BEYOND YOU~WORLD TRIGGER Another Story~ 作:ポンコツ創作者 リオロス
「もう一年経っちゃったのか…」
「レヴィア、少し急いだ方がいい。遅刻するよりは、多少早い方が良いだろう。」
「そうだな」
レヴィアが急いで丘を駆け上っていく。
今日は待ちに待った「騎士団模擬入団」の日である。
騎士団への入隊を望むものは、必ずこの模擬入団をし、「模擬入団完了証」を持っていないといけない。
模擬入団では国家や騎士団の歴史、トリガーの使用体験等ができ、その裏で適正テストも行われている。
模擬入団は9歳以上であること以外に特に規定はないため、殆どの子供は9歳で模擬入団をする。
ワイワイガヤガヤ
模擬入団会場の受付付近は既にかなり込み合っていた。
当然、模擬入団ではトリガーを触ることができたり、生で騎士を見ることができるのだから、皆胸が高鳴っているのだろう。
「はい、レヴィアさんですね。では、模擬入団中はこちらの札を持っていてください。」
受付の人が布札を手渡す。
これが模擬入団員の証である。
これがあれば、普段は騎士隊の活動拠点でもある会場を自由に動くことができる。
まぁほとんどは団体行動ではあるが。
「お~広いな」
「かなり余裕をもって作られているようだ。訓練場というより、こういったことを想定しているようだな。」
「ふーん…」
メインとなる会場は普段は訓練場として使われている空間だ。
ここで映写機で映像を見せたり、騎士の戦闘の様子を生で見せるのだ。
訓練場がコロシアムのようになっている訳は、騎士同士の模擬戦も行われているかららしい。
「間もなく模擬入団講話開始となります。ロビーにいらっしゃる方々は、お早めにメイン会場へお集まりください!」
係員の声が聞こえる。
「おっと、急げ急げ~」
ロビーにいた他の子供達も急いで会場に走ってきた。
会場内は期待で目を輝かせた子供で溢れかえっている。
「え~、皆様ようこそ!本日は模擬入団ということで、この国の歴史やトリガー体験をしていただきます!では、騎士団総長より挨拶をいただきます。」
子供らが口々に驚きや喜びの声をあげる。
騎士隊総長とは、簡単に言うなら騎士隊で一番偉い人だ。
そう簡単にお目にかかれるものではない。
「皆さん、今日はようこそ国家騎士団訓練場へ。私が騎士団総長の云々…」
騎士団総長の話は子供にも分かりやすく、退屈しないような話だった。
総長の人柄が垣間見えた。
そして、映写機による映像を交えた騎兵隊や国家の歴史の説明がされた。
「さて皆さん、いつ何時敵国のトリオン兵が送り込まれるかわかりません。そのために、国内に開く門(ゲート)を制御する装置があるのです。そのため、騎士団はゲート制御装置でゲートを集める区域だけを守っているだけで国を守ることができるのです。では、その戦闘の様子を騎士の方に見せてもらいましょう!」
バチッ…バチバチッ
黒い球体のようなものが空中に現れた。
これが
空間を繋ぎ、トリオン兵やトリガー使いを送り込んだり、人員を迅速に移動させたりすることができる。
ズンッ…!
