友希那……ゴメンね……。

1 / 1
去年、pixivに投稿したモノです。
一部手直ししてます。


間違えた選択肢

今井家 リサの部屋

 

「…リサ、ちょっと出掛けてくるから部屋でキチンと大人しくしてるのよ?」

 

「わ、分かってるよ友希那…。」

 

友希那はドアを閉めガチャリと鍵をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「友希那…早く目を覚ましてよ…もうこんなの嫌だよ…。」

 

アタシは何処で選択肢を間違えてしまったのだろうか?

毎日毎日同じ事を考えているが、答えはいつも一緒。

 

 

 

「友希那の恋心を裏切ってしまったから」

 

 

 

アタシは友希那を大切な幼馴染として接してきた。

友希那もそれは同じはず…だった。

 

状況が一変したのは2ヶ月前、突然友希那に「リサにしか話せない事がある。」と呼び出された。もしタイムマシンがあったら間違い無くこのタイミングで過去のアタシを説得してたと思う。

 

この後の選択が友希那を狂わせてしまったから。

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ友希那〜!」

 

「あら、意外と早かったわね。もっとギリギリな時間に来ると思ってたわ。」

 

「だ、だって〜友希那から急に呼ばれたんだし待たせちゃ悪いって思ったから〜…。」

 

「…それはさておき、急に呼び出してごめんなさい。リサにどうしても伝えたい事があったの…。」

 

「私は…貴方が好き…幼馴染としてじゃない…恋人としてよ!」

 

「貴方のおかげ私はここまで来れた!だから…今度は私が…!」

 

「…ごめん。」

 

「…リサ?」

 

「友希那の気持ちは凄く嬉しいんだよ?ただ…アタシはあくまで幼馴染であって恋人には相応しくないと思うんだ…。」

 

「そんな事無いわ!私の恋人はリサしか居ないの!リサの為ならどんな事だって…!」

 

「ごめん…ごめんね友希那!!!」

 

「リサ!?待って!!リサぁ!!!」

 

 

 

 

 

「嘘よ…こんなの嘘に決まってるわ…リサが…リサが!」

 

その時だった、友希那の中にどす黒い感情が溢れ出した。

 

「リサはきっと誰かに唆されているんだわ…リサがあんな酷い事言うはず無いもの!」

 

「絶対に許さないわ!!早速準備しなきゃ!!」

 

「あはははは!!!待っててねリサ!!!貴方を悪い奴から解放してあげるから!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝…

今井家 リサの部屋

 

「友希那…ごめんね…ごめんね…。」

 

アタシは酷く後悔していた。

友希那が勇気を振り絞って告白してくれたのに、自分のちっぽけなエゴで台無しにしてしまったのだ。

 

「あんなにアタシの事を思っていてくれたのに!何で!!何であんな事言ったのさアタシ!!!」

 

友希那は今頃アタシに失望しているはず…もうアタシは友希那の幼馴染なんかじゃない…只の裏切り者だ…。

 

 

 

 

ドンッ…ドンッ…

 

 

 

 

さっきから1階が妙に騒がしい…朝早くから何やってるんだろ?

気になったアタシはベッドから離れて階段を降りた。

 

「お〜い…何してるの〜…?」

 

誰も居ない…ってか、朝食が準備途中で放棄されてるんだけど?

今日は平日でもうすぐ家を出る時間なのにコレはおかしい。

 

嫌な予感がする…。

 

アタシは両親の部屋の前に来た。

他の部屋には居ないし外出した様子も無いので、どうやらこの部屋に居るみたいだ。

僅かに聞こえる物音がやや気になるが構わずドアを開けた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あら?おはようリサ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシは目を疑った。

部屋に居たのは両親ではなく、昨日フったハズの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょうどリサを唆した悪者を始末したの!これでリサとずっと一緒に居られるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは夢だ。

 

「ゆき、な…?」

 

悪い夢なんだ。

 

「リサ?顔色が悪いわよ?まさか毒を盛られたんじゃ!?」

 

友希那がこんな事するハズないもん。

 

「い、嫌…来ないで…!」

 

なんで!?なんで目が覚めないの!?

