やっつけです、でもめぐねえ生存が書けて良かったです
現在の日付から少し前に、この世界では突如としてゾンビが発生してしまう。そして歴史史上最悪のパンデミックが世界規模で起きてしまったのである。ゾンビの習性である噛むことで同族を増やす力で鼠算式に増えていくゾンビ達。人類もこれに抵抗するが数の暴力の前では無意味だった。
そして世界は混沌の時代を迎える。生き残った数少ない人類は結束して何とか生き延びようとするが、やはり凶悪なゾンビの前では全てが無意味であることを分からせられた。また残った人間の中には自らの欲望に忠実に生きる者も出始めてきた。
権力、武力、食料、資源、あらゆる物を巡り争う民衆たち。そしてそこに加わるゾンビの脅威。このままでは人類は文明すら滅び、世界は死に包まれようとしていた。
だが、そんな中で己の正義を貫く者たちがいた。
それぞれが類い稀なる技と力を持ち、そしてなにより健全なる精神を宿した言うなれば『ホモビ男優』この混沌の時代に彼らは立ち向かう。
そして救世主は一人ではない。
世界各地の強者たちがいまここに集まる。
◆
ガリ……ガリ……ガリ……ガリ……
外から聞こえるそんな音がここ『巡ヶ丘学院高等学校放送室』に響き渡っていた。放送室の中にいる四人『丈槍由紀』『恵飛須沢胡桃』『若狭悠里』『佐倉慈』はそれぞれが各々の表情を恐怖へと変えていた。
ゾンビによるパンデミックの影響は巡ヶ丘学院高等学校にももちろん及んでいた。急なゾンビの発生によりほとんどの生徒がゾンビ化または死亡してしまうと惨劇を生んでいる。
辛くも何とか生き残った四人は屋上に逃げ込み。そこで時間が解決してくれのをただひたすらに待つことしか出来なくなっていた。
だが日は進めども、状況には一切の前進はなかった。
ラジオから流れる放送は砂あらしばかり、食料はあるものの先の見えない持久戦をするにはいくらあっても安心できるとは言い難い。現状では打てる戦略は千日手かゾンビから隠れながら物資や食料、そして何より情報を集める強硬策の二つだけだった。
そんな中で四人が選んだ策は探索による強硬策であった。
だがそれが大きな間違いであったと気づかされる。ゾンビは生前の習慣を真似する傾向がある。そして探索に出かけた日は奇しくも雨の日であったのだ。ゾンビは屋内、つまりは学校の中に集まってしまった。大量のゾンビに追われる四人が入ったのは放送室であり、今はここで籠城している状態である。
ガリ……ガリ……ガリ……ガリ……
外のゾンビはかなりの量がいることが分かっていた。
だがいつまでもここに籠城していることは出来ない。
「私が……私が探索をしようなんて言わなければ……ごめんなさい……」
「めぐねえのせいじゃないよ!私達だって賛成したんだから」
「ああ!その通りだ」
「でも……このままじゃいずれ……」
悠里の発した言葉に一同は何も言えなくなる。
このままじゃいずれここに入られるか、食料がなくなるかのどちらかだと言えよう。そのことをみんな分かっているからこそ何も言えないのだ。
これまでのことに責任を感じた慈は話を切り出す。
「……私が囮になるからその隙に皆は急いで逃げて」
「なっ!そんなこと出来る訳ないだろ」
真っ先に反論したのは胡桃であった。その後に続くように残りの二人も反論する。だが慈には既に覚悟は決まっているらしかった。
「私は……教師だから……絶対に追いつくって約束します。だからまずはあなた達だけでも逃げて、お願い……これは教師としての最後の命令です」
「めぐねえ……」
慈は絶対に曲げるつもりはなかった。あの時できなかった正しい行動の報いを。今受ける時が来たのだと感じている。その言葉に三人も頷くよりほかに選択肢はなかった。
意を決した慈はドアノブに手を掛ける。
その後ろに三人が構える。
そして覚悟を決めてゾンビの群れの中に飛び込んだのであった。
「こっちよ!こっちに来て!」
ひたすらに叫びそして走る。それにつられてゾンビ達も追いかけてくる。少しでも長く、そして少しでも多くのゾンビの囮になることを目指して走る。
だが結局四方から集まってくるゾンビ達から逃げるすべは無かった。
もはや逃げる場所も体力もない。
(三人は無事に逃げ出せたかしら……もう心残りは……)
心残りはないそう思っていたはずであったが、ここに来ていきたいという思いが強くなっていく。
死を目前にして涙が止まらない。これまで自分がやり残して来たことをここに来て思い出していく。
もっと自分が注意を払っていれば。
もっと自分が強ければ。
だがいくら後悔しても遅かった。三人が無事に逃げ切れたと願いその場にへたり込む。もはや逃げる気力も方法もない。
それでも……死にたくない!最後の願いを込めて最後に必死に叫ぶ!
