強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』   作:サルスベリ

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 迷走とか暴走とか、迷子とか、色々ありますね。

 つい先日、ヒロアカのアニメを見ました。

 あれ、こいつってひょっとして。

 映画も見ました。

 その結果、こんな夢を見て慌ててメモしたのが今回の話です。

 暴走特急まっしぐら、ブレーキなんて関係ないぜ、やりたいことやろうぜ世界なんて知らね、風味の話です。





類は友を呼ぶっていうけど、同類以上の奴が来ることもある

 

 

 望んでも手にできないものは世の中にはある。願っても叶えようと努力しても、どうしても手から零れ落ちてしまうことがある。

 

 努力して試行錯誤を繰り返して、何度も何度も挑戦しても、結果が出ないことなんていくらでもあった。

 

 彼もそういった失敗の経験はあった。自分がやっていることが無意味かもしれないと、もう諦めたほうがいいのではないかと。

 

 何度も悩み、手を止めて、それでもやり遂げたい意思が心の奥底で燻っているから、止められない。

 

「もう嫌だよ」

 

 何度も聞いた声と言葉を、また聞くことになっても。

 

 涙を流している彼女がいたとしても、どうしても止められない。

 

 原因を調べて、打開策を考え、誰でもいいからと相談しても、誰からもアイディアが出てこない。

 

 自分の才能の無さが嫌になる。

 

 どうしてこう自分の個性は、願いに沿わないのか。こんな無駄な個性があっても、無意味ではないか。

 

 挫折と絶望感に支配された彼は、街中を当てもなく歩いていた。

 

 道行く人は誰もが彼女が望んでも手に出来なかったものを持って、それが当たり前だと信じて疑わず、無理して背伸びして、世間の何かに流されてごく当然のように『違和感』を身に纏う。

 

 革命が必要だ。誰もが眼を覚ますための、革命を。けれど、自分にはその力がない、才能がない、個性が使い易いなんてバカな話でしかない。

 

 歩くのに疲れた、そうじゃない心が疲れただけだ。

 

 道行く人波を眺めながら、彼は懐から一枚の写真を取り出す。

 

 『白い髪の』。

 

 ハッと彼は立ち上がる、写真の向こうを白い髪の人物が歩いていた。見つけた、いや背格好が違う。けれど、あの服装はなんだ、見事な色彩とデザインのあれはどうしたことだ。

 

 思わず彼は追いかける。

 

 我武者羅に追いかけ、ある店の前で立ち止まった。

 

 『ラ・エンテル』。

 

 ここか、それかその下か。階段の下を覗けば、『ジェミニ』と書かれている。まさか、ここはあの場所か。

 

 ある噂を思い出し、彼は全身を硬直させた。

 

 心に染みわたる料理を出す店。そして、魂を救う一杯を出すバー。

 

 ここならば、自分は見つけられるかもしれない。

 

「待っていろ、エリ」

 

 小さく呟く、決意を込めて男は『ラ・エンテル』の扉に手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆さま、どうも、田中・一郎です。早速ですが、俺は怒鳴らないといけない。もう心の底から怒鳴ってお説教しないといけない。

 

「こらエル!!」

 

「はい?」

 

 何事と振り返るあいつは、大きなプラカードを持っていた。『おいしくて安い店、『ラ・エンテル』、貴方の胃に極大魔法!』って書いてある。

 

 うぉい! 待った、ちょっと待った! え、何それ? 胃を消滅させたいの、待って、そっちまであるの、俺一人の突っ込みでそれをさばけって。

 

 こいつ、俺を殺しに来たな。

 

「なんですか、一郎さん?」

 

「まず最初にだな」

 

 よっし、プラカードは置いておこう、そっちは後でいいや。

 

 まず最初にこいつの格好を叱らないと。

 

「おまえ、その服装なんだよ?」

 

「なんだよと言われても」

 

 くるりと目の前で一回転するエルの『スカート』が翻った。

 

 うん、スカートだよ、スカート。なんだよおまえ、なんで不思議の国のアリスみたいな恰好してるんだよ、しかもエプロンドレスは白でも、その下はピンクって何を狙ってんだよ。

 

「ただのアリス・ブランドですよ?」

 

「何処のブランドだよ?」

 

 服装もそうだけど、その背中の翼は何? 天使ですか、天使なんですね、まあ似合っているかどうかっていうと、おまえは男かってキレるくらいに似合っているけどさ。

 

「ギルが投資したブランドです」

 

「ギルガメッシュぅぅぅぅぅ!!」

 

 元凶はあいつかまったく! どうしておまえは平穏とか普通に生活できないんだよ、何か俺に恨みでも有るのか!

