電脳世界「京(きょう)」に存在する電子妖精。
モデルスタンダートの光矢 輝(ひかりや かがや)、流琉 蒼(ながれる あお)、香桃 紅(かとう べに)、花草 ふしぎ(はなくさ ふしぎ)の4人。

京に不具合を起こす原因「バグ」を討伐しながら日常生活も穏やかに送っていた。
ある日発生したイリーガルな出来事によって波乱が巻き起こるのだった。

4人がどのような結末を迎えるのか―――

ifにしてイリーガルな物語が幕を開ける。

―――果たして、無事に日常へと戻ることができるのか

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当作品は電子妖精プロジェクトの二次創作です。
実際のキャラクターや設定とは異なる部分が含まれております。

また、JK組・ミリタリー組の発表前に執筆を始めているため電子妖精は
モデルスタンダートの輝紅蒼草の4人しか登場しません。

※電子妖精は主にSHOWROOMという配信サイトで配信を行っている
 Vtuber(バーチャルユーチューバー)です。


第1話

「人間さんは大好きなのー」

 

「でも、人間さんのせいで……」

 

「ううん、こんなこと考えちゃだめなのー」

 

「幸せのメモリーでいっぱいにしたいのー」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

電脳世界「京」の一角にある指令室に3人の電子妖精が集められてた。

 

 

「べに、あお。二人も呼ばれたんだ」

 

 

パーカーを着たクールな銀髪の少女、光矢 輝(ひかりや かがや)が二人に声をかけた。

 

 

「そうよ。まあ、あんたたち二人がいたから反省室ってことはないから安心したわ」

 

 

そう強気に答えたのは中華風の服を着た少女、香桃 紅(かとう べに)。

 

 

「また何かしたのべに、あまり管理人さんに心配かけさせないのよ」

 

 

優しく窘めるように発言したのは着物風の衣装を纏う少女、流琉 蒼(ながれる あお)だ。

 

 

「わかってるわよ。それより、ふしぎは来てないの」

 

 

花草 ふしぎ(はなくさ ふしぎ)は洋風の服を着た電子妖精であり、

 

 

集まった三人と同じく第三世代スタンダートモデルである。

 

 

普段は四人でチームを組んで任務を遂行するためこの場にいないのは不自然だ。

 

 

「それは私から説明しよう」

 

 

指令室にあったモニターから男の声が発せられた。

 

 

この指令室の主である管理人だ。

 

 

「電子妖精・花草ふしぎは現在原因不明の暴走状態にある」

 

 

「今回の任務はその暴走状態の鎮圧だ」

 

 

「原因及び対処方法は現在模索中だ」

 

 

感情を排した――否、感情を必死に押し殺したような声で任務が言い渡される。

 

 

「各自心して任務にあたってほしい」

 

 

管理人は有無を言わさぬかのようにすぐに映像を打ち切った。

 

 

「ふしぎが……どうして」

 

 

「あ”ーもう、なにがあったのよ」

 

 

「とにかくとめませんとね」

 

 

3人はそれぞれ手早く準備をして指示された場所へと向かった。

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「ここは……住宅街だったはずだよね」

 

 

輝のいう通り住宅街だったはずの場所には草木が生い茂り森のようになっていた。

 

 

「これじゃ探せないわね。どうやって探そうかしら」

 

 

「私がサーチしてみるわ」

 

 

支援型である蒼が水分を利用しての捜索を開始した。

 

 

「……見つけたわ。あっちよ」

 

 

しばらくしてある方角を指差した。

 

 

「向こうには植物園があるね。そこから植物データを増殖させたんだね」

 

 

「植物を通してこっちも見つかってるかもしれないわね」

 

 

戦闘を考慮しているのか3人ともすでにオーバーレイモードに移行していた。

 

 

 

オーバーレイとは戦闘態勢であり発動中は、輝は光、紅は炎、蒼は水、ここにはいないがふしぎは植物と

 

 

それぞれの属性に合わせたオーラが翼の形状を象るように溢れ出て、抑えられていた能力が解放される状態だ。

 

 

 

「動きはないみたいよ」

 

 

蒼の能力によりふしぎを捕捉していたが移動する気配はないようだ。

 

 

「それならまずべにが炎で木を焼き払って、その隙に私が奇襲。あおは後方支援で援護でどうかな」

 

 

「いいわね、それで行くわ」

 

 

纏った炎の勢いを強めながら紅が肯定する。

 

 

「そうね。そうしましょう」

 

 

蒼もそれに追従した。

 

 

---PiPiPi

電子音が鳴る---

 

 

管理人より連絡が入ったようだ。

 

 

「たった今ふしぎの状態の解析結果がでた」

 

 

「暴走は新種の特殊なバグによって引き起こされたようだ」

 

 

「バグの情報を送信する。蒼の能力ならバグを分離させることが可能だろう」

 

 

「よろしく頼む」

 

 

