がっこうぐらし!称号「自宅警備員」獲得ルート(完結) 作:島国住み
えっと、あの、おはようございます。
まだ暗さがありますね。早朝です。
雨音が聞こえます。無事(?)最終日を迎えました。
昨日の記憶は(ないです)
えっ? 挑発? いやいやそんなことしていないですよ穏便に済ませようと常に行動してましたよはいムニャムニャ……
もうだめだと思いましたよ。
まさかあんなことになるなんて。
あかんこれじゃ動画が死ぬぅ!(BPO)
ただね、出さないというわけにもいかないですし、
編集で何とかできる雰囲気でもなかったんで、
覚悟をキメてお届けしました。
非公開になってないところをみるに、許されたみたいです。
やったぜ(多様性)
本来であれば大忙しで鬼門でもあるあめのひですが、自宅警備員であればふだんの一日とそう変わらないはずです。ゾンビたちが寄ってくる要素がないですからね。
雨が止むまで生き残っていればいいので横で寝息を立てている妹の機嫌さえ損ねなければクリアできるはずです。
というわけで起きぬけではありますが、じっとしておきます。
もうね、正直に申し上げまして、彼女は私の理解の範疇を超えています。
絶対おかしいと思って、色々調べてみたんですよ。
ですけど、モブとずっと過ごしているっていう例があまりないもんで、よくわがんなかったっす……
ただ、見落としていた点がありました。ステータスです。
正気度は低位安定、友好度は天井に張り付いたまま。ここまでは何度も確認した通りです。
ですがパラメーターはそれだけじゃなくて、プレイヤーとの関係性を表すもので、愛情度というのがあります。
これはまぁ、ゾンビサバイバルにおけるちょっとしたスパイスです。
(自宅警備員にはそんな要素は)フヨウラ!
オフにもできるんですけど、RTAから始めた関係でオンのまま進めちゃったんです。
今まで気に留めていませんでしたが、ちゃんと見たら、数字が0じゃなかったんです。
開始時点では0だったんですけどね。おかしいなぁ(震え声)
愛情度はマスキングされていて正確な値は分かりません。
ただ、これまでの行動から察するに、高い水準にある可能性があります。
ポイントを稼ぐようなことは何もしてなかったんですけどね。
そもそも兄妹ですからね。パラメーターが0以外になるのはダメ!死刑!(正義実現委員)
とはいえ、今さら止めることはできませんしぃ、走りきるしかないですよね。
そういう倫理的なところは一旦置いておきましょう。
ほら、今の価値体系のレンズで昔の事象を眺めると歪みが生じちゃうじゃないですか。そういう感じですよね。ゾンビ世紀にはゾンビ世紀の価値観があるんです。運営はそういうことを伝えたくてあえて愛情度を適用させたんだと思います。(牽強付会)
ですけど安全第一です。妹にちょっかいをかけるようなことはしません。これは健全な動画なのでね。
飛真君のメンタルは昨日の一件でズタズタになっています。
信頼していた肉親に身体の自由を奪われて、同意なく欲望のはけ口にされたんですから。
……これやっぱ犯罪だよねぇ!! 助けてデトロイト市警!!
法執行機関が機能していないことをいいことにめちゃくちゃやりやがって。
飛真君にとって、妹は大切な存在であることに変わりありませんが、同時に強い警戒感とこんなことになってしまった自責の念が渦巻いています。
だからどう妹に接すればいいのか分からないんですよね。
正気度を回復する手段はもうほとんどありません。
こうなったらとにかく穏便に穏便に過ごすことを心がけて粘り勝ちするしかありません。
「おにいちゃん、起きてる?」
あらら、起きてしまわれたようですね。
飛真君はさっきから起きてますよ。ろくに寝てないです。誰かさんがいなければぐっすりなはずなんですけどね。
「……うん。お腹空いたな」
じっとしててもしょうがないので起床します。
「目のクマすごいよ。眠れなかったの?」
「うーん、寝たつもりなんだけどな……」
朝のルーティンを率先してやれば向こうも勝手に動いてくれます。
焼け石に水ですが、習慣になっていることをこなせば正気度の回復に繋がります。
一緒にいる時間を減らすため、朝は手間がかかるものにします。
ハッシュドポテトです。現代の環境であれば、どちらかというと手軽側の料理ですが、蒸すと揚げるという時間のかかる工程が二つ控えています。
反面、必要な材料自体は少ないのは単純にありがたいです。
じゃがいもを切ったら、蒸し器に水を入れて沸騰を待ちます。収奪経済にコンカレントエンジニアリングなんていう発想はないです。(ウォーターフォール)
沸騰したらじゃがいもを入れます。
竹串でつんつんしながらホクホクになるのを待ちます。
立ってる必要ないし、座ってようかな。
「私もお腹すいてきちゃった。何か手伝えることある?」
「大丈夫だよ。待ってて」
「うん」
ぎゅっ
「ちょっと……危ないだろ」
後ろから抱きつかれました。距離感めちゃくちゃだよ……
「いーじゃん、今は蒸し終わるのを待ってるだけなんでしょ?」
「そうだけど。出来たら呼ぶから、行った行った」
「冷たいなぁ……わかったよ」
茶々が入りましたが、また一人になれました。
いい感じに蒸せたので、じゃがいもを潰して塩やらコンソメやら調味料と混ぜます。
こっから揚げに入ります。片付け面倒なので今まで極力避けてましたが、あと数時間でクリアなんで後のことは考えずきつね色になるまで揚げます。
油を切ったら……完成です!
