鉄血のルルーシュ   作:くりゅりゅせスザク


原作:ガンダム
タグ:クロスオーバー
なんか閃いた。鉄血世界にブリタニア小惑星群があった話

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鉄血のルルーシュ

 300年前、無人機動兵器MAの暴走に端を発した災厄戦と呼ばれる激しい戦いがあり、英雄アグニカ・カイエルとセブンスターズ達は辛くも勝利した。戦争の反省から、世界は4つの経済圏を唯一の軍隊ギャラルホルンが守るという形を取り、セブンスターズがその軍隊の指導者となった。ギャラルホルンは内政干渉を許さぬ軍隊のはずであったが、暴力というのは自然に権力と結びつく。セブンスターズの末裔達は初期の高貴な理想を忘れ、欲望に溺れていった。

 ところで戦いに勝者がいれば敗者もいる。彼等の多くは死ぬかセブンスターズの軍門に下ったが、中には力を持ったまま宇宙へ逃げた勢力もあった。ある者は海賊となり、ある者は自らが開発したコロニーや小惑星に隠れ、ある者は名前を変えて火星に住んだ。その中で特に大きな力を持った勢力が木星圏を中心としたテイワズ、それと木星-火星間の小惑星帯を中心としたブリタニアだった。テイワズは輸送、工業、銀行、などの企業連合だが海賊からの自衛という名目で大きな武力を持ち、マフィアのような形で力を振るっていた。ブリタニアは古くから続く皇帝が治める国であり、ギャラルホルンとは思想的にも政治的にも対立していたため幾度も戦争になりかけたが、盛衰を繰り返しながらなんとかその体制を保ってきた。そして、現ブリタニア皇帝第99代シャルルの時、武力と技術力を背景に周辺の小惑星とコロニーを取り込み、かつてを思わせるような繁栄を得ていた。

 

 ルルーシュはブリタニアの貴族が火星に作ったアッシュフォード学園に通う17歳の学生である。アッシュフォード学園は名目上は国も身分も問わずに入学可能だが、この星の貧乏な庶民に学校に通える者は少なく、またブリタニア人は地球圏と敵対していたため裕福な家も好んでは子どもを入れず、結果、ほぼブリタニア人のみが通う学校となっていた。ルルーシュは非常に頭のいい男であり、毎日の授業は簡単過ぎて退屈だった。学友のリヴァルと共にしょっちゅう授業を抜け出し、裏町で賭けチェスや賭け将棋を行い、勝利し金を貯める日々。これは単なる娯楽ではなく、妹のためでもあった。

 彼の妹ナナリーは、目が見えず足も動かない。それは阿頼耶識と呼ばれる人の精神と機械をつなぐ禁止された技術、その手術失敗の後遺症である。信じていた母親が勝手に妹にその手術を施し、このようになったため、ルルーシュは急ぎナナリーを連れ出し、知人の伝手も借りて火星へと逃げてきた。ブリタニアの名医は現状の技術ではナナリーを治せないと言ったが、ルルーシュは諦めていなかった。誰もできなくとも天才である自分にはできる、と信じていた。しかし、研究のためには金がいる。そのための金集めだった。他に株や農場経営工場経営でも金を得ている。

 

「爆発音? CGSの方からか?」

「どうした? ルルーシュ」

 

 今日も授業を抜け出したルルーシュは、賭けチェスからの帰り道、リヴァルが運転するトライクにまたがりながらつぶやく。

 

「おかしいな。今日は演習の予定はないはずだが」

「なんか間違って爆発しちゃったんじゃないの?」

「それにしては長い。まただ。大きな音がした」

「海賊が出たとか」

 

