強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』   作:サルスベリ

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 春といえばお花見ということで、世間では色々と自粛をと呼び掛けている中、こんなお話を突っ込んでしまい、申し訳ありません。

 世間が暗いムードだからこそ、頭空っぽのここでは騒ぎたい。花を愛でてどんちゃん騒ぎしたいじゃないか、風味の話なのでご容赦を。







桜は咲きましたか、春らしくなりましたか、ではお花見で騒ぎませんか?

 

 

 

 

 

 

 少し暖かくなって、また寒くなって、今年は季節感があまりないかなって思っていたら、ちょっと暖かくなって。

 

 どうも、田中・一郎です。現在、絶賛、手を繋がれています。

 

「今日も元気にお買いもの、どんな日でも楽しくお買いもの、誰でも知っているお買いもの、今日のごはんはなんでしょう、毎日見ている旦那様、今日は困ったことないですか、私は奥さん、貴方のためにお買いもの」

 

 絶好調です、俺の嫁さん。

 

 手を繋いで滅茶苦茶可愛い笑顔で、スキップしているように歩く奥さんに、俺はもう嬉しくて楽しくて。

 

「いい日だな」

 

 で、弔もいて俺の右手を握っている。繰り返すけど、俺の右手を握っているんだよ。

 

 で、弔の左手は俺の手を持っていて、弔の右手はヒミコちゃんの左手を握っているわけなんだけどさ。

 

 おかしくない? なんで俺とヒミコちゃんが手を握っているんじゃなく、弔が間にいるのかな。え、マジでどうしてそうなった。

 

「おい、弔」

 

「子供は両親の間にいるものだ」

 

「その設定、まだ引きずりますか?」

 

「俺は今、幸せだ、一郎」

 

 ク、卑怯だぞ、お前。そんな清々しい笑顔で言われたら、否定できないじゃないか。クッソ、てめぇ。

 

「今回だけだぞ」

 

「一郎、ありがとう、おまえは俺の最高の父親だ」

 

「だから! 同い年! 俺とおまえは同い年!」

 

「照れなくていいぞ、父さん」

 

「おまえね!」

 

「いいですね、一郎君。お父さんですか、いいですね、弔クン?」

 

「解っている、母さん」

 

 おい、お前。なんでそんな笑顔でヒミコちゃんを見るかな、いや解った解ったから何も言うな。悪ふざけ半分で、懐かしさ半分だって解る。そう呼びたい気持ちも痛いほど解るから。

 

 だから、おまえとヒミコちゃんが見つめあっていると、美男美女のカップルに見えるから、速やかに止めろ。

 

「ヤキモチですか、一郎君?」

 

「一郎、そうなのか?」

 

「二人して嬉しそうに言うな。まったくもう」

 

 まあ、弔とヒミコちゃんが嬉しそうならいいか。俺の何かが崩れていく気がするけど、これも日常ってことで納得して。

 

 できるか、ボケ!

 

 クッソ、いつか弔にぎゃふんって言わせてやる。

 

「あ・・・・・・お花見しませんか?!」

 

「はい?」

 

 え、なんで今このタイミングで? あれぇ、ヒミコちゃん、どうしてそのまま公園に突っ込んでいくのさ。

 

 待って待って! 今は買い物の途中!

 

「ヒミコ、ダメだ」

 

「どうしてですか、弔クン? お母さんの言うことが聞けない、悪い子になりましたか? そんな子に育てた覚えありませんよ?」

 

 いや、ヒミコちゃんが育てたわけじゃないから。どちらかといえば、俺が育てた、かな。いや俺も育てたっていうよりは、一緒に頑張ったってほうがいいような。 

 

「そうか、こんな気持ちをどういえばいいんだろうな」

 

「怒ればいいんじゃないか?」

 

「一郎、そうなのか? 嬉しいような、楽しいような気持ちなんだ。そうか、親に育てたとか悪い子になったと言われるのは、こんな気持ちになるんだな」

 

「待った! そっちだったのか?! よしよし弔、そんな時な素直に謝ったほうがいい。ごめんなさいだ」

 

 ま、まさかのいい方向での受け止めだなんて。弔、お前はマジで俺とヒミコちゃんの子供の気持ちだったんだな。幼児回帰か、後で精神科を探してやるからな。

 

「冗談だ、一郎」

 

「てめぇ、本気で怒るぞこの野郎」

 

 クッソいい笑顔で語るんじゃ?! 