昨日はロクな食事を摂ってないですからねぇ、余計うまそうに見えます。
出来上がってしまったので妹を呼びましょう。
「わー、おいしそう。お兄ちゃん、ありがとう!」
「ケチャップはないけど、味はついてるから」
アツアツのうちに食べるぞー
うん、(正気度回復)おいしい!
油と炭水化物は正義なんよ……
たくさん作ったつもりだったんですけど、あっという間になくなりましたね。
「後片付けは私がやるね。油とっておく?」
「うーん、捨てちゃっていいよ。まだ残りあるし」
もう使う機会ないしな!
歯を磨いたら二度寝をしましょう。シングルベッドを丸々使って、二度寝を。
いい感じです。
妹と距離をとりつつ、欲求を満たすことで正気度を回復できてます。
正気度はいくらあってもいいですからね。
モタモタはしません。スゥーッ……(入眠)
「あっ、ずるい! 私も一緒に寝る!」
……覆いかぶさってきました。最悪です。
「寝たいなら自分の部屋に行けばいいだろ」
「お兄ちゃんと一緒じゃなきゃ意味ないもん」
「今はやめてくれ」
「……いつならいいの?」
「夜になったらいくらでも」
もうその時にはクリアしてるからな!
いくらでもホラが吹ける。
「じゃあ我慢するけど……代わりに……」
「何?」
「……キs「それも夜になったらね」
「また後回しにした!」
「今は眠いんだよ。今夜いっぱいするから」
「……えっち」
「え? あ、いや、そういう意味じゃないよ」
「嘘だ。にやにやしてる」
うるさいですね……
もうこの問答やめたい。やめるね(宣言)
「とにかくそういうことだから。この話は終わり」
「……」
「……」
「ちょっとだけ、一回だけ…………んっ……」
は? やりやがった……!
こつこつ回復させた分の正気度がこれで消えて……ない……
あれ……?
待って待って待って(オタク)
これまで置いてきた前提と違ってす、いるのですが!
昨日の一件で飛真君のなけなしの正気度は空前の灯火まで減ってしまいました。
それを受けまして、心に傷を負わせた憎っくき妹とはできるだけ離れられるように行動してきたわけです。
「ふふ……寝たふりしてるけど、すごいドキドキしてるよ……?」
ただ、今にして考えてみても縛られてやりたい放題されても正気度は0にはならなかったですね。あれで精神がイッてゲームオーバーでもおかしくはなかった。
確かにあれ以降、正気度は回復こそしてないけど、減ってもいない……
もしかして、満更でもない……?
「私のせいであんまり眠れなかったんでしょ……おにいちゃん、このままだとずぅーっと寝不足のままだね」
ヤバいヤバい考え事してたらどんどんヒートアップしてるじゃん。
一旦落ち着かせます。
「あの、ホントに、我慢できなくなるから、勘弁して……」
「えー、なになに、なにががまんできなくなっちゃうのー?」
完全に覆いかぶさってきました。
スゥーッ……
これから多分、イメージ映像が流れることになると思います。ご了承ください。
これは暫定的な手段です。超法規的というか、毒には毒をというか、とにかくそういうことですから!
いや別にほにゃほにゃを見たいとか全然そういうことじゃないですから。自分は実行役なんで。指示役は他にいますから(回収されない伏線)
「私……おにーちゃんのこと、だいすきだよ……だから、がまんしなくていいよ……」
ドン!!
ん? なにこの音? 心の声?
窓のほうからしたな……
ガラガラガラ……
え?
「開いてたんですね。おじゃまします」
「……おじゃまします」
え、え、え?
