強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』   作:サルスベリ

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 よっし、爆豪が合流した。予想外の方向へかっとんで行ったけど、個性が爆発だから仕方ないよね。

 弾けて欠片も残らないよりはいいよね。

 というわけで、次はデク君の番だ!

 無個性でヒーローやりたい。よろしい、ならば変身だ!

 という風味で頑張ります。






デク君がヒーローやりたいけど無個性だから武器庫化しようぜ

 

 

 

 それはある日のことだった。

 

 どうも田中・一郎です。今日も騒がしい日々が始まるのかな、なんてちょっと乾いた笑みを浮かべてみました。

 

 速攻で、弔に病院に行くように言われたけど。

 

 さて、それでは今日の本題です。

 

「実は相談があるんだが」

 

「え、アインズが珍しいな、何があったんだ?」

 

「ああ、実はな。無個性の少年がヒーローになりたいと言っているので、『武器庫』にしたいんだが、どうだろうか?」

 

 

 

 

 

 

 みんな、聞いてくれ。誰か俺に教えてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 うちのアインズはついに、

 

 

 

 

 

 歌だけじゃなく改造人間を作りたいって言うようになったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 危ない、危ない、つい俺の精神がメビウスの輪を超えてしまうところだった。ふぅ、アムロとシャアに会う寸前で、『どこいくのさ、一郎』ってソープが連れ戻してくれたから助かった。

 

 なんか、駆逐艦に囲まれたシャアが、『やぁ、一郎、私はついにやり取りげたよ』とか言っていたけど、気のせいだよね。

 

 めっちゃ、アムロが精神科に通っていて。『俺のライバルがロリコンって病気なんだが』とか相談していたけど。

 

 現実逃避だよ、察してくれよ。

 

「よっし、戻った、戻せた」

 

「うむ、見事だぞ、ソープ。さすが我も認める神だな」

 

「煽てても愉悦情報しか渡さないよ、ギル」

 

「フフフフ、やはり貴様は見どころがあるな」

 

「君ほどじゃないさ」

 

 俺の後ろでなんか、黒い影が踊っているけど、忘れた方がいいよね。もう俺の精神は削りに削られているから、関わらない方がいいよね。

 

 触らぬ神にたたりなし。いや、無視する愉悦部の被害はなしだといいな。

 

「よぉぉぉし、アインズ、それでなんだって?」

 

「うむ、緑谷出久君という少年がヒーローをやりたいというので、武器庫にしなければいけないと私の何かが叫んでいる」

 

「・・・・え、待って。ちょっと待ってくれないかな? え、どういうことで何が目的で武器庫?」

 

「彼は無個性だ。この個性社会でヒーローをやるからには、武器庫くらいはないといけないのだろう?」

 

「冗談だよな、アインズ?」

 

「違うのか?」

 

 あ、これはマジだ。ボケとかジョークじゃなく、マジで武器庫にしなければ(使命感)に駆られている。

 

「いやヒーローをやるのに、武器は必要かもしれないけど、武器庫にまでしなくてもいいような」

 

「そういうものか。私はてっきり、最近の主流は『手数が多い、そんなの当たり前。今の時代は大量の武器でしょ』とばかりな」

 

 おう、これは情報源が危ないってことか。アインズは素直なところは素直だから、知った情報を頭から信じてしまうことがあるんだけど、今回はその情報源が間違っていたんだな。

 

「と、ギルが言っていたが?」

 

「ギルぅぅぅぅぅ!!!」

 

 おまえかやっぱり! なんでそう俺の周りをひっかきまわすんだよ! 愉悦部って言い訳ですべてが通ると思ったら、大間違いだからな!

 

「フ、マスターよ。我が間違えるとでも?」

 

「明らかに違うだろうが。ヒーローが武器を大量に持っているなんて、何時の時代の話だよ?」

 

「そうか、良かろう。一郎がそう言うのならば、これを見るがいい」

 

 バッとギルが手を振るうと何時もの鎧姿で、マントが翻ってその先に映像が流れてきた。

 

「これが仮面ライダー1号とウルトラマンだ」

 

「知っているけど」

 

 え、今になってこれ? 最初の二人だよね? 俺にこれを見せて何がしたいんだよ?

