強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』 作:サルスベリ
今回はギャグの対象が周囲すべて、対象者は凄く真面目な気持ちでやっていますが、ギャグです。
周りも真剣にやっているし真面目ですが、傍から見るとギャグです。
今回もギャグのセンスがないサルスベリ、頑張りました風味の話になっています。
その日は、とても晴れた日で心地よく、春らしい陽気でありながら風一つない静かな日だった。
思い返すとそれは、『嵐の前の静けさ』だったのだろう。
「お願い」
「な?!」
小さく頭を下げてくるエリに、治崎・廻は言葉に詰まった。
初めてといってもいい、聞いたこともないほどに珍しいエリからのお願いに、全身全霊で答えたい。
答えたいのだが、内容が問題だ。
友達が欲しい、もちろんOKだ。徹底的に背後関係を洗い、当人の性格、普段の行いを観察し、その上で両親のことも観察、日常の生活もすべて調べつくしてから、『友達は大切にしなさい』と教えるつもりだが。
学校に行きたい、良かろうと答える。国内のすべての私立を調べつくし、学校の内部、設備、制服、生徒達の普段の授業など、全て徹底的なテストを行ってから許可を出すが。
しかし、だ。今回の彼女のお願いは、まったく違うものだった。
「ダ・・・・」
言い掛けて、治崎は声を無理やりに止めた。能力を使って声帯を壊してしまうほど、必死になって自分の言葉を止める。
涙をためてギュッと手を握ったエリの姿に、『私には無理だ』と内心で嘆いて膝をつく。
エリが涙をためた目で必死に訴えていることを、無理だ不可能だと否定してしまうことは自分にはできない。
オヤジなら、血の繋がりのある祖父であるオヤジなら、可能ではないか。
気がついて顔を上げれば、相手は渋い顔で腕組みして黙っていた。
ああ、無理だ。彼でも阻止できないのか、これはもうエリの願いを聞くしかないのか。
屈辱だ。こんなことでエリを危険にさらすなど、あってはならないのに。
「解った、ではお願いしよう」
「ありがとう」
笑顔で部屋から出ていくエリを微笑みながら見送り、そのドアが閉まった瞬間に治崎はオヤジに体を向けた。
「正気を疑いますが?」
「仕方ねぇだろうが、エリが譲らねぇんだ」
「しかし!」
「仕方ねぇって言ってんだろうが! 治崎、頼めるか?」
「は?」
何を言っているのか、こいつは。思わず治崎は右手を握り、振りかぶってしまう。
「てめぇ、ボケたかコラ?」
「ボケてねぇよ! その日は会合があるんだ」
「会合? そんなもんよりエリだろうが! オヤジ! あんた日酔ったのかよ?!」
「日酔ったわけじゃねぇ!」
拳を机に叩きつけて立ち上がったオヤジは、小さく絞り出すように告げる。
「あの、『会合』だ」
「ク、なんでそんな日に」
「頼むぜ、治崎」
穏やかに、けれど確実に肩を落としたオヤジは、ゆっくりと座った後机の上に『あるもの』を置く。
それで治崎は察した、彼は心の底から悔しがり、魂が叫ぶほどに慟哭しているのだ、と。
「解りました、お任せください」
「ああ、じゃあ俺は会合に行ってくるぜ」
「そちらはお任せします」
深々と頭を上げる治崎に、オヤジは大きく頷いた。
そしてオヤジは『死穢八斎會』の会合へと参加するために、『準備』を始めたのでした。
一方、治崎・廻はというと。
春のいい陽気ですね、日差しが暖かいですね、本当にいい日で風もないんですよ。ああ、もう本当にいいねぇ。
平和だなぁ、何にもないいい日であるねぇ。
お客さんも今日はあんまりいないし、何時も通りに爆豪君とデク君がカウンターで勉強しているし。
雄英はどうした、二人とも。なんで昼過ぎにいるんだよ。
「今日は半日です」
「あ、そうなの」
顔色を読まれたな。
あ、でも、なんか今日はヒミコちゃんもいるし、普段は出かけるはずの黒霧もいるし。
あれ、ギルもソープも、エルも、アインズもいる。コナンだって経営ソフトで何かやっている。
あれぇ~~なんだろフラグかな?