めぐねえとりーさんがいます。
めぐねえとりーさんがいます。(二回目)
つまりですよ、あの……ガッツリ見られました。
まだ二人とも服を着てたからセーフですね!
……アウトですね! どうしよう!
ああちくしょう。窓閉めておけば……
お二人ともお凄い顔をなされてまぁ……
めぐねえはギリ笑顔の仮面がありますが、りーさんはあからさまに表情が死んでます。
そして武器を持ったままです。これじゃ訪問者か強盗か区別がつかないぜ!
彫像になってしまった妹をベッド脇に座らせて、飛真君は侵入者の方に向かいましょう。
いつから居たのか気になりますけど、確実に墓穴掘ることになるから聞かないようにします。
「みんなは……?」
「学校にいますよ。雨が降ってるせいか、ゾンビが少なくて。雨が嫌いなのかもしれませんね。だから私たちだけでも来れました」
「生徒会室、ですよね」
「はい。みんな待ってますよ」
おいおいおい(絶句)
よりにもよってこのタイミングで別行動してるのか。
ゾンビが少ないのは嵐の前の静けさです。そうこうしている間にも雨宿りをするためにゾンビがどんどん校舎内に入ってきます。このゲーム最大の危機イベントです。本来、プレイヤー含め学園生活部全員で対処して生還できるかって難易度です。
……学校に残ってる人たちはまず間違いなく死んでしまいます。
「先週も雨が降ったんですけど、その時は昼前あたりからゾンビ達が校舎にどんどん入ってきて。バリケードも破壊されて本当に危なかったんです。今回も耐えられるかどうか……」
「だから、朝来ました。すぐ戻れば間に合います。さっ、早く準備してください!」
めぐねえニッコニコですねぇ……
これは、やられましたね。
言い逃れの隙間も、迷う時間も与えずがっこうぐらしさせようとしてます。
学校にいる面々はいわば人質です。飛真君が学校に駆けつける以外に今回の襲撃を生き残る術はありません。
学園生活部員の命を交渉に使うなんて、汚いぞめぐねえ……(国務長官)
「待ってください。急に来て『学校に来い』なんて」
「咲良さん、急じゃありません。一昨日、飛真君と約束しました」
「約束……? どういうこと、お兄ちゃん?」
いや、約束はしてなかったはず。とりあえず濁します。
「その……薬を調達するのを手伝ってくれた時に、咲良が元気になったら学校に行くつもりだって話をしたんだ……」
「私聞いてないよ」
「飛真君、話してなかったんですか?」
ヤバい(ヤバい)
「咲良の体調が戻ってから言おうと思って……ほら、昨日まではまだ熱があったじゃないか」
「……そうね、昨日はそれどころじゃなかったね」
口裏をあわせてくれました。利害は一致してますからね。
約束してないし、勝手に来たのは向こうだし、トーゼン、お引き取り願います。
「咲良はまだ病み上がりで移動は難しいです。それに、そもそも今日行くって約束はしてないです。だから、来ていただいた所申し訳な「また言い訳するんですね。私たちは飛真君の言葉を信じてここに来たのに! ……ひどいです」
めぐねえが声を荒げたり振るわせたり賑やかですね。
道具的感情ォ!
「ねぇ、お兄ちゃん……お兄ちゃんは何も約束してないんだよね? この人達、勝手に自分の都合のいいように解釈して勝手に家に入ってきただけなんだよね?」
「違います。約束しました。決まっているこt「お兄ちゃんに聞いてるんですけど」
争わないで(懇願)
「準備ができたらそちらに行きます。これは約束できますし、これまで言ってきたことです。ですが、今は学校に行けないです」
「……分かりました。飛真君、少し二人だけでお話できませんか? 判断は、私の話を聞いてからしてほしいです。……お願いします」
「私からもお願いします。咲良さんに伝えたいことがあるので」
お二人はサシでの対話をご所望ですね。
聞かれたくない話というのは怪しげですが、逆にこちらの本音を強く言える機会でもありますね。
「言いたいことがあるならコソコソしないでここで話せばいいじゃないですか」
「いいんだ、咲良。分かりました。少しだけです。この話が終わったら学校に戻ってください」
もう納得してもらわなくてもいいです。行かないの一点張りで通します。
「ありがとうございます。すぐ済みます」
バタン
ということで、妹の部屋にやってきました。
ちゃっかりめぐねえが扉を閉めました。
武器である金属バットは置いてきてくれましたね。
「さっきはごめんなさい。感情的になってしまいました」
「僕たちの方にも都合があるんです。押し付けられても……考えは変わりません」
「はい……こちらに伺うのもいきなりでしたよね。妹さんが言っていた通りです。強引でした。本当にごめんなさい。ですけど、これには理由があるんです。今朝校長室でこんなものが見つかったんです」
めぐねえが何か取り出しました。小さな紙切れです。
「僕にはただの便箋に見えますが」
「これは文字が透かしになってて……差出人は系列大学の学長です。ゾンビには予め弱点を設定しておいたと……懐中電灯、借りますね」
明かりを付けた懐中電灯を学習机に立てて、そこに紙を置きました。
「見てください……緊急事態なんです、早く!」
やたら読ませようとしてるけど、そもそもそんなアイテムあったっけ……?