 

「そして、これが令和になっての仮面ライダーとウルトラマンだ」

 

 俺はその瞬間、ギルの前に土下座した。

 

「ごめんなさい」

 

「解ればいい。マスターよ、時代は今や『多数の武器と変身道具』。故に、これからヒーローを目指す者には、武器庫は必須のもの。その雑種にはふさわしい道具を与えねばな」

 

 そっか、そうか。俺は間違えていたのか。時代はそういったものか、大量の武器を持って戦場に現れて、敵を薙ぎ払って帰っていく。

 

 後にはペンペン草一本さえ生えない、無人の荒野が広がっていると。

 

 うん、ないわ。

 

「あのさ、ギル、本気で言っているのか? まあ、確かに最近の仮面ライダーとかウルトラマンって武器が豊富だけど、それってさぁ」

 

「なんだマスター? 我の決定に異論があると?」

 

 うぉ、鋭く細められた目が蛇のようじゃないか。昔は怖かったんだけど、今は平気だぜ。なんでって、もっと怖い状況は敵が一杯いたからな。

 

 泣けてくるぜ。

 

「大量破壊者って言わない?」

 

「・・・・・・フ、なるほど。貴様は我にこう言わせたいのだな?」

 

「え、何の話?」

 

「おのれディケイドぉぉぉぉぉぉ!! と」

 

 決め顔で言っても、意味不明なことに変わりないからさ。なんでそこでディケイドを叫ぶのさ。

 

 最近、うちのギルも愉悦のために体を張るようになりました。昔のギルはプライドが高くて迂闊に触れると死ぬけど、もっとカッコ良かった気がするなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ、どっと疲れた。

 

「一郎さん! 俺からもお願いします!」

 

 疲れたんだけど、なんでか俺は休めずに居間で土下座を見ていると。

 

「か、かっちゃん。なんでぼくのために」

 

「うるせぇ! てめぇも頭を下げろやデク! この人に頼みこめばおまえもどうにかなるんだよ!」

 

「かっちゃん!」

 

 なんだか感動して涙を流しているのが、デク君ね。で、なんだかすごい勢いで土下座しているのが爆豪君っと。

 

 あれ、君って確か、デク君のことを嫌っていたんじゃ。

 

「昔の俺なら、デクのことなんかどうでもよかった。こいつのことが鬱陶しくて、生意気で、言い負かしても反論して止めなかったことがイライラしていた」

 

「なのに、なんで今は力になりたいって思ったのさ?」

 

「それは・・・・・こいつの魂がロックだからです!」 

 

「よくぞ言った爆豪!!」

 

 え、はい? あれ、俺だけ。俺だけが理解していないの?

 

 アインズは立ち上がって大きく頷いているし、ソープとエルも腕組みして頷いているし。

 

 ギルに至っては凄く優しい笑顔で見つめている。

 

 あれ、コナン、俺が察しが悪いの、ねぇ?

 

「おめぇが察しが悪いんじゃなくてな、こいつらが感性で話を進め過ぎなんだよ」

 

「よかった。それで、何がどうなって?」

 

「はい! 俺がロックに目覚めて、熱い魂を知った。その想いを感じることを教えてもらった。だから解るんです! 今のデクの気持ちは半端なものじゃない!! こいつは死ぬことになっても、ヒーローになろうって思っている! なら俺は! 幼馴染として俺はこいつの夢を押してやりたい! こいつの魂が叫んでいるなら俺はその夢を一緒に追いかけたい! それが俺にとってロックだからです!!」

 

「見事だ! その心意気! その友を想う気持ち! まさにロック!!」

 

「はい! アインズさん!!」

 

「爆豪! おまえは今ロックの神に負けることない熱いハートを持ったぞ!」 

 

「おおおおしゃぁぁぁぁ!!」

 

 爆豪君、両手でガッツポーズ。なんだか、ボクサーが世界タイトルをとったように見えるんだけど、気のせいだよね。

 

「ちなみに、ロックの神って誰だろう?」

 

「なんでこんな時にそんなこと気にすんだよ。熱気バサラじゃないのか?」

 

 コナンってそっちなんだ。

 

「え、エル●ィス・プ●スリーじゃなくて?」

 

「この世界にもいるのか、あの人」

 

 いるんじゃないかなぁ。あの人って、何処の世界でもキング・オブ・ロックンロールだったよ。

 

「だからこそ! 皆の力を借りたい!」

 

「お、話が戻ってきた。いいけどさ、アインズ。俺の力ってないようなものじゃないか?」

 