 

「フ、どうした我がマスターよ。なんだ、その顔は? そうかそうか、王の中の王に普通の生活をしろというのだな? 許せ、マスターよ、我の溢れるばかりの『王のオーラ』が、普通の生活を拒絶するのだ」

 

「おまえは俺の顔色から察するなら悪ふざけは止めろ。アリス・ブランドってなんだよ、誰のための」 

 

「フ、馬鹿を言うな、

 

ユニコーンのために決まっている

 

 真顔で決めたよ、この馬鹿愉悦王。なんでそこでユニコーンのためって言いきるんだよ。おまえはそこまでユニコーン至上主義化か。

 

「我が人生に、一片の悔いなしといえるほどだな」 

 

「お前」

 

 そこまでか、そこまで何ですか。こいつ、そんなになるまでユニコーンが大好きってわけか。

 

「マスター、それ以上は止めるがいい。いくら我が寛容でも、それ以上の『称賛』は恥ずかしいものがある」

 

「褒めてない、絶対に褒めてない」

 

「照れることはないぞ、存分にユニコーン至上主義の我を褒め称えるがいい。いずれ世界を染め上げて見せようぞ」

 

「おまえは何処の真珠メーカーのトップですか?」

 

「世界をユニコーンで染める力を」

 

 ダメだ、今のギルはハイテンションで止められない。

 

 はぁ、まったく。でも、ユニコーン以外に反応しないし、それ以外で馬鹿やることはないからいいか。

 

 あの言葉に反応しないだけ、救いがあるよな。

 

「イエス・ロリータ」

 

 試しに言ってみても、ギルは軽く笑っているだけだ。

 

ノータッチ!!!

 

 

 へ? あれぇ~~なんで別方向からくるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 店の扉を吹き飛ばす勢いで、男は叫んでいた。

 

 黒髪の三十歳くらいの男性で、服装はスーツっぽいけど。

 

「・・・・失礼」

 

 今更、身なりを整えられてもね。

 

 呆れる俺達を余所に、男は大股で歩いて来て、エルの前に片膝をついた。

 

「君、その服は何処で手に入れたのかな? あるいは誰が作ったのか、もっと言えばどうやったら手に入るのか?」

 

「え、あの、これですか?」

 

 流石のエルも引いてるな。うわぁ、目線で『変態です、変態がいます』って訴えているけど、おまえだって女装しているから変態になるんだけど、解っているのかな?

 

「おい、客なら注文をしろ」

 

 おまえはさすがだよ、弔。この異様な空気の中、普段どおりに動けるんだからさ。

 

「これはすまない。つい興奮してしまってね」

 

「そうか、変態なのか?」

 

 ちょ?! おまえな、弔! 直球過ぎ! なんでそんなに真っ直ぐに行ったの、普通は少しオブラートに包むとかしないのかよ?!

 

「何の話だね? 私はいたって普通の」

 

「普通の、何だ?」

 

小さな可愛い子が好きなだけだ

 

 変態決定! うわぁ~~キリッとした顔で言いきったよ、こいつは間違いなく変態だ。

 

「誤解があるようだが、私は可愛いものが好きだ。ただそれだけの男でしかない」

 

「何かあったのか?」

 

「少しな、私は自分の才能に限界を感じている」

 

 あれ、なんか弔が相談に乗っている感じになっているけど。

 

「限界か。俺も限界は感じたことはある。けれど、それを試行錯誤で乗り越えた先にこそ、新しい道が開けてくると信じている」

 

「そうか、君はそうしているのか。羨ましいな」

 

「俺一人の力じゃない」

 

 あれ、なんだか二人の会話がかみ合っているような、かみ合っていないような。あれってなんか、通じ合っていませんかね。

 

「フ、そうかそこで繋がるか。歴史とは面白いものよな」

 

「え、ギル、なんでそこでシリアスになるわけ?」

 

「たわけ、我はいつでもシリアルよ」

 

 え、それって何の話?

