強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』   作:サルスベリ

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 転生しました、ヒロアカ世界。

 最初に会ったのが五歳児で触るなって言われて。

 まあ、今では懐かしい思い出だよね。

 そうだったらいいなぁ






普通に生きたいって願うだけ無駄なのかな

 

 

 さてさて、月日がたつのは早いっていうけど、あれは本当だね。

 

 毎日、毎日、必死に生きてきたけど。

 

「あれって何してるんだ?」

 

「さあ?」

 

 戸籍もないんだぜ。本当に生きるために頑張らないといけないって、必死になっていたんだけどさ。

 

「ふむ、今日も株価は上がっているな」

 

「おめぇ、今度は何処の会社を買ったんだよ?」

 

 忘れていたのさ、俺って転生者だから転生特典があるって。気づいたのは五歳児でもできる仕事やっていた時だってね。

 

 裏稼業ってあんな子供も鉄砲玉に使うんだぜ、本当に厳しい人たちだよ。でもおかげで資金はもらえた。子供でも働きには報酬を出すって、ある意味で表の人たちより筋が通っているよね。

 

 うん、俺ってなんで死んでないんだろ。

 

「そういえば、一郎さん。通知が来ていましたよ」

 

「え、なんて?」

 

 珍しいこともあるもんだ。俺のところに通知なんて久しぶりだな。

 

「個性テストのお知らせ?」

 

「あ~~~ついにか」

 

「ついに、ですね」

 

「え、ちょっと待って、何これ? 俺の個性ってあるわけないじゃん」

 

 ははははと笑っていると、室内にいた誰もがすっごいため息ついているし。

 

 え、どういうこと。

 

「俺の個性に耐えた一郎が無個性って」

 

「私の個性でも耐えたというのに」

 

 なんでそこで二人が呆れているかな。

 

「え、弔の個性って識別可能じゃなかったっけ?」

 

「はぁ」

 

 うわぁ~~~すっげぇムカつく。なんだよその、『おまえ、馬鹿って』顔は。泣いてた子供が今じゃいい大人してんじゃないの。

 

「今じゃ出来るけど、あの頃は無理だったんだよ。それで家族殺したの知ってるだろ?」

 

「まあ、それはまあ」

 

 悲しいことなのに、今は普通に話すんだよな。昔は思い出すたびにピーピー泣いてさ、いろんな奴にお世話になったのに。

 

「うっさいよ、馬鹿」

 

「人の思考を読むなよ、アホ。で、黒霧、誰からだって?」

 

 呆れた顔、顔でいいんだよね、今でも疑問を感じちゃうけど、うちの『店』の主戦力だから、あまり変なこと言わないけど。

 

「保健所か病院だろ? この個性社会で、テスト受けてないってだけで大騒ぎになるんじゃないか?」

 

「そうかそうか、ついに探知されたか。では我の愉悦が始まるというのだな」

 

 うっさいよ、そこの名探偵と英雄王。

 

 あ、ちなみにこいつらが俺の転生特典の一部でさ、最初の人生からズッとついてきてくれるいい奴らだ。

 

 時々、俺を追い詰めるけど(泣)。

 

 あれ今なんか、変なこと言ってなかったか?

 

「コナン、今なんて?」

 

「だから、テスト受けてないだろ、おまえ」

 

「・・・・・・・弔?」

 

「俺、一応あるぞ」

 

「私もありますよ」

 

「まさかの二人の裏切り?! え、だって二人とも偽名じゃん!」

 

「戸籍作ってもらっただろ」

 

 え、誰に? って聞くまでもないか。電子技術ならなんでもできますって、凄腕のハッカーがいるからな。

 

 あれも俺の転生特典なんだけどなぁ。

 

「コナンとギルは?!」

 

「全員、偽造済みだ、バーロ」

 

「チックショウ! てめぇ、名探偵! それでいいのかよ?!」

 

 正義とか法を護っていたおまえは何処に行った?!

 

「・・・プレデターとかエイリアンとか、『あいつら』がいるんだぞ。多少の嘘は許されるだろ?」

 

 ク、昔の綺麗なコナンはもういないのか。俺が転生した世界で『あ、こいつらがいたら白兵戦しなくていい』とかいって、貰ったのが悪かったのかな。

 

「人が殺されなきゃいいさ」

 

 遠い眼をするコナンに、そうだなぁっと思ってしまう。

 

 もう転生するたびに死ぬ思いをしたから、色々なところで色々な力を求めたのは、俺の若さ故の過ちってしたい。

 

 仕方ない、行くか。

 

「行ってくる」

 

「最速で帰ってこいよ。もうすぐディナータイムだ」

 

 何時も通りの服を着ながら、弔がそんなことを言っている。

 

 そうだなぁ、なんだろうな。『崩壊』って個性を持っているのに、なんでこいつはシェフって仕事についたんだろう。

 

「弔、今日はいい大根が入りましたよ」

 

「さすがだ、黒霧。今日は大根をメインに使ってみよう、最近はヘルシー料理が流行らしいからな」

 

「ヘルシーなら鶏肉もいいだろ?」

 

「名探偵の推理には恐れ入るな」

 