 技術力ないし、資源力もないし。できることって少ないような。

 

「大丈夫だ。一郎が一言、『解った』と言ってくれたら皆が協力してくれる。我々の『マスター』だからな」 

 

「え、俺が? え、でもさ、俺に相談なく物事を何時も進めるよね? コナンとか率先して隠し事するよね?」

 

「やろうか、マスター!」

 

「何を焦ってんだよ、名探偵? え、何、おまえまた何か隠し事しているわけ?」

 

「バーロ、そんなんじゃねぇよ」

 

 ウソつけよ、お前。なんか隠してるんじゃないのか? それとも、すでに終わった後か? エルみたいに、『あ、終わりました、書類です』とかやるなよ、お前。

 

「となるとだが、そこの雑種の思考を探る必要があるな。武器を持たせたとしても、扱えなければただの重荷でしかない」

 

「え、ギル、おまえ乗り気なの?」

 

 うわ、珍しい。うちのギルが乗り気ですよ、雑種って呼んでいる相手に対して、そんなに優しく接することができたっけ?

 

「フ、今回ばかりは我も『宝物庫』を開けようではないか。大盤振る舞いだ」

 

「おいおいおい、明日はこの星が終わるんじゃないか?!」

 

 ちょっと待てよ、お前。なんでそんなにノリノリなんだよ、しかも自分の至高の財宝が入った宝物庫を開くって、どんだけ乗り気なんだか。

 

 うわ、明日で世界が終わりか。

 

「無礼だぞ、マスター。我はただな、アインズの意見に乗っただけだ」

 

「ふむ、そうだな。私もギルをあの一言で説得できるとは思わなったが、これも行幸だ」 

 

 ギルを一言で説得ぅ? え、なにその方法。俺もコナンもギルを乗せるって結構な労力を使うんだけどさ。

 

「あいつ、未だにギルが非協力的だって思ってるぜ」

 

「昔の我は随分とやんちゃだったからな。今は俗世に塗れて見せよう」

 

「おいおい」

 

 なんか、後ろでコナンとギルが言っているけど、放っていく。さあ、アインズ、俺にギルを乗せるその魔法の一言を!

 

「令呪があるの、忘れてないか?」

 

「我がマスターながら、どうしてあんなに忘れっぽいのか」

 

 うるせぇよ、お前ら。 

 

「教えてくれ、アインズ」

 

「ふむ、良かろう。我はただ、ギルにこう言っただけだ」

 

 そこでアインズは両手を盛大に広げ、声高らかに宣言した。

 

「そのほうが面白いだろう! と」

 

 ああ、なるほど。確かにそれはギルが動く。すっごく喜々として動き出す英雄王が見えるよ。

 

 ただし、それは俺に多大なダメージを与えるカウンタースペルだけどな。

 

 無意識に胃のあたりを抑えながら、俺はフッと笑って膝をついたのでした。   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一郎の許可は貰ったと判断した」

 

「なんで弔が仕切っているんだよ。え、おまえも愉悦のためにデク君を武器庫化したいの?」

 

 まさか、こいつもか。止めてくれよ、弔まであっちに染まったなんてことになったら、俺一人で突っ込みが追いつかないんだよ。

 

「俺もデクは武器を持つべきだと思う」

 

「おい弔ぁ!」

 

「あいつはな、ヒーロー気質だ。困っている人がいたら、考える前に体が動く。誰かの助けてに、条件反射で動いてしまうやつなんだよ」 

 

 あれぇ~~なんだろう、てっきりもっと滅茶苦茶な理由を言ってくると思ったのに、凄い真面目な顔で弔は語ってくるよ。

 

「自分が危険になるなんて考えは、頭から綺麗に消えてしまう。誰かが困っていたり、助けてって顔していたら、見て見ぬふりなんてできない。このままじゃ命を落とす。だから、あいつの手助けをしてやりたい」

 

「そうなんですか」

 

 ヤバい、弔が凄い真面目な顔で語ってくるから、俺の何かが削られていく。具体的には、『ごめん、邪推して』って邪な部分がガンガンと心を叩きつけてくるんですけど。

 

 え、おまえ、こんな純粋に考えている弔に対して、おまえもかとかそんな失礼なことを考えたの、なんて心の声が聞こえてくるようだぜ。

 

「あいつに人助けやめろなんて、死ねと言っているようなものだから。それにな」

 

「そ、それに」

 

 止めて弔! 俺のライフはゼロですわよ!