 リヴァルは野次馬っぽく茶化して言うが、ルルーシュの顔は険しい。

 爆発音が多すぎる。CGSの全戦力だとしてもこんな音が出せるか? 相手は格上の海賊? いや、ブリタニアもありえる。ここはギャラルホルンの直轄地だが、あの男と女はネジが数本外れているからな。だがこのキャタピラ音はブリタニアのナイトメアフレームではないな。……待てよ、まさかギャラルホルンという線もあるのか? 近年は火星の独立運動も盛り上がっている。想定されるパターンは72。クソッ、絞り込めん。

 

「リヴァル、頼みがある」

「おいおいルルーシュ、まさか行くとは言わないよな?」

「ちょっと様子見するだけだ」

「それを行くって言うんだけど」

「このトライク、貸してくれ。金は後で払う」

「やっぱ行くの!? なんで!?」

「俺にも都合がある」

 

 ルルーシュは焦っていた。それは彼がCGSの大口スポンサーであり、妹のナナリーがCGSの子ども達と仲がいいから、というだけではない。彼が今一番心配しているのは、先日CGSが偶然に発掘し地下で発電機として使用されている人型兵器、モビルスーツ、ガンダム・バルバトスのことである。これは災厄戦で活躍したガンダムフレームと呼ばれるたった72機しかない機体の1つであり、災厄戦以降技術が失われたこともあり新造はできない。その戦闘能力は強大で現在のギャラルホルンのモビルスーツグレイズを大きく上回るのだが、ルルーシュにとってより大事なのはガンダムフレームが阿頼耶識の性能をより大きく進展させるということである。阿頼耶識とつながったガンダムフレームは人の意思で機体が自由に動くのみならず、機体のカメラが得た情報を人の脳に直接伝えることで、視力を失った人でさえ”世界を見る”ことができる。ルルーシュが手に入れた情報ではそういうことができるはずである。ナナリーの目と足を完全に治すのがルルーシュの第一目標だが、機械を通じて擬似的に見、擬似的に動くこともまた解決策の一つではある。副作用が懸念されるためすぐには使用できないが、いずれナナリーのためにこのガンダムフレームの技術を生かす予定だったのだ。ナナリーの前段階の研究に参加させる手術失敗者の子どもも、CGSから買っている。彼等も治してから自分の会社で使う予定だった。それらの計画が狂ってしまう。ギャラルホルンにCGSが敗れれば、このガンダムフレームは接収されてしまうだろう。元々ギャラルホルンの機体だったのだから当然だ。

 

「マルバ! マルバ!」

 

 ルルーシュはトライクにまたがりながら通信機に怒鳴り散らす。マルバとはCGSの社長の名である。少し間があって、返信があった。

 

「お、おう。ルルーシュか。聞こえてるぜ。いやぁー、大変な目に合った」

「何があった!? ギャラルホルンか!」

「さっすが天才児は違うねえ! そうさ、やつらが攻めてきやがったんだ!」

「……クーデリアか?」

「そこまで分かるのか! あんた預言者か何かかい?」

「本当にクーデリアなのか!? お前が、あいつとつながっていたとは考えにくかったが、想定されるパターンの中では最も確率が高かった」

「仕事の依頼だったんだよ。お嬢様を地球にお連れするっていう。大口の仕事だったが、今回のでおじゃんになっちまうな。ギャラルホルンとは戦えねえよ」

「CGSはどうなった!」

「あ、安心してくれ。一軍のやつは逃げ切れるはずだ。CGSは存続できる」

「一軍は? ……貴様、三軍の子ども達を囮にしたのか!」

 

 それはルルーシュの最も嫌う方法、というほどでもない。彼もナナリーを救うためなら年端の行かぬ子どもを囮を使うだろう。しかし激昂はしてしまう。彼は王が動かなければ部下もついてこないという考え方だからだ。自らも危険をおかしてこそ部下に命を賭けさせることが許されると思えるのだ。その点いの一番に逃げたマルバは失格である。死して償って欲しいと思えるほどに。

 

