強個性であり、万能的で無敵でもある。ただし、ストレス耐性と胃薬が必要である『完結』   作:サルスベリ

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 普通のタイトルだと面白みがないから、ちょっと捻ってみました。

 賛否両論あるでしょうが、『あれ』ってこんな感じかなぁと。

 簡単に言うと、世の中のご家庭でもありえるのですが、田中・一郎の周辺であるとこうなるってもの。

 時系列が少し戻りますので、ご了承ください風味です。










世界の中心にして、人の世の脇役、人の心を壊し癒すもの、あるいは誰かにとっての命

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、人にとって必要なものですか。

 

「必要です!」

 

 それは、世界にとって大切なものですか。

 

「食事時には必要ない」

 

 それは、物体ですか。

 

「物体でいいのかな、あれ有機部品を使っているから」

 

 つまり、なんですか。

 

「我の宝物庫にもあるものだ」

 

「マジかよ英雄王。ウソだろ、おい?」

 

「名探偵よ、我が嘘をついてると? 面白いジョークだ。笑え、名探偵ジョークだぞ皆」

 

 盛大に大笑いしているのに、誰も笑えないでいます。

 

 どうも、田中・一郎です。

 

 大変なんですよ、本当に凄く難しい問題が発生しています。もうね、どうしてこうなったって、誰かに八つ当たりしたいけど、原因が解らないから当たれないって言うかね。

 

「一郎君、大変です、本当に大変です」

 

「あ、うん、ヒミコちゃん、解った、解ったから、落ち着こうね。君は今、妊娠中。解る?」

 

「解ります、解りますけど、大変なことです。こんなことになるなんて、誰も予想していません。どうしましょう、こうなってくるとお金が必要なのは解ります、予想していません。貯金がいくらあるか、確認しないと」

 

「落ち着こうか、妊婦さん。君は、初産だからね。本当にお医者さんに『気をつけてね』って言われてるからね」 

 

「一郎君はどうしてそんなに落ち着いているんですか?!」

 

 うわぁ、俺の嫁さんが妊娠して情緒不安定ですよ。普段の冷静さが、あれ冷静さ、冷静であったこと、あったかなぁ?

 

 ヤンデレ寸前のヒミコちゃんしか思い浮かばないのは、俺がおかしいわけじゃないよね。え、うちの嫁さんってヤンデレだったの。

 

 いや、マジかぁ。そっかそっか。

 

「フ、マスターよ」

 

「ギル、どうした?」

 

 なんで腕を組んで顔を沈めているんだよ。あれか、あれだよな、噂の司令官スタイルって奴だよな。

 

「貴様、事態の深刻さを理解していないな?」

 

「いや深刻なのは解るけど、そんなに慌てなくてもさ。代用品あるし」 

 

「理解してないのかよ、マスター?」

 

「コナンまで、どうしたんだよ」

 

「世界が終わったかもしれないんだぞ」

 

 大げさな。いや待った、ひょっとして俺が知らないだけで、世界規模の何かを暗示する機能でもついているとか。

 

 俺はチラリとエルとソープを見た。

 

 うん、こいつらならやりかねない。俺が知らない間に、家庭の電化製品を伝説級の武具とか、トラン●フォーマーに改造するくらい、呼吸するようにやるからな。

 

「ム?! 何処かで僕の天才を褒めている気がします!」

 

「は?! 誰かが内緒で進めていた計画を言い当てた気がする!!」

 

「こら待ておまえら! エルの天才発言はいいけどな!」

 

「いや~~」

 

 クッソ可愛い笑顔で頬を染めんな、この女顔のロボットオタク!

 

「照れんなおまえは! そっちじゃない! ソープおまえ! 内緒で進めていた計画ってなんだよ!?」

 

 俺の叫びにソープは、見惚れるくらい綺麗な笑顔を浮かべていた。

 

「ロマンじゃないか。解るよね?」

 

「解るか?! おまえとエルは少し自重しようぜ! 昔と違ってうちには今、妊婦さんがいるんだからさ!」

 

 もう色々と神経を使えよ、あの弔でさえ神経を使っているんだらな。

 

「え、ベッドが自動車へ変形はヒミコの提案だけど?」

 

「あれアイディアはヒミコちゃん?! まさかの妻の裏切り?!」

 

「はい! 寝ながら外にお散歩したかったので。ごめんなさい」

 

 うん許す。上目遣いで頬染めたヒミコちゃんの笑顔で、俺は何でも許せそうになった。

 

「よかった」

 

「ソープ、てめぇは駄目だ。いいから白状しろ、何をした?」

 

「『まだ』何もしてないよ」

 

 清々しい笑顔で、予告してんなよ、おまえ!

