ボーダー日記.46
ボーダーの食堂で一人昼食を取っていたら見知らぬ隊員を連れた村上先輩と会った。
村上先輩と一緒にいた人たちは以前村上先輩が言っていた鈴鳴支部所属の隊員とのことで、優しそうな人が来馬 辰也先輩、帽子を被った元気な先輩が別役 太一先輩とそれぞれ自己紹介して貰った。
他にもオペレーターの今先輩と言う人がいるらしいが今は席を外しているらしく、村上先輩はこの三人の先輩たちと隊を組んでいて名称は支部の名前を取って鈴鳴第一と言うらしい。
しかし隊を組んでると言ってもまだ別役先輩がC級隊員だからランク戦などには参加出来ないし、正式な部隊としてボーダーに登録してるわけでもないと補足された。
別役先輩が、早くB級に上がりたいっすよ、と言っていたのでメインのトリガーは何を使うのか聞いてみたところ、別役先輩は狙撃手用トリガーをメインで使っているらしく狙撃手は個人ランク戦に参加出来ないことから中々ポイントが上がらなくて苦労しているとのこと。
自分は狙撃手用トリガーを扱ったことはないので詳しいことは分からないが、別役先輩の話を聞く限りだと狙撃手で上を目指すのは相当苦労するんだろうなと思った。
そんな話をしてると、別役先輩のことを微笑ましそうに見ていた来馬先輩から自分はどこかの部隊に所属してるのかと聞かれた。
何故か聞かれた自分よりも対面に座っていた村上先輩が驚いていた様子だったが、別段答え辛い質問という訳ではなかったので、部隊には所属してません、と答えると続いて勧誘とかは受けてるのかとも聞かれたのでその質問にも否定を返しておいた。
そんな自分の言葉に安堵したような来馬先輩だったが、自分は来馬先輩の質問の意図が分からなかったのでどういうことか聞き返そうとしたのだが──…、その時に自分たちの水を紙コップに入れて持ってきた別役先輩が、帰ってくるや否や自分の目の前で足をもつれさせ転倒、そして持ってきた水が全て自分にかかるという事態になってしまい……それが原因で聞く機会を逃してしまったので、また今度会ったら聞いてみようと思う。
ボーダー日記.47
出水先輩に師事を受けてからランク戦の勝率が随分上がった。
今までは同じポイント帯の相手と10本やったらどれだけ少なくても2本は取られていたが、今日のランク戦はストレート勝ちした試合が大半だった。
そしてついにレイガストのポイントが6000点に乗ったので、自分なんかのために貴重な時間を使って教えてくれた出水先輩や実戦の相手を務めてくれた唯我先輩には感謝してもしきれない。
出水先輩はコロッケが好きだと言っていたので今度お礼も兼ねて差し入れとして持っていこう、まだ会ったことはないが隊長の太刀川さんも好きだと言っていたのでちょうどいい。
問題は唯我先輩と国近先輩の好物は分からないことだが、唯我先輩はいいとしても国近先輩は女性なのでやっぱり甘いものとかの方がいいのか……?
その辺りがイマイチ把握出来てないので不安だが、何となくあの人たちなら気にしないという予感がするので大丈夫だろう。
そう言えば出水先輩から聞いたのだが、自分とかなりの数の模擬戦をして実戦慣れしたからか、唯我先輩が出水先輩に連行されることなく自主的にランク戦に行くようになったらしい。
出水先輩曰くB級に上がりたての元訓練生ばかり狙って相手してるとのことだが、それでも今までの絶対に個人ランク戦には参加しないという姿勢を考えればかなりの成長だと思う。
だからこれからも唯我先輩には頑張ってほしい。
ボーダー日記.48
村上先輩と模擬戦を終え、久しぶりに真剣勝負のランク戦でもしようかという話になって個人ランク戦のブースに向かったら、荒船先輩と自分より年下だろう隊員が白熱した試合をしていたので村上先輩と二人で思わず見入ってしまった。
結果は荒船先輩がその隊員を8-2で降したが、個人的にはどちらが勝ってもおかしくない良い勝負だったと思う。
その後、荒船を待つかという村上先輩の提案を受け待つこと数分……ブースから戻ってきた荒船先輩の隣には荒船先輩の相手をしていた隊員の姿があり、見てたのかよ、と嘆息する荒船先輩を介してお互いに自己紹介をした。
荒船先輩と戦っていた子は緑川 駿くんというようで、この前の正式入隊日に訓練用近界民を4秒で倒した大型ルーキーと噂されてた当人とのこと。
正式入隊日から一月ほどしか経ってないのに既にB級に上がり、その上荒船先輩とあれだけ渡り合っていたことから考えるに相当の才能だなと思わず感心してしまった。
村上先輩も凄いなと唸っていたが、自分からしてみればどっちもどっちだと思う。