 

「ヒミコちゃん?!」

 

「二人とも置いていきますよ!」

 

 何でこの子は俺と弔を引きずっていけるんでしょうね。はぁと溜息をついて隣を見ると、弔が珍しく驚愕した顔していて。

 

「桜が咲いている」

 

「そりゃ、春だからな。何を当たり前のことを言っているんだよ?」

 

「俺は失念していた。そうか、春か。もうそんな季節なのか、爆豪とデクが入学式をしていたのに、俺は忘れていた。見落としていた。一郎、失態だ、俺はなんてバカな奴なんだ。こんな簡単なことにも気づかないなんて。どうしてだ、俺はどうしてこぼしてしまってから気づく、もっと速く、もっときちんと毎日を見ていたら、こんなことはなかったはずなのに。俺は何時も気づくのが遅い、遅すぎるんだ」

 

「はい?」

 

「自分のことなのに呆れてしまう。吐き気がする。すべてが遅すぎる、終わってしまった。もうダメなんだ。もう手遅れだ。過ぎてしまった時間はもう戻れない、料理人としてこんなことも気づかないなんて。ヒーローを目指すなんてもう二度といえない。こんな失態を犯す者が、ヒーローを目指すなんて口に出来るわけがない。雄英を受けなくて正解だ、俺は人を助けるヒーローになれるわけがない」

 

「と、弔?」

 

「一郎、俺はどうすればいい? 俺はもう」

 

「何があった?」

 

 なんだ、震えている。こんなに怯えている弔は初めて、いや待った前にもあった気がする。

 

「桜餅を作っていない!! 牡丹餅もまだだ! なんで俺は気づかなかったんだ?!」

 

 あ、そっか、クリスマスとかバレンタインとかの時と同じか。ははは、すっかり料理人とヒーローになりやがって。

 

 とりあえず、だ。

 

「ヒミコちゃん、お花見には弁当が必要では?」

 

「は?! そうでした、ヒミコの馬鹿馬鹿! どうしてそんなことに気づかなかったの。簡単は話じゃない、お花見をするなら食べるものがあったほうがいい、飲み物も当然あるべきじゃない。花を愛で、人と語りながら、美味しい食事と飲み物に心を踊らせる。花見はそういったものじゃないの、馬鹿よヒミコ、旦那様に言われてから気づくなんて、妻失格じゃない。奥様を名乗るなら、旦那様が『花見に行くぞ』、に『用意してあります』と微笑むのが当たり前じゃない。どうしてそんなことに気づかないの、なんて愚かなのヒミコ、一郎君に言われて気づくなんて、なんて愚かで愚図なの」

 

 あ、こっちもか。

 

 どうしよう、俺は落ち込む二人を見下ろしながら、小さくため息をついて空を見上げた。

 

 うん、桜が綺麗だなぁ。

 

 現実逃避さ、知っているよ。

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花見しようぜ」

 

 店に戻って俺はそう言った。

 

「な?! 正気か、マスター! こんな桜の季節に花見だなんて、何を考えているんだ?! いつ、オール・フォー・ワンが襲ってくるかわからないんだぞ!」

 

 コナン、どうしたんだよ。

 

「名探偵の言うとおりだ。マスターよ、些か迂闊ではないか?」

 

 ギルまで? え、俺ってそんなに変なことを言ったかな。

 

「場所取りは間に合うか。桜の見どころは抑えられているかもしれない。今から行って桜がよく見れる場所が残っているのか?」

 

 おーい、コナン。

 

「ク、我としたことが迂闊であった。桜の時期に花見をするなど、天地が別れた時から当たり前のことではないか。宝物庫を開くしかない、我の全能力を使って花見の場所を確保しなければ」

 

 ぎ、ギル?