「お、囮ってわけじゃねえよ! 比較的安全な道、ってだけだ。方位されてんだから完全に安全なわけじゃねえ!」

「ガンダムフレームは」

「あ、諦めるしか、ないだろうな……」

「ちっ」

 

 ルルーシュは通信を切った。逃げた男にはもう用はないからだ。今ルルーシュは、何故か戦場に行こうとしている。それはガンダムを手に入れるためであり、ナナリーと仲のいい子どもを救うためであり、という理由付けはできるが、分の悪い賭けである。計算高いルルーシュは本来このようなことを好まない。負けが決まっていれば、あっさり身を引く冷たさも持っている。しかし、自分が指揮すれば勝てるのでは、とも思ってしまうのだ。かつて父と母に戦術、戦略を教え込まれた。チェスで頭脳を鍛え続けた。この自分の能力をもってすれば、火星の愚鈍なギャラルホルンなど恐れることはない。と蛮勇染みた自信が湧いてくる。

 

「これは、厳しいか」

 

 だが、現実は非情である。マルバの言葉通り、ギャラルホルンのモビルスーツ、モビルワーカーはCGSを方位していた。戦闘は激しく、土煙が視界をぼやけさせ、石つぶてが近くにも落ちる。これでは近づけない。

 しばらくの間、ルルーシュはCGSがやられるのを見続けることしかできなかった。しかしふと思い立ち、CGSメンバーに連絡を取る。

 

「オルガ! オルガ! 聞こえるか!」

 

 何度も叫ぶが、返信はなかった。彼はしぶとい男だ。この戦闘でもまだ死んでいないと思えるが、この命懸けの厳しい状況で富裕層と思われるガキと話してなどいられないだろう。

 

「クソッ、何も、できないのか!」

 

 そして時間ばかりが過ぎていく。ふと、戦場に動きがあった。ガンダムフレームだ。地下で発電機となっていたガンダムフレームが、突如戦場に現れ、圧倒的な力で次々とギャラルホルンのモビルスーツを打ち破っていく。

 

「三日月か? あれほどの力だとは」

 

 ルルーシュはその光景に目を奪われてしまった。絶望をたった一人で覆す。頭脳派の自分にとっては戦術が戦略を上回るなど受け入れがたいことだ。しかし、美しいとも思ってしまった。自分がああいうことが苦手だからこそ、憧れたのかもしれない。

 

 結局、ガンダムフレームが相手の指揮官機と思われるモビルスーツを破壊したところで、戦闘は終わった。ルルーシュは急いでCGSへと向かう。負傷者の救助に手当て、このまま終わると思えないギャラルホルンの第二撃への対策、今後のCGSの方針、やるべきことはたくさんある。

 

「そうか、扇は死んだのか」

「なんだよそれだけかよ! あいつはお前等の先公だったんだろ!」

 

 かつてアッシュフォード学園の教師であり、CGSの女に惚れてからこちらの一番隊に勤務していた扇。彼は先ほどの戦闘で亡なってしまった。扇の他にも、一軍からは多くの死者が出ていた。反対に、三軍の死者は驚くほど少ない。三日月の活躍やオルガの指揮、そして三軍のほぼ全員に施されている阿頼耶識の影響もあるが、どうやらそれだけではないようだ。

 

「チッ、このクソガキがあ!」

「ペッ」

 

 見れば、三軍のリーダーであるオルガが一軍の大人達からいいように殴られていた。どうやらオルガの策により、いち早く逃げようとしていた一軍は逆に囮にされて、そのせいで多くが亡くなり、三軍を生き残らせることに役立てられてしまったようだった。どっちもどっち、いやどちらかと言えば先に逃げ出した大人組が悪いと言える案件である。

 

「やめないか。今はこのようなことをしている場合ではないはずだ」

 

 ルルーシュはオルガを庇うように立つ。

 

