いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?   作:ユキアン

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第14話

翌日の放課後、部室から聖剣の気配を感じて急いで向かってみると、部長と副部長以外に二人のシスターが机を挟んで対峙していた。

 

「やっと来たわね。祐斗」

 

「どうかしましたか?」

 

「教会から貴方に客人よ」

 

「客人とは少し違うな。私達は任務で訪れているだけだ。木場祐斗で間違いないな。元ガブリエル様直属のエクソシストで」

 

青い髪のシスターがソファーから立ち上がり僕を睨んでくる。

 

「そうですよ」

 

「一応、確認させてもらう。ガブリエル様がおっしゃるにはこれを見せるだけで分かると言っていたが」

 

そう言って封印の布で覆ったエクスカリバーを二本見せてくる。

 

破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)がどうかしましたか?破損なども別にありませんが」

 

「「えっ!?」」

 

部長と副部長が驚いていますが、僕からすればすぐに分かります。

 

「本当のようだな。例え封印が施されていようと剣ならばどんな物か分かるとおっしゃられていたが。とりあえず最優先の任務を果たさせてもらおう。ガブリエル様から貴様宛に手紙だ」

 

おや、少しだけ予想外でした。青い髪のシスターから封筒を手渡され、開封して手紙に目を通す。結構枚数が多いですね。

 

最初は季節の挨拶から始まり、僕が生きている事に喜ばれ、同時に悪魔に転生している事に悲しんでいると書かれていた。

 

それから日本にやってきているのは聖剣に関する研究をしていたバルパー・ガリレイと言う最近まで協会に所属していた男で、神の子を見張るもの(グリゴリ)の幹部であるコカビエルと共に聖剣を奪取。またバルパー・ガリレイの元に居たエクソシスト達もバルパーに付いて行ったみたいだ。分かっている情報はそれだけでおそらくは駒王で何かを起こすつもりなので、それを防いで欲しいとのこと。コカビエルは未だに戦争を求めている主戦派なので、おそらくはリアス・グレモリーと、ソーナ・シトリーの命を狙っている可能性が高いので気をつける様に、また聖剣は最悪の場合、核さえ残っていれば破壊も許可すると書かれている。

 

そして天界からは破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の使い手であるゼノヴィアと紫藤イリナを僕に預けるので聖剣の担い手に相応しい教育を付けるようにと先の分と一緒の命令書と一時的にエクソシストとして活動出来る権限とミカエル様からの任命書が入っていた。更に魔王様達との交渉は既に終わっているらしく、グレモリー領での活動も保証されている。ありがたい事ですね。

二人にも四大熾天使様の連名での命令書が同封されている。

 

これ、逆らうと凄い目に会いそうだな。というか、僕って転生悪魔になったのに結構信頼されてるんだ。やっぱり年に一度の研究報告を実物で送っていたのは正解だったね。

 

一番最後の紙には追伸が書かれていた。おそらく近日中に三大勢力で会談が行われる可能性があり、その場合駒王がその場に選ばれる可能性があるのでその時にゆっくりと話す機会を作ろうとの事が書かれていた。ありがとうございます。

 

「なるほど。とりあえず、これは二人宛の物だから」

 

命令書を二人に手渡すとすぐに顔が驚愕した物に変わる。

 

「なっ、何だこれは!?」

 

「うわぁ、うわぁ~、四大熾天使様の連名の命令書なんて初めて見たよ」

 

「まあそう言う訳です」

 

「祐斗?何が起こっているの?」

 

部長が驚く二人を見て訪ねてきます。

 

「現在、教会が保管しているエクスカリバーの半分が盗まれました。盗んだ犯人はどうやらこの駒王付近に潜伏して何かを起こそうとしているみたいです。そして彼女達はエクスカリバーの奪還、あるいは破壊を命じられて来た聖剣使いです。手紙の内容ですが、彼女達はこの事件が解決するまでの間、僕の指揮下に入って任務を果たさなければならないんです。また例外的に僕も、一時的にエクソシストに復帰する事になりました。これ、その任命書です。上の方での話し合いは終わっている様なので事件解決まで単独行動をさせて貰いますね。後日、サーゼクス様から正式に辞令が降りてくるみたいです」