 

「大丈夫よリサ、もう貴女に酷い事をする奴は死んだの!」

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、ここを私とリサの愛の巣にしましょう♪」

 

 

 

 

 

 

 

愛の巣…などと言えば聞こえは良いが、実態は監獄そのものだ。

両親は友希那に惨殺された。友希那曰く、

 

「リサが受けた苦しみを分からせる為に縛って切り刻んでからバラバラにしてやったわ。」

 

何を言ってるのかさっぱり分からなかった。

両親はアタシを苦しめる様な事はしていない。全部アタシの自業自得なのに…なんで?ねえなんでなの?

 

「…友希那、自首しよう?罪を償ってもう一度やり直そう?」

 

「自首?悪者を始末しただけなのにどうして自首しなきゃいけないのかしら?」

 

「友希那!!お願い目を覚まして!!これ以上罪を重ねないでよ!!」

 

「リサ…。」

 

このまま勢いで押し切ればきっと…

 

 

 

 

 

 

「まだ私とリサを引き裂こうとしてる奴が居るのね?」

 

 

 

 

 

 

最悪だ…友希那の矛先が他の人達に向けられてしまった。

 

「違うんだよ友希那!!アタシが友希那の気持ちを踏み躙ったのが悪いの!!だから…!!」

 

「リサ、もういいわ。それは悪者に無理矢理言わされているのでしょう?すぐに始末してあげるからソイツらの名前を教えて頂戴?」

 

「ねえ友希那ぁ!!!もう人殺しはやめてよぉ!!!」

 

「リサをここまで追い詰めるなんて…!!」

 

「許さない許さない許さない許さない許さない!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「 皆 殺 し に し て や る ! ! ! ! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして…?

 

どうしてこんな事になっちゃったの…?

 

あれから友希那はアタシと少しでも関わった人を皆殺しにした。

紗夜…あこ…燐子…ポピパ…アフターグロウ…パスパレ…ハロハピ…挙げ句の果てにはクラスメイトや近所の人まで…。

 

監禁され始めてからの2ヶ月間、友希那は毎日誰を殺したかをアタシに話してきて発狂しそうだった。

でもこれは神様がアタシに与えた罰だと思って耐え続けた。

 

そして丁度2ヶ月経った今日、遂に友希那は殺した人の名前を言わなくなった。

ああ…やっと、やっと終わったんだね友希那…。

 

 

 

 

 

「リサ…もう貴女を脅かす奴は消えたわ。今夜は久しぶり外で愛を育むのはどうかしら?」

 

「え、外…出ていいの…?」

 

「ええ。」

 

「やった…アタシ外に出たい…!」

 

「分かったわ、じゃあ準備するわね。」

 

予想外だ…まさか外に出れるなんて…もう死ぬまで家から出られないと思ってたのに。

それと友希那の目に僅かだが光が戻っていた…“悪者”が消えて心がスッキリしたのだろうか?

 

 

 

 

 

「ごめんね友希那…ずっと家に居たからうまく歩けなくて…。」

 

「いいのよリサ、運動出来る環境を整えていなかった私の責任よ。気にする事ないわ。」

 

2ヶ月の間にアタシの足はリハビリが必要な程鈍っていた。

友希那に支えてもらわなきゃまともに歩けないので、近くの公園に行くだけで異様な程疲れてしまった。

 

「はあ…はあ…やっと、着いた…。」

 

「大丈夫?リサ?」

 

「う、うん…大丈夫だよ、友希那…。」

 

「帰りは私がおぶっていくわ。取り敢えずそこのベンチで休みましょう?」

 

「そうだね…。」

 

 

ドサッ

 

 

「疲れた〜…。」

 

「私もよ…。」

 

久々の運動でアタシはもうクタクタだ、ベンチに座れる位置まで来たら足の力がドッと抜けた。

もう夜の8時だから公園に居るのはアタシと友希那だけ…疲れていたのもあってしばらく無言で座っていた。

 

「「…。」」

 

「…友希那?」

 

「何?」

 

「これからアタシ達…どうするの?」

 

「…。」

 

「大丈夫よ、もう次の手はうってあるわ。リサは何も心配しなくていいのよ。」

 

「…そっか。」

 

「明日の夜にこの町を出るわ。少し山奥だけど素敵な家を見つけたの。」

 

「今の家は血の匂いがどうしても取りきれなくて…。」

 

友希那…アタシの為にそこまで…。

 

 

 

 

 

 

 

「湊友希那だな?」

 

 

 

 

 

 

 

「え…誰…?」

 

「っ!!私に何か用かしら?」

 

「強盗殺人及び拉致・監禁の容疑で逮捕状が出ている!署まで来てもらうぞ!」

 

全く気付かなかった…来る途中でつけられてたのだろうか?