「おめえは!」

「ちっ、スポンサー様かよぉ。だがよ、こいつは許されないことをしたんだ。ドブネズミの分際で、俺達大人様を犠牲に」

「それよりも、ギャラルホルンの第二波に備えるべきだ。オルガを失っては勝てるはずもないぞ」

「あん?」

 

 しばし固まるガラの悪い一軍の連中。しかし、不意に笑い出す。

 

「ギャハハハハハ! 何言ってやがるこいつは!」

「ギャラルホルンになんざ勝てるわけねえだろ! お嬢様を突き出すんだよ! そんで俺達は見逃してもらう!」

「なんなら謝罪の印にこいつらをギャラルホルンに謙譲してもいいぜ! 死体でな!」

「グッ」

 

 一軍の連中は笑いながらオルガを蹴った。囮にされたとは言え、オルガ達の活躍がなければギャラルホルンの包囲を突破できず死んでいただろうに、その恩は忘れているらしい。ルルーシュは怒りでどうにかなりそうだったが、堪えた。そしてオルガもまた、怒っていた。しかし、どこか笑っていた。

 ルルーシュは負傷者の手当てに生を出していた。ふと、ユージンに声をかけられた。彼は三軍の元リーダーである。ルルーシュもオルガが来る前は彼と頻繁に連絡を取っていた。

 

「あんた、しばらくここで待っててくれるか。じきに終わるから」

「なんだ? 話でもあるのか?」

「ああ、ちょっとな」

 

 それからすぐ、銃撃音が聞こえてきた。それもあちこちから。

 

「な、なんだ! 何が起こっている!」

「いいんだ。あんたは動かないでくれ。その方が安全だ」

 

 ユージンは落ち着いて言った。つまりこれは、ユージンの仲間が行っている計画的犯行。オルガのあの笑った妙な表情を見るに、考えられるのは……。

 

「クーデターか、三軍の」

「そうだ。これからは俺達が鉄火団を取り仕切る。口ばっかりの無能で卑怯な大人に任せていたら、命がいくつあっても足りないからな」

「それは、そうだが」

 

 確かに一軍は無能だが、ルルーシュにしてみれば三軍も組織経営という点では無能だった。なんとか使えそうなのはビスケットくらい。他は読み書きもできない。これでどうしようと言うのか。まともな仕事はもらえず、足元見られていいようにカモにされるだけだ。ルルーシュもスポンサーとして今まで金をかけた分以上には働いてもらいたいし、ナナリーと仲のいい子もいるから、無視する気はないのだが。それでもスポンサーである自身が頭脳として働かなければ成り立たない組織というのは幼稚が過ぎる。

だいたいルルーシュは暇ではないのだ。他にいくつも会社を経営している。

 

 クーデターは三軍が簡単に勝って終わった。オルガがCGSの新しい代表となった。ルルーシュはユージンに連れられてオルガの元へ歩く。社長室に入ると、クーデリアに会った。

 

「あなたは」

「ルルーシュ・ランペルージ。この会社のスポンサーをやらせてもらっています。革命の乙女と名高いクーデリア嬢にお会いできて光栄です」

 

 ルルーシュは上級貴族らしく優雅に例をする。その様は何も教育を受けていない子どもばかりのCGSの中で悪目立ちするものだった。

 

「い、いえ、私はそんなものでは。しかし、スポンサー? ですか。失礼ですが、おいくつ」

「17です」

「たった17で!」

「ノアキスの七月会議を成功させたクーデリア嬢には及びません」

「よしてください、そんな言い方は。クーデリアで構いません」

「ではクーデリアさんと」

「はい」

 

 挨拶が終わったところで、オルガが咳払いする。

 

「んんっ。では、スポンサーも揃ったところだ。これからの仕事の話がしたい。まず、クーデリアさんを地球に護送する任務だが、続行する」

「オルガ! 無茶だよ!」

 

 ビスケットがすかさず反論する。クーデリアが瞼を落とす。

 

