幽鬼の怪物   作:NIRIN0202

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Her past.1

 時は暖かい陽気漂う春。

 入学式が終わり、恵理達新入生はこれから一年世話になる教室に集まっていた。

 担任の教師が教卓に立ち、全員が各々の席に座っている。担任はこの時期恒例である自己紹介を終えると、生徒達の名前を覚えるという目的も含めて、彼等に自己紹介をさせた。

 五十音順に一人一人が、名前、趣味、出身の中学、得意科目、特技等を話していく。その途中、少し変わった話を始めた生徒がいた。

 

白野「玖珠木 白野と申します。趣味はバイト、学業経験はありません。特技は射的です。皆様、これから一年間、どうぞ宜しくお願い致します。」

 

 黒い髪を肩の辺りで切り揃えたセミショートの少女、白野と名乗った人物は満面の笑みでそう答え、深々と頭を下げた。

 全員が一つの単語に疑問を浮かべる。学業経験が無いという事は、これまで学校に通った事が無いと言う事だ。政策で義務教育が進められるこのご時世、この事実はかなり珍しい。

 どうやら白野は現在、アパートで一人暮らしをしている様だ。生活費を稼ぐ為にバイトも掛け持ちしているらしい。周りが動揺する中、白野は気にした様子も無く席につく。ヒソヒソと生徒達が騒めいているが、着々と自己紹介が進んで行く。

 時代錯誤な変な奴。それが、恵理が最初に彼女に抱いた印象だった。

 

••••••••••••••••••••••••••••••

 

鈴「ハクノン! 一緒にお弁当食べない?」

 

 それから数日が経った頃、殆どの生徒が交友関係を作り上げた頃。学校での勝手が分からずにいたのか、白野は一人の時間を過ごしていた。

 そんな折、誰とでも仲良くなるスーパーコミュニティクリエイター鈴が突撃し、白野に話し掛ける。

 

白野「......。」

 

 しかし気付いていない。白野は先程迄の授業を振り返っているのかノートを眺めている。鈴の方には見向きもしない。

 

 鈴「は、ハクノ〜ン。聞こえてる〜?」

 

白野「......。」

 

 鈴「むむ! この鈴様を無視するとはいい度胸だ! そんな悪い子には〜〜こうだ!」

 

 鈴は白野の背後に回り込み、胸を揉むべく鷲掴みにしようとする。だが────

 

白野「!!」

 

 鈴「ふムギュ!?」

 

 その前に白野が後ろに向かって高速で頭を振り、鈴に頭突きをかます。後頭部が綺麗にエロおじさん()のおデコに入り、大きく仰反る。

 

 鈴「あいった〜!? おデコが、鈴の愛しいおデコがぁ!?」

 

白野「え、谷口さん? あ、ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」

 

 鈴が額の痛みに転げ回り、白野が慌てて怪我をしていないか確認する。騒ぎで周りから目線が集まるが、鈴による何時もの百合騒ぎだと分かると、各々の会話に戻って行く。

 

 鈴「うぅ、酷い目にあったぁ。良いじゃん別に、おっぱおを揉むくらい。」

 

白野「巷では他人の胸を触るのは常識何ですか? 社交辞令の一貫でしょうか?」

 

恵理「いやいや、それは流石に無いよ。そんな社交辞令あったら日本のモラル丸潰れだって。」

 

 後ろで控えていた恵理が白野にツッコミを入れつつ、苦笑しながら慰める様に鈴の頭を撫でる。

 

白野「ごめんなさい、谷口さん。怪我はありませんか?」

 

 鈴「それは大丈夫だけど、ハートに傷がついちゃったな〜。お詫びに一緒にお弁当を食べる事を所望する!」

 

白野「食事ですか? 良いですよ。」

 

 脈絡も無い突飛な要求だが、白野は対価としては容易いと判断したのか要求を受け入れる。そして自分の鞄から今日の昼ご飯を取り出した。

――どう見ても水にしか見え無い、透明な液体が詰まった2ℓのペットボトルだけを。

 