 

「ところで、なのですが」

 

「黒霧、どうしたんだよ? 今、俺はこの馬鹿をな」

 

「いえ、それよりもです」

 

 なんだよと顔を向けたら、黒霧が指さした先から煙が出ていました、とさ。

 

「令呪を持って命じる!」

 

「貴様マスター?!」

 

「落ち着けよおまえ!」

 

「ギルガメッシュ、あの洪水の宝具を!」

 

「貴様が最も冷静ではないであろうが! たわけがぁぁぁぁぁ!!!」

 

 そして、俺の家の食堂で世界を洗い流す大洪水が起きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一郎さん、俺はな、言いたくて言うわけじゃねぇんだよ」

 

「うん、爆豪君、解っているさ」

 

「一郎さん、お願いですから」

 

「ごめん、デク君、本当にごめん」

 

「いや土下座がみたいわけじゃないから」

 

 え、まだいいの。大洪水により周辺が浸水したので、俺は代表で怒られています。

 

 まったく、ギルも困ったもんだ。もっと規模を考えてくれよな。

 

「離せ! 離すのだアインズ! 今日は我慢ならん!」

 

「待て待つのだギルよ! 理解はできる! おまえの怒りは尤もだ! しかし仮にもマスターだ!」

 

「離せぇぇぇ!! 今こそ『天の理』を叩きこんでやる!」

 

「落ち着け!」

 

 あ、不味い、本当にギルが激怒している。いや、そんなに度量が狭いでどうするんだろう、英雄王。そんなんじゃ、王の中の王って言えないぞ。

 

「久しぶりに見たな。マスターの必殺、『おまえ何してんの』」

 

「責任転嫁ですね、解ります。僕もよくやりますから」

 

「昔の一郎を見ているようで、清々しいね。うん、あれで提督していたんだから、凄いよね」

 

 懐かしい顔してんなよ、コナン、エル、ソープ。俺は何時だってこうだよ、転生してちょっと大人になったけどな。

 

「一郎、おまえ反省してないな?」

 

 俺の後頭部を弔が掴んでいました。あれぇ~~弔まで激怒ですか、そうですか、不味いかな、かなり危ないことになったかな。

 

「キッチンは責任を持って直すからさ!」

 

「そっちじゃない」

 

 え、弔が怒っているのはキッチンが全損したからじゃないの。あれ、他の理由、他の理由って。

 

「俺の弟に何をしている?」

 

「え?」

 

「ヒミコの子なら、俺の弟だ。いくら父とはいえ許さん」

 

 あれれぇ~~。弔が言っていることが、俺には理解できないよ。おかしいなぁ、何を言っているんだろうな。

 

「いや待った、その理屈はおかしい」

 

「おかしくない。いいか? 兄が先に生まれるのは弟や妹を護るためだ。だから俺は父親である一郎が相手でも、戦ってやる」

 

「なにその意気込み?! 待った弔! 理屈がおかしい! 本当におかしいから!」

 

「少しは反省しろ」

 

「はい」

 

 もうこれは大人しく返事するしかない。弔の手が、ミシミシって俺の頭を握り潰そうとしているんだから。

 

 痛い痛い痛いって!!

 

「もう弔君ったら。お兄さんしていますね」

 

「ヒミコちゃん!? ちょっと助けてくれますか?!」 

 

「ダメです、一郎さんは少し落ち着いて反省しましょう」

 

「ヒミコちゃん?!」

 

 昔なら真っ先に助けてくれたのに?! か、艦娘に応援を頼むべきか。いやあっちで『馬鹿提督』って顔しているから、助けてくれない。

 

 トッティちゃんとトルテ君に! あ、ダメだ。店先で崩れ落ちている、うんうんあのお店の内装は気にいっていたんだね、解るよ、解るけどさ。

 

 先の俺を助けてぇ!!

