アルトリア・オンライン   作:ら・ま・ミュウ

48 / 48
語尾伸ばすの止めます。


修羅場不足

「――なるほど、記憶を失って彷徨っていたか……つまり君はベクタの迷い子というやつだね」

 

「よく分からないが、そういうものらしい」

 

自身が目覚めた時に顔を覗き込んでいた青年ユージオに状況の説明を受けたキリトは、あまりこちらから質問せずに聞かれるがまま全ての問いにイエスと返事を返した。

 

それは長年のプレイヤーとしての勘か、それとも見ず知らずの相手に尻込みしているからか、心の奥にあるものは分からない。

 

ただこの世界が夢というには現実味がありすぎて、ゲームというにはやはり現実味がありすぎた。

 

―花吹雪の舞う黄色い平原。遠くに聳え立つ幾何学的な紋章を秒刻みで変化させる壁のようなもの―

 

…だからと言って現実というには、幻想的すぎる。

 

目覚める前の最後の記憶が生死の境を彷徨うような状態であったこともあり、見た目ほどキリトは冷静ではない。もし目の前の青年が天使や閻魔様だと言うのなら自分はあの時に死んでしまったのだと信じたかもしれないぐらい憔悴しきっていた。

 

(…だとするとここは天国なのかな)

 

されるがままというのは、頭が可笑しくなりそうな中でひねくり出した苦肉の策だったのだ。

 

「……大丈夫。突然のことで気が動転しているのだろう。僕が君を街まで送り届けるよ」

 

それを知ってかユージオはとても親切にキリトを気遣った。

気分が優れないようならもう少しここに腰かけているといいなどと、昼食用に取っていたお茶とパンまで分けられた時には彼のヨーロッパ系の顔立ちもあってイギリスの紳士と話しているようだと感じた。

 

「…………」

 

「…………」

 

どれぐらい経ったであろうか。

ゴーン、ゴーン、ゴーンと三度鐘が鳴る。

 

「…………あ」

 

「……もうすぐ日が沈んでしまう。残念だけどこれ以上君をここに止まらせて置くことは出来ない。あまりに危険な事だからね」

 

少しだけ怖い顔をしてユージオは言う。何だかんだと自分や彼に言い訳をして三時間ぐらい居座ったキリトだが、これ以上駄々をこねれれば引きずってでも街とやらに向かわさそうな雰囲気だ。

 

別に街に行くことに拒否感はなかった。

ここが傷付いた心を癒すには十分過ぎるほど満ち足りていたから、つい離れたくないと思ってしまっていただけで、流石に夜中に一人残ってまで居ようとは思わない。

 

手を差し出されて、その手を握る。

 

「……ぅ?」

 

「どうかしたかい?」

 

「いや、なんでもない」

 

同じぐらいの背丈だと思っていたが、握り返された手があまりに大きかったものだから少しだけ驚いた。それだけの事だった。

 

 

 

……まるで、男と女ぐらいの差。

キリトは少しだけ違和感を感じだが、今は他に注意を割く精神的余裕はなかった。

 

 

 

 

 

 

 




ヒント・GGOメルタル
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

Fate/argento sister(作者:金髪大好き野郎)(原作:fate/zero)

目が覚めたら銀髪銀眼の美少女になってました。何を言っているのかわからないと思うが、私にもさっぱりわからない……! そして唐突な出会いが訪れる。金髪碧眼の子可愛い。え? fate? アルトリア? え、マジで――――そんな感じで始まる物語。▼この小説はセイバーさんに転生(仮)した姉がいたらといった妄想をしながら書いた作者の趣味です。金髪好きだけど主人公は銀髪です…


総合評価:14312/評価:7.44/連載:54話/更新日時:2017年03月05日(日) 00:00 小説情報

赤城さんの頭ん中(作者:アサルトゲーマー)(原作:艦隊これくしょん)

成績優秀、容姿端麗、頭脳変人の赤城が送る鎮守府コメディーです。▼TS、GL要素は匂わせる程度にしかありません。▼赤城さんもほぼ別人です。▼※本作は掲示板要素が特盛です。ネット用語に抵抗のある人はご注意ください。


総合評価:9660/評価:8.68/短編:19話/更新日時:2019年09月28日(土) 06:00 小説情報

騎士王が兜に王位を譲る話(作者:VISP)(原作:Fate/)

暴君たる騎士王、その結末の一つ。▼順番をストーリー順に入れ替えました。


総合評価:6166/評価:7.76/完結:47話/更新日時:2017年03月24日(金) 23:23 小説情報

【完結】とある水神の半身の神話創造(作者:ネシエル)(原作:原神)

フォカロルスの姉。▼海神ポセイドンが妹を救う物語。▼どけ、俺がおねえちゃんだ。▼注意、姉を名乗る不審者ではない。▼第十四話をリメイクいたしました。▼皆様からのコメントを受け、キャラクターの口調や戦闘シーンのクオリティについて見直しました。これにより、全体的な内容を再構築し、描写が不足している部分を補完することで、より一層深みのあるストーリーをお届けいたします…


総合評価:1203/評価:7.84/完結:43話/更新日時:2024年11月30日(土) 00:01 小説情報

風見幽香に転生した私は平和を愛している……けど争い事は絶えない(泣)(作者:朱雀★☆)(原作:東方project)

ある時気がついたら“風見幽香”になっていた彼女。▼様々なトラブルや勘違いをされながらも彼女は懸命に生きていく。▼ドSで嗜虐的な『風見幽香』とは違い、彼女は平和と穏やかな時間を愛する平和主義者。これは本当の『風見幽香』とは違う物語。▼ 注意点▼『性格改変』▼『原作改変』▼『独自解釈』『独自設定』が含まれています。▼ これを踏まえて読むことをお願いします。▼ 良…


総合評価:5813/評価:7.98/連載:8話/更新日時:2016年04月26日(火) 15:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>