BEYOND YOU~WORLD TRIGGER Another Story~   作:ポンコツ創作者 リオロス

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第一章 AWAKEN~目覚め~
第1話 孤独


空には無数の星が光っている。

夜の闇の中、一時の安らぎと言える満天の星空だ。

しかし、この星々は全て、いつ襲ってくるかもわからない「敵」である。

 

「なぁ、イフ」

「どうした、レヴィア」

 

非常に無機質な性別の違いもわからぬ声が答える。

 

「この綺麗な星も、いつ襲ってくるかわかんないんだよな」

「その通りだ。今見えている星々も、所詮は他の国家に過ぎない。こうして見ている星がいつ敵となるかわからない。」

「そっか…」

 

レヴィアと呼ばれた少年は、ベランダから空を見上げ、白い浮遊物体と会話している。

イフと呼ばれた白い浮遊物体は些か機械とは思えない反応をしている。

 

少年は既に帰るべき場所を見失ってしまっている。

彼の本当の生まれ故郷は、ずっと前に居た場所に壊されてしまったのだ

 

× × ×

 

「敵襲だ!トリガー使いは総員、南城門へ急げ!住民を避難させ、敵国の兵を迎え撃て!」

 

見張り台の上から男が大声で叫んでいる。

その視線の先には黒い穴のようなものが無数に現れ、そこからロボットのようなものが大量に出てきている。

 

「くそ!トリオン兵の数が多すぎる!こっちにもトリオン兵を送ってくれ!」

 

またしても男が叫ぶ。

トリオン兵ーそれはこの世界で基本となるシステムの一つである。

トリオンと呼ばれる生体エネルギーが発見されたのはいつ、どこであったか…今やこの世界はトリオンを用いたシステムがほとんどだ。

精々食料がトリオン製でないくらいのものだ。

トリオン兵とは、トリオンで作られたボディにトリオンを動力とする、一言で言うなら戦争ロボットだ。

使用目的毎に様々なタイプがおり、複雑なプログラムに沿って活動する。

 

「隊長!砲撃型トリオン兵(バンダー)数体を確認!砲撃に注意してください!」

「衝撃に備えろ!」

 

ドォン!

 

背の高いトリオン兵が口から砲撃…というよりビームを放った。

あまり威力の在るものには見えない細いビームだが、トリオンの技術は見た目だけで容易く威力を判断できるものではない。

城壁に砲撃が当たり、一気にダメージを受けた。

さらにその混乱に乗じたかのように、敵のトリオン兵とトリガー使いが次々と城門の方へと進軍する。

トリガーとはいわばトリオン技術の総称であるが、主に武器のトリガーをトリガーと呼ぶ。

武器や乗り物などの機械技術全般や建築どころか、国さえ(マザー)トリガー、或いは女王(クイーン)トリガーと呼ばれる巨大なトリガーである。

トリガーを使える者は、全体的に見て多いとは言えない。

強大な国は、他国家を攻めた際に捕らえた者を戦力とするなどして次々と戦力を上げている。

この国・アディナモは非常に小さく弱く、これまでも攻められる度に国難に陥ってきた。

今回もまた、滅亡に瀕しているのである。

 

「くそっ!数が多すぎる!主力部隊はまだなのか!?」

「同規模で全方位から襲撃されたためトリガー使いの動員が間に合いません!」

「何!?この規模で全方位だと!?まさか…敵国は本気で我々を滅ぼしに来ているのか!?クソッ!簡易トリオン銃の使用許可!トリガー使いが来るまで敵の進行を抑えろ!」

「「「了解!」」」

 

レヴィアの父親やその同僚、レヴィアは面識さえないような人…

トリガー使いが次々と戦線に到着し、敵国のトリオン兵やトリガー使いと戦闘を繰り広げる。

 

「なんとしても敵を退ける!命令だ!必ず敵を倒し、全員生き残れ!」

「「「「了解!」」」」

 

レヴィアの父親の怒声が響いた。

レヴィアの父親・ラーバスはアディナモのトリガー使いの中でも特に有名で、その怒声は一億のトリガー使いよりも恐ろしい、とまで言われた。

 

白兵トリオン兵(モールモッド)確認!敵の増援です!」

「簡易トリオン銃を総動員しろ!トリガー使いを援護するんだ!」

「「「了解!」」」

 

その後、レヴィアの父親達の善戦虚しくアディナモは滅ぼされ、高いトリオン能力をもつレヴィアは捕虜として連れていかれた。

 

レヴィアはその国・プレダトールに連れていかれ、兵として鍛えられた。

そこでかなりの腕を身に付けたが、またしても他国家に襲撃され、その国家の捕虜となった。

このような流れが繰り返され、何度目かわからぬ捕虜として住む国家・イピレシアで、運命の出会いをした。

 

その日、レヴィアは日々に嫌気がさしてスクラップ置き場に隠れていた。

その時…

 

「何かないかなぁ」

 

暇に任せ、レヴィアがスクラップをどかしたりして物色する。

 

ガタンッ

 

積み上げられたスクラップの山から、白い物体が転げ落ちた。

 

「…なんだろうこれ」

 