 

「一郎?」

 

「あい」

 

「おまえは父親になるんだ。少しは自覚しろ」

 

「はい」

 

「ついでに、『鎮守府連合』の代表だと理解しろ」

 

「いやそっちは納得してませんからね! なんで俺の知らない間に連合になっているのか説明しろよ! なんで俺の名前が代表になってんだよ?!」

 

「生まれてくる弟と妹のためにだ」

 

 その時、弔が浮かべた笑顔を、俺は忘れることはなかった。

 

 いやヒーロー活動した後よりもいい笑顔って、どういうことだよ。

 

「兄か、いい響きだ」

 

「弔、そこまで。そっか、そうだよな。おまえの家族は」

 

「ああ、もう二度となくさない。今の俺なら世界さえ崩壊できそうだ」 

 

 いい笑顔で親指を立てる弔に、誰もが思うのでした。

 

 あ、こいつが一番パニックになっているって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とにかくです!」

 

 あの後、周辺被害はエルとソープと、その配下のゾイド部隊とかが頑張ってくれました。

 

 一時間で五キロ圏内の被害を修復って、こいつらは何処に向かっているんだろう。

 

「現在の状況を考えると、原因を早急に排除するべきです!」

 

「エルの意見に賛成だな。今回の原因をどうにかしないと、俺達は一歩も前に進めない」

 

 コナン、そんな神妙な顔しなくても。おまえがいてくれるなら、どんな問題だって一発解決だろうが。

 

「マスター、探偵にだって限界はあるのさ」

 

「そんな悲しいこと言うなよ、名探偵。おまえが本気になったら、今回の一件なんて簡単に解決だろ?」

 

「悪いな、俺の推理じゃもうどうにもできないことだ」

 

 コナンが。あの鎮守府時代から、何があっても頼りになったコナンが、そんなことを言うなんて。

 

「名探偵よ、貴様の弱気など聞きたくはないぞ」

 

「悪いな、英雄王。俺だって言いたくないさ。でも、今回の一件は俺じゃ無理なんだよ」

 

「そうか、世の中は無情出会ったな。今になって思い出すとは、我も随分と錆ついたものだな」

 

「いいじゃねぇか、ギル。全盛期のおまえが必要な世の中じゃなくなった、そう思えばさ」 

 

「慰めか、悪くない気分だぞ、コナン。その気持ちは、王としてではなくギルとして受け取っておこう」

 

「よせやい、おまえと俺の中だろ」

 

「フ、そうであったな」

 

 うう、泣かせるな。ギルとコナンが拳を合わせているって、こんなに感動するもんなんだ。

 

「感動シーンありがとうございます! では早速!」

 

 というわけで、食堂の壁一面にエルが図面を広げました。

 

 え、何これ?

 

「これでもって今回の原因を解決します!」

 

「大丈夫だよ、僕とエルが全力でやるからね」

 

 いや待った、二人が全力でやるから、大丈夫? え、待って、その理屈がおかしいことに誰か気づいて。

 

「よかろう! その計画、このアインズ・ウール・ゴウンも助太刀しようぞ!」

 

「ならば英雄王たる我も参加しなければな!」

 

「いいぜ、俺の頭脳が何処まで役立つか、試してやろうか」

 

 あれぇ~~~なんだろう、なんで図面を見た瞬間に、皆の気合いが入るのかな。 

 

「俺の個性が崩壊でなければな」

 

 弔まで何を言っているのかな?

 

「私のワープも、必要ならば使ってください」

 

 黒霧?! え、待って、ちょっと待とうか。

 

「我ら艦娘も動く時だな」

 

 エンタープライズ、落ち着こうね。

 

 待って待って、俺がパニックになって大混乱してやらかしたのは悪かったって謝るから、なんでそう皆して決戦のようなやる気になっているのか教えてっていうか、止めて落ち着いて冷静になろうね!

