とある世界で嫌われてる大魔法使いに転生したからあっちの親の願い叶えるわ 作:黒野真琴
大陸中で自分のことが騒ぎになってるとも知らずに、彼女は小屋の中を調べている途中で自分の目に違和感を感じた。
「なんだか視界がクリアじゃない」
『それはこの世界の魔素が見えてないからです。それが見えるようになればいいので、《魔素感知》を取得させます。成功しました』
マキナが勝手に言って、勝手に魔法を取得した。
これによって視界がクリアになった。
その瞬間、自分からドス黒いオーラが溢れているのが見えた。
この世界でも魔素と呼んでいたので、これが魔力であり魔素なのだろう。
「これが私の魔力でいいの?」
『いいえ。今はまだ完全にあなた様の物ではありません。ですが、すぐに条件を整えればご自身のものにできます』
まだ自分のものではない。つまり制御ができないから垂れ流しになる。
それはまずいと思って彼女はすぐにクリアになった視界で部屋を見回した。
『言っておきますが、この世界では魂に名前を刻みます。今はまだあなた様にはその名前がありませんが、すでに名付けの準備はされているので魔力はあなた様の中にあります』
意味不明なことを言われたけれど、本当にスライムの世界みたいだなと思いながら本棚を漁った。
そこを散らかしていると、手紙が落ちてきた。
「これは、アルメリア?ここの前の持ち主の手紙かな?」
気になって
それは表に私の後継者へと書かれていた。
「私の後継者へ。私はすでに自分を犠牲にしてあなたをこの世に産み出した後でしょう。こんな世界に呼んでしまったのは悪いと思ってるけど、仕方ないことなのよ。許してね。アスタリア」
その手紙を読んで自分に与えられた名前を見た瞬間、彼女から溢れる魔力は安定して、その名前は魂に刻まれてちゃんと大魔法使いになった。
「私はアスタリア。アルメリアの娘。ママのためにも生きないと」
母の存在と自分の名を魂に刻み込んだことで、アスタリアの自意識が新しいもののに書き換えられた。
元は残ってはいるけど、近くにある鏡に映るのも前の自分とはまるで別人、だから青い瞳に誓って変わることにした。
「マキナ、前の記憶の封印処理をお願い。ママがどうしたいかはここの本からわかる。それをするのに前の記憶が邪魔になるから市上のどかを封印して、基本の記憶だけを残して」
『分かりました。今は14歳なので、18歳で戻るようにしてもよろしいですか?』
「構わないわ。すぐに済ませるから」
『それでは実行します』
覚悟を込めた行動で前の自分を消す。
それによってこの世界ですべきことをできるようにする。
前の自分への未練を一時的にでも消すことはマキナには簡単だ。
いくつかの魔法陣を展開して封印する。
大魔法使いの所持する魔法だから出来ることだ。
「ママ、8人目の枠を空けて私にくれてありがとう。これからはママと同じ青い瞳に誓って、私が8人目としてまとめあげるから」
そう言いながら生まれた時から結ばれている髪をほどいた。
その姿は小さな少女で、茶髪のセミロングに青い瞳で白い肌、真っ黒なドレスに真っ黒な靴を履いている。
『その覚悟、そのお姿、素敵です』
優秀なサポート役はお世辞まで言えるようだ。
「マキナ、私の生まれ方と8人目が消えた期間を教えて」
『母であるアルメリア様は1ヶ月前に消息不明になって8人目はそこで消えました。ここはあなた様のために見つけた場所で、十分な環境が整っているここでご自身を生贄にして生み出したようです。14歳のその姿で』
「なるほど、わかったわ。それじゃあ、火属性の魔法でここを燃やして。ママには悪いけど、私は自分の力だけでやってみたいの」
『よろしいのですか?』
「いいの。やりなさい」
魔女と魔法はしばらくこんな会話をしてから、自分がするべきことをどっちもが決めた。
そして、親がくれた小屋を焼き払いながらある程度の食料と本をカバンに入れて旅立った。
火は周りの木々に燃え移らないように結界で抑えながら使った。
『新しい魔法を取得しました。《火炎耐性付与》《爆炎》の使用が可能になりました』
その声は焼け落ちる小屋の音にかき消された。
その小屋は旅立つ背後で焼け落ちて、アスタリアを見送るようにしていた。
そこには亡霊となったアルメリアが本当に手を振っていた。
アスタリアをそのまま大きくしたような彼女は最後に我が子に会えて嬉しそうだった。
今回は自分の魔力の状態を把握することと、親と自分の名前と目的を知るのがメインでした。
姿を知るのと小屋を燃やしたのはおまけです。
設定的にここで出てはいけない言葉があったので訂正しました。