虫のような形のトリオン兵が
白兵トリオン兵・モールモッドである。
全長は5m弱、虫のような脚が二対あり、背中には三対のブレード付のアームが折り畳まれている。
そのブレードの強度はあらゆるトリオン兵の戦闘装備のなかでも最強で、全身の耐久力も十分な上、機動力も決して低くない。
高速のブレードを掻い潜り、弱点である「目」を破壊するのが常套手段である。
とはいえ、こんなことを考えているのはレヴィアだけ。
他の子供らはそんなこと知るわけがない。
間近で見るトリオン兵に興味津々だ。
「こちらは白兵トリオン兵・モールモッドです。高速のブレードで云々…」
(はいはい知ってる知ってる)
レヴィアは心のなかで呆れたように呟いた。
「では、騎士の方に実際に倒してもらいましょう。」
司会が指差す先には騎士が立っている。
子供らは驚きと歓喜の声をあげた。
それもそのはず、ただの騎士ではなく、栄誉の鎧(ホノリス・アルミス)を纏っている騎士だ。
通常、防御トリガーというのは空中に広げるシールドタイプが一般的だ。
しかし、シールドでは耐久力の問題や展開管理などで弱点がある。
かといって鎧のようにしてはコストや重量の問題が発生する。
それを解決したのが栄誉の鎧(ホノリス・アルミス)に搭載されたトリオン補給システムである。
アポミミシの地下には地底湖の「
これにより高い防御力と機動力を両立させたのである。
それを纏った姿は国を守る英雄であり、子供らにとっては最高の憧れである。
「おぉ~!」
子供達が歓声を発する。
ビュゥン
騎士の手元に
レヴィアはこの国のトリガーを知っているため、人目見ただけでそれが汎用のものでないことに気づいた。
恐らく専用トリガーだろう。
兜で顔は見えないが、この騎士はかなり上位の人物と見えた。
ダッ!
騎士が鎧の重さを感じさせぬような軽やかな動きでモールモッドへ突進する。
普通はこんなことをするのは馬鹿なものだが、するにはそれだけの自信があるのだろう。
バッ!
モールモッドもブレード付のアームを展開し、臨戦態勢に入る
ズバンッ!
…がそれもすでに遅く、攻撃する前にモールモッドは一刀両断された。
「すげー!」
「かっこいー!」
子供達が口々に歓声をあげる。
同時に、先程の騎士が司会の方へと歩いていく。
「ふぅ…」
兜を外した中から現れたのは、いかにもなおっさんだった。
「まったくなぁ。俺なんかより若いイケメンがやった方がよかったんじゃないか?ハッハッハ」
そう笑うのは騎士団第一隊団長であるルモア・キルリアである。
彼は後世に名を残すことは確実と言われる程の剣の達人だ。
これまでの戦いでもいくつもの武勲を上げ、その名を知らないものはいない。
剣速もさることながら、熟練の腕前からくる威圧のような「重み」は並の
「皆さんご存知、ルモア・キルリア団長です。今一度、拍手を!」
パチパチパチパチ
「ハハッ。照れ臭いからやめてくれ。さて、皆にはこれからトリガー体験をしてもらう。それに当たって注意事項があるからよく聞いてくれ。まずきちんと順番を守ること、次に係員の言うことには従うこと、この二つだ。君たちはトリガーを使うのが楽しみでワクワクしているとおもうが、トリガーも使い方を間違えたら、周りの人を傷つけてしまう。わかったかな?」
「はーい」
「うんうん。いい返事だ。一度休憩してから、もう一度集まってくれ。では一度解散!」
ぞろぞろと散ってロビーへと行く子供らの中に、一人だけやたら澄ましている少年がいた。
(一応言っておくがレヴィアではない)
「珍しいな。レヴィア以外にもはしゃいでいない子供がいるとは。」
「悪口に聞こえるんだが。」
「しかし珍しいものだな。」
「誤魔化すなよ。まぁ確かにそうだな。」
かといって何をするわけでもなく時間を潰していた。
「そろそろ休憩を終了します。会場へ戻ってくださーい。」
「おっといけない」
子供らが騒ぎながらぞろぞろと戻っていく。
「やれやれ…」
レヴィアも面倒そうに戻っていく。
既にトリガーが三本机に用意されており、風船のようなものが会場内に浮いていた。
「では、今回はこの風船型ターゲットを相手に「
一番前に並んだ少年がトリガーを受け取り、起動する。
その目はとても輝いていて、眩しいものだった。
「よーし…」
少年が脚をぐっと踏ん張り、地面を蹴る。
「うわぁっ!?」
少年は明らかにオーバーアクションなまでに飛び上がった。
そう、トリガーを使用すると肉体は「トリオン体」に換装される。
