WTクランによる帝国を勝利に導く物語~核抑止とは?~(本編完結) 作:紅茶
核の描写が出てきます。苦手な方は少し飛ばしても結構です。
プロローグ
2050年、ある欧州の軍事産業を担う軍事産業会社はとてつもない危機に瀕していた。
当代の社長がどうしようもないダメ男で酒と女に溺れ会社の金を使い込み老舗として有名であった武器会社を遂には倒産の危機にまで追い込んでしまったのだ。人間は酒、女、金に狂わされる物であるが、ここでは2つに狂っていた。
ここに至って会社が負債を抱えたまま倒産すると今まで通りの暮らしが出来なくなることに今頃気付いたクソ男は会社の建て直しをようやっと思案するようになったのだ。
だが、その業界で有名だった老舗の会社を潰しかける程の男である。そんな男に解決策など見いだせる筈もなくすぐに手詰まりになってしまう。
そこで男は考えた。
世界で一番強い武器を売れば会社は儲かるのではないかと
勿論、こんなダメ男に新たな武器を創造する能力も開発する予算も無い。既存の兵器から最強の武器を探すことにした男が出した結論。
それは…『一発で30万以上も殺せる核兵器ってヤバくね?絶対売れるわ』であった。
その考えは人類が自らの手で人類を滅亡させる一歩でもあった。
彼はどうしようもない大馬鹿者だったのだ。彼は核抑止理論さえ知らないオオバカ者だった。兵器会社社長であったのにもかかわらず。
倒産の危機を敏感に感じ既に逃げ始めている従業員などに、社運を賭けた一大プロジェクトを任せることに不安を覚えた彼は数年前に他界した不倫相手から生まれた自分の娘に売り込みを任せることにしたのである。
14歳になったばかりの小娘に武器を、それも『核兵器』を売りに行かせるなど正気の沙汰ではないが、生憎とこの男にはその程度のことを考える知能も無かったようである
「いいか、うちは社運を掛けてこの核兵器を売る。全て売りさばくまで帰ってくるな!」
可哀想にも訳も分からず核を売ってこいと言われ放り出された少女は生きるために核を各国に売りさばく。
やがてその核売りの少女は国際指名手配をされる事になる。
501FG統合戦闘航空団という民間軍事会社がある。(勿論架空の会社)
その会社はアメリカに本社をおくPMCである。
その501FGはシリアで突如発生した小競り合い(紛争)に介入を決定したアメリカ軍に雇われ臨時でアメリカ軍として航空支援を行っていた。
そして『その時』が訪れる。
核売りの少女がシリアにいると言う情報が入り、CIAおよびMI6主導のもとで核売りの少女を排除する事を決定した
その際任務として501FGには捜索および観測の任務が下されたのである。
「報告。こちら『グリフォン3』いまだに該当の人物は発見できていない。」
「分かった。出来るだけ早く発見せよ。」
「了解。」
シリアの空を飛んでいるのは501FGの八機異種混合編隊である。
通称グリフォン部隊である。9人のパイロットで構成されており、すべてが敵戦闘機を五機以上落としているエースであった。
隊長たるコールサイン『グリフォン1』はF-15Jを。
夜桜と呼ばれる副隊長、コールサイン『グリフォン2』はSu-30SMを。
メガネと呼ばれるコールサイン『グリフォン3』はEA-18Gグラウラーを。
兵長と呼ばれるコールサイン『グリフォン4』はF-16block70/72を。
シグレと呼ばれるコールサイン『グリフォン5』はF/A18Fスーパーホーネットを。
パンジャンと呼ばれるコールサイン『グリフォン6』はタイフーンを。
タワシと呼ばれるコールサイン『グリフォン7』はF-22の機体に中身はF-35なゲテモノを。
シデンと呼ばれるコールサイン『グリフォン8』はイタリア空軍仕様のF-35Aを。
Q太と呼ばれるコールサイン『グリフォン9』はアメリカ空軍F-4EファントムにAIM-120Cの運用能力を負荷したF-4E改を使用。
それぞれ運用していた。彼らは一機ずつとなって探索を行っていた。
「こちら『グリフォン3』。該当と思わしき人物を発見。ただその人物に接近している者がいる。」