 

「待っていろ、マスター。俺の頭脳と推理でおまえに最高の花見の場所を見つけてやる」

 

「フ、しばしの時間を貰うぞ、マスターよ。このギルガメッシュ、英雄王の名にかけて貴様に王の花見を見せてやろう」

 

 お、おう、なんだろう、二人が珍しく意気投合してやる気だ。え、俺は花見って言ったよな、他の何か言ってないよな、カチコミとか突撃なんて言ってないよな。

 

「エル、俺は『花見』って言ったよな?」  

 

「黙っていてください! 機材の準備を始めます! シートはこの素材では不十分です、もう一度、材料から考えないと。イスも必要ですが、強度に問題はありません。これで生産を、待ってください、いや止めましょう。座面の感触が気に入りません」

 

「え、エル? あれ、どうして?」

 

「ならこの素材を使おう。高級衣服メーカーでも使われている素材だから、感触はいいものだよ。肌触りもいい。シートの素材は、軍服からもってこよう、あれなら湿度チェックも通る」

 

「あれぇ~~ソープまで」

 

「いいえ、この場合は感触を優先しましょう。地面の状況も考慮しなければなりません」

 

「そっちは僕のMHにやらせるよ。桜に影響ないように、緩衝材を置いてシートを乗せよう」

 

「助かります」

 

 あ、あれ、俺って何か違うことを言ったかな。

 

「時期が遅いな」

 

「アインズ、俺って何か・・・・・え?」

 

 見間違えかな、いやきっとそうだ。あの若大将スタイルのアインズが、常にギターを背負っている音楽家のあいつが。

 

 今は桜の意匠の袴を纏っているなんて、あるわけがない。

 

「ギターは無粋か。いや三味線ではな。やはり、ここは桜色のギターを持っていくべきだな」

 

 見間違えじゃなかったよ(泣)。

 

 え、今日はどうしたの、どいつもこいつも花見の一言に、人が変わったように動いているんだけど。

 

「よし衣装は決まったぞ! 作詞と作曲だ! 桜と花見! このテーマで宴会の主題歌を作ろうではないか!」

 

「アインズの奴、気合いが入っているな」

 

「フ、名探偵よ、その顔を鏡で見てくるといいぞ。我の前で、他人を褒めるならばもう少し大人しい顔をしてからにせよ」

 

「英雄王も獲物を前にした獣の顔ですよ」

 

「エルもよく言うよ、『叩き伏せる』って顔じゃないの」

 

「挑戦者の顔をしているな、ソープ。ならば、その挑戦を我が歌で答えよう!」

 

 あ、全員が大笑いしている。

 

 あれぇ~~俺は花見って言ったよな。決戦って言ってないよな。

 

「弔さ、俺って」

 

「一郎、黙れ。俺は今、俺の料理人としての矜持をかけているんだ」

 

 うわぁ~なんだろう、初めて見るくらいに鬼気迫る弔がいるんだけど、なんであんなに気合に満ちた顔して料理しているのさ。

 

 宴会でもやるのか、花見だよな、ただ桜を見上げて食事して飲んで騒いで楽しもうだよな。

 

 え、これって決戦前の風景に見えるんだけど。

 

「黒霧?!」

 

「呼びましたか、一郎さん?」

 

「おまえは、まとも・・・・・じゃない?!」

 

「ええ、私も腕を振るいましょう。カクテルはアルコールだけじゃないこと、世界中に教えてあげましょう」

 

 移動式のバーカウンターだと?! 何時の間にそんなものを作った?! いやおまえのことだから、コツコツと作ったかエルかソープに頼んだんだろうけど、こんな時に見たくなかったよ!