「無茶だろうと、やるしかねえんだよ。こんなガキばかりのCGS、ギャラルホルンに目の仇にされクーデターまで起こした。誰が好き好んで仕事を依頼する? 俺達には信用が必要なんだよ。この人を地球に送り届けたっていう、でっかい仕事についてくる信用が」

「それは、そうだけど……。でも、ルルーシュもいるから」

「ああ。1年あれば、ここの全員食わせるくらいの仕事は持ってこられる。お前達が、使えるようになればな」

 

 本当は今すぐ食わせることもできるが、ルルーシュは慈善家になるつもりはない。一年間勉強して最低限読み書き覚えて仕事ができるようになれば、仕事を回せるという旨の発言である。

 

「もっとも、お前等がどうしてもというのなら、年少組だけは保護することもできるが?」

 

 ルルーシュは慈善家になるつもりはないが、なれないわけではない。ナナリーに頼まれればなるだろう。

 

「オルガ、ルルーシュもああ言ってることだし」

「ああ。ルルーシュ、俺達が地球から還ってくるまでの間、こっちのCGSを頼みたい」

 

 と、オルガ不意に土下座した。三日月がピクッと動いた。

 

「スポンサーにこんなこと頼むなんて、筋が通らねえって分かってる。だけど、お前にしか頼めねえんだ。頼む!」

「オ、オルガ……」

「オルガ、勘違いするなよ?」

「えっ」

「俺が見るのは結果だけだ。お前達が役に立つところを見せれば、それに応じた対価を払う。年少組の保護というのも、この俺が将来を計算した上でのただの先行投資に過ぎん。払った分の金は働いて返してもらう、そのあてがあるから金を払えるんだ」

「そ、そうか。その、あんがとよ」

 

 オルガは土下座をやめて立ち上がった。

 

「ただ、名目上は手を切らせてもらうぞ。ギャラルホルンに目を付けられたままでは金を送ることも難しい。今後はダミー会社を介して送金する。実際に会うのもよくないだろうな」

「ああ、そうしてくれ」

「いいのか? バックれる可能性もあるが」

「そん時はたっぷりお礼してやるよ。ま、あんたならやらないと思うが」

「ずいぶん信頼してるんだな」

「ただの勘だがな」

「オルガ、勘はよくないよ。裏切られないようにちょっと条件をつけた方が」

「いいんだビスケット。友人として頼むんだからな」

「ふっ、そうか。俺も友人として応えよう」

 

 オルガとルルーシュは笑いあい、握手する。

 

「そしてオルガ。クーデリアさんを護送する件について、俺も戦略会議に参加させてもらいたいのだが」

 

 ルルーシュは火星独立にもそのために多少武力を使うことにも賛成だったので、クーデリアの地球行きを止めるつもりはなかった。むしろ積極的に支援して成功させるつもりだった。

 

「あんた、戦闘も分かるのか?」

「腐敗したギャラルホルンの影響下にあるこの星で、何事もなく安全に経営ができると思うか? お前も知っていると思うが既にモビルワーカーとの戦闘は数度経験している。全て圧勝だった。なあユージン」

「ああ、ルルーシュの指揮はなかなかのもんだぜ。地雷を埋めておいて落とし穴に落とすんだ」

 

 話を振られたユージンがうれしそうに語る。ルルーシュはCGSを贔屓して自身の会社の護衛に使用し、時には戦闘の指揮をすることもあった。

 

 かくしてオルガとルルーシュの指揮のもとあっさりギャラルホルンの第二波を撃破。クランク二尉との決闘に際しては、勝利の後にルルーシュの意見でクランクは人質となる。

 オルガがルルーシュの意見を聞き続けることに関して、三軍の連中から少し不満も出てきたが、三軍の中で特に有力なビスケットはルルーシュの知恵を頼ろうとし、三日月は「オルガが信じるルルーシュを信じるのは問題ない」という意見であり、ユージンはルルーシュの上流生活に憧れていたので、大きな不和とはならなかった。

