そしてMHFの運営の皆様、楽しいゲームをありがとうございました。
ここはメゼポルタ広場。そして私は入り口である門の前の階段に座って、大広場を眺めている。
中央に位置するギルドマスターや三人の受付嬢、歌姫の御付きネコ、航路クエスト受付嬢に闘技大会受付嬢の居た野ざらしのギルド。
そしてその周囲を円状に囲んで成しているショップや調合屋や弁当屋、狩煉道受付に狩人祭受付。そして数多のハンターが使用してきたクエストボードに価格一覧表。小さなアイテムボックスに、固く踏みしめられたクエストへの出発口。
また、ギルドに付属するかのように、洞窟を掘って作られた鍛冶場やマイルームがある。
忙しなく働くギルドマスターに、書類仕事で忙しそうな受付嬢達。
いつも元気に美味しい狩人弁当を作ってくれた食材やのおばちゃんと、なんだかよく分からないものをいつも調合していた竜人族のおじいちゃんと、商魂たくましかった総合ショップのお姉さん。
狩煉道に行き過ぎて顔を覚えられてしまったシュエ連道受付の長耳のお姉さん。狩人祭受付の竜人族のお姉さんにいつも寝っ転がっていたアイルー。
ハンターにとっての命というべき武具を何度も作ってくれた鍛冶屋のおじさん。天廊武具を交換してくれたアイルーに、確率操作をしてそうなハリセンネコに、武具ショップのお姉さん。
マイルームでいつも身の回りの世話をしてくれていたアイルーに、アイテムボックスに入り込んでいたグーグに、最高の相棒のハンター。
マイサポートには相棒の一人であるホルクと、ホルクについてよく教えてくれたホルク教官と、最愛の相棒のオトモアイルー。
マイトレには可愛い三姉妹の管理人がいて、たくさんのアイルーに、数匹のプーギーがいて。
結局ほとんど物を置かなかったマイギャラリーに、私の軌跡が辿れるマイミッション。
本当にこの一範囲にどれだけ収まっているのだろうか?
いやしかし、まだこれだけではない。
目線を少し手前に持ってきてあげれば右には歌姫の居た綺麗な洞窟があり、左には大体のハンターがお世話になったであろうレジェンドラスタ達が集まる酒場がある。
歌姫の唄は実に美麗で、不思議と狩猟の効率が格段に上がる。
レジェンドラスタ達には本当に助けられた。どうしても勝てない辿異種についてきてもらって、その強さを再確認したことも多々あった。
そんなことを考えつつ、少し、目を右に向ける。
そこには猟団部屋への入り口があり、猟団受付の先輩ハンター、唄を集めていた竜人族のおじいちゃん、怪しげなテントにサーカステントの様な謎のテントにサロンのテントがある。
ここも思い出深い場所だ。
狩りを通じて知り合ったハンターたちと一緒に中央に集まってどんちゃん騒ぎをしたり、誰かが主催した腕相撲大会が行われていたり、季節のイベントなども行われていた。
猟団部屋では、我らが猟団の部屋がある。
キッチンに猟団専用のボードにトレニャーにクエスト受付にたくさんのテーブルとイスに、一番豪華な団長の椅子と、澄んだ川。
少数で構成されたこの猟団だが、狩人祭のランキングに乗れるぐらいの勢いはあった。
メンバーたちと装備を自慢しあったり、食事を作ってそれを食べて一緒にクエストにいったり、トレニャークエストにでるアイルーを心配げに見送るメンバーを笑ったり、ボードに書かれる猟団長の一言にみんなで笑ったり、多くの思い出が詰まっている我らが団である。
今はもう皆いないが、それでも、私の記憶には印象深く残っている。
そして少し場所を移動してみれば、バローネ・キャラバンが見える。
最大最凶とも言われるラヴィエンテを狩るために、多くのハンターと一緒に過ごした場所だ。
説明をしてくれるアイルー、ショップ、調合屋、着替えテント、受付、奥にある食事場、大きいテント。そしてカシラであるキエラさん。
全員が時々出現するラヴィエンテの討伐のために全力を尽くし、そして討伐したら全員で盛大に祝う。あれだけの被害があったというのに気が付けば人の心もキャラバンも元通り。下手をすると改善されていたりする。
不退装備といわれる物は結局作り切れなかったが、ラヴィエンテ討伐は楽しい祭りの様なものだった。
夜風に当たりながら少しの間目を閉じる。
ここ、メゼポルタ広場は約12年前にできたと言われている。