 

 おまえだけはまともでいて欲しいと。

 

 ヒミコちゃんはすでに着物をとってくるって、出かけたから手遅れだろうけど。せめて、ミニスカじゃないといいな。猫耳とかつけてきたら、俺は死ぬ気がする。

 

「我が師よぉぉぉ!!」

 

「廻!! 俺はもうお腹一杯だから! もう一杯一杯だからさ!」

 

 こんな時におまえまで来たら俺はもう破裂する! 絶対に持たないから止めてくれ!

 

「花見をすると伺ったので参上しました」

 

「あ、うん、そっかそっか。で、エリちゃんの今日のコンセプトは?」

 

 言わなくても解るけど。

 

「さすが我が師です。今日のエリは、『我が青春の始まり、桜の妖精よここに』です!」

 

 バーンって効果音でも付きそうな勢いで両手を広げた廻の前で、桜色のドレスを纏ったエリちゃんが、頬を染めて小さく頭を下げていた。

 

 うんうん、そっか後ろの妖精の羽根を桜の形にしたのは、そういった意味か。へぇ、そうなんだ。簪が薄紅なのは、色合いのバランスを取ろうとしたのかな。

 

「我ら死穢八斎會の忠誠の赤ですから」

 

 ニヤリと笑う廻に、俺は思った。

 

 いや、そんな生々しいものを小さい子の簪につけるな、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後は、誰もが予想するような大混乱だった。

 

 花見の場所をとるために、名探偵が戦略会議を始めるし。

 

「この場所を封鎖して、こっちに戦力をおけば。通行止めのために何か欺瞞情報を流すべきだな」

 

「こら名探偵、おまえの道徳心は何処に言った?」

 

「花見の前では些細なことだろ、マスター?」

 

 こ、こいつは。

 

 ギルはギルでさ、宝具を使っているし。

 

「王の命である、とくと場所を開けよ」

 

「こらギル! おまえ宝具を向けたままカリスマ全開にしてんじゃないよ!」

 

「マスターよ、いくら貴様でも今の我を止めれば、怪我では終わらぬぞ。良いのか?」

 

「おいおまえ! ちょっと落ち着け! 花見だから! ただの花見だからさ!」

 

「たわけが! 花見とは戦争よ!」

 

 何処の常識だ、それ。

 

「では行きます!」

 

「エルぅ!!! おまえそれは軍用機! 輸送機だから!」

 

「空挺降下を行います! 機材を展開するにはこれしかありません!」

 

「止まれって!」

 

「全MHはテレポート用意。座標視点に展開して場所を確保」

 

「ソープ! なんでおまえまで! 普段の冷静で少しおちゃめなおまえは何処に行ったんだよ?!」

 

「何を言っているんだい? これが僕だよ」

 

 自信満々に告げるソープと、今すぐに輸送機に発進を命令しそうなエルがいて、俺は無意識にお腹を抑えた。

 

「ならばここはこのアインズ・ウール・ゴウンが!」

 

「おまえこそ何してんだよ?! それ効果範囲のすべてが『死ぬ』即死魔法だろうが!」

 

「すべてを無にしてその後にゆっくりと桜だけ蘇生しよう。それでよかろう」

 

「よくねぇよ!!!」

 

 どいつもこいつも! なんで花見ってだけでそこまでヤル気になるんだよ、殺意のほうにやる気じゃないから、もっと穏便にやろうぜ。

 

「まったく、本当にこいつらは」

 

「ああ、我が師よ」

 

 廻ぃ? え、この状況で俺に何を言うの、おまえ何がしたいの、え、待ってまだまだ俺を追い詰めたいの。

 

「我が死穢八斎會の本部に、桜があります。見事な桜並木になっていますので、そこを提供しましょう」

 

「廻! 俺はおまえのことを信じていた! やる時はやる奴だって知っていたよ!」

 

「恐悦至極にございます」

 

 優雅に一礼する廻に、俺は凄く感謝した。ああ、良かった、これで何事もなく平穏無事に花見ができる。

 

「ちぃ!」

 