 

「そういえば名乗っていなかったな。『治崎・廻』だ」

 

「死柄木・弔、ここの料理人だ。それで、おまえは何に悩んでいる」

 

「ああ。私はこの子のことでな」

 

 そっと治崎は懐から写真を出した。

 

 あれ、えっと娘さんってことでいいのかな、じゃなければ本当い変態扱いするしかないけど。

 

 写真には白いちょっとウエーブのかかった髪と、右の額から角の生えた少女が、『白いワンピースを着て背中から天使の羽を出して』ちょっと涙目になっている姿が映っていた。

 

「これが」 

 

うちのエリちゃんマジ天使

 

 変態だぁぁぁぁ!!

 

 すっごい速度で俯いて拳を握って小さくガッツポーズして、何か魂のこもった一言を呟いた治崎は、その後すぐに顔の前で手を組む姿勢に戻った。

 

 すげぇ、早業。何それ。

 

「侮れませんね。さすがです」 

 

「エルが何に戦慄しているのか、俺には解らないよ」

 

 なんで額を汗を拭って唸っているのかな、こいつは。

 

「私が探しているのは、彼女のための服だ。見ての通り、普通の服ではダメだ」

 

「そうか?」

 

 弔は首をかしげているけど、俺も同意見だよね。別に今の服装がおかしいってわけじゃないし、特別に変なところがあるわけじゃない。

 

 普通に可愛い女の子って見た目だけど、天使の羽以外は。

 

「ダメだ!!」

 

 いきなり治崎は叫んだ。叫んで立ち上がり、片手を天井へと向けた。

 

「ダメなんだ! これではエリの可愛さの一億分の一も表現できていない! いいか彼女のサラサラヘアーを見ろ! この艶と色合い、何ものにも汚されぬ白! 天然の髪色としては最上級! いやもはや、この世においてこの色合いに勝る髪は存在しない、まさに天下一品、天空の女神にも勝るものだ!」

 

「あ、ああ」

 

 おいおいおいおい、なんでそこで力説が入るのさ?!

 

「しかもだ! この瞳を見ろ! 赤い、とても赤くて健康的だ! まさに太陽! 地上すべてを照らす神々の瞳! その瞳に幼いながらもしっかりとした美を封じ込められている、この瞳だけで三倍は逝ける! 見つめられてみろ、おまえもすぐに昇天できるだろう!」

 

 天に昇ってんのはおまえの危なさだよ、みろよ店内にいるお客さんが凄い白い目で見て・・・・・ないだと!?

 

 なんで半数が頷いて、半数の人が写真を見て『確かにこの服はな』なんて言ってるの? え、この店って『そういう連中の集まり』?

 

「だというのに全体的な印象は幼くか弱く儚く。まさに少女の面影そのもの! 守ってやりたくなる衝動を抑えるのに、俺はお経を三十分は唱えるしかない!」

 

「誰かオールマイトを呼んできてくれ。こいつを捕まえないと」 

 

「変態ってヴィランだったんですか?」

 

 ち、違うのか、でもオールマイトなら何とかしてくれそうじゃないか。

 

「儚く壊れそうなほどの美しさを持ちながら! エリは笑顔を見せてくれる! 精一杯に笑ってくれるのだ!! 私に向かってだぞ! 『お洋服ありがとう』などと言われたあの日! 私は自分の運命を悟った! 同時に世界を呪った! 何故だと!!」

 

 治崎は天井へ伸ばしていた腕を床に叩きつけ、そのまま項垂れた。

 

 いや、俺が項垂れたいわ。

 

「どうしてだ! どうしてこの世界は『こんなはずじゃなかったこと』ばかりなんだ! 間違いだ! こんなのはおかしい! どうしてだと私は何度も叫んで探した! 探して探して世界中を旅してしまったほどだ!」