「AWACS了解・・・確認した。該当のターゲットである。直ちに地上部隊より狙撃を行う。そのまま観測、戦果を確認せよ。」
「了解、ターゲット追尾中。」
赤外線映像で追尾していた『核売りの少女』は狙撃により倒れた。
その映像はデータリンクを通じアメリカ大統領も見ていた。
「大統領、コールサイン『核売りの少女』を狙撃しました。目標は重傷を負いもう助からないでしょう」
ホワイトハウスの地下に設置された国家安全保障会議(NSC)の画面にはグリフォン3が撮影していた赤外線映像が表示されていた。
そしてそれと同時にクズ男がいた軍事会社にイギリス特殊部隊SASとアメリカ海兵隊が展開、強襲を実行することとなっていた。
その時、作戦の状況を映し出していたNSCの画面の一部が暗転した。目標の武器会社を監視していた偵察機の映像から作戦部隊の無線まで作戦地域から送られるはずの全ての信号が途切れたのだ。
「いったい何があった!」
異常事態を感じ取った統合参謀本部議長が声を荒げる
「不明です。強襲作戦に参加していた部隊からの通信が一切途絶いています」
「なんだと!?衛星回線は?」
「ダメです。繋がりません」
「第一報入りました。飛行中の民間機より作戦地域付近で巨大な火球が…次いでキノコ雲が見えたとのことです」
「何だと!?核爆発したというのか!」
「その可能性が高いです」
「自爆…したのか」
オペレーターの一言でNSCは大混乱に陥った。
しかし、混乱は収まることを知らない。そして更なる災厄が放たれた
「大統領、イギリスの偵察衛星がロシア領内での核爆発を確認しました」
「なんだと!?どういう事だ」
騒然となるNSC会議室内。
それを一括し収めたのはアメリカ大統領であった。
「冷静にならんか!ロシアはこの件を受けどう動く?」
「本作戦は秘匿されていましたのでロシア側が事態を察知していない可能性が高いです。その場合、核爆発の原因が我々にあると見る可能性があります」
大統領の一喝からいち早く立ち直ったCIA長官が答弁する
「何?どういう事だ」
「本社強襲のため致し方なくロシアとの国境付近に海兵隊を大規模展開しましたから、核爆発に我が国が関わっていると見られる可能性が極めて高いのです」
「その場合、予想されるロシアの動きは」
「良くて非難声明と賠償要求。最悪、ロシアのデフコンレベルが上がる可能性もあります」
ただしCIA長官の予想は悪い意味で外れていた。
NORAD司令部より弾道弾早期警戒装置(BMEWS)のレーダーが弾道弾を探知したからである。
即座にNORADはすべてのアメリカ艦艇よりSM3弾道弾迎撃ミサイルを発射させ迎撃する。ただし量が多過ぎたのだ。なにせ1500発のICBMが発射されていたからだ。THAAD防空ミサイルを使用しても迎撃が間に合わない。
アメリカ大統領は決断した。いや決断するしかなかった。核抑止理論に基づき核攻撃をしなければならないことを。
「デフコンを2にICBMの発射を準備。それとB-52をスクランブルだ!急げ!」
「接近中のMIRVマーヴ弾頭分割を確認。弾着まで11分」
「中国、イギリス、フランス、インド、デフコンレベル1。各国が核発射体制に移行しました!」
「全面…核戦争…」
統合参謀本部議長の呟きはまるで幻を見ているようだった
「大統領。時間がありません。報復の決断を!」
「こんな…こんなことで核戦争だと…何千年もの人類の歴史を一瞬で灰にする決断を一人の人間ができるというのか…」
「大統領。報復しなければ更に多くの国民が危険に晒されます」
「…わかった。報復を開始する。ICBM発射はじめ!」
唐突に始まった最終戦争が地球の各地を焼き付くした。
記録できた者は誰もいない。
そして、501FGも核戦争に巻き込まれての全滅であった。
世界には未だ1万発以上もの核兵器が存在し何時それが私達の頭上に降り注ぐかわからない状況です。
どんな些細なきっかけで人類が滅ぶかわからない。
小説の始まりでこんなイヤなことをかかれて不快感をかんじたかもしれませんが一度、この状況を一度考えてみては如何でしょうか?