 鈴「...うん?」

 

恵理「...え?」

 

白野「...? どうかしましたか?」

 

 二人が予想外の光景に硬直している間にも、まるで当然と言う風にキャップを開け、水を飲み干そうとする。貧乏学生宛らな行動に、鈴達は勿論見守っていた生徒達も硬直する。

 

恵理「...お昼ご飯、それなの?」

 

白野「え? はい、そうですけれど?」

 

 鈴「いやいやいや、おかしいよね!? 昨日までちゃんとしたコンビニ弁当持って来てたじゃん! 何で水!?」

 

白野「えっと、今月はちょっと懐が厳しくて、節約の為に昼食はこれで済ませようかと思いまして。でも凄いんですよ、これ。空腹は紛れる上に公園の水道から取って来たんで実質無料です!」

 

 鈴「クラスメイト全員集合! ハクノンに弁当を分けてくれ〜! 」

 

 ドヤ顔で熱弁する白野に、周りはそんな事になる程に金欠なのかと嘆き、中には同情して涙を流す輩までいる。

 鈴は持ち前のコミュ力を発揮して集めた繋がりをフルに使い、何処から取り出したのかプラスチックのトレーに即席の弁当を拵える。材料は教室にいる生徒達のお裾分けだ。ご飯、梅干し、卵焼き、タコさんウインナー、プチトマト、次々に食料が乗せられて行く。

 

白野「えっと、良いんでしょうか? こんなに貰ってしまって...。」

 

 鈴「良いの良いの。今日はクラスの皆からの奢りだよ! 鈴からもこのハンバーグをあげよう! 」

 

 鈴から更にハンバーグが追加され、恵理からもコロッケを渡される。大量に乗せられたお裾分けを前に、白野が困った様な表情をする。

 生徒達は彼女に気にするなと返事をして行き、遠慮なく食べてくれと食事を勧める。中には勿論あわよくば仲良くなりたいと、下心を持つ者もいるが。

 

白野「う〜ん、タダで貰うのは申し訳ないので、何か手伝える事はありませんか? 私に出来る事なら何でもしますよ?」

 

 鈴「ん? 今何でもするって言ったかな? じゃあお礼に、その程良い大きさのお胸をうへへぇ〜。」

 

白野「ごめんなさい、体を弄られるのはちょっと...。」

 

 鈴「まぁまぁよいではないか、よいではないか〜。鈴にお嬢ちゃんのドニャララな秘密をっへぶぅ!?」

 

 鈴の手が名伏し難い動きをしながら白野に近付くが、直後に背後から雫の手刀を喰らい撃墜される。

 

 雫「まったく、真昼間に何をする気よ...。騒がしくしてごめんないね、玖珠木さん。」

 

白野「え? いえいえ! 気になさらないで下さい。八重樫さんが謝る様な事ではありませんよ。」

 

 鈴の提案にほんの少し表情を暗くしていた白野たったが、直ぐに笑顔になり、雫に微笑み返す。その後ろでは頭を押さえて痙攣している鈴と、それを苦笑しながら慰めている恵理の姿があった。

 

白野「ところで谷口さん。その”はくのん”と言うのは誰の事ですか?」

 

 鈴「え? あぁ、分かってなかったから、さっき鈴に反応しなかったんだ。あだ名だよ。白野のあだ名。」

 

白野「あだ名、ですか? 呼びかけるのであれば、本名で良いのでは?」

 

 鈴「ほら、本名じゃなくて別の呼び方してたら、なんか親しい感じがするでしょ? だから、白野改めハクノンってね。」

 

白野「親しみ...ですか。それは、良い物ですね。」

 

 その呼び方が気に入ったのか、白野の顔に笑顔が広がる。この日から白野との交友が始まり、いつの間にかお互いの呼び名も下の名前で呼ぶ様になっていた。

 

••••••••••••••••••••••••••••••

 