「我が師よぉぉぉぉぉぉ!!!」
フラグだったよ(泣)。
「廻はさ、ドアを蹴破らないといけない病気か何か?」
「どちらかといえば、分解したい気持ちになります」
え、何それ、どういうこと。前世にドアに何かされたのかな?
「襖ならば突撃して穴を開けたく」
「聞いてないし。で、何があったんだよ?」
「忌々しき事態です、我が師よ」
我が師って、なんでこう切羽詰まると我が師って呼ぶかな。あれか、俺を煽っているのか、それか俺がそう呼ばれたら願いを聞くとでも。
「どうしたんだ?」
俺は聞かないんだけど、周りはなんでか廻には優しいんだよな。
「実は、エリが」
「エリちゃんが?」
「お願いをしてきました」
へぇ~~そっかそっか、良かったじゃん。今まで控え目で自分の意見を言わなかった子が、お願いをしてくるほどに心を開いてくれたってことか。
いい傾向だね。
「そうか、そうか! なるほど、治崎よ、我が許す、今日を同盟の記念日とせよ」
「ハ! 英雄王のご厚意、この治崎、例え死ぬとも忘れません」
「そう畏まることはない。我とおまえは同じ同盟の士、気安く接するがよいぞ」
「恐れ入ります」
あ、うん、なんだろう、ギルがとても上機嫌なんだけど、何かあったかな。いや前から廻には優しかったなぁ。
「しかし、そのお願いの内容が」
「何? 貴様、エリからの願いを断ると?」
「遺憾ながら英雄王、私にはどうしても不可能に感じております」
「ほう、治崎、貴様・・・・・」
スッとギルの目が細められる。
「同盟の紳士が、幼子の願いを断るなどあってはならんことだ」
「まさにその通り! しかし、今回のお願いは」
「なんだ?」
「はい、実は、『初めてのお使い』に行きたい、と」
え、はい、あれ、えっと待って。なんて言った?
「なんだと!?」
ギル、驚愕。
「馬鹿なこと言うな!!」
あれ、コナンまで反応してるんだけど。
「そんな無謀なことを?!」
エルまで反応してどうした?
「無茶だ」
ソープ、悩ましげに髪をかきあげるな。
「ありえん!!」
アインズ、頼むからギターから手を離してくれ。
「不可能じゃないか」
弔、なんでおまえは最初っから否定してんだよ。
「そのような願いを口にされるとは」
黒霧、呆れた顔してるけど、何でだよ。
え、あれぇ~~俺だけ、俺だけがいいんじゃないって思っているの。
「しかもです! しかも! 隣町まで行こうと言っているのです!!」
瞬間、室内にいた誰もが驚愕に顔を染めていた。
あれぇ、普通じゃないの。そりゃエリちゃんくらいだと、かなり遠いって気もするけど、廻の家から隣町ってそんなに離れてないような。
電車で一本だったじゃないの。
「い、一郎君、これは由々しき事態です」
「ヒミコちゃんまで、そっち? いやいいんじゃないの?」
可愛い子には旅をさせろって言うし。
そんなことを俺が口にした瞬間、全員から鋭い目線が飛んできた。
「呆れたぞ、マスター」
「ああ、呆れたな」
「酷い人ですね」
「君はまったく理解してない」
ギル、コナン、エル、ソープが凄く冷たい眼をしてくるんだけど、そこまでの話じゃないでしょうが。
「鬼だな」
「酷い奴だな、お前」
「冷たい人だとは思いませんでした」
アインズ、弔、黒霧って追撃が来たんですけど。
あれ、俺が悪いの、冷たいの。
「い、一郎さんの素敵さは私が知っていますよ」