 

「話がズレてない?」

 

 俺は思わず弔に訪ねた。

 

「いや、繋がっているな」

 

「ほう、さすがだ弔よ、貴様も推察力を上げてきたな」

 

「英雄王に褒められる日が来るなんてな」

 

「フフフ」

 

 え、あれ、俺だけ? えっと、エルは? あ、ダメだ、なんか凄く頷いている。コナン、俺の最終精神的防壁のコナンは何処だ、名探偵が解説してくれないと俺の精神が崩壊しそうだ。

 

あ、黒霧と出かけたんだった(泣)

 

「だが見つからなかった! 見つけることが出来なかったんだ! だから俺は決意した! 見つけることができないなら作るしかないと!」

 

 そして治崎は再び立ち上がり、エリちゃんの写真を高らかに掲げた。

 

「うちのエリちゃんのマジ天使で可愛いを、さらに引き立てる洋服を!!」

 

「・・・・・・え、そこに繋がるの?」

 

「一郎、おまえは少し回りのことを察することを覚えてくれ」

 

「我がマスターは相変わらず空気が読めない男だな」

 

 え、俺が悪いって言うのかよ、と振り返って叫ぼうとしたら店中の人達が頷いていた。トッティちゃんやトルテ君までも。

 

 コナン! コナン、カムバック! もう俺のライフはマイナスだぜ!

 

「だが、出来なかった。俺にはこんな駄作しかできなかったんだ」

 

「そうか、長い旅路だったようだな」

 

 あれ、ギルが妙に優しく治崎の肩を叩いているんだけど。

 

「お疲れ様でしたね」

 

 エルもなんでそんなに優しいのさ、何があったの。

 

「これは俺のおごりだ、食べていけ」

 

 弔まで。え、そこまでのオオゴトなのか、だって可愛い子に服を見つけることができないから、自分で作ってやろうぜって話でしょ。

 

「一郎、おまえは何時からそんな冷たい男になったんだ?」

 

「あれ、え?」

 

「フ、マスターよ、貴様は慢心したようだな」 

 

「へ?」

 

「酷すぎませんか、一郎さん」

 

「えぇぇ?」

 

 なんで弔、ギル、エルって三連ちゃんで怒られたの。え、俺が場違いっていうか、空気読めない男になってるんだけど、これっておかしいのかな。

 

 飲食店でやる会話じゃないでしょうが。

 

「皆、ありがとう。しかし、私はついに見つけた。そう、君のその服だ。どうか、私にエリちゃんを天使にする術を授けてくれ」

 

 なんか、神様に祈るように片膝ついた治崎がエルを拝んでいるんだけど、それは違うよね。

 

 エルじゃなくて、作った人に祈るべきじゃないの。いや祈るっていうより買ってくればいいんじゃないの。

 

「いいでしょう。貴方のエリへの愛情は、深くそして偉大でした。誇りなさい、このエルネスティ・エチェバルリエが証明しましょう。貴方は今、偉大なる勇者(紳士)達の列に並ぶことを許されました」

 

「おおおお!!」

 

 エルが凄く尊大な話し方をすると、治崎は泣いて喜んだのでした。

 

 そういえば、エルって王族以上の貴族の出だったなぁ、なんてことを俺は思いだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その日から治崎・廻の特訓は始まった。

 

「ダメです! 素材をよく見つめなさい! 同じ布でも質感を感じ取りなさい!」

 

「は、はい!!」

 

 ある時はエルに布の束に巻かれて廊下を転がされて。

 

「色合いは自然界の神秘、その色い合いを重ねることで得られるのは神々の領域、しかし人はそれに美を見出し、ファッションとした。さあ、君が望む相手を引き立てる色を描き出すだ」

 

「はい!!」

 

 ある時は、まさに自然界の色が集められたような滝に打たれ、ソープの教えを聞いたり。

 

「ぬるい! 貴様の愛情はその程度か!! 温すぎる!! 貴様の魂を燃やせ! 情熱を燃やせ! ただ着るものへの『敬意と愛情を』注げ!」

 

「はい!!」

 