「お、お願いします!誰でもいい………誰か、誰か助けてください!!」
あきらめとも取れるその叫びは普通であれば誰にも届かない!
このゾンビの群れの前でいくら叫ぼうとも誰も助けてはくれない!
『あの男』以外には!!
「おまたせ!」
慈に襲い掛かって来たゾンビを突如現れたその男は拳で打ち抜く。
打撃を受けたゾンビの顔はまるで風船のように破裂して跡形もなく消えた。
「おっ大丈夫か?大丈夫か?」
「は、はい」
慈はその男が差し出した手受け取り立ち上がる。
あらためてその男の容姿を確認すると異様な姿であることが分かる。
身長はおよそ170cm程だろうか。鍛え抜かれた体に色黒い肌。顔つきは素朴ながら目は非常に鋭く、まるで研ぎ澄まされた日本刀のようであった。だがそれ以上に目を見張るのはその格好である。何と灰色のブリーフ、もとい、伸縮性のあるボクサー型のスッパツに近い感じの下着ひとつであったのだ。
「(ゾンビが)溜まってんなぁオイ!」
「こんな数……もう無理……」
慈とブリーフの男にゾンビ達が一斉に襲い掛かる。
その瞬間二人の後ろから二つの影が躍り出てゾンビを蹴散らしていく。
「俺たちを忘れてもらっては困るゾ」
「田所先輩ばかりに良い格好はさせませんよ」
白いTシャツに白いパンツを履いた坊主頭の男、同じく白いTシャツに白いズボンを履いた青年の二人がゾンビを吹き飛ばす。どちらの体もかなり鍛えこまれていることが服の上からでも分かるほどだ。
慈は夢のような状況に困惑する。
その中で頭を働かせ何とか一つだけ質問をすることが出来た。
「あの!あなた達は一体……?」
「迫真空手部¨知将¨三浦だゾ」
「同じく迫真空手部¨野獣¨田所、オッスお願いしまーす」
「同じく迫真空手部¨創造神¨木村よろしくお願いします」
「迫真空手部……すごい……」
吹き飛ばしたゾンビ達が戻ってくる。
野獣たち三人はそれぞれが構えをとると一気に攻め立てる。
「先輩、爆砕かけますね」
「(ゾンビの命を)絶たしてやれよ?」
「名前はナオキです(殺す相手に名前を告げる)」
ゾンビをまるで魚を捌くようにどんどんと始末していく。それほどまでに野獣と三浦、木村という男は強かった。例えるならオラウータンとスローロリスぐらいの差がある。
「三浦先輩、野獣先輩、キリがないので必殺技で一気に決めますよ」
「いいゾ~それ。よし!じゃあぶち込んでやるぜ!」
「しょうがねえなぁ…(悟空)ほらいくどー」
全員がゾンビに向かって突撃していきそれぞれの技を繰り出す。
『邪拳「夜逝忌魔性廻」』
『双打「陽」』
『創造「DEATH」』
その攻撃が重なった瞬間当たりのゾンビ達は全て塵となって消えた。
「ぬわああああああん疲れたもおおおおおおおん」
「チカレタ…」
「MURきつかったっすねー今日は」
「あぁもう今日は…すっげえキツかったゾ~」
「あの本当にありがとうございました!」
「(人助けも)ま、多少はね?」
そしてこの後に学園生活部と合流するのであった。
この戦いは始まりである。学園生活部、ひいては人類がゾンビに対して反撃ののろしを上げることになるのであるのだから。
◆ショッピングモール
ゾンビに抵抗する者は迫真空手部だけではなかった。
伝説のホモビ男優達も立ち上がっているのである。
「無駄だよその鎖は私のどうぞという声でしか解除されないのだ」
「(女の子を襲って)もう許せるぞオイ!……もう許さねぇからな!」
「本気で怒らしちゃったねぇ!俺のことねぇ!おじさんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!」
「(無駄な抵抗は)やめちくり~」
◆大学
一人の男が襲ってくるゾンビを全て蹴散らしていた。
一騎無双、常勝無敗、そんな言葉がふさわしいと言える戦いであった。
そして最後のゾンビを蹴散らしたところで一息つく。
「オルルァ!オルルァ!オルルァ!」
ゾンビの頭を打ち砕いたその拳からは炎が灯っていた。
死んだゾンビに向けて言葉を発する。
「そんなんじゃ虫も殺せねぇぞお前ら……」
大学のゾンビを全て制圧した男は次の目的地を決める。
「さっさと三浦や木村、田所を探さねえとな」