 

「はあ!?ちょっと、待ちなさいよ。こっちでも問い合わせるから」

 

部長が通信の魔法陣を出したので、今の内に二人の現状を確認しておきましょう。

 

「二人とも、活動資金や宿の手配の方は大丈夫ですか?」

 

「……むぅ」

 

ゼノヴィアさんが不満そうにしてますけど、一応仮の上司ですからね、僕。部下なんて一度も持った事無いですけど。

 

「納得が言っていない様ですが、僕の方はミカエル様からの任命書なので逆らうと大変な目に、破門で済めば良いのですが」

 

「ほらゼノヴィア、命令書には従わないと。ミカエル様からも認められてるってことは何か事情があるはずだから。とりあえず資金の方は大丈夫だよ。宿の方はこれから捜す必要があるけど」

 

「ええっと、貴方の方が紫藤イリナさんで合っていますか?」

 

「そうだよ」

 

「宿の方はこちらで準備しています。それから街には既にはぐれエクソシストが行動していますので注意して下さい。昨日もいきなり襲われましたから。まあおかげで透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)の奪還は終わっています」

 

収納の魔法陣から透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)を取り出してみせる。

 

「それから僕は必勝の手が無い限り、突発的な戦闘以外はしない派なので。僕抜きで必勝の手が打てる位にまで二人を鍛え上げますから。二人とも破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)を使いこなせていない様なので、鍛え上げろとも命令されてますので」

 

二人が不機嫌そうな顔をしますが、そもそも擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)を剣の状態で持っていても説得力がありません。擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)はどのような形にも変化させる事が出来、どんな形であろうと聖剣としての力を発揮する事が出来る剣です。それこそ神父服の様な形にして着込めば攻防一体の武器になります。

 

破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)も僕が教会に居た頃に見た物とは形状が変わっていました。僕が見た物は日本刀の様な素早く振れる物で、今の様な大剣とは違います。破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)の破壊力は普通の剣とは違い、どれだけ聖剣としての力を引き出せるかによって決まります。なので普通の剣の様な扱い方では宝の持ち腐れです。聖剣の力を最大限まで引き出した上で、素早く細かく振るのが破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)の正しい使い方です。ちゃんと解析して仕様書を置いておいたのですが、どうやら僕の研究資料の大半は捨てられてしまった様ですね。生憎と錬金は出来ないのでこの形のままでなんとかするしかありませんね。

 

「……確認が取れたわ。確かに一時的に私の眷属から離れてエクソシストとしての行動が認められてるわ」

 

「ご理解戴けたようで何よりです。気をつけて下さいね。敵はエクスカリバーを持っています。部長達では一撃で滅されますよ。それから会長達にも伝えておいて下さい。一応、一週間を目処に解決させる予定ですが、何かあればすぐにでも対処しますので部長達は自分の身を守る事のみ考えていて下さい」

 

「この件に関しては全て貴方に任せる様にと、こっちも四大魔王様連名での命令が届いたわ」

 

部長が不満そうに答えます。まあ部長には荷が重過ぎますからね。

 

「それでは僕らは行動を開始します。何かあれば連絡しますし、そちらも何かあれば連絡して下さい」

 

「分かったわ」

 

「では、今日はこれで。二人とも、しばらくの間お世話になる所に挨拶に行きますよ」

 

「あっ、ちょっとだけ寄りたい所があるんだけど」

 

「こら、イリナ。私達には任務があるんだぞ」

 

「一応聞きますが、どこにですか?」

 

「昔ここらに住んでたんだけど、その頃の幼なじみに会っておこうかなって」

 