いや、ないです。このゲーム何週もして攻略サイトもちゃんと見てます。
もしこのアイテムが本物なら私が把握してないはずがない。
……これはでっち上げです!
「嘘ついて何する気
ビリッ!!!
ヴッ……!」
え? え? え?
ごめん、全然状況が飲み込めない。
HPとスタミナが削れました。マジモンの攻撃です。
「あーあ、すぐバレちゃいました。でも飛真君、油断してくれましたね。これ、何でしょう?」
「ス、スタンガn
ビリビリッ!!!
あ゛あ゛ッ……」
「ふふっ、そうです。校長室で見つけたんです。約束を破る悪い子がいるかもしれないと思って持ってきたんですが……正解でしたね」
これ、もしかしなくても、拷問イベント……だよな……
普通にプレイしていたらまず遭遇しないイベントです。
相当恨みを買うことをしたり、物語の真相に不用意に近づいたりしたら起こることもありますが、わざとやらない限り起こりません。
飛真君、何も悪いことしてないよな……?
校長室にある引き出しの中に入ってるアイテムはランダムで決まります。確かに低確率でスタンガンは入ってます。しかし、プレイヤーに対してNPCが使うなんて……信じられないです。
「本当はこんなことしたくなかったです。飛真君が嘘つきだからこうやって罰を与えないといけなくなって、先生は悲しいです」
それならば、なぜ笑ってるんでしょうか……
目のハイライトは当然消えてます。
あ、好感度上がってる。最大です。なんで今上がるんだよ……狂ってる……
「今日見たことについて、私は胸の内にしまっておきます。悠里さんもそうするでしょう。だって、言えるわけないです、あんなこと……。でも、飛真君が私たちを弄び、騙して、傷つけるなら、心に傷口ができて、思わず妹さんとの関係を漏らしてしまうかもしれませんね……」
「それはひどい誤解で……「誤解って何ですか? 言ってください」
「……僕は皆さんに対して誠意をもって接してきました。そして、僕と妹はただ仲がいいだけです」
「へぇー、そうですか」
うわっ、めぐねえが抱きついてきました。
スタンガンはしっかり飛真君の太ももにロックオンされてます。
「ちょっと……な、何するんですかっ!」
「しーっ、声が大きいです。私は妹さんと同じことをしているだけですよ? 私たち仲良しだから何も問題ないですよね?」
「……っ」
抵抗なんてできません。
耳元で何やら囁いてくるのをじっと我慢して聞くしかありません。
「それで、咲良さんとは
「質問の意味がわからな
ビリッ!!!
うぐっ……先生、お願いです。もうやめてください……」
「はぁ……まぁいいです。この件についてはあとでじっくり聞きますから。更生できるように私がしっかり指導してあげますから、安心してくださいね。そのためには学校に行かないと。ね? さぁ、答えてください。飛真君の帰る場所はどこですか?」
「……」
カチッ
「ヒッ……がっ、学校ですっ!」
「電圧を変更しただけですよ。でも、ちゃんと言えましたね。えらいです。……どうしたんですか? 怯えないでください。ふふっ、可愛い……」
「あ、そうそう。一階のシャッター、ひしゃげてましたね。裏側は家具を積み上げているだけで、ゾンビが来たらひとたまりもないですよね。危ないので、帰りがけに私が『修理』しましょうか?」
「学校に行きます。言う通りにします。だから……」
「ここは残してほしいと。信じていいんですか?」
「信じてくださ
バチッ!!
あ゛っ……あ……あ……」
バタン!
「聞こえないですよ~。あれ、……っと、大丈夫ですか? 強くしすぎちゃったかな……」
スタミナ切れで膝から崩れ落ちました。上半身が倒れる前にめぐねえが支えた恰好ですね。
比喩じゃなく、このままじゃ殺される……
ボタン連打で復帰が早くなります。
「でも、こんな無防備だと、いたずらしたくなっちゃいますね……」
誰もいないのにキョロキョロしてますね。
すげー嫌な予感がする。ボタン連打!うおおおおお!(やわらかスマホ)
「あむっ…………」
カ、カメラアングル的にめぐねえの頭で隠れてるからセーフ!