 時は移り、そろそろ下校時刻になる9月頃。恵理は図書委員の仕事で図書室に残っていた。大量の貸出した本の管理と、返却された本を棚に戻す作業が残っていたからだ。

 量が多く恵理一人では今日中に終わりそうに無い。他の図書委員は映写会の準備に駆り出されている為、救援は望めない。しかし、ここには一人助っ人が来ている。

 

白野「恵理さん。本棚の整理が終わりましたよ。」

 

恵理「ありがとう白野。忙しいのにごめんね。」

 

白野「いえいえ、気にしないでください。私が好きでやっている事なので。」

 

 白野は普段、学校にいる間は色々な所で手伝いをしている。クラスの行事は勿論、部活の助っ人、委員会の仕事の補助、果ては教師からの頼み事、他多数。嫌な顔どころか嬉々として雑務に励んでいる。

 今回もそれの一環だ。図書委員が人手不足で作業が回らなくなり、恵理が白野に手伝いをお願いしたのだ。

 

恵理「でも、無理してない? 他にも機材の運搬とか頼まれてるんだよね?」

 

白野「あ、それなら先程終わりまして、後はここの仕事が他にあればそれをやる位ですかね。」

 

恵理「え、もう終わってたの?」

 

 生徒も教師も、上下問わず白野を頼る。外面は良いし、仕事も丁寧で早い。運動部からはマネージャーをしてほしいと頼んでいる所もある様だ。バイトの事もあり、それは断っているそうだが。

 

恵理「取り敢えず残りの作業は明日でも良いから、今日はもう帰っても大丈夫だよ。手伝ってくれてありがとう、白野。」

 

白野「こちらこそありがとうございました、恵理さん。色々と勉強になりました。」

 

 そう言うと、白野は荷物を纏め始める。恵理も残りの書類整理に取り掛かり、きりの良い所迄進めようと筆を進める。

 その時、白野から話しかけられた。

 

白野「そう言えば、隣のクラスの女子生徒が一人、遠くにお引越しをされるそうですね。」

 

恵理「あぁ、そう言えばそんな話があったね。それがどうかしたの?」

 

白野「あれって、恵理さんが一枚噛んでますよね?」

 

恵理「え?」

 

 思わず、手が止まる。動揺が顔に出そうになるが、持ち前の演技力で隠し通す。

 その女子生徒は光輝に惚れていた人物だった。その感情に従い光輝に告白したが、返事はNOだった。それでも尚女子生徒は諦めず、度々光輝にアプローチを続けていた。

 それを恵理が見逃す筈も無く、その女子生徒を秘密裏に脅迫し、精神的に叩きのめし、二度と光輝に近付かないよう釘を刺したのだ。

 結果その女子生徒は不登校になり、程なくして隣の県に移り高校を変えたと言うのがこの事件の顛末だ。無論、光輝はこの件を知らない。否、聞いてはいたが信じなかった。皆が、そんな事をする筈が無い、と。

 

恵理「一枚噛んでるって、何の事?」

 

白野「あれ? 件の女子生徒を脅迫したのは恵理さんですよね? バイトの途中で、偶々貴女が変装してその子を脅していたのを見かけまして。多分それが原因だと思ってたんですよね、」

 

 不登校になった時期もその頃ですし、と付け加え、白野は恵理を真っ直ぐに見つめる。その表情は普段と変わらず笑顔だが、瞳は少しも笑っていなかった。果てし無く無感情で、僅かな情動も見受けられ無い。

 緊張と同様で鼓動が早まる中、恵理は顔色一つ変えず、本当に知らない様子で話す。

 

恵理「わ、私そんな事しないよ? 体力も無いし、人を脅すなんて事、怖くて出来ないよ。」

 

白野「あ、今この部屋にいるのは私達だけなので、演技をしなくても大丈夫ですよ?」

 

 気付かれている。恵理の顔が僅かに引きつった。

 

恵理「え、演技って、何の事? 私はこれが素の――」

 

白野「嘘ですね。」

 

恵理「――え?」

 

白野「私、これでも読心術には心得があるんです。演技もそうですが、よく他人を見ている人には感づかれますよ、それ。」

 