 なんだか、後ろでそんな会話しているけど、任せていいか。

 

「じゃ、行ってくる」

 

『キュシャ!!』

 

 店の入り口でエプロンと猫耳付けて、掃除をしているエイリアン『トッティ』君と、庭木の世話をしているプレデター『トルテ』君に声をかけて、俺はため息交じりに歩いていくのでした。

 

 あれがあるから、『モンスターレストラン』とか、『バー異世界』なんて言われているんだろうなぁ。

 

 あ、でも怖いっていうより、『面白おかしい』って感じなんだけど、この世界の感性っていかに?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通はもっと小さい頃に受けるんだ、とか。なんでもっと速く来なかったとか、色々と文句を言われました。

 

 だってそんなのあるって知らなかったし。

 

 あれ、でも弔は知っていたし黒霧も知っていたよな。あれか、あの『先生』って言われているあいつが、色々と世話をしたのかな。

 

 やめよう、なんでかあの人のことを話すと弔も黒霧も殺気だらけになるし。

 

 コナンと英雄王なんてさ、フル装備で出ていこうとするから。

 

「うん、君の個性は『鎮守府』だね」

 

「あ、はい」

 

 うん、知ってた。それ俺の転生特典。最初の転生の時に貰った、艦これ世界での俺の鎮守府を呼び出せる能力だよね。

 

 あれのおかげで五歳児でも生きていけるし、食糧に困らないからいいんだけど、コナンとギルも『鎮守府にいたから』で呼び出せるし、他の艦娘達も呼び出せるんだけど。

 

 何度も転生して解る、俺の鎮守府の艦娘達の規格外さ。もう常識を投げ捨てたくなってくるくらいだよ。

 

「珍しい個性だが、どんな個性かまでは解らないね。どうだろう、雄英でも受けてみるかい?」

 

「いえ、遠慮します」

 

「学生ならばヒーローを目指すものだが、君は違うようだ」

 

 ヒーローね。

 

 俺には無理かな。だってあんなに傷だらけになりながらも、他人のために戦うなんて俺にはできないさ。

 

 病院を後にして俺は自分の家に戻る。

 

 今の俺は、こう目の前にいる人たちと馬鹿やるだけで十分だって。

 

「ただいま」

 

「いいところに戻った! 今すぐそいつを捕まえろ!」

 

「は?」

 

 店の入り口から入ったら、中が凄い惨状でした。

 

 テーブルやイスは崩壊。棚は砕け散っていて、食器類が宙を舞っている。

 

 なんでどうして、と視線を入口のところへ向けると、トッティ君とトルテ君が膝を抱えて天井を見ていた。

 

 泣いているんだね、解るよ、その気持ちはよく解る。

 

「ギュワァ!?」

 

「おまえは今日のディナーの食材になるんだ。摘み食いの罪は重い」

 

 弔、そのブレスレットを外すと個性の識別できないって言っていたよね、なんで外しているのさ。

 

「私のゲートから逃げられるとでも?」

 

 黒霧、普段の冷静で紳士的なおまえは何処に行ったんだよ。

 

「逃げんなおまえ!!」

 

「我のお気に入りの食器を壊した罪は重いぞ!」

 

「うわぁ~~~お」

 

 俺は暴れて店内を飛び回る『ギャオス』からそっと視線を外し、続いてトッティ君とトルテ君と共に店の外へ出た。

 

「私が来た!! おや、今日は店が随分と騒がしいようだが、どうしたのかね?」

 

 あ、うちの常連さんが来た、でも今日は駄目なんだよね。

 

「オールマイト、今日は臨時閉店です」

 

「そうなのか?」

 

「はい」

 

 俺がそう答えてそっとドアを開けると、噂のナンバーワンはそっと中を見た後に、店の隣にある地下への階段を指差す。

 

「こっちが早めにやるなんてことは?」

 

「どうでしょう?」

 

「そうかぁ。楽しみにしていたんだが」

 

 ハハハと二人で笑い、その後に深く俺達はため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弔がやっている店は、正式には『ラ・エンテル』って言う。名前からフランス料理って思う人が多いんだけど、実際には『街の食堂屋さん』が近い。

 

 その日に仕入れた食材を使って、弔自身が美味しいと思った料理を出す。メニューはあるけど、誰もがメニューじゃなく弔シェフのお勧めを頼むから、あってないようなものだけど。

 

 で、その店の隣には地下への階段があって、そっちにはバーがある。

 

 黒霧が五年ほどかけて各地のバーを巡って頑張って修行して、色々なカクテルを作れるようになったから出した店だ。

 

 バーの名前は、『ジェミニ』。黒霧以外でも、俺達が手伝ったりしているのは弔の店と同じなんだけどね。

 

 未成年が店員しているから、警察とかヒーローとか来たことあったけど、あの時は大変だったなぁ。

 

 弔の過去とか黒霧の過去とか、感のいい人は察してそうだけど、深く探りを入れてこなかったのは幸運だったな。

 

 後ろでコナンとギルが色々やっていたことは、俺も知っているけど、それだけで潜り抜けられるピンチじゃなかったし。

 

「ハハハハハ、なるほど。確かに摘み食いは罪だな」

 

 普通は20時くらいからの『ジェミニ』は、今日は18時からの営業となっています。

 

 理由、聞くなよ、解るだろ?