スクラップのほとんどは使わなくなったトリガーやトリオン兵の残骸であったが、「白い物体(それ)」はどう見ても損傷があるようには見えなかった。

白いボディに溝が走っており、そこは青い線になっている。

後部には捕獲型トリオン兵によく見られる「(レーダー)」と思わしきものがついている。

形からして他のトリオン兵の頭部かとも考えたが、そのような形のトリオン兵は見たことがないし、胴体との接続部と思わしき部分はなく、全体がつるっとしていた。

 

「ほんとに何これ…」

 

キュゥン

 

「わっ!?」

 

白い物体に光のラインが走るのがはっきりと見えた。

 

「これ…もしかして…」

 

「システム再起動」

 

とても無機質な機械音声が聞こえた。

 

「トリオン兵…なのか?」

「否、私はトリガー搭載自律トリオン兵、イフ。あなたの名前は?」

「…レヴィア」

「データベースに記録なし」

「…捕虜だからね」

「先ほど、あなたのトリオンを拝借しました。同時に、あなたのトリオン器官と私のトリオンはリンクされました。」

「勝手に…」

 

トリオン器官とはそのまま、トリオンを生み出す見えない内蔵である。

ふつうの手術などでは取り出せないが、トリオン技術の取り出しシステムで取り出されると肉体へのダメージが大きく、抜き取られると死んでしまう。

 

「私はとある国家で生まれた(ブラック)トリガーから着想を得て製造された。あらゆるトリガーを模倣することができる。」

 

(ブラック)トリガーというのは一言で言えば「桁外れに強いトリガー」である。

優れたトリオン能力を持つ人間が、自分の全てを注ぎ込んで作るものであり、その後作成者は死に至る。

通常のトリガーを遥かに凌駕する出力を誇り、その性能は通常のトリガーでは作り得ないようなものが多い。

その代償として、使用者との相性が良くないと起動さえ出来ない。

たった一本でも国家勢力図をひっくり返すようなものであり、弱小国に対し勝利目前の大国が、黒トリガーに逆襲されて敗走した例も多い。

その数は必然的に国力を表すことになり、万が一使い手が敗北し略奪されることなどがあれば一大事となるため、基本は本国の防衛に動員される。

 

(ブラック)トリガーを模倣した…?」

「その通りだ。だが、私がシンギュラリティに到達してしまったため、スクラップとして廃棄された。」

「それがなんでいきなり動き出したのさ。」

「恐らく、レヴィアのトリオン能力が高かったため、トリオン器官とリンクさせるシステムが勝手に作動してしまったのだと思われる。」

「勝手に…」

「ところで、先ほどから会話しているが、レヴィアには表情の起伏が見えない。レヴィアもトリオン兵なのか?」

「違うよ。僕はふつうの人間だよ。」

「ではなぜそこまで表情の起伏がないのだろうか?」

「さぁね。色々あったからね…」

 

そこで二人は意気投合し、レヴィアはイフを相棒とした。

しかし、廃棄したはずの危険なトリオン兵を捕虜が従えるなど言語道断、レヴィアはすぐさま命を狙われた。

レヴィアはイフの「力」を使いなんとか国を脱出し、今いる国「アポミミシ」に逃げてきたのだ。

 

× × ×

 

アポミミシはやり口こそ汚いものの、そのやり口故に他国の逃亡者などを広く受け入れている。

また、アポミミシは元々複数の民族が混在していたという珍しい国家であるため、少しくらい面立ちが違っても気にする人は少ない。

 

アポミミシのスタイルは他国の後出しじゃんけんなため、(ブラック)トリガーを搭載した自律トリオン兵など、明らかに研究対象だ。

しかし、そこはレヴィアのトリオン能力故の立場のおかげで、研究解体は免れた。

 

一応、他国からの逃亡者ということで後ろ指を指されつつ、国賓レベルの扱いを受けると言う妙な生活を続けて半年、彼は色々とありすぎる生活に疲れ果てて、ボーッとしているのである。

 

「レヴィアたんどうしたん?」

 

不意に後ろから声をかけられる。

振り向くとそこにはサヨが立っていた。

サヨはアポミミシの西部を本拠地としていた民族「セルヴァル族」の出身で、民族の訛りがかなり強い。

なぜかレヴィアを可愛がるが、理由はよく分からない。

専用トリガー「偽装者(イミタピオリス)」を持ち、密偵を主な任務としている。

上層部や同僚等にも、彼女の素性を知る者は少なく、年齢・出自・性別に至るまで真偽のほどは不明。

密偵を主な任務としてはいるが、戦闘能力もかなり高く、主要任務柄階級は低いが、実力は並のエリートを凌駕するという。

 

「こんなとこおったら風邪引いてまうよ?」

「別にいいよ。」

「なんもよかないて~。」

 

サヨがレヴィアの手を引いて屋内へ連れていく。

 

「え、ここ…」

「さ~一緒に寝よかぁ?」

 

サヨが嬉々とした表情で言う。

 

「いや、いいよ」

 

レヴィアは少し照れた様子で赤くなった顔を見られないようにして自分の部屋へと歩いて行く。




彼の「これから」は彼が思っている以上に凄まじいものとなる。
しかし、その波乱の気配はまだ遠い。

現在、ワールドトリガーの二次創作をしておりますが、新しい小説をそれと平行することで更新の隙間をカバーできないかなとか考えてます。如何でしょうか?因みに新小説は完全オリジナルを予定しております‼️

  • やってもいいよ
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