 今度こそ、恵理の顔に動揺が現れた。もう、取り繕う事は出来ない。相手は完全に裏の顔に気づいている。今迄誰にも見破られ無かったのに、まさか出逢って半年も経っていない世間知らずにバレるとは、思っても見なかった。

 

恵理「へ〜、気付いてたんだぁ。いつから? 」

 

白野「最初に顔を合わせた頃ですね。言う事は嘘ばかりですし、いつも作り笑いしかしてませんし。結構分かりやすい人なんですね?」

 

恵理「...君こそ、随分と良い性格してるね。それで? デマの元凶として僕を吊し上げるつもり? 証拠なんて何処にも無いのに?」

 

白野「今回だけで無く、恵理さんは今迄も何人か手を下してる方々がいますよね? そちらの証拠は上がってるんですよ。脅迫なら其方を使わせていただきます。」

 

 恵理は内心で舌打ちする。いつも自分が観察する側だと思っていたのに、気付かぬ間に観察される側に回っているとは。

 無論白野についても探りは入れていた。しかし、わかった事は世間知らずな事とお人好しな事だけだった。素顔を隠す手腕は向こうの方が遥かに上手だ。

 だからこそ、最後の言葉が理解出来無い。

 

恵理「脅迫するなら?」

 

白野「はい。別に貴女を取って食おうだなんて思っていません。唯聞きたい事があったたけです。」

 

 白野は恵理を弄べるだけの情報を持っている。それをネタに脅せば顎先で使う事も出来れば、単に司法機関に届出て捕らえる事だって出来る。

 なのに、白野がそれを使ってやりたい事は、唯の質問だけ。余りにも胡散臭い。

 

恵理「...いいよ、別に。お望みの事を聞けばいいじゃん。」

 

白野「では、お言葉に甘えて。...何で光輝さんに取り入ろうとしていた人だけを狙っていたんですか? 」

 

 言わずもがな、恵理が今迄手に掛けていた連中は全員光輝に気がある女性だけだった。

 どうやら白野には、恵理が彼女達を追いやった理由が分からない様だ。

 

恵理「ここまで来て聞きたいのがそれ? それだけ調べ上げてたなら分かるでしょ。」

 

白野「いえ、私にはさっぱり分かりません。」

 

恵理「......洞察力はあるのに、思ってたより鈍いな。」

 

 適当に出任せを言えば見破られる為、正直に話す事にする。

 途中、根掘り葉掘り動機や過去の出来事を質問された為、光輝を手に入れたい事だけで無く、彼に初めて会った時の事や恵理の家庭環境も含めて洗いざらい言わされた。

 白野はそれらが興味深いのか、終始熱心に聞いていた。

 

恵理「...とまぁ、こんな所かな。」

 

白野「そうだったんですか...。それにしても、知りませんでした。」

 

恵理「何が?」

 

白野「恋愛って実在するんですね...。」

 

恵理「そこ!? 君は夫婦とか恋人が何で出来ると思ってるの!?」

 

白野「えぇっと、政略とかデキ婚?」

 

恵理「うわっ、最低っ。」

 

 白野が恵理の動機が分からなかったのは、恋愛が絵空事だと思っていたからだろう。だから恵理が光輝に好意を抱いている事も、生徒達が光輝に惚れている事にも気付いていなかった。

 話を聞き終えた白野は、今迄の人生で一番の衝撃を受けたかの様な表情をしていた。

 

白野「つまり、恵理さんは天之河さんの恋人になりたいから、彼に惚れていた人達を始末していたんですね。漸く話が繋がりました。」

 

恵理「...それで、君は僕をどうするつもり? 警察にでも突き出す?」

 

白野「そうですねぇ......。」

 

 白野は悩まし気に、目線を上に向けて考え込んでいる。

 一方、恵理は焦っていた。正直に言って、この場で白野を手懐ける事も、脅迫する手段も持ってはいない。恵理の今後を左右するのは、白野がどうするか次第だ。

 仄暗い、自分勝手な実情を知ったなら、彼女が恵理に協力する事はあり得ない。精々警察等に報告され、少年院に送られるのが関の山だ。

 