「それ位なら構わないでしょう。案内してくれますか?」

 

紫藤さんに案内されて向かった家の表札には兵藤となっていた。どうやらイッセー君の幼なじみだったみたいですね。それならあのまま部室に居れば会えたのですが言わない方が良いかもしれませんね。幼なじみが悪魔に転生してますから。

イッセー君のおばさんは紫藤さんの事を覚えていたのか家に上げられて、お茶を飲みながら世間話に花を咲かせる。

 

しばらくするとイッセー君と部長が帰って来たようだ。そう言えば部長、同棲してるんでしたっけ。その欲望に忠実な所は評価しますよ。ただ、学生の身分という事だけは忘れないで下さいね。

 

紫藤さんはイッセー君が悪魔に転生している事にもの凄く落ち込んでいました。おばさんは、リアス部長を見て落ち込んでいると勘違いしてくれたのでそのまま御暇をさせて貰いましょう。

 

教会に向かう道すがら、イッセー君が悪魔に転生した事情や赤龍帝の篭手に関する事を説明すると更に落ち込んでしまった。ついでに左腕の事を話すと完全にダウンしてしまった。そんな紫藤さんをゼノヴィアさんが担いで教会まで運ぶ。

 

「アーシアさん、居ますか?」

 

「は~い、祐斗さん。そちらのお二人が派遣されて来たエクソシスト様ですか?」

 

「そうです。ゼノヴィアさんと紫藤さんです。お二人とも、紹介します。彼女はアーシア・アルジェントさん。名前位は聞いた事があるでしょう?」

 

「もしや、『魔女』のアーシア・アルジェントか?」

 

『魔女』という単語にアーシアさんの肩が跳ねる。

 

「へぇ、あなたが一時期話題になってた『魔女』になった『聖女』さん?悪魔や堕天使でも癒す能力を持ってたらしいわね」

 

今までダウンしていたイリナさんも興味を持ったのか復活してきました。

 

「……わ、私は」

 

はぁ~、この二人も周囲の言葉を鵜呑みにするタイプですか。アーシアさんを蔑んだ目で見る二人に拳骨を落とします。

 

「お二人とも、彼女の事をどれだけ知っているのですか」

 

少しだけ怒気を込めて二人に質問します。

 

「いてて、悪魔の傷を治療したんでしょう」

 

「ええ、そうですね。その状況が既におかしいと気付かないのですか?」

 

「「?」」

 

本気で分かっていないみたいですね。

 

「アーシアさん、貴方が悪魔を治療したのは何処ですか?」

 

「えっ?その、教会の隣にあるちょっとした花壇がある場所です」

 

「お二人とも気付いた事はありますか?」

 

「何かあるか、イリナ?」

 

「うん?なんか違和感があるんだけど」

 

「なら、少しだけ言い方を変えましょう。教会の敷地内に傷ついた悪魔が入って来てなんでエクソシストが居ないんですか?しかも治療している姿を見ていた人物は居るのにその悪魔に追手がなぜ刺し向けられていないんですか?」

 

「「……あ!!」」

 

「ようやく気付きましたか。そんな状況、どう考えても誰かの手引きが無ければ発生しませんよ。中級、下級の天使様達、一般のエクソシスト達は何も考えずにアーシアさんのことを追放していますが、それだけで済んでいるのはミカエル様達が追手も破門も許可していないからです。それからアーシアさんを最初に魔女と糾弾した神父は現在バチカンの地下に収容されている事も知らないのでしょう?ミカエル様達はアーシアさんの行動にあまり肯定的ではないにしても否定的ではないのですよ」

 

「だが」

 

「汝、汝が隣人を愛せ。アーシアさんはこの言葉に従っているだけです。主は隣人が誰とは差しておられません。アーシアさんにとっての隣人と、ゼノヴィアさん達の隣人が異なるのは、人として当然でしょう」

 