「ん……? ん!? んーんー!?!?」
「ぷはっ……気づかれちゃいましたか。でも、良かったです。心配しましたよ……あんまり飛真君の反応がかわいいからやりすぎちゃいました。ごめんなさい。次は気をつけますね」
心配したとかよくもまぁしゃあしゃあと。
口にへばり付いている笑みを取ってから……とかいう問題ではないですね。どう見てもアウトです。犯罪です。
「次……」
「記憶はしっかりしてるみたいですね。もうバチバチは嫌ですよね?」
コクコクコクコク
「うんうん。じゃあ、妹さんに学校に行く準備をしろってはっきり言いましょうね。ここには二度と来れないんですから忘れ物はしないようにしてくださいね。お話は終わりです。さっ、戻りましょう!」
残念なお知らせがあります。
さっき、飛真君の正気度が逝きました。
0を通り越して、マイナスに入ってます。
めぐねえに精神を完全にへし折られました。精神の均衡を掌握されてしまい、従属的な行動しかできなくなります。めぐねえの意にそぐわない行動はプレイヤーの入力であっても受け付けません。
そうでなくとも、正気度がないのでコントロールできないです。
実質、ゲームオーバーです……
正気度を短期的に回復させて、1でもある状態まで持っていければ息を吹き返したことになりますが、そんな奇跡起こりっこありません。
まだ正気度ゼロによるゲームオーバーが確定してないので続けます。確定した瞬間、人と認めてもらえなくなり、称号取得の条件を満たせなくなります。
ちなみに動かせないだけでプレイ自体は続けることができます。いつもなら凄惨な最期を見たくないのですぐにコンティニューしていますが。
何も操作しなくても飛真君が動いてくれます。楽チンだね(絶望)
えっとですね、私がいても何も変わらないので、一旦消えます。
称号の取得が不可能になるか、動かせる状態になったら現れます……
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ガチャ……
お兄ちゃんと先生は話がしたいとのことで、私の部屋に入っていった。
若狭さんと私だけがここにいることになる。
これから始まる言い争いを想像して、気分がもうすでに重い。
今日のお兄ちゃんは冷たかった。
振り向いてほしくて色々ちょっかいをかけたら、変態お兄ちゃんの火を付けてしまったらしい。
もうちょっと、だったんだけどなぁ……
最悪だ。
「一応聞きますけど、さっきは何をしてたんですか?」
能面のような顔でただ私をにらみつけていた若狭さんの口がついに動く。
「……若狭さんには関係ないことです」
「言えないですよね。本当、気持ち悪い」
「他人のプライベートを覗き見する方が気持ち悪いですよ」
「飛真君は嫌がってました」
「何も知らないくせに、勝手に妄想しないでください」
「飛真君は優しいからあなたがひどいことをしても離れなかった。家族だから、それだけの理由で飛真君はずっとあなたを庇っていましたよ。もっと早く、強硬手段に出るべきでした」
「ここに残る判断は、私とお兄ちゃんが話し合って出た結論です。そもそも、お兄ちゃんは学校に行くことに反対してました。私はどっちでも良かったんですけど、お兄ちゃんがどうしてもって言うから……」
「嘘ばっかり……! 色々理由を付けて学校に何度も来てくれましたよ」
「必要だから行っただけですよ。変な勘違いをされて、お兄ちゃんがかわいそうです」
バタン
……?