なんでもドンドルマのハンターのために開かれた区域と言われているが、途中参加の私には詳しくは分からない。
メゼポルタには多くの人々がいた。それこそ数えきれないほど。
その数えきれない人々の大半がハンターだ。彼らが様々な地方から来てはここでクエストを受け、しばらくしたらまた別の地方へと旅立っていく。そんなこんなでこの広場には様々な人種、職業、性格の人々がいた。
全身鎧と痴女が喧嘩をし、ベテランハンターが新米ハンターにイロハを教え、友と狩りに出かけ、素材が出ないと嘆き、イベントでは皆が協力していた。
一期一会とでも言うべきか、クエストを受ければ誰とも知らないハンターが声をかけてきて一緒に狩猟をしたこともあった。たった一度きりの出会いがほとんどを占めており、それこそが此処をメゼポルタ広場たらんとする所以なのではないかと思う。
人と人との関わりによっておこる喧騒に包まれたこの場所は、実に良い所だった。そして何より、ここのうるささは"心地の良いうるささ"だった。
一人一人のハンターが様々な考えを持ち、互いに関わりながら狩猟をする。
そんなこの広場が本当に私は好きだった。
だけど、それも今日で終わりだ。
あのメゼポルタ広場に静寂が訪れている。
中央部のギルドにはほとんど人はおらず、残っているギルドマスターや受付嬢も片付けで持ち切りだ。
何千もいたハンターたちはそれぞれどこかの村や街へと旅立って、新しい生活を始めようとしているのだろう。もはや誰もここには残っていなかった。
最後に残ったハンターである私は、少し寂しく思う。
どこかのことわざで、盛者必衰の理。というものがあるが、まさしくその通りなのだろう。
いつかは終わるのだとは思っていたが、まさか今だとは思っていなかったが。
約5年間共にしたこの場所とももうそろそろお別れの時間になる。
寂しさや悲しさが溢れてくるが、それでも、新しい旅への希望でそれを無理やり塗りつぶす。そうでもしないと今にでも泣いてしまいそうだから。
立ち上がり、最後にこの景色を目に焼き付ける。
途端に、かつてここが賑わっていた頃の幻影が目に浮かんでしまい、涙が出てしまった。
これではいけない。このままここに居座ってしまいたくなる。早々に旅に出なければ。
すでに準備は完了しているため、今目の前にある入り口である門をくぐればもうここに戻ってくることはない。それが私の心を揺さぶる。
だけども理解しろ、私。ここはもう終わりなのだ。役割は終わったのだ。だから次なる場所へと旅立つべきなのだ。
ゆっくりと、一歩づつ歩みを進める。足元に涙が落ちるが、そんなものは見ないで、前を向く。
門をくぐり広場の外に出たら次なる場所へと足を運ぶ。心なしか先ほどよりも足取りが軽いのは今までの経験がそうさせてくれるのだろう。今までは少しばかり厄介に思っていたこの性格を今だけはありがたく思う。
たくさんの狩りと、たくさんの狩り仲間と、たくさんの思い出。
それらが詰まったあの場所を、大切な思い出として記憶にしまい込む。何年たっても思い出せるよう、絶対に忘れないように、大切にし続けることを誓いながら。
さて、何処に行こうか。なんでも"新大陸"とやらが最近になって発見されたとかどうとか聞いたことがあるし、そこにでも向かおうか……うん、そうすることにしよう。
……ひとつ思ったが、結局私は、メゼポルタ広場に縋っているのかもしれない。
メゼポルタ広場は皆から「
つまり、私は未だにフロンティアを求めているらしい。まったくもってどうしてなのやら……。
そんなことを考えていると不思議と笑みがこぼれてくる。それと同時にいままでの悲しみや寂しさはどこへやらと消えてしまった。
少しだけ笑顔の戻った私は、少し足を止める。
そしてともに死線を潜り抜けてきた半身ともいえる武器に手をかけ、心をすっきりさせらることのできるおまじないを唱える。
唱え終わったら手を放し、また歩みを進める。新たなる狩場と、新たなるモンスターに期待を込めて進み続ける。
心の中で誓いを立てながら、一歩一歩をしっかりと踏みしめて、次を目指す。
――――私はまだ
――――きっと新大陸という
――――私は
――――だから、明日へ向かおう。諦めずに進み続けよう。
――――なにせ、きっと、