「ありがとう、ヒミコちゃん」
「でも今回は冷たいと思います」
うわ、ヒミコちゃんまで言われた。
「あ~~解った、廻、じゃ当日のエリちゃんの護衛のお願い?」
「さすが、我が師です。可能でしょうか?」
まあ、出来るんじゃないの。人数もそれなりにいるし、偵察機とか警戒用のユニットもあるからさ。
大丈夫、大丈夫。
そんなことを、俺は思っていました。楽観的に。
俺は勘違いしていたのかもしれない。
『
本当に勘違いしていたのかもしれない。
『今回の護衛対象は『エリ』だ。隣町の知り合いのところまで、ケーキを買いに行く。到達地点は知り合いのため、話は通してある』
ひどく冷静な声が無線から聞こえてくる。
とても淡々とした声なんだけど、これってコナンなんだよね。
『ルートは三つ、どれも困難が予想される。簡単に行くような作戦じゃないが、全員がそろえば必ずエリが満足できるお使いができるはずだ』
無線、これも使っていいのかな。ダメだよな、だってこれ軍用無線だし。いやこの世界の軍用無線じゃないから、別に使ってもいいかなって思うけど。
『先発隊、イムヤとゴーヤはすでに目標地点へのルートを偵察し終えて、現在は目標地点の確保を行っている』
俺の『手のひら鎮守府』の軍用無線だから、使ってもいいんだよな。いいのかな、そうなのかな?
『続いて遊撃にイオナ、コンゴウ、大和、エンタープライズ、土佐、信濃、睦月、如月、夕立だ』
個性だから傍受されない、専用の機器じゃないと電波を受け取れないとか、色々と凄いんだけど、軍用なんだよな。
『前衛打撃艦隊に、フロンティアとエターナル、ジャベリンと電』
それにさ、なんで鎮守府に配属されている情報部隊が動いているんだろう。これってエルとソープが『あったほうが異世界で助かる』って言って、作った奴だよね。
今まで、一度も動かしたことないけど。
『後衛打撃艦隊に吹雪、愛宕、榛名だ』
あ、上空を偵察機が飛んでる。あれも光学迷彩がつけられたっていって、妖精さん達が大喜びしていたやつだよね。
『即応戦力として、俺とギル、エル、ソープは本部待機。いざって時はアインズの転移魔法を使ってフォローに入る』
本部って、鎮守府の司令室だよね。あの指示を出したり、地図を睨んで戦術を考える場所の。
え、俺は使っていいって言ってないんだけど。
いやそもそも、子供のお使いのために一軍事基地が全力稼働って、どうなんだよ。不味いなんてもんじゃない気がするんだけど、俺だけなのかな?
『ユニコーンは?』
『待機せよ、我の隣にいるがよいぞ』
『お兄ちゃ~~ん、ユニコーンは何処にいればいいの?』
『我の隣でよいぞ!!』
必死だねぇ、ギル。なんでそこまで必死になってユニコーンを出したくないかな。艦載機の数で言えば、うちの鎮守府最高数なのにさ。
一万機以上で一割以下って、どんだけ格納庫が広くなったのかな。
『弔と黒霧、廻は撮影班だ』
「仰せのままに」
恭しく一礼する廻に、俺はため息をつきたくなった。
オヤジって人の指示で撮影しろって言われたらしいけど、そのビデオカメラってあれだよな。
確かテレビクルーが使うような、高性能なタイプの。
『プレデター部隊とエイリアン部隊もステルスにて全周囲配置済みだ。いいか、俺達に解けない謎はないって教えてやれ!』
『オウ!!』
謎、関係なくね?