隣の部屋から音が聞こえた。
「いつまでそこに座ってるんですか? 早く離れてくださいよ」
「だったら早く武器を置いてください。恐ろしくて動けないです」
「当然でしょう……兄妹で……考えただけでもおぞましい……」
「どうしてダメなんですか? 私たち愛し合ってるんです。何も言われる筋合いはないです」
「……鴛鴦気取り? 鳥肌ものですね。あなたに何を言っても無駄だってことがはっきりわかりました。飛真君に聞いてあなたの妄言を確かめます」
「どうぞご勝手に。そっちこそ妄想が壊れないといいですね」
「……」
「……」
沈黙がいつまで続いたか分からないけど、しばらくしたら二人が戻ってきた。
心なしかお兄ちゃんの顔色が悪いように感じる。
「咲良、学校に行くことにした」
「へ?」
開口一番、実に平坦な口調でそう告げられた。
「なんで…? 行かないって言ってたのに……」
「考えが変わった」
「訳を話してくれないと私、納得できないよ」
思わずお兄ちゃんに詰め寄ってしまう。私が傍に来ても全く表情を変えない。お兄ちゃんが何を考えているのか全く読めない。
「学校のほうがインフラが整っているから」
そんなありきたりな理由で、簡単にお兄ちゃんが意見をまるっと変えるはずがない。インフラのことはすでに分かっていたことだ。あの密室で
何か痕跡が残ってないかと、身体をジロジロみてしまう。見える所には何も残ってない。
「それだけ……? これは大事なことだよ。私の目を見て言って」
私の願いが通じたのか、何かが溶け出すようにお兄ちゃんは自然と口を開いた。
「……本当は、
カチッ
ヒッ……あ、いや……考えは変わらないよ。学校に行く」
先生の方から何か音がした。
そしたらお兄ちゃんは急に怯えて……また平坦な口調に戻った。
「お、お兄ちゃんに何したんですかっ!」
「何もしてないですよ。そんなに人を疑って、ちょっと失礼ですよ」
「じゃあ今の音は何ですか!」
「ああ、これですね。私が持ってた懐中電灯です。
怪しい。本当に怪しいけど、何も証拠がない。なんらかの脅しがあったのは確実だとしても、どう強請ればお兄ちゃんを動かせるのだろう。
「そんな睨まないでください……わかりました、白状します。お二人の関係についての一般的な懸念をお話ししました。それを聞いて、飛真君は自分の意思で決めたんです。そうですよね?」
「はい。僕が決めました。だから咲良、向こうへ行く準備をしてくれ」
「お兄ちゃんとの関係って……先生には関係ないです」
「いいえ、あります。端的に言うと、飛真君は咲良さんともう一度普通の兄妹に戻りたいと望んでいるため、学校を選んだんです」
頭が真っ白になる。何も考えられない中、昨日私がしたことがコマ送りで流れていく。
「私たちはずっと兄妹です……」
「そうです。ですが、思春期の兄妹が一緒に寝るでしょうか。ましてや、キスなんて……。いいですか、いくら仲睦まじい兄妹でもそんなことは絶対にしません。そして、誰かがいれば起こらなかった悲劇です。当事者同士で解決できる問題ではありません。ですが、第三者である私たちが間に入れば、正常化できる問題です」
「何ですか、正常化って。私たち何も悪いことしてないです」
「残念ながら、そう思っているのは咲良さんだけですよ。はっきり言います。咲良さんの飛真君に対する執着は間違ってます。男女である前に、兄妹なんです」
「もし、もしそうだったとしても、私たちのことは私たちが決めます。兄と話をさせてください。」
「もう結論は出ています。私の言葉では納得できないのでしたら……お兄さんの方から直接聞いてください」
「私、お兄ちゃんの言うことだったらちゃんと聞くよ。私のこと、嫌いなの……?」
「論点ずらして、往生際が悪い」
「悠里さん! 今は静かに。私たちは邪魔にならないように少し離れてましょう」
ゆっくり手を合わせて、指を絡めていく。
そうすると自然と身体がくっつきあって相手の温かさが流れ込んでくる。
「先生! 止めさせましょう! あんなの、私、見ていられないです……」
「今は、今は我慢してください……」
上目遣いでお兄ちゃんを見る。その顔は苦しげに歪んでいて、小さな震えが絡ませた指から伝わってくる。
まるで何かと闘っているみたいだ。高まる不安を押し隠して私はやさしく見つめ続けた。
「……大丈夫。咲良、これから
言い終わらない内に、私は優しく、だけどしっかりとした力で抱き寄せられていた。
私はこれから何を言われるのかじっと待った。でも、お兄ちゃんはそのままで動く気配すらない。
もしここでは話せないことを伝えようとしているのだとすれば、これは……
痺れを切らしたのか、先生が懐中電灯をいじりだしてカチ、カチという音が皆のかみ合わない息遣いに加わる。
そのカチッという音にお兄ちゃんは大袈裟とも思えるほど動揺して、ついに涙まで流しはじめた。
「お兄ちゃん……?」
さすがに心配になって思わず声をかけた。