必要な情報を伝えた後すぐ通話が切れた。

 

 

 

「そう、バグのせいなのね」

 

 

紅の炎が怒りに呼応するように膨れ上がった。

 

 

「早く止めないと」

 

 

「私の能力がカギですね」

 

 

使命も合わってよりやる気を出す3人。

 

 

「じゃあさっそく燃やすわよ」

 

 

そういうと膨れ上がった炎がさらに大きく勢いを増し、前方へと打ち出した。

 

 

極大の炎は瞬時に木々を焼き尽くし、しかし建物などの木以外のデータは焦がさぬよう

 

 

精密に制御されていた。

 

 

ほとんどの木々がすべて焼き払われ、ふしぎが目視できるようになったのですぐさま空を駆け距離を詰める。

 

 

ふしぎもオーバーレイモードであったが木葉でできた蝶のようだった羽はいびつに歪み枯葉のように変色していた。

 

 

「こna……い……で」

 

 

「にんgeん……さ……ん、ほろ……boスの」

 

 

そういうと周囲から大量の木が生えふしぎを包み込むように覆った。

 

 

「Soぅすレ……バ、しzeンが……まもra……れるの」

 

 

「ふしぎ……あ”ー、いいわ。もう一度焼くからあおは準備しといて」

 

 

「わかったわ」

 

 

蒼が返事をしたとき突如木の根が飛び出てきて鞭のように空にいる蒼を襲う。

 

 

「任せて」

 

 

かばうように輝が前に出てすべての根を切り払う

 

 

「私が時間を稼ぐから、しっかり準備して」

 

 

全方位から襲い来る木を雷光と斬撃ですべて迎撃しつつ輝が宣言した。

 

 

「あんがと」

 

 

「輝、ありがとう」

 

 

紅は焼き切るための火力をチャージし、蒼はバグを分離するための解析を続けていく。

 

 

「解析完了です。いつでもいけるわ」

 

 

「なら行くわよ」

 

 

輝が射線から外れるとともに追撃しやすい位置に移動する。

 

 

そして炎が壁となっていた木を焼き払い、直後に水がふしぎを包み込んだ。

 

 

「がぼっ」

 

 

暴れるが水によって動きが封じられているため反撃ができず、バグの分離に成功した。

 

 

「GiiiiAAAAaaaaa」

 

 

分離したバグが拘束から外れ、逃げ出そうとする―――

 

 

「逃がさないよ」

 

 

――――も、回り込んでいた輝によって撃破された。

 

 

「これで元にもどるかな」

 

 

---PiPiPi

輝がそう言ったとき通信が入る---

 

 

「バグは撃破できたようだな。おつかれさま」

 

 

「いまから4人を回収する」

 

 

通信の後4人の足元から光が溢れ、転送が開始される。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「おかえり、無事戻ってこれたようだな」

 

 

一瞬で視界が切り替わり、指令室で管理人に出迎えられた。

 

 

「3人ともありがとう。ふしぎは一度メンテナンスにかける」

 

 

転送後すぐにふしぎは医務室へと運ばれ、すぐにメンテナンスが開始された。

 

 

「検査の結果、幸いにもメインデータに損傷や不具合はないようだ」

 

 

「今回のデータを削除してすぐにでも復帰できるだろう」

 

 

「ふしぎにはデータの不具合で一時的に緊急スリープモードに入ったと説明をする」

 

 

「良ければ後でお見舞いに行ってあげてほしい」

 

 

管理人よりふしぎの処遇が話される。

 

 

「そう、良かったわ。反省室ではないのね」

 

 

「ふしぎ、無事で良かった」

 

 

「良かったわ。お見舞いにもいくわ」

 

 

それぞれが思い思いに喜びを露わにした。

 

 

「ちょうど今メンテナンスも終わったようだ。行ってくるといい」

 

 

その言葉を合図に3人が退室していく。

 

 

「色々守って、やらないとな」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふしぎ、大丈夫かな」

 

 

まずは輝が代表して声をかけた。

 

 

「大丈夫ー。げんき、げんきだよー」

 

 

「心配してくれてありがとうなのー」

 

 

間延びした調子の声で元気アピールをするふしぎ。

 

 

「元気そうで良かった」

 

 

「心配したわよ、本当に」

 

 

「大丈夫そうで安心しました」

 

 

完全にいつもの調子になっているふしぎを見て安堵の表情を浮かべる3人。

 

 

「覚えてないけど、みんなに心配かけてごめんねー」

 

 

「そんなの気にしないでいいよ」

 

 

「そうよ、どうしようもないことだったし」

 

 

「調子が戻ったならそれでよかったわ」

 

 

謝るふしぎに気にしないでいいと返す3人。

 

 

いつもの日常を取り戻せたと確信できた瞬間だった。

 

 




電子妖精プロジェクト
公式サイト:https://www.denshiyousei.com/
公式ツイッター:https://twitter.com/den4yousei


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