 

「あのチキンめ」

 

「こらこら、死柄木少年。そんな言い方はやめたまえ。おかげで私は、こうして」

 

 と、オールマイトがテーブルの上に置かれたポークソテーの乗った皿と、淡いブルーの液体の入ったグラスを持ち上げる。

 

「君と黒霧氏の料理とカクテルが楽しめている」

 

「上があんな惨状じゃなければ、やらないからな」

 

「解っているさ。君の信念は、料理はお酒で誤魔化さないだったな。確かに上手いが、アルコールが欲しい人もいるものさ」

 

「そんなもんか」

 

 弔はいまいち、解らないって顔しているな。

 

 まあ、酒を飲んだことないから、解らないか。料理と一緒に出すことは、弔が反対しているのでやってない。というより、未成年のシェフが作っている料理に、お酒を出すとなるとまた警察とかがうるさいから、できないってほうが大きいか。

 

 お酒を出さないから見逃して、って意味もあるけど。

 

「っていうか、いいのかよ、ナンバーワン・ヒーロー。酒なんて飲んで」

 

「私は大人だ。それに酒が入ったくらいで、ヒーロー活動に支障が出るようなことはない。飲み過ぎもないからな」

 

 自信満々に言うオールマイトだが、俺と黒霧は知っている。

 

 最初の頃、黒霧のカクテルのうまさに立てないほど泥酔した、どっかのナンバーワンがいたってことを。

 

「後で監視カメラを見てもいいか?」

 

「・・・・・・・・・ごめんなさい」

 

 うわぁ~~、ナンバーワンが頭を下げたよ。監視カメラなんてないのに、そんな口先だけで騙されていいのかよ、ナンバーワン。

 

「と、とにかくだ。上手い飯と上手い酒、それは人生を豊かにする、と昔の人は言っていたぞ」

 

「うまい飯は納得だな。俺もまだまだ作れない料理のほうが多い。もっと腕を磨かないと」

 

「え、まだ上を目指すの?」

 

 思わず洗い物をしながら聞いていた俺は、驚いて弔の顔を見た。

 

「三ツ星とか有名店なんかに、俺は料理で負けたくない」

 

「あ、そう」

 

 いや弔、なんでそこで背中に炎を背負っているみたいに燃えているのさ。何があったの、お前に。

 

「昔、何処かの馬鹿が『え、卵焼きも作れないの』と言っていたのは、我の記憶違いであったか?」

 

「バーロ、そのまえに『料理できなきゃ、人間じゃない』って煽った奴がいただろうが」

 

「はっはっはっは、誰だそんなひどい奴」

 

 俺が大笑いで手を振ってみると、全員が指さして叫んできた。

 

「おまえだよ!!」

 

「あ、すみません」

 

 昔のことなんて忘れたわ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある街のある場所に、変な店が二つあるって噂話。

 

 個性で人じゃない外見をした存在がいる中でも、異質のような姿形をした店員がいる場所は、多くの人の噂になった。

 

 血色の悪そうなシェフがいて、絶対に忘れないような店員がいて、そこで出される料理は千変万化、世界中の色と味がそこに集められたと言われている。

 

 その店の隣には夜限定のバーがあって、闇のようなバーテンダーが出すカクテルは、魂の底にまで響くと評判になっていた。

 

 その二つの店は同じ場所にありながら、時間と共にまったく違う顔を見せている。

 

 美味しい飯と、美味しいお酒がそこにはある。普段の日常に疲れたなら、楽しい時間が欲しいならば、どうぞここへ。

 

「・・・・・・・なあ、一郎、何してるんだ?」

 

「ネットの情報にさ、なんだか評判の店って書いてあるから探してるんだけど、中々、見つからなくてさ」

 

「なるほど、なるほど。ここはいい店のようですね、是非、敵情視察に行きましょうか」

 

「俺も食べてみたくなったな。何処なんだ?」

 

「うん、なんでか検索かけると『うち』が出てくるんだけど」

 

 どうして、なんだろうねと振り返って弔と黒霧を見ると、二人は呆れた顔で見ていた。

 

「おまえ、機械音痴だったか?」

 

「まったく貴方は、どうしてそう平凡なところでミスをするんですか」

 

「いやだってさ」

 

 その日、朝方までそんなことで俺と弔、黒霧はワイワイと騒いでいたのでした。

 

「知らぬが花か、こちらの花を愛でる趣味は我にはないな」

 

「バーロ、俺にだってないさ」

 

 遠くでギルとコナンが、そんなことを言っていたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 二話目でございます。

 いや、何にも考えずに書くと筆が進む、進む。

 あれ、当初の予定だと一郎君の能力で『ヴィラン』連合を組んで、ヒーローたちをボコボコにするはずだったのに。

 気がついたら、飲食店になっていました。

 よっし、この勢いでヒーローの胃を掴んでボコボコにしよう。




 ちなみにサルスベリは料理ができません。


 お付き合いいただき、ありがとうございました。




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