 

 CGSは鉄火団と名を改め、ルルーシュが用意したブリタニア小惑星ルートで地球へ進むこととなった。出発の便は偽装していたが、内通者がいるのだろうか、何故かギャラルホルンにバレてしまった。しかし場所がブリタニア軍基地(名目上はオレンジ農園という民間業者)の近くだったので、ブリタニア側からも戦力を得られて、鉄火団は有利に戦闘を行うことができた。なおブリタニア軍の指揮はルルーシュが行った。ギャラルホルンは不利と見てすぐさま退散していった。指揮官の腕がいいのだろう。

 ルルーシュは若くして才を発揮する経営者だが、いくらなんでもブリタニア軍の対応がよすぎる。指揮を一般人に預けるなど尋常ではない。ブリタニア軍のお偉いさんも「ルルーシュ様ぁ」とか「全力でお守りするのだ」とか言ってたし、ルルーシュは庶民ではないようだ。そのことをオルガが質問するが、ルルーシュは返答を濁した。

 

 しばらくして、元社長のマルバがCGSを返せと言ってテイワズのタービンズと手を組んで襲撃を仕掛けてきたが、三日月の活躍にオルガの知恵と度胸もありなんとか撃退。逆に名瀬に気に入られることに成功する。そこで何瀬は鉄火団に対しテイワズの保護下に入るよう提案したが、オルガは断った。鉄火団は家族だから離れ離れにしたくないとかなんとか。ビスケットはオルガに少し叱責するが、オルガは止まらない。続いてビスケットがルルーシュの件を報告する。ブリタニア人のルルーシュが現在の大口のスポンサーである。彼はブリタニア軍を即席で指揮出切るほどの大物である。これが実は問題だった。ブリタニアとテイワズはことあるごとに衝突しており、非常に仲が悪かったのだ。結局名瀬は手を引いた。

 

 その後、本格的にブリタニアルートに入るとしばらく安全な宇宙の旅となった。が、またしてもマルバがやってくる。今度はブリタニアの伯爵の娘、カレン・シュタットフェルトとその兄紅月ナオト等のグループ。二人は扇と仲がよかったらしい。「扇さんを殺したのはお前等か! 仲間殺し、しかもお世話になった先輩を殺すなんて、あんた達は悪魔か! 許せない!」などと言って突っかかってきた。少し情報に誤りがあるようだが、どの道クーデターで扇を殺したかもしれないし、強いて訂正するほどでもない。そうしてブリタニア貴族の部隊との戦闘が始まる。

 ブリタニア軍は阿頼耶識手術をしているとは聴かないし、今回もギャラルホルン戦のように楽勝だと思っていたが、思いの他カレンの腕がよく、三日月相手によく粘った。グレイズ操る昭弘はナオトのブリタニア機動兵器に押され気味で、いつ落とされてもおかしくない。よって、オルガは戦いの途中に「扇を殺したのはギャラルホルンだ!」という説得に切り替える。カレンは聞く耳を持たなかったが、兄のナオトは踏みとどまった。

 

「待てカレン。話を聴くのが先だ。マルバさんの言っていることにも矛盾がある」

 

 そうして戦いは止まった。扇に関しての誤解は解いたが、三軍が一軍の人間を殺したことは間違いない。カレンはまだ戦うつもりだったが、ナオトは引いた。

 

「俺は、火星の独立運動を支持している。君達が困窮していることは知っているからな。大人組との確執も、それが原因だろう」

 

 というのも理由の1つだそうな。

 

 カレンの一件を聞いたルルーシュは「安全なはずのブリタニアルートでこのような。俺の失態だ」などと嘆き、増援を決意。「うちのランスロット使ってくださいよぉー」などと鬱陶しかった技術者を機体とパイロットと共に援軍に向かわせた。

 