 

「あいつは俺に似ている。助けてって声が力になる奴だからな」

 

 フワッと笑う弔の笑顔と、その後ろにさす後光によって、俺の体は溶けていくのでした。

 

 ああ、もういいや、ララァさん、俺はそっちに行きますね。

 

「だから、何処に行くんだよ、一郎」

 

「は?! 危ない、危ない、サンキュ、ソープ」

 

 ふぅ、また次元の壁を越えてしまうところだった。もううちの弔は純粋で、人を疑うとか貶すってことしないんだから。

 

「まったくさ、疲れるからもう止めてくれないかな?」

 

「こ、今回だけだって」

 

 よっし、じゃあ気合を入れて。

 

「というわけで、デク君がヒーローになるために」 

 

「違う!!」

 

 ブ?! な、何かで頭を叩かれたんだけど。アインズかこら! 

 

「違うぞ! ここはこう言うのだ!」

 

「はい? え? 『第一回チキチキデク君魔改造武器庫化計画大討論』?」

 

 待って、なにこれ? 横断幕まで作ってあるんだけど、何がしたいの?

 

 あ、いつの間にか居間の中央が少し高くなって、そこにデク君が座っている。

 

「おいこら! 何時の間にこんなセット作った!」

 

「気合と根性だ」

 

 決め顔で止めろ、ガイコツ!

 

「フ、我に不可能はない」

 

 おまえは引っ込んでいろ、英雄王。

 

「それよりも! 僕としてはロボットと融合! ロボットと合体して巨大化を押したいのです!!」

 

「おまえはブレないなエル! え、待って何それ?! 何処から持ってきたそのアイディア!」

 

「なるほど! ではこの『ダグ●クター』を使って禁断の超火炎合体をデク君に!」

 

「おまえがそれを持ち出すなよ、アインズ! 何、鎮守府の倉庫から持ち出してくれちゃってるの?!」

 

 おいおいおい! それは宇宙警察機構の人が、『記念品にね』とくれたもんだろうが!  

 

「ダメだアインズ!」

 

「よし、よくぞ言った、コナン。もっとやれ」

 

「デク君は緑がパーソナルカラーだ! なら、ここは勇気を源にする石を渡して」

 

「なるほど! 最終的に金色の破壊神になる、と!」

 

「なるほどじゃねぇよ! コナン、おまえも何してんだよ! その石とライオンは使わないって決めただろ!」

 

 危ないことしてんなよ、なんだよそれは! 第一、あれを使ったら星が消えたの忘れたのかよ?!

 

「探偵の宿命みたいなもんだな。謎は解き明かしたいんだよ。具体的にはどうして勇気がエネルギーになるのかってことをな」

 

「解き明かしていい謎と解き明かしちゃダメな謎があると思います!」

 

 もうやめなさいよ! 本当にダメだから止めてくださいよ!

 

「なるほど。じゃ、アーマードにしてミサイルを多量に積むってことだね」

 

 違うって、ソープも頼むから真面目にやれよ。

 

「そうか、そうか、そういえば、メタトロンも緑色に発光するはずでは?」

 

 アインズぅ、どうしてそっちに話を飛ばした? というより、なんでみんながロボットに話が行くんだよ。

 

 あれか、エルのためか、最初にああいったのは、この時のためか。

 

「失礼な。僕も状況を選びますよ」

 

「本当か?」

 

「はい! ロボットのためなら手段を選びませんけど!」 

 

「自信を持って答えるものじゃない!!」

 

 ああ、もう俺一人がツッコミって、虐めじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も、デク君に改造計画、あるいは武器庫化計画は激論が続いた。

 

「やはりガンダム系がやりやすい!」

 

「却下です! 今さらそんなありふれたロボットなんて僕のロボット主義が許しません!」

 

「いや、ロボットから放れようぜ。武器庫だろ、武器庫」

 

 エルが絶対にロボットにしたいって考えて、そこに固執したり。

 

「ふむ、ならば変身させてはどうかね? ここは仮面ライダーのどれかを」

 

「変身はロマンなんだけどね。デク君との相性が問題かな」

 

 割と真面目なアインズと、それに真面目にシミュレートするソープがいたり。

 

「おい、ギル。おまえの『宝物庫』参考にした方がいいんじゃないか?」

 

「当初は我もそう考えたのだが、いかんせん、デク自身の『黄金律』が低すぎる」

 

「そっか」

 

 危なかった! もう少しで我様デク君爆誕するところだった会話が、コナンとギルの間でされたりとか。

 

 え、ギル、待って、『宝物庫』を参考にしてもいいの?