「駄目なんだ。僕たちは学校に行かないといけない。好きとか、嫌いとかそういう問題じゃないんだ」
「本当に本当に、それが、お兄ちゃんの考えなんだね……?」
「…………そうだ」
逡巡がありありと見える中でも、そう言い切った。
お兄ちゃんがあいつらに屈したのなら、もう私の力ではこの場を変えることはできない。
「わかったよ。お兄ちゃん……」
「たしかにこの世界は世紀末と呼んでもいい状況かもしれませんが、無法地帯にはさせません。道を踏み外した子供を正しい道に導くのは、教師……いや、大人の使命です。咲良さんも私たちとの共同生活で人間を回復できるはずです!」
先生はファンファーレのつもりなのか、頓珍漢なことを言いだしている。
いつの間にか悠里さんは目に涙をためていた。
ふらっとこちらにやってきたと思ったら私を突き飛ばしてお兄ちゃんを抱きしめた。
「飛真君、辛かったよね。苦しかったよね。でも、もう大丈夫だよ……」
「や、やめて……」
私以外の女が、お兄ちゃんの身体にべっとりと触れている……
怒りと無力さで身体に力が入らなくなって、へたり込んだまま動けない。
私のか細い声を横目で捉えた後、あの女はお兄ちゃんを締め付けるように抱きつく力を強めた。
「ごめんなさい。もっと早く助けられたのに、遅くなって……これからは私たちが守るから……」
「私は飛真君に頼まれてた用事があるので下に行ってます。悠里さん、私たちに残された時間は少ないです。飛真君に付きっきりではダメですよ?」
一人悦に入ってすすり泣いている先輩を残して、先生は本当に一階へ行った。
お兄ちゃんは何も言わない。嫌って言ってくれたら私はどんな手を使ってでもへばり付いたゴミを排除するのに。
「運命がやっと繋がったんです、これからはずっと一緒ですよ……あっ……ぎゅっとしすぎましたね。痛かったですか?」
「柔らかかったです」
「お兄ちゃん……?」
信じられない……私の前で、素直すぎる。
ついさっきまで余裕のない顔して我慢できないなんて可愛いことを私に向かって言ってたのに……
どうして抵抗しないの……?
「もう!……ゆきにもよく言われますから、そういうことにしておきます」
「お兄ちゃんに、さわらないで……」
「……でも、今日だけ特別ですよ……みんながいるときは、だめですからね……?」
あの女はお兄ちゃんの頭を押し込んで、胸と腕で羽交い絞めにした。
私を排除して、二人だけの空間を作ろうとしているのは明らかだ。
お兄ちゃんがすすり泣く声が聞こえてきた。
そして、そして……信じられないことに、お兄ちゃんはされるがままになっている。
「泣いてるんですか……? ふふ、なんかくすぐったいです……たくさん泣いていいですよ、傷はぜんぶ私が癒してあげます」
右手でお兄ちゃんの頭を撫でている。口裂け女みたいに横に歪んだ口からはどす黒い欲望が漏れ出ている。
すすり泣く声は、嗚咽に変わった。
あの女の優しい言動に騙されないで!
そう叫びだしたいけど、目の前の悪夢が私を金縛りにする。
私は、あの女の胸中が痛いほど分かる。私もお兄ちゃんが胸元で泣いていたら自分が選ばれた喜びであんな顔をするだろう。
だからこそ、そこにいるのは私でなければならないのに。
一番あの人を大事に想っている私でないといけないのに。
「……飛真君、顔を上げてください」
お兄ちゃんは泣きはらした顔を素直に上げた。
興奮の極みに達している女の顔は吐き気を催すほど醜くて、呆けたようにあの女を見つめるお兄ちゃんが信じられなかった。
「昔の辛い記憶、私が上書きして忘れさせてあげます……」
それって……
「ダ、ダメ!! そ、それだけはっ!」
私の精一杯の金切り声で場が一瞬止まった。
そして、
「悠里さん、それはまた今度しましょう。学校に行く準備をしないと」
お兄ちゃんは目から涙を垂らしたまま、あの女の唇に人差し指を置いて、やんわりと断った。
「そ、そうだね。まだちょっと早かったよね……」
お兄ちゃんは演技してるんだ。そう信じてる。信じないと、私は心が保てない。
これまで私にしてくれたことを反芻して、強く、強く、思う。
現にお兄ちゃんは、すんでのところであの女の横暴を退けた。まるで我に返ったかのように。
キスだけは、それだけは私たちだけのものだ。
「でも先生が戻ってくるまではこうしてていいですか……?」
そう言ってお兄ちゃんは自分から胸に顔を埋めた。
……演技だよね?
「ひやっ……い、いいですけど、んっ……触り方が、その……」
もうこれ以上見てられない。嫌だ。嫌だ嫌だいやだいやだ……
目をぎゅっとつむって頭を抱えると視界が真っ暗になって二人の息遣いが生々しく伝わってくる。
目に写ったこと、耳から聞こえたもの、体温、しぐさ……どれも矛盾していてどれが本当だか何も分からない。
違う。信じられることはあった。あいつらがここに侵入してくるまでのことは、全部本当だった。
お兄ちゃんは脅されて大嫌いなあの女たちに従ってるんだ。そうだ、そうに決まってる……!