「でも、それで悪魔を治療しても良いというわけじゃないでしょう!!悪魔や堕天使は人間にとって害悪なんだから!!」

 

「では何故主は悪魔達を滅ぼしていないのですか?そして悪魔達を滅ぼせと言葉を残していないのですか?」

 

「そ、それは」

 

「主にとって悪魔達も隣人であったのではないのでしょうか?主は悪魔も堕天使も人間も必要とあらば殺しています。ですが、滅ぼしたりはしていません。そこに主の考えがあるのでしょう。その考えを汲むのが我々信徒の使命では無いのでしょうか?」

 

「でも、皆が言っているし」

 

「ではなぜ悪魔や堕天使を殲滅していたフリード・セルゼンが追放されるのです?」

 

「えっと、それはほら……ゼノヴィアも何か言ってよ」

 

「う、うむ、奴は、ほら、残虐でだな」

 

「残虐で自己的で手の付けられない様な男ですが、人を殺す際には明確な線引きを持っている男です。悪魔に利用されているなら殺さず、悪魔を利用しているなら殺し、悪魔であることを知らずに傍に居るのなら無視し、悪魔であることを知った上で共に居るなら諭し、それでも共に在るのなら悪魔と共に殺す。堕天使も同様です。あの男は自分の様な人間を一人でも救う為に力を求め、そして狂った。狂いながらも自分の中の殺しの線引きだけは守り続けている、十分に尊敬に値する男ですよ」

 

「だが、主への祈りを忘れた」

 

「自らを犠牲にしてまでも人を救おうとする者が祈りを忘れた位で主は御怒りになるのですか?聖書には一言もそのような事は書かれていませんよ」

 

その後も反論しようとする二人を諭し続けたのですが、少々やりすぎました。二人とも端の方で膝を抱えて何やらぶつぶつと言っています。

 

「あっ、アーシアさん。しばらくの間、僕とルゥもこちらでお世話になっても大丈夫でしょうか?ミカエル様達の命令で二人を鍛え上げたり、聖剣の奪還を行わなければならないので」

 

「あっ、はい。大丈夫です。一応、十人程度は泊まれる準備をしていましたから。それよりもお二人は大丈夫ですか?」

 

「アレ位で完全に折れるなら聖剣を任せられたりしないでしょう。今日の所は休ませてあげれば復帰するでしょう。では荷物の準備がありますので、明日の朝に」

 

「はい。分かりました」

 

教会を後にして自宅に戻って戦闘用の神父服と普通の神父服を鞄に詰め込み、リビングに居た皆さんに少しの間エクソシストとして活動する事になったことと、しばらくの間悪魔稼業を控える様に伝えます。もしかしたら釣りを行われるかもしれませんからね。

 

 

 

 

翌日、早朝からまだ眠そうなルゥを背中に担いで教会に向かうと、ちょうど三人が主へ祈りを捧げている所でした。

 

「おはようございます」

 

「「「おはよう(ございます)」」」

 

「う~ぅ……ぉはよぅ」

 

「ふふ、ルゥちゃんはまだ眠いみたいですね。お部屋の方に案内しますね」

 

「ゼノヴィアさん、すみませんがルゥをお願いします。僕は訓練の為の場所を準備しますので」

 

「分かったが、その子はなんだ?」

 

「この子の説明は後でしますよ。準備ができたら呼びますので。それまでに身体を解しておいて下さい」

 

皆さんを見送ってから台座をずらして地下への階段を降りて行きます。春先にやって来た堕天使はここで神器を抜く儀式をするつもりだったのか、中々広い空間が教会の地下に存在するのです。ここに結界を張って訓練をするつもりなのですが、それだけでは色々と不便なので照明の魔法陣を書いたり、地面をある程度均したりします。それが終わってから地上に戻って二人を連れて訓練を開始します。

 

 




次回、特訓編。
独自設定盛り沢山でお送りします。

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