 ある時は、アインズによるデザイン講座とかされていたり。いや、アインズのセンスってかなり磨かれたけどさ、それって音楽関係じゃないの。

 

「知識とは力だ、世界中を探したならば知識はあろう、しかしそれだけ至高は生み出せぬ。過去に学ぶがいい。すべての服飾の知識を入れよ」

 

「了解だ」

 

 ある時は、ギルによって膨大な資料の海に沈められたり、と。

 

 本当に凄いと思うよ。マジで変態っぽいけど、あの情熱は俺も見習うべきかな。 

 

「一郎さん、あれは何をしてんだ?」

 

「新しいお弟子さんですか?」

 

 お、爆豪君とデク君だ。学校が終わったのか。

 

「はい、弟子?」

 

「違うんですか? てっきり、また僕とかっちゃんみたいに、何かの教えを請いに来た人かなって」

 

 え、あれ、そんなことしてないと思いたいけど。

 

「あいつ、アインズさんの攻めにも耐えてるぜ。ロックな気配がする」

 

「かっちゃんダメだよ。まだあれって初歩くらいだから」

 

 え、初歩、何を言っているのか、解らないよデク君。初歩って何、服を作るための訓練しているんだよね。

 

「バーロ、デザインに訓練なんてねぇよ」

 

 俺はその日、コナンに言われてやっと気がついた。うん、デザインを学ぶだけなら、服を作るだけなら肉体的な修行はしなくていい、と。

 

 止めなくちゃ。

 

「一郎、ここは任せてみよう」

 

「弔、どうしてだ?」

 

 なんでか、弔が俺を引きとめた。

 

「そのほうがあいつのためだ」

 

 なんでか、治崎を優しく見ているけど、何か共感できるものがあったのかな。

 

「あいつは俺と同じだからな」

 

「弔と? そんなに同じ部分はないと思うけど」

 

「同じさ」

 

 ちょっとだけ照れたように笑う弔に、それ以上のことは聞けなかった。

 

「あいつは俺と同じで、迷って悩んでようやくなりたいものを見つけたんだ」

 

「何か言ったか?」

 

「言いや」

 

 弔はそう答えて、『ザ・ハンズマン』の仮面をしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 治崎・廻。個性、『オーバーホール』。対象を分解し、再構築、あるいは分解したもの同士を結合させることができる彼は、地獄のような試練を潜り抜けた。

 

「ようやくだ、エリ。ようやく出来たぞ」

 

 壮絶な訓練の果て、彼は個性も使った自分のすべてをかけて少女に服を送った。

 

「ありがとう」

 

 少し頬を染めて笑顔で告げる少女の姿に、治崎は小さく微笑み返した。

 

「我が人生、未だ至らず。しかし、その道筋はここに始まる」

 

 エリの笑顔を胸に秘め、彼は歩き出す。

 

 世界中の可愛い少女に、その可愛さを昇天させる服を送るために。

 

 彼は邁進した。やっと手に入れた納得できる技術と、それを叶えるための情熱のままに。

 

 やがて彼は、こう呼ばれるようになる。

 

 『ミスター・クローゼット』、あるいは女性を美しく飾ることから、『ドレッサー』と。

 

 それは、爆豪とデクが雄英の入学を決めてから、少しした頃のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二つの意味で何か言うことはあるかね、田中少年」

 

「はい、オールマイト。変態の情熱は世界を活性化させます」

 

「よろしい! では君は反省していない、ということでいいかな?」

 

「すみませんでした」

 

 そして、俺こと田中・一郎は、治崎の一件と、『やり過ぎだよ爆豪君とデク君、イン雄英入試試験』でオールマイトに呼び出されたのでした。

 

 





 治崎、エリの可愛さのあまりに変態になる、でした。

 なんか、アニメを見た後に、『あれ、こいつってちょっとでも踏み外したら、変態まっしぐらじゃないのかな』なんて妄想の後に、エリちゃんの魅力を延々と語る治崎の夢を見て、書こうと決めました。

 そろそろ本編に、でも短編だから終了しないと。

 もっと書きたいからどうしようって考えながら風味のお話でした。





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