この悪夢から覚めるためには外来種を根こそぎ殺して、元通りの私たちだけの草原に戻さないといけないのかなぁ……
丸くなっているうちに先生が戻ってきた。
さっぱりした顔で私たちに準備をしろと促している。
「時間がありません。必要な物資は全部向こうにありますから、食料はもっていかず、大事だと思うものだけ少し持っていってください。そうですね、あと10分以内には出たいですね」
早すぎると抗議する前にお兄ちゃんはテキパキと動き出した。
淀みなく服を選び出している。
現実感が全く湧かないまま、私の部屋に行って服を見繕う。
必要な物はたくさんある。服だけでも靴下から帽子まで全部持っていこうとすれば膨大な量になる。それに、私の髪質に合ったシャンプー、お兄ちゃんの寝てた枕とシーツ、果物ナイフ……ぱっと考えるだけで色々浮かんでくる。
こういう時に持病がなくて良かった。ないと命に関わるものは少ない。
一番大きいリュックに物を詰め込む。お兄ちゃんの私物はあいつらのブロックで入れることができなかった。
お兄ちゃんの荷物は驚くほど少なかった。日帰り旅行でも行くような恰好だ。
「準備できましたね。さっ、行きましょう。急がないとタイマーが鳴っちゃいます」
「タイマー?」
「なんでもありません。今回は私たちも自転車で来たんです。すぐ着くはずですよ」
梯子を下って、私はバールを、お兄ちゃんはスコップを抱えた時も恐ろしく現実感がなかった。
本当にがっこうで暮らすことになるのだろうか。
「僕が先導します。みんなは横を警戒していてください。釈迦に説法かもしれませんが、雨音で気づかれにくいですし、ゾンビが向かって来たらびちゃびちゃと音がするはずです。後ろはあまり振り返らず、音でチェックしてほしいです」
「やっぱり、飛真君がいると頼もしいですね」
「そうですね、助けることができて本当に嬉しいです」
「……じゃあ、行きましょう」
「はい……」
今は大人しくしなきゃ。しおれて、もう抵抗する気力もありませんってフリを続けないといけない。
お兄ちゃんをあきらめるなんて、絶対にできない。
待っててねお兄ちゃん。あいつら殺して、またここで仲良く暮らそうね。
今度は私が、お兄ちゃんを救うんだ。
私の想いをたしなめるように、家の方から防犯ブザーの音がした。
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家を出たところで、与えられた回復の猶予がなくなりました。
正式に、ゲームオーバーです……
飛真君は無事心が壊れてしまいました。妹が近くにいた時、一瞬動かすことができたんですが、目ざとく察知されてめぐねえに無力化されました。(血涙)
彼は今、心が砂漠になっています。だからちょっと水を与えてくれる人がいれば、誰にでも靡くクズ男になってしまいました。
それもめぐねえのお目こぼしがある場合だけです。飼い主の意にそぐわぬことはできません。主体的に何かをする力は残されていないので、めぐねえの奴隷ということです。
敗走した感想ですが、人を助けてはいけない!(極論)
学園生活部を助けたのがすべての元凶でした。
いや、そもそもショッピングモールに行ったのが……その前に物資の調達ついでに学校に寄ったのが……
やっぱ、どこから糸がもつれたのかは分からないですね。
ただ、予想以上に難しかったというのは分かりました。
私には無理でしたが、状況やプレイ方針が違えばクリアできたはずです。
もう私は疲れてしまいました。
がっこうぐらし! のタイトル通り暮らさせようとする圧力に抗うのは大変ですが、面白かったのは事実なので皆さんも試してみてはいかがでしょうか。(悪魔の誘い)
締まらないですが、それではこれで、さようなら!
~取得実績一覧~
・帰宅部
アウトブレイク後すぐにどこにも寄らずに帰宅する
・名もなきヒーロー
主要キャラ以外のNPCを救助する
・計画通り
学園生活部員の勧誘に乗る
・なかよし!
1人以上のNPCの好感度を最大値にする
・私だけって言ったよね?
異性関係が原因でNPCが発狂する
・蛸の釜入れ
好感度と愛情度が一定以上のNPCを2人以上にし、かつ本人を含めた言い争いを引き起こす
年度末に間に合いました。えらいです。(自画自賛)
1話からここまで時間が経っていると、自分の性癖も変化するんだなと実感しました。
徹頭徹尾キャラ崩壊がひどかったですが最後まで読んでいただいてありがとうございました!!