 地球圏に近づくとまたブリタニア軍からの襲撃があり、「クーデリアを寄越しなさい。地球へは私が運んであげるわ」と言ってきた。相手はブリタニアの皇女カリーヌを名乗った。「市井の汚らわしい子、ルルーシュの私兵なんぞに火星独立の大役は務まらないわ」とかなんとか。「うちはルルーシュの私兵じゃねえ!」とはオルガが返すと皇女は「ねずみの躾もできないとは。情けないわねルルーシュ」と笑った。そして戦闘になり、鉄火団はあっさり勝った。

 その後鉄火団は皇女を拘束し人質にしたのだが、今度はブリタニアが大軍を率いてやってきた。

 

「カリーヌのことは謝る。こいつは昔からルルーシュと妹ナナリーを目の敵にしていてな」

 

 そして表れたのは皇女を名乗るコーネリア。カリーヌの身柄引取りと、父上が会いたいというから本国に来て欲しいとのことだった。父上というのは皇帝のことである。聞けばルルーシュも皇子だというではないか。ルルーシュの親の頼みならば断るわけにはいくまい。そして鉄火団はシャルルの待つ王宮へ。

 王宮のある資源惑星に近づくと、またブリタニア軍が出てきた。たった一騎だが、問答無用で攻撃してくる。それに対し、護衛も兼ねていたはずのコーネリア達は沈黙をつらぬき、何もしない。鉄火団のメンバーは「嵌められたのか!」と怒った。ビスケットは「それにしては一機というのはおかしい」と言ったが、しかしその一機は非常に強かった。ランスロットの技術者ロイドは「やったぁー!」と何故か大喜びだったが。

 敵の機体は、ブリタニアの最新兵器ナイトギガフォートレス・ジークフリート。常に回転し続ける球体の胴体部はあらゆる物理攻撃を弾き、満足なダメージを与えられない。そもそもパイロットの技量が高くて当てられない。ブリタニアでも特に優秀なパイロットカレン相手に有利に進めていたはずの三日月でさえも。ジークフリートの攻撃もガンダムフレームの装甲にはほぼダメージが通らないが、間接部を的確に攻めることで腕を捥ぎ、足を捥ぐ。

 

「バルバトス、もっとだ。もっと寄越せ」

 

 三日月の反応は徐々に鋭さを増していく。しかし機体は限界だった。ランスロットもだ。

 

「ま、ギリギリ合格ってところかしらね」

 

 鉄火団の負けが決まったところで、ここまで沈黙を続けていた相手の機体から通信があった。映像が出る。黒髪の女だ。どこかルルーシュに似ている。背中には阿頼耶識を思わせる突起があり、チューブのようなものが伸びている。

 

「ブリタニアでも阿頼耶識使いがいたのか。ミカが苦戦するわけだ」

「あら? 彼くらいだったらこれなしでも勝てたわよ」

「ふん。で、あんたは誰なんだ? 俺達をどうするつもりだ? ブリタニアは嵌めたのか?」

「口の利き方が生意気ねえ。ルルーシュの私兵の癖に」

「俺達はあいつの私兵じゃねえ!」

「あらそうなの? でも戦闘員のお金払ってるのはあの子だけなんでしょう?」

「それは、そうだが」

「あの子、というのは?」

「ルルーシュよ。だって私の子だもの」

 

 顔を見た時からなんとなく察していたが、こんな無茶苦茶をしてくる相手が母親だとは驚きである。と同時に、安心もあった。母親ならば息子の知り合いを襲ったとしても命は取らないだろう。これは戦力分析とかそういうものであるはずだ。にたーっと笑んでいるがまさか遊びではあるまい。

 

「ルルーシュのお金で生き、動く民間兵。それは私兵と言うのじゃないかしら」

「ぐっ」

 

 確かにその通りなのである。オルガは言い返せない。

 

「今は、私もいます!」

 

 そこでクーデリアが出た。

 