白野「協力しましょう。」

 

恵理「......なんて?」

 

白野「恵理さんの恋路に協力します。勿論、貴女がやっていた事とは違う、もっと穏便な手段で、ね。」

 

 そう言い、白野はチャラける様にウィンクをする。

 あり得ない出来事に、恵理は困惑した。

 

恵理「協力て、何? 同情でもした? 『辛かったね。私が助けるよ』とでも言うつもり!? 」

 

白野「まさか。過去の事は関係ありません。単純に貴女の恋を応援したいだけです。」

 

 白野は微笑を変えず、あくまで裏が無い様に話す。その表情から真意は読み取れ無い。

 

恵理「...胡散臭すぎる。信用出来ない。」

 

白野「仕方がありません...。協力させてくれないのであれば、この事を皆にバラすしか――

 

恵理「脅迫の仕方それかよ!? あぁもうっ、分かったよ、組めばいいんでしょ!」

 

白野「ありがとうございます♪」

 

 白野が言っている事は、背中から銃を突きつけ、仲間になれと脅すのと大差無い。恵理は彼女の背後に悪魔の羽と尻尾を幻視した。

 白野は満面の笑みで礼を言う。その表情は先程迄の腹黒さを微塵にも感じさせ無い。人の事は言えないが、白野も大概猫被りのようだ。

 

恵理「それで、君の言う穏便な方法ってのは何なの? 協力するからには、まともな計画性はあるんだよねぇ?」

 

白野「方法は幾つか検討がついてるものがありますが...。端的に言えば先にヤったもの勝ちですね。」

 

恵理「...やるって、まさか。」

 

 白野が握り拳を作り、人差し指と中指の間に親指を入れている。そのハンドサインが表す事はつまり――

 

白野「ヤれば(恋人が)できる。」

 

恵理「言い方!」

 

白野「まぁまぁ、そう言わずに。こう言うのは先に子供が出来た者が勝つんです。既成事実さえ作れば、天之河さんも無下にはしないでしょう。」

 

恵理「既成事実の何処が穏便なの...?」

 

白野「何を言いますか、脅迫するより遥かに穏便でしょう。」

 

恵理「当社比だよ...。」

 

 方や近寄る(ゴミ)を脅す。方や「認知して」と言い寄る。やっている事は何方も大差無い。

 しかし、その方法を聞いた恵理は表情を暗くさせる。その瞳は、何やら嫌な過去を思い出しているかの様だった。

 

白野「おや? 恵理さんはこう言うのは苦手ですか?」

 

恵理「あ〜、うん、そうだね...。キスとかそこら辺はやりたいけど...。」

 

 昔、再婚相手の男に襲われた事もあり、生殖行為には苦手意識(トラウマ)があった。キス等の恋人がする様な行為は平気だが、それとて過去を上書きする為の物でしか無い。

 

白野「そうでしたか。まぁ、私もその手の話は苦手ですし、気持ちは分かります。愛し合っている仲なら、こう言うのは平気だと思ったのですが...。」

 

恵理「言い出しっぺが何言ってんの。取り敢えず、後の事はまた別の機会にでも話合おうか。そろそろ時間だし。」

 

白野「そう言えばそうでした。あ、その前に...。」

 

 白野が恵理に向けて右手を差し出す。手には何も握られておらず、唯手を伸ばされているだけだ。

 

恵理「...? 何?」

 

白野「握手ですよ。契約成立の握手。今後とも宜しくお願いします、と言う意味も含めて、ね。」

 

恵理「......あっそ。」

 

 困惑した表情のまま、恵理は差し出された手を取る。

 これが、恵理と白野の協力関係の始まりだった。




ご閲覧ありがとうございました。

恵理のトラウマについては筆者の偏見です。原作では普通にディープキスとか卑猥な単語を使っていた彼女ですが、光輝と夜を共にしたという描写は無かったので、こう言う事情があってもおかしく無いかなぁ、と言う妄想でした。
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