コナンって、気合いが入ると解けない謎とか、真実は何時も一つって言っちゃうらしいけど、口癖なのかな。
「さてと、とにかくだ」
俺は小さく咳をして、にっこりと笑ってみた。
「おまえらちょっと落ち着けよ! 何してんだよ! エリちゃんのお使いに何でそんなに気合入れているんだよ!」
『黙ってろマスター! 世の中にはああいった子を狙う変態が多いんだよ!』
「知ってるよ! 知ってるけどな! これじゃ国家とガチで戦える戦力だろうが! 全軍を展開してんなよ!!」
『まだ全軍じゃない。ナザリックとMH、それにゾイドとシルエット・ナイトは動かしてない』
『そうだぞ、何を言っている?』
『本当だよ、エリちゃんのお使いに全力なんて大人げない』
『本当ですよ』
そっか、そっか。アインズ、何を呆れてるのかな。ソープ、大人げないって意味を知っていたのか。エル、溜息ついてんなよ。
「へぇ~~~なるほどな。おまえら全員、鏡を見てからもう一度いってみろ!」
『いたって普通の自分ですが、何か?』
「この馬鹿野郎どもがぁぁぁ!!」
なんで三人とも言葉をそろえたように返答してんだよ!
『マスター』
「なんだよ、コナン。おまえはもう少し冷静だって思ったよ」
『フ、何か勘違いしてないか?』
何をだよ、おまえまでノリノリになって悪ふざけすんなよ。
『俺たちがただエリちゃんのために動いているって思ってないか?』
「へ?」
あれ、まさか、お前ら。この機会にヴィランとか、オール・フォー・ワンとかの情報を洗ったり、周りの敵勢力を探ったりしているのか。
うわぁ、勤勉だ。でも、そんなことしなくても平穏にな。
『マスター、俺達はただ
「余計に始末に悪いわこの馬鹿どもが!!」
一瞬でも感動した俺が悪かったよ!
『仕方ないさ。俺達は喜劇の舞台を揃える演出家だ。彼女の初めてのお願いのために、その願いを見守る為に動くのは当たり前のことだ。知っているか、マスター? 演出家は、そこに題材があれば裏切ることはできないんだよ』
そうか、そうなのか。なるほど・・・・って納得するわけないだろうが。
『フ、コナンよ、我らのマスターがその程度で頷くはずがあるまい。良いか、マスター? 我らはな』
「なんだよ、ギル」
『ただ、幼子の純粋な願いのために動いたにすぎない。あの子が初めて見せた自らの意思を、強く願ったものを無碍にできるほど、我らは冷たくはない。英雄王たる我が請うぞ、マスターよ。此度の一件、どうか了承してくれないか?』
「ぎ、ギル。お前そこまで。そこまでエリちゃんのために動くのか。天下の英雄王が、王の中の王が頭まで下げるって言うのかよ?」
『無論だ。子は宝、その宝のためならば我はいくらでも動こうぞ』
ク、あのギルがそこまで言うなら。俺は、俺はぁ。
「で、本音は?」
『事態に右往左往するマスターを肴に酒を飲む。マジ愉悦』
「てめぇぇぇぇぇ!!!」
『フハハハハ! 許すがよいぞ、マスター。我は愉悦のために、そして幼子のために貴様を道化にするのだ!』
やっぱりおまえは愉悦王だよ!
