とある世界で嫌われてる大魔法使いに転生したからあっちの親の願い叶えるわ 作:黒野真琴
アスタリアはあの後疲れがどっと襲ってきて倒れてしまった。
おそらく、スライムの世界と同じで契約すると結構魔力を持ってかれるのかもしれない。
翌日に目を覚ますと、アスタリアは館の一室のベッドで眠っていた。
寝起きにここがあの世界かを確かめるためにマキナに声をかけた。
「マキナ、ここはあの世界?」
『残念ながらあの世界です』
マキナはあんなふうに言ったけれど、アスタリアはマキナが思ったのとは逆に喜んでいる。
こっちの世界が夢オチじゃないなら、まだアルメリアの願いを達成するために動けるし、こっちの世界ならチートで暴れられるから楽しくてしょうがない。
そんなことをしてると、部屋の外が騒がしいのに気付いた。
村も騒がしかったので、窓を開けて飛び降りてみることにした。
「とりゃっ!」
降りてうまく着地すると、目の前には昨日とは違う光景が見えた。
本来なら視界には子供のような獣人と若い女性の吸血鬼達がいるはずなのだ。
それがどちらも大人になっていた。
「はっ?これはどゆこと?」
混乱していると、館の扉が開いて中からウルガとキュルーラが出てきた。
慌ててその2人に声をかけようとしてそっちを向いたら、もっと衝撃的な光景が目に入った。
それは手を繋いだ2人で、背が高くなって若いイケメンになったウルガと若返って
「はっ?こっちは余計に意味不明なんだけど」
混乱してると2人が心配そうに寄ってきた。
その身長は160cmのアスタリアより断然大きい180cmで、2人とも上から見下ろしてきた。
「大丈夫ですか?アスタリア様」
「どうなさったんですか?あっ!私達の変化に驚いたんですね!」
2人の美男美女に昨日のおっさんとおばさんを重ねて、それが頭の中で全く一致しなくて余計に混乱した。
くるくると目を回してるとマキナがここで救いの手を差し伸べてくれた。
『アスタリア様、配下は契約の際に少量の魔力を大魔法使いから受け取ります。その影響で主人の望む形で姿を変化させます。つまり、これはあなた様が成長と若返りがいいと思ってなった姿です』
その説明を聞いて納得はいったが、自分の望みでこうなったのなら、もう少しイメージをはっきりさせておけば良かったと思った。
とりあえず、これで少しは冷静になったので2人に気になることを聞こうと思った。
「大丈夫なんだけど、2人はなんで手を繋いでるの?」
頭がちょっと痛いので片手で押さえながらそう聞くと、2人は照れ臭そうにしながら手を離して言った。
「えっと、彼女があまりにも綺麗になったので思わず告白してしまって」
「それを私も彼がすごくイケメンになって思わず受けてしまったんです」
2人はすごく照れている。
聞いたことと見えることを合わせて完全に納得がいった。
「ははぁん。なるほど、私でもその気持ちわかるわ。お幸せに」
と、アスタリアは悪戯っぽく笑いながらちょっかいを出した。
ニシシと笑うその顔は可愛らしかったが、その顔はすぐに険しい表情になった。
この場所に住むと決めたからにはこの変化は嬉しい。
どうやら少しだけ全員が成長したようだった。中身も。
だが、こうなると魔力の変化に他の大魔法使いが気付くかもしれない。
そうなると、防衛戦は一方的なものになるに決まっている。
「ここのみんなはいい奴らだ。まずは守れるようにしないと」
本気になれたアスタリアは2人から離れて村に柵とかがないことを確認した。
それから振り返ってみんなに向けて大声を出した。
「みんな!ここを守るために手伝って!」
アスタリアがそう言うとそれまで騒がしかったみんなが静かになった。
そして、ゆっくりとみんなが集まってきた。
獣人70人と吸血鬼30人だ。
「ここは大魔法使いや人間に狙われる可能性もあるから、まずはここに柵を立てて守りを固める。私のところに木材を持ってきたらそれに魔法を付与するから、それで囲って守るよ!」
そう言うとすぐにみんなが作業を始めた。
吸血鬼は一応全員が女性なので、なるべく柵の木材の加工程度の仕事をさせることにした。
獣人は全員が囲む森の木の伐採と運ぶ作業に行った。獣人は男も女も力があるのでそれが適任だ。
ちなみに両方のトップは指揮に行っている。二人には《主人の理解》という配下の集団のリーダーにのみ与えられる魔法があるから指揮が出来る。
それをアスタリアはマキナから聞いたから安心して2人に任せた。
そして、自分は持ってこられる木材へ結界魔法の付与を始めた。
みんなが頑張ったから朝から夕方までで終わった。
出来た柵は低いが村を囲えてはいる。
これを自分で爆炎を使って外から攻撃した。
爆発と業火が村を狙ったが、マキナの結界の応用によって一切通らなかった。
「これならある程度は遠距離攻撃に耐えられるね」
アスタリアはこれでも少し心配したが、周りはこれで十分だと言わんばかりの反応をした。
「さて、驚きもあったけど作業も終わったし、今日は獣人とご飯食べて寝るぞ!軽く宴だ!」
アスタリアが結界の強度のチェックもちゃんと終えて安全になったので、その中で肉の宴をすることにした。
突然言った作業に文句を言わずに頑張ったみんなへのご褒美だ。
吸血鬼には獣の血で我慢してもらう。
だから、無理に宴に参加しなくていいという意味であんな風に言った。
みんながごちそうなのに、吸血鬼だけそれはかわいそうではある。
とりあえず、この日は吸血鬼も主人のそばにいたくて参加した。
それで残ってる肉を全て出して獣人も楽しんだ。
とりあえずアスタリアは数日食べなくてもおなかは減らないけれど、エネルギーの補給で食べまくった。
こうしてこの日は終わった。
サブタイトル?書き忘れてたごめんなさい。