「あなた、火星のお嬢さん? 確か独立運動の」

「はい。クーデリア・バーンスタインです」

「あなた確か、オルクスなんて趣味の悪い爺ぃに命握られてるそうじゃない。あなた自身はお金を動かせる立場じゃないようだし、地球に行けたとして報酬を出せるのかしら」

「それは、はい。あてはあります!」

 

 クーデリアは凛としえ応える。

 

「言っとくけど、アーブラウの蒔苗東護ノ介なら没落したわよ」

「えっ」

 

 突然もたらされた爆弾発言。クーデリアは絶句してしまう。その状態で、よく分からないまま鉄火団はルルーシュの母マリアンヌが暮らすアリエス離宮へと案内された。

 

 船を衛生に降ろしてすぐ、コーネリアの部下の指示で身嗜みを整え、礼儀を教えられる鉄火団の面々。しかし簡単に覚えられる物ではない。

 離宮の門の傍では、ブリタニアのお偉いさんがゾロゾロ集まっていた。マリアンヌが属するナイトオブラウンズ全員に、マリアンヌ派の大貴族アッシュフォード伯爵、ジェレミア元辺境伯(現在息子が辺境伯)、アールストレイム伯爵。全て武闘派の者達であり迫力がある。1人、ゆるふわっとしたピンクの女がいるが、コーネリアの妹のユーフェミアらしい。

 

「皆さんがルルーシュのお友達なのですね。どうですかルルーシュ。ご迷惑をおかけしていなければいいのですが」

 

 これまでの戦闘から皇族に野蛮なイメージを抱いていた鉄火団は、面食らった後感動した。天使や、天使がおる、と。

 

「迷惑なんてとんでもねえ、です」

「あいつにはいつも世話になってんだ」

「おい貴様等、口の利き方に気をつけろ」

「いいんですよ。歳も近いですしルルーシュのお友達なら」

 

 それを皮切りに、大貴族やナイトオブラウンズ達も話に加わる。やれルルーシュはどうだ、頭いいだろ、相変わらず貧弱だろ、ひねくれてるだろ、女はいるか、自慢の息子だぁ、またチェスがしたいものだ、などと矢継ぎ早に質問が飛ぶ。髪くるくるのデカいおっさんはいつの間にかいた。

 

「ルルーシュ奴、第11皇子と聞いていたが、それにしては期待されてねえか? 皇族のことはよく分かんねえがよ」

「当たり前だぁ。わしとわしが愛するマリアンヌの子なんだからなぁ」

「そういうもんか」

 

 しばらく談笑した鉄火団。不意に髪の毛くるくるおじさんが「火星独立は我がブリタニアにとっても益のあることだ。その中核をルルーシュが担うというのならやつに火星独立後の実権を与えてもよかろう。だがぁ、お前達だけでギャラルホルンの相手は無謀だぁ。ラウンズを2人か3人、つけよう。どれ、行きたい者はいるか?」と質問し、金髪でオルガみたいな体格の若い男となんか血に飢えてそうな危険な男が立候補した。

 

「ジノ・ヴァインベルグだ。歳も近いしジノでいい」

「ルキアーノ・ブラッドリー。ギャラルホルンか。血が騒ぐぜぇ」

 

 そうして新戦力を加えた鉄火団は、地球へ向かう。ジノは個人だがルキアーノは部隊ごときたので非常に助かった。

 そうして鉄火団は地球圏に到達し、ギャラルホルンの追撃をかわし、地球に降下。またギャラルホルンの追撃をかわし、アーブラウの蒔苗東護ノ介に出会い、彼を議会に護送。その途中ギャラルホルンからまた追撃が来るが、なんとか撃退。そして議会、及び火星独立に関する演説は成功する。




ナナリーが阿頼耶識で無双の流れもよかったけど、ルルーシュの経営で金に問題ないから鉄火団が戦闘する理由が作りづらい。

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