こうして、幕を上げたのでした。
もう、どうにでもして。
『目標、交差点を通過』
『交差点の信号のシステムに入りました。青信号で固定します』
おい、お前ら。
『ルートを外れてるぞ、誰か』
『こちら如月です、変装して接近してルートを戻します』
『頼むぞ』
『睦月、背後からフォローします』
あ、あのな。
『電車が行ってしまうぞ!』
『誰でもいい! 爆撃してでも止めろ!』
「お前ら待てって! 次の電車に乗ればいいだろうが!」
次第に、実力行使も口にした馬鹿どもに、俺は振り回されることになって行った。
『暴走トラックだ!』
『大和! 波動砲だ! 波動砲を使え!!』
『はい!』
「待って! 本当に待って! 法定速度以上で走っているだけだから! 大通りだから!」
こ、怖い。法定速度を五キロ超えているだけなのに、波動砲で吹っ飛ばそうとしたよ。
コナン、おまえはもっと冷静じゃなかったか。
『最近、事件を解決してないな。劇場版はもっと過激だったなぁ』
「名探偵! 何があったんだよコナン?!」
ポツリと呟いた言葉は、俺以外には届かなかった。良かったのか、悪かったのか。
『脅威目標発見、危険度が高い』
『ダメだ! エリに近づけるな! イオナ! コンゴウ! 侵食魚雷一斉射だ! 撃ち切れ!』
『了解』
『解った』
「だからぁぁぁ!! あれ犬! 大型犬だけど、確かに犬! エリちゃんが怖がっていても鎖に繋がれているから!!」
『超重力砲の方がいいか』
マジでコナン、何があったんだよ。
『目標確保、続いて帰途に着きます』
『よっし、順次撤収だ。全周囲警戒そのまま、防衛網を狭めるぞ』
あ、終わりね、ようやくだな、疲れた。
『ん?! 待った渋滞だ! ルートを変更するぞ!』
『まずい! あっちは道路工事中だ! ルートを変更させるな!』
『こちら大和! 波動砲準備完了!』
『イオナ、超重力砲発射可能』
『コンゴウだ、こちらも準備を終えている』
『土佐です! 相転移砲準備できました!』
『信濃も大丈夫です!』
『電です、ゴジラさんの最大熱線砲を用意してあります』
『ジャベリンです、ケラウノス使っていいですか?』
『エンタープライズだ。光子魚雷、使ってもいいな?』
『榛名イデオンガン準備完了しました!』
え、あれ、え?
『よかろう! 超位魔法を使おう!』
『デスザウラーの荷電粒子砲最大出力です!』
『バスターランチャー準備したよ!』
『行くぞ『エア』よ! 貴様に相応しい舞台が整った!』
「待って待って! ただの渋滞! 車が行けばすぐに大丈夫だから! だから! なんでおまえらは最大の威力をぶつけようとしているんだよ!!」
本当に何をしてんだよおまえらはぁ!
「提督権限においてすべての艤装をロック! 続いて令呪を持って全員に命じる! 落ち着け!」
よ、よっし、これで大丈夫だよな。
『チ!』
「舌打ちした奴は俺の前まで来い! 修正してやる!!」
クッソ、お前らなぁ。ああ、疲れた。こうして彼女のお使いは、無事に終わりを告げたのでした。
後日、編集した画像を見た爆豪君とデク君は言った。
「最終戦争がしたかったんですか?」
俺のせいじゃないやい。
画像の中を、戸惑いながらも必死に歩くエリの姿が映る。画像も問題ない、場面ごとにBGMも入り、字幕まで入れらたそれらは、ちょっと見はドキュメンタリーというよりは、長編映画に見えた。
「よくやったな、治崎」
「ありがとうございます、オヤジ」
「いい出来じゃねぇか、次の会合には使えそうだな」
「ではそちらも?」
「ああ、終わったぜ」
椅子に深く腰掛けて、オヤジは片手を上げた。
「では計画は次の段階に?」
「当たり前だ。そろそろ、動くぞ」
片手を上げ指を鳴らすと、壁の一部が動き額縁に入れられた『それ』が出てきた。
「死穢八斎會が表に出る時だ」
「解りました」
額縁に入ったそれには、大きな文字でこう書かれていた。
『
「さあ、行くぜ治崎」
「はい、オヤジ」
そして、
彼らが出て行った部屋の中、エリは路地裏にいた子猫に手をかざし、そして『傷を巻き戻した』。
「なるほど、再生でも治癒でもないか」
男はそれを見ていた。かなりの遠距離、画像は荒いものだが、確かに彼女の個性の発現した場面を捕えている。
「先生、確かに『巻き戻し』のようです」
「フフフ、ついに見つけたようだね。個性さえ巻き戻し、元に戻す能力を」
子猫を直して笑顔のエリを前にして、オール・フォー・ワンは満足そうに頷いていた。
昔に見たテレビ番組みたいに、『エリちゃんの初めてのお使い』編でした。
暴走も暴走、書いていて楽しいたらもう。
頭空っぽにして久しぶりにかけた気がします。
というわけで、エリちゃん、オール・フォー・ワンに見つかる風味でお送りしました。
あれ?