友希那を連行しようと警官の一人が友希那の腕を掴もうとする。

 

「来ないで!!私とリサの邪魔をするな!!」

 

友希那はとっさに隠し持っていたナイフで腕を掴もうとした警官の手首を切断した。

 

「ぎゃあああああああ!!!!」

 

「◯◯巡査!!!」

 

警官の悲鳴が公園内にこだまする。

 

「リサ!!逃げるわよ!!」

 

「え!?で、でも足が…。」

 

「私がおぶるから!!早く!!」

 

「わ、分かった!!」

 

アタシは急いで友希那の背中におぶって貰い公園から脱出した。

 

「あ!?おい待て!!!」

 

「こちら警視△△!!◯◯巡査がマル被に襲われ重体!!マル被は被害者らしき女性を連れて西へ逃走中!!だたちに救急車と増援を!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花咲川駅前

 

「はぁ…はぁ…危ないところだったわ…。」

 

友希那はアタシをおぶって駅まで全力疾走…運動苦手なハズなのによくここまで…。

 

「急いで電車に乗るわよ、このまま新しい家に行くわ。」

 

「終電が近いから途中で歩きになるけど…。」

 

「アタシ自分で歩くよ、さっきので多少感覚が戻ってきたし多分大丈夫!」

 

「それに友希那の足、すごく震えてる…このままアタシをおぶったら転んじゃう。」

 

「だ、大丈夫よ、このくらい…っ!!」

 

「ほらやっぱり!無理し過ぎはダメだよ!」

 

「…ごめなさいリサ。」

 

「さ、急ご!モタモタしてると警察が来ちゃうし電車に間に合わないよ!」

 

「…そうね、急ぎましょう!」

 

 

 

アタシ達はやって来た電車に飛び乗り生まれ故郷の町から脱出した。

仕方がなかったとはいえ、ちょっと寂しい気持ちになり車窓から見える故郷を潤んだ目で見送った。

 

数本の電車を乗り継いで山間部の小さな町にある駅に辿り着いた。

友希那曰く、新居の最寄りはもっと先の駅らしいが今日はもう終電が無いので、ここからは線路沿いの県道を歩いて向かう。

時刻は既に0時を回っており田舎町というのも相まって町中を抜けると街灯以外の光は殆ど無い。

 

「怖いよ友希那〜…。」

 

「頑張ってリサ、あと10kmの辛抱よ。」

 

「えぇ!?10kmも歩くの!?」

 

「最低でも夜明け前までに県道を抜けるわよ、県道さえ抜ければあとは完全に人気の無い道だから。」

 

「…もし限界だと感じたらいつでも言って頂戴?おぶってあげるから。」

 

「分かった…頑張る…。」

 

まだリハビリの済んでいない足でアタシは新居を目指して必死に歩いた。

途中、何台か車とすれ違ってその度に声を掛けられるんじゃないかとヒヤヒヤした。深夜に女子高生2人だけなんて怪しいにも程があるが何とかやり過ごす。

何度か休憩を挟みながら残り2kmまで来た所でアタシはダウン、友希那におぶって貰う事になった。

 

「はぁ…はぁ…あと、少し!」

 

「ここを、曲がれば、はぁ…もう、見つからない!」

 

県道を抜け曲がった先は、細く舗装がヒビ割れ自然に還り始めている急勾配だった。

友希那も既に体力の限界を超えており、足の震えがおぶられているアタシにもハッキリ分かる程。

そして100m程歩いた所で遂に倒れ込んでしまった。

 

バタリッ

 

「ゆ、友希那!?大丈夫!?しっかりして!!!」

 

「うっ…リサ…もう…だめ…。」

 

「あと少しだよ!!あと少しでアタシ達の夢が叶うんだよ!!」

 

 

 

………あれ?

 

 

 

何言ってるんだろうアタシ?

 

 

 

 

 

 

 

アタシモオカシクナッチャッタノカナ?

 

 

 

 

 

 

 

花咲川で起きた連続殺人及び行方不明事件、犯人による警官負傷事件の半年後、とある山中の廃屋で逃走していた犯人・湊友希那と行方不明だった被害者・今井リサが遺体で発見された。

 

死因は睡眠薬の過剰摂取によるものとされたが、 2人は廃屋内のソファで寄り添う様に座っており、その死顔はとても安らかだったという…。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。