トリオン体は視力などの身体能力は回復し、身体能力は大幅に強化される。
かといって、その体を自由に扱えるようになるためには訓練が必要だし、生身の「動く感覚」もトリオン体を扱う上で重要になる。
最初の少年はターゲットを一つも破壊できずに時間切れとなった。
その次の子も、そのまた次の子ももちろんそうだ。
後半になるとなんとなく掴んできたのか、ターゲットをなんとか追いかける者もいたが、ターゲットを破壊できたのは一人もいなかった。
「おっ」
次に挑戦するのは、さっきの妙な少年だ。
レヴィアはその少年を少し観察することにした。
「レヴィアのようにトリガー経験があるかもしれないな」
「うん。だからそれを見極めたい。」
少年がトリガーを起動した。
やや緊張しているような、強ばった表情をしている。
さっきまでのすました様子とは雰囲気がまるでちがう。
「トリガーを起動したら顔が強ばった」
「トリガー起動で緊張するということはやはり経験者ではないのか…」
「…いや、まだわかんないよ」
少年は今までの子と比べれば圧倒的に腕のあるように見えたが、惜しいところでなかなかターゲットに当たらない。
それどころかわざと当てていないようにも見えた。
そして列の最後、レヴィアの番である。
レヴィアは既に風船の行動パターンを把握していた。
トリオン兵は複雑ではあるがプログラムに沿って行動している。
この風船とて例外ではないようだ。
最適なパターンを導く解析のなかには、今目の前にいる相手のこれまでの動きさえ組み込まれる。
自分の行動も把握して相手の行動を読まなければならないのだ。
ビュゥン
レヴィアがトリガーを起動し、「
「さて…」
脚をぐっと踏ん張り、一気にターゲットを破壊していく。
トッ…
「ふぅ…」
周囲は唖然としている。
それも当然、いままでが噛ませ犬だったかの如き腕前だ。
「えーと…君…」
司会がおずおずと声をかける。
「はい?」
レヴィアは至って平静を装って返事をする。
「君は…何者だい?」
「何者…とは?」
とぼけた様子で答える。
「いや…君だけこんなに上手いから、何者なのかと…」
「何者と言われましても…」
その後ろで聞いていたルモアが何かに気づいたらしく、司会にこそっと何かを話した。
「っ!ごめん、なんでもないよ」
司会も察したらしく、それ以上に詮索はしなかった。
そして、一人の少年がやたら目立っただけで、騎士団模擬入団はお開きとなった。
他の子らがぞろぞろと帰るなか、レヴィアも帰路につく。
× × ×
「ただいま戻りました~」
「レヴィアたんお帰り~♪」
リビングには住人が思い思いにくつろいでいる。
そう、レヴィアが住んでいるのは騎兵隊の寮だ。
捕虜ではあるものの、重要戦力(になる予定)であるため、待遇はなかなかいいほうである。
今までにないようなクセの強い同居者に翻弄されることもしばしばあるが…
レヴィアとしては祖国にいた頃に並ぶほど、充実感を感じている。
× × ×
カチャカチャ
夕食の時間、基本的に料理をするのはサヨだ。
その腕は店を開けるほどである。
「ところでレヴィア、模擬入団はどうだったんだ?」
「どうと言われても…」
「どうせトリガー体験でやたら目立ってきたんだろ?」
「お察しの通りです。」
「(一同笑)」
こんな家族のような会話が交わされるのもまた、日常である。
「目立ちすぎると妬まれるぞ?」
「別に妬まれても手出したら出した側の負けだし。」
騎士団に入ってしまえば、騎士団内での争い事や揉め事には厳罰が下る。
なかには国外追放されたものもいるとか…
そのあたりはきっちりしている。
「さ、レヴィアも疲れただろ。早めに寝とけよ」
「はーいムグムグ」
「返事するのはいいが飲み込んでからにしろ」
× × ×
《二週間後》
今日は騎士団「本」入団式である。
今日から正式にレヴィアも騎士団の一員だ。
この日から、レヴィアのさらなる波瀾万丈の歩みが始まる。
現在、ワールドトリガーの二次創作をしておりますが、新しい小説をそれと平行することで更新の隙間をカバーできないかなとか考えてます。如何でしょうか?因みに新小説は完全オリジナルを予定しております‼️
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やってもいいよ
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だめ