 

「フッフッフッフッフ! 乗ってきましたよ! 皆さんのやる気があれば僕らに不可能はありません!」

 

「待ったエルネスティ! おまえ何をやろうとしてるんだよ! その図面の重力子機関ってなんだよ?!」

 

「もちろん動力源です!」 

 

「材質の超合金Zって必要か?!」

 

「強固なフレームこそが命ですから!」

 

「装甲にフェイズ・シフトって何処を目指してんだよ!」

 

「外部からの衝撃が一番の敵です!」

 

「おまえ一次元結晶ってどっから持ってきた!?」

 

「そこはソープさんが!」

 

「がんばって加工したよ!」

 

「がんばるなよ! おまえら落ち着けよ!」

 

 もうなんだよ、そんなもの使って何を作るつもりなんだよ、解っているのか、本当に作るものが解ってるのか疑問だよ。

 

 計画名をよく読んでくれ、おまえらさ、そんな超技術を使って何を作るつもりなんだよ。 

 

「では皆さん! やりましょう!」

 

「オー!!」

 

「落ち着けっておまえらぁぁぁぁ!!」

 

 もう止めるしかない。全力で令呪を使って。 

 

「い、一郎君」

 

「止めないでヒミコちゃん、俺は」

 

「そうではなくて」

 

 あれ、ちょっと苦しそうな声してるんだけど、どうしたの。 

 

「産気づきました」

 

「・・・・・・・・ギルぅぅぅ!!!」

 

「ヴィマーナ!!!」

 

「アインズ! 魔法だ!」

 

「タイム!」

 

「最短ルートをかっ飛ばせ!」

 

「無論だ名探偵よ! 我の体のフルに使えばこの程度! 造作もないことよ!!」

 

「行くぞギルガメッシュ! 産婦人科へまっすぐだ!」 

 

「任せろマスターよ! 見よ、これが英雄王の妊婦輸送だぁぁ!」

 

 その時、俺達は気づかなかった。

 

 俺とギルとコナンでヒミコちゃんを送って行く中、エルだけがニッコリ笑顔でいたことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事に男の子が生まれました。タケルと名付けました。ヒミコちゃんが決めていたみたいです。

 

 で、次は女の子だろうから、カグヤって。いや気が速くないですか、もう次の名前を決めているなんて。女の子ってどうして解るのさ。

 

「・・・・・・」

 

「完成です!」

 

「あ、うん」

 

「見てください! 内部に動力源を持っているため停電でも問題なく動きます! 内部のフレームは超合金Zを使用し、内部パーツはすべて魔法術式を刻んで強化と固定化をかけているので、超重力砲の直撃にも耐えます! その上外部装甲はフェイズ・シフトを採用! 実弾に対しての防御は完璧です」

 

「あ、そう」

 

「さらにさらに! ソープさんの協力で画面は一次元の結晶構造体! もうどんな攻撃も受け付けません!」

 

「そっかそっか、で?」

 

 もう呆れながら俺は半眼でエルに問いかけた。

 

「はい! できました!」

 

「解った、解ったから、これはなんだよ?」

 

「見て解りませんか?」

 

「見て解るけど、説明から理解できないんだよ。で?」

 

 さらに強く問いかえると、エルは呆れた顔で首を振った後、当然のように告げたのでした。

 

「一郎さん、まったく初めての子供を見てパニックになったんですか? これは『テレビ』です」

 

「・・・・・・解っているけど信じたくなかったんだよ! 馬鹿野郎がぁ!!」 

 

 もう俺は絶対、こいつらを野放しにしないと誓ったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すげぇ綺麗だよな?!」

 

「ホントに綺麗に映りますね?! どこのメーカーですか?」

 

 その後、食事をしに来た爆豪君とデク君がキラキラした眼で問いかけてきたので、俺は真っ直ぐに土下座したのでした。

 

「ごめん、そのことについては聞かないで」

 

 二人はきょとんとしたまま、固まっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 










 アイディア・メモに書いてあったこと、『テレビ壊れる、エルが暴走する、止めている間に子供生まれる』。

 相変わらず、メモを書いた時の自分の心理が解らない。

 というわけで、テレビが壊れたことから始まって、新しいテレビができたことで一郎の心労が重なる風味でした。








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