そんなことを考えていたら、緑川くんから自分と村上先輩ともランク戦がしたい、という提案をされたので断る理由もないとその提案を承諾、その場の流れから自分が先に緑川くんとランク戦をやることになった。
緑川くんの戦い方は端的に言うなら二刀のスコーピオンでガンガン攻めてくる機動力が強みの攻撃手で、B級に上がって入れたであろうグラスホッパーも絡めて撹乱もしてくる相手だった。
ただスコーピオンの使い方は上手かったが他のトリガーはまだ使って間もないせいか色々な場面でミスが目立っていて、加えて例に漏れず自分がレイガスト使いだと分かるや驚いたような余裕そうな表情を見せたので、その油断と隙をついて初動から両攻撃のハウンドを仕掛けその流れでポイントを先取出来た。
レイガスト使いじゃないの!? と驚いていた緑川くんには悪いと思ったが、ランク戦という真剣勝負の場で手加減をするつもりは毛頭なかったので、混乱してるところを一気に攻めさせて貰った。
そのランク戦が終わった後に荒船先輩から、容赦ないなお前、と苦笑されたが結果は荒船先輩と同じ8-2で無事勝利。
しかし自分的には次の村上先輩の方が容赦ないなと思った。
自分との戦いでレイガスト使いだからと侮ることなく村上先輩との試合に臨んだ緑川くんだったが……その上で、村上先輩は緑川くん相手に10-0の完勝。
荒船先輩も自分も村上先輩が負けるとはまったく考えていなかったが、それでもあれだけ一方的な試合になると緑川くんが少し可哀想だなと思ってしまうのも仕方ないことだろう。
ただB級に上がって間もないという点を考えれば、緑川くんは既に並みのB級隊員より強いと思うし、自分も次に緑川くんと戦う時は今日のランク戦のようには行かないだろうなという確信もある。
今日はもう大分遅い時間だったのでその場でお開きになってしまったが、次に緑川くんとランク戦する時が楽しみだ。
ボーダー日記.49
防衛任務にも慣れただろうということで、これからは一人で防衛任務に就くことになった。
といっても他の部隊と合同でやる時もあるらしく、防衛任務中は常に無線で本部と連絡が取れるので心配する必要はないとのこと。
オペレーターも本部の人がやってくれるみたいで、今日の防衛任務は沢村さんという人にサポートして貰った。
最初はたった一人の防衛任務ということで少し緊張したが、今まで通り特に問題なく防衛任務を終えることが出来た。
防衛任務はボーダー隊員の本職だし、今後も気を抜かずにしっかり務めていこう。
ただ警戒区域は無人地帯で風景も代わり映えしないから、一人だと話し相手がいなくて退屈に感じた。
一応いつでも本部とは連絡できるが、自分の暇つぶしのために本部に連絡する訳にもいかないので、そういう意味では部隊を作るなり入るなりした方がいいのかなと思う。
いずれはA級を目指すつもりだし、そうなったら部隊ランク戦に参加して勝ちあがることが必要不可欠なので、部隊関連は遅かれ早かれ当たる壁の一つだ。
しかし自分には隊長は務まらないという確信があるので、出来るなら何処か募集してる部隊に入りたいものだが……今のところボーダーでそういう話は聞かないのが現状。
ただ部隊に入るなら足を引っ張らないためにもマスタークラスになってから入りたいという気持ちもあるし、来年から受験も控えてるので本格的に考えるのはそれらが終わってからでもいいかなと思う。
ボーダー日記.50
荒船先輩から完璧万能手の話をされた。
完璧万能手とは攻撃手・銃手または射手・狙撃手の三つのトリガーのポイントがマスタークラスに到達した隊員の名称らしく、荒船先輩はその完璧万能手になるのが目標のようで将来的にはボーダー隊員の誰でも完璧万能手になれる理論を確立するのが夢だと語っていた。
以前荒船先輩が銃手と射手のトリガーを使って自分と模擬戦をしたのは、荒船先輩にとって銃手と射手のトリガーのどちらが使いやすいかを確かめるためだったとのことだが、荒船先輩はどちらもしっくり来なかったらしく一先ず狙撃手の方から先にマスタークラスを目指すと言っていた。
狙撃手と言えばこの前別役先輩と話してかなりポイント上げるのが難しい印象を受けたが、何となく荒船先輩なら大丈夫だろうなという気がする。
荒船先輩は狙撃手には何人か知り合いがいるみたいでその人たちに教えてもらうと言っていたし、荒船先輩はもうすぐ弧月のポイントがマスタークラスに到達するので狙撃手に転向するのもそう遠くないだろう。
それにしても完璧万能手か……レイガストもハウンドもマスタークラスには及ばない自分からしてみればまったく想像のつかない話だが、いつかはそういうのも目指してみたいと思う。
そのためにも、まずはレイガストをマスタークラスまで上げれるように頑張ろう。