 

「いっそのこと、何かと混ぜますか?」

 

「そうだな、崩壊させるか」

 

 突拍子もないこと言いだす黒霧と、乗り気になりつつある弔を止めたりとか。

 

「かっちゃん、本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ、この人たちに任せておけば、おまえもロックだ」

 

「ええ~~」

 

 幼馴染のあまりの変わりように、なんだかデク君が涙目になっていたりして。

 

 あ、彼は俺と同類だ。周りに振り回されるタイプだ、なんてことを俺が思ったりしたのは内緒の話だけど。

 

「決まらんな」

 

「そりゃ、あんだけ好き勝手に言ったら決まらないでしょうが」

 

 決めるつもりあったんだ、アインズ。俺はてっきり、馬鹿騒ぎで終わりにしたかったのかって思ったよ。 

 

「こうなりゃ、本人に決めてもらうがいいんじゃないか?」

 

「は!! なるほど、それは盲点だったな」

 

「え、いや普通にそれが一番じゃないの?」

 

 コナンの提案に、アインズが頷いているけど、なんで最初にデク君の話を聞いてあげなかったのさ。

 

「というわけで、デク君、君はどんなヒーローがいい?」

 

「ぼ、僕は・・・・・」

 

 いきなり話を振られた彼は、ちょっとだけ周りを見て怯えた顔になった。あ、怖いよね、周りがこんな連中じゃ怖がって当たり前だけど、気のいい奴らだけだから。

 

 かなり、愉悦に染まって、楽しいことのためなら色々やるけど。

 

「僕はオールマイトみたいなヒーローになりたいです!」

 

 へぇ~~そうなんだ。そっか。

 

「つまり、『ハ●ク』になりたいと!!」

 

「おまえら全員! 頭を冷やしてこいよ!!」

 

 なんでオールマイトの名前の後に、アメリカのヒーローが出てくるかな?!

 

 まったく、どいつもこいつも。

 

「デクがオールマイトになりたいなら、体を鍛えないとな」

 

「はい! 鍛えます!!」

 

「そういえば、艦娘の艤装って重いんじゃなかったか?」

 

 え、弔、何を言っているのかな? 

 

 あれ、デク君、それってどんな顔。え、艦娘を知らない、見たことない。確かのこの世界にはないからね。

 

 艤装がかっこいい。いや、でもそれは男は装備できない。

 

 あ、出来た。え、君って『前世、艦娘』だったりします?

 

 しかも土佐型の奴を装備ってなんで?!

 

「というわけで、デク君です」

 

「ありがとうございました!!」

 

 こうして彼は見事にヒーローになったのでした。なんだか、緑色の輝きを放つ艦艇の艤装を纏ったヒーローの話が、世間で噂されるようになったのですが、俺はその話を聞くたびに遠い眼をするようになりました。

 

「そういえば、爆豪とデクは雄英を受験するそうだぞ」

 

「へぇ~~俺、逃げ出したい」

 

「無理だろうな」

 

 後日、俺はオールマイトに呼び出しを貰いましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 デク君の武器庫化を考える、ガンダム、マクロス、ゾイドと色々と考えてロボットを纏わせてみるのもいいかな、と行きつきかけて。

 ハッと気づいた、この物語の田中・一郎は何処の世界からの転生者か。

 よし、最も絡ませやすくするために、デク君は艤装を纏ってもらおう。

 という風味なお話になりました。





 
 ちなみに、デク君艤装形態のイメージは、大和型をベースとして左右に二基ずつ主砲がついていて、飛行甲板が背中に二つ。足のブーツが丸々艦艇。コスチュームはテレビ版そのままです。

 殴る蹴るの時は艤装がウネウネと動いて、デク君の動きを妨害しないようになります。

 艦載機は飛行甲板にて発艦・着艦するタイプ。主砲も消化弾や粘着弾とか、デク君の考えた通りの弾種が揃っています。

 主砲は脅威の五十二センチ三連装です。飛行甲板は装甲化、脳無の一撃も防げます。

 ちなみに、この土佐型、『クライン・フィールド完備』の上に、重力子エンジン搭載型だったりします。

 ではでは。




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