(勝手に)シコれ。エロス   作:バンバババルタリアン

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恥の多い生涯を送ってます

エロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の性癖のジャンルを除かなければならぬと決意した。メロスには同人作家の細かい事情がわからぬ。メロスは、一人のエロ同人大好きっ子である。コミケに毎年二回欠かさず行き、買ってきた戦利品でシコって暮して来た。けれども同人作家の急な路線変更に対しては、人一倍に敏感であった。基本エチエチならばOK!を信念としてこれまで過ごしてきた。だが、今回は話が違う。単刀直入に言うと彼は、女の子が可愛そうだと絵とか関係なしに抜けない男である。彼は優しかった。その優しさは西はユーラシア大陸をシルクロードを逆流するかのごとく伝わり、東は太平洋を渡り全米を涙で潤すほどである。そう、そんな彼だからこそで許せなかったのだ。彼が最も推してる、以前まではイチャラブ本を出してた同人作家の一人が今度の冬コミにいきなり酔姦NTRレイプ本を出すというのだ。大人になるにつれ社会とは理不尽と諸行無常の上で成り立っているものだとつくづく感じるものである。そんな世の中だからこそ彼は、自分の大好きなエロ同人だけはそのようなことが起きないで欲しいと思ってた。現実は非情だ。一応、彼はリプで「あ、あれ、○○さんってこういうジャンルも描くんですねー」とリプを送ろうとした。しかしこれを送ったところでどうだ。たった一人の読者の意見で作家の意見が変わるだろうか、いや変わらないに決まってる。わたしは改めてこの世の中を呪った。

 

一つ擁護できる点を挙げるとしたら彼は別にNTRが嫌いだったり生理的に無理ってわけではない。むしろ好きな方である。実際コミケでは他のNTR本を描いてる作家さんの本を買っていたりするし、それらでドチャクソにシコッたことも記憶に新しい。だが、この場合「擁護」という単語は撤回されるべきである。何故だろうか。答えは絵柄にある。その同人作家は可愛い系のタッチでイチャラブ、おねショタ系の題材によくマッチするのである。そんな絵柄でNTRを描いてみろ。かわいい系の男の子と女の子が不幸になるとかもう直視できない。まるで甘い甘いケーキのトッピングにニンニク背脂マシマシをするようなもんだ。胃もたれして三日は引きずる。では読まなければいい。そうであれば簡単なのだが、その作家さんとは結構顔見知りなので買わないという術もない。以上のことから彼は逃げることも隠れることも立ち向かうことも出来ないのである。八方塞がり。まさに死刑執行を待つ囚人…圧倒的絶望… ゆっくりと目を閉じて待つのみ…

 

いや待てよ、一つだけあった。これの突破口、最高の予防接種でありセーフティネット、困難を乗り越える魔法の儀式が…!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

女は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のバカを除かなければならぬと決意した。女には男の性癖と趣味を理解できぬ。女は、男の妻である。家事と料理をし、献身的に夫を支えて来た。けれども男のアホな行動に対しては、人一倍に敏感であった…

 

「要するにあなたはこれから私にバブバブ寸止めオナホコキをこれから一ヶ月続けて欲しいのよね。その口が二度と開かないように縫い合わせてやろうか?」

 

その女の目は例えるならば、社会の病理をこれから虫のようにひねりつぶそうとしてるダークヒーローのそれであった。男は背筋に恐ろしいほどの寒気を感じたのと同時に、この目で見つめられながらパンツ見せてもらったら二週間はおかずに困らないだろう、ワンチャンにかけてお願いしてみようかなと思ったが、そのワンチャンの確率が天文学的な低さになることを瞬時に理解し、躊躇った。しかし妄想は止まらない。でもやっぱり見てみたい。絶対抜ける!男は荒野を歩き、未知なる世界を開拓する精神、フロンティア・スピリットの持ち主であった。

 

「まぁ、あんたがこういうことを真顔で頼んでくる人間ってのは分かってるし、今も違うこと考えてるってのもお見通しよ…それについて喋ったら次は本当に縫い合わせるわよ?」

 

アッハイ、サーセン

 

「はぁ……まぁ、当たり前だけど答えはNOよ、でも…あなたがそういうことを頼んでくる時っていつも暗かったり、普段と雰囲気が違うことが多いわよね?」

 

 

「図星みたいね…私さ、あなたとの付き合いも長いけど、あなたの悩みとか相談とか愚痴とか一度も聞いたことないのよ…あなたのそういうよくわからない趣味とか発言とかはよく聞くけどね…ふふっ…だからたまに本当にこのままでいいのかなって思うのよ…もう少しあなたも自分の弱いところを私にさらけ出して欲しいわ…ダメかしら?」

 

男はただひたすら沈黙した。そしてなんとも言えないもどかしさに苦しんでいた。…言えるわけがない…こんなこと…彼は彼女の優しさを十二分に理解してる。そして弱みや辛いこととか全てさらけ出したいとも思ってる。だが、今じゃない、今ではないのだ

 

 

 

 

 

 

ただオナホコキをされながら「今日はどんなちゅらいことがあったんでちゅか〜?♡」と赤ちゃん言葉であやされてる中で自分も赤ちゃん言葉で愚痴を言いたいのだ。

 

 

赤ちゃんプレイは癒し。この理屈に誰が文句を言えようか。いや誰一人言えないだろう。まさに不動の理念。男の太い意思を形成する哲学である。

 

 

「まぁ、いいわ…今無理に問いただしてもスッキリするわけないしね…でも、本当に辛くなったら溜め込まないで吐き出さなきゃいけないわよ?いいわね?」

 

どっちかというと彼は劣情を吐き捨てたい気分であった。

 

女は振り返り自室に帰ろうとした。しかし二歩、三歩歩いたところでピタッと立ち止まった。肩は小刻みに震えてる。一体何だろうか。

 

 

「…もし…本当に、本当に辛くなったら…してあげてもいいから…お、お、オナホ!買っときなさいよ!」

 

 

女はそう、吐き捨てるとそそくさと歩き部屋に戻っていった。男は一瞬何が起きたのかわからず混乱してた。しかしその内容を理解した途端、彼の頭の中には一つの考えが浮かんだ!

 

 

 

「やっぱ、NTR本見ながらオナホコキしてもらお。」

 

 

 




なんだこれは…

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