浄化の結界が。

 

「「「「「「きゃあああああああああああ!!」」」」」」

 

「ぬっ、ぐぅぅ!!」

 

一撃で仕留めることを前提にしていたので僕自身にも無視出来ないダメージが入りますが、目の前の6人が光に包まれて消えたのを確認すると同時に壊れた幻想で聖剣を爆破して結界を解除します。

 

『ライザーフェニックス様の兵士(ポーン)2名、僧侶(ビショップ)1名、戦車(ルーク)1名、騎士(ナイト)2名、リタイア』

 

これで多少は部長に余裕が出来たはずです。少し休んだら、すぐに屋上に向かいましょう。

呼吸を整えてから校舎に向けて歩き出そうとした所でそのアナウンスが流れた。

 

『リアス・グレモリー様の投了(リザイン)を確認しました。このゲーム、ライザー・フェニックス様の勝利です』

 

やはりリアス・グレモリーは王の器に相応しくないということがはっきりと判明した。分かっていた事とはいえ、がっかりしましたよ。

自分勝手な行動、眷属への指示の拙さ、駒の数はこちらが上で試合を投了。部長が撃破されての敗北なら、まだ見守ろうと思っていたけど、途中で諦めるという行為を僕は許さない。自分から望んだ戦いを自ら諦めるなど、絶対に許さない。

 

 


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