「おい、こら、待てよお前ら。まさか、まさかだよな、あれだけの大騒ぎをしていたのって、単純にお祭り騒ぎがしたかっただけじゃないのよな、えマジでお祭り騒ぎをしたかっただけ? 花見だから騒ぎたいってだけで、あんなに戦争準備みたいなことしていたの、本当にそうだったら、俺は困っちゃうな、もう本当に困っちゃうよ。信じていた連中が俺を裏切ったんだからな。どうなんだよ、おまえら!!」

 

「さあ、花見に行こうぜ!」

 

「おう!!!」

 

「答えろよこの馬鹿野郎どもぉぉぉ!!」

 

 俺はその日、悪のりってやっている方は凄いすっきりするけど、やられたほうはストレスが胃に来るって知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一度、壊滅したとは思えないほど、死穢八斎會の桜並木は見事だった。

 

「食べてくれ」

 

「こちらもありますよ」 

 

 弔のお弁当はまさに見事の一言で、誰もが無意識に手を出して食べるほどに美味で。

 

 黒霧のカクテルは腕が上がったなって褒めるほどに素晴らしかった、ノンアルコールのカクテルも練習してたんだなぁ。

 

「一郎君、どうですか?」

 

「うん、すげぇ」

 

 着物に着替えたヒミコちゃんは、一言で言えば和服美人でした。桜色の着物に桜の簪って、もう見事に春らしいなぁ。

 

 可愛いなぁ、あれが俺の嫁さんなんだよな。

 

「な?! エンデヴァー?!」

 

「その名で呼ぶな! ここでは俺はヒーローではない、ただの同盟の紳士だ」

 

「そ、そうか。では何と呼べばいい?」

 

「エンだ。同盟の士はそう呼ぶ。俺はおまえをオールマイトではなく、トシと呼ぶことにする」

 

「あ、ああ」

 

「なら飲め飲め! お互いプロ・ヒーローではなく、ただのエンとトシとして飲もうではないか?!」

 

「わ、解った」

 

 あれぇ~~あっちで変な会話しているけど、誰だろう。知らない顔だけど、もう一人はオールマイトだよな。あれ、引きつった顔しているけど、どうしたんだ?

 

「風流ですね」

 

 廻、何か知っているんじゃないか?

 

「我が師よ、どうでもいいことではないですか? 今は美味しい料理と上手い飲み物と、何よりこの桜を見つめましょう」

 

 ク、忘れていた。こいつもイケメンだった。杯を持った廻は、桜の下でとてもいい絵になった。

 

「はい、一郎君、ジュースですけど」

 

「ありがと、ヒミコちゃん」

 

 まあ、いいか。

 

「デク! 俺がアインズさんの前座になっちまった!」

 

「やったじゃない、かっちゃん!」

 

「き、緊張してきやがった」

 

「大丈夫だよ! かっちゃんならできるよ! だってかっちゃんは世界で二番目に最高なんだから!」

 

「一番はアインズさんで俺が二番目か。へ! 言うじゃんねぇか、デク。行ってくるぜ」

 

「がんばれ!」

 

 いい桜だな、爆豪君、歌うんだね。アインズの前に歌うって、それってかなり厳しいんじゃないの。

 

 まあ、いいか。廻の言うとおり、今日は桜と奥さんを愛でながら、楽しく過ごすか。

 

「あ、動いた」

 

「今日の最後の出し物は、『今ここオール・フォー・ワン』によるモグラたたきだな」

 

「え、これって地面の下なの?」

 

「埋めてきた」

 

 コナンが何か言っているけど、俺は知らない。今は花見と綺麗な奥さんがいればいいんだ! 

 

 俺は何も聞かなかったよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 アイディアをまとめたメモ帳に書いてあった内容。

 『桜と花見と着物とオール・フォー・ワンを使ったモグラたたき』。

 よっし、相変わらず自分の頭の中が解らない。

 というわけで、花見ができなかったので一郎たちに花見させました風味でした。






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