その時、まおとアデアが語りあった
台本形式になります。ご注意ください
このお話は現在進行中のHAPPENS DIZAIA終了後のお話です。ですがネタバレ要素はありません。関与するキャラもでません。
ベノ「ラ~ララ…ラララ~ラララ…」
雪が降りしきる空の下、ベノは街を歩きながら歌を歌っていた
ベノ「…特別な…日…か…」
吐息が白く、そして消えゆく。
ベノ「ただいまっと…」
劇場に戻ったベノは舞台に立ち寄る。そこでは練習が行われていた
まお「奇跡が起こる…」
アデア「今日は…」
シャーヴァル「やってるな」
ベノ「おう。やっぱりやりずぇか、他の組とやるのはよ」
シャーヴァル「連携が普段からとれすぎているとこういう弊害もありうるか」
ベノ「ほーれ見とけ、今にやらかすぞ」
ゴッ!
まお「ぬっ!?」
アデア「うあっ!」
ドタッ!バタン!
まお「ぐぬ…アデアよ、こちらに寄りすぎではないか?」
アデア「いいえ、まおさんがこっちに寄ってきましたよ」
まお「そうか…すまん。続けよう。皆もすまぬ」
ベノ「ったく…いざって時は連携取れるくせに仕方ねぇな…。おい!まお!くぃーん!お前ら右に意識持ってけ!アデアはぎこちねぇ!それと後ろの奴等と重なりすぎだ!」
怒鳴りたてるように舞台へ行くベノをシャーヴァルはやれやれと言った感じに見守る。今やっているのはクリスマス公演、その一部だ。
シャーヴァル「毒組と新生鍼組、地組と兎組による歌。そして各組から一人ずつ選抜した14曲。最後に全員のフルコーラス。…まさかこんなことをするとは、昔の自分に聞かせてやりたいな」
過去に罪を、大罪を犯した。そんな自分達でも、誰かを笑顔にできる。罪滅ぼしにはなり得ないが…それでもと…
ベノ「わかったか?!そもそもてめぇらなぁ、演劇しなさすぎなんだよ」
まお「…年間公演回数三回だな」
アデア「今年は…やってないですね」
ベノ「それでもお前ら歌劇団かよ…」
呆れ顔で顔を覆うベノ。事態は深刻だ
まお「…。一度休憩にするか。ペアによる14曲もあるのだ」
アデア「そうしますか…。ところでベノさん。毒組と鍼組のほうは…」
ベノ「ここをほぼお前らに明け渡してる時点で察せ」
アデア「デスヨネー…」
リヴェータ「で?なんでこの組み合わせなのよ」
エクレール「殺し屋チームだってさ」
ジーパン「随分と物騒な組み合わせだな」
リスティス「まぁいいんじゃない?まだマシでしょ、他なんかもっと酷い組み合わせあるし」
そういって指を指す先にいるのはぷりん、レジーナ、エフィル、エレッサだった。この組み合わせがなにかわかる人はいるだろうか
ルヴィローム「チームアホってかぁ?キッシッシ…!」
しゅヴぁる「虫タイプか…」
しらみつ「これもなんと言いますか…」
アベリア「普段組み合わないから新鮮ね」
ベノ「おいおい、お前ら。クリスマス公演の目的はあくまでも連携を取れるようにだからな」
シャーヴァル「そうだ。俺が演劇に参加しているのもチームワークの強化が理由のひとつだ、お前達も歌劇団ならば嫌々だろうがやってもらうぞ」
ルヴィローム「芸ならいくらでもやってやれるんだがなぁ、二の腕のかつらむきなんざぁどうよ?キッシッシ…」
シャーヴァル「金禁、戦禁、殺禁。選べ」
ルヴィローム「わーったよ、真面目にやる」
殺し文句を言われると黙るのがルヴィローム。これでも裏世界最強の殺し屋だ。自分の欲に実直で恐ろしいまでに残忍極まりない。子供にさえ容赦せず銃口を向けて引き金を引く。
シャーヴァル「ルヴィローム。デストロメアの名が泣くぞ」
ベノ「しらみつ。二番のAメロだがよ」
まお「…ふー…」
アデア「お疲れ様です。まおさん」
まお「…劇をやってない弊害が来るとはな…。難儀なものだ」
アデア「僕らのところもすいません…結構ゴタゴタしちゃってて劇どころじゃなくて…」
まお「思えば…各々連絡も無しによくやれたと思う」
アデア「…そうですね…。連絡をする暇さえ無かったのは、僕達が違う地方に居たとはいえ…今回…かなり響きました…」
まお「まさか四組それぞれで大事が起こっているとはな…。隣の芝生はなんとやら…」
アデア「でも、仲間がいたからどうにかなったんじゃないかって、僕は思ってます」
まお「我も同じよ、この世に孤独で幾千を駆け抜けれる者など存在しない。必ず壁に当たる。その時こそ…仲間の力が必要になるのではないか…と、思うのだが?」
アデア「ふふっ…。なんだかボクたちの体験談だけで一つの劇が出来そうですね」
まお「違いないな、いっそ題名つけて小説にでもすれば良いのだ」
アデア「でも…。この物語は、誰も知らない方がいいのかもしれません。ボクたちは裏の存在ですし…」
まお「…そうでもないだろう、こうして演劇の稽古をしている。それは誰がためだ?確かに我らの存在は裏であろう。しかし、この舞台は表のはずだ。違うか?」
アデア「…はい…!」
まお「よし、では通すぞ」
アデア「はい!」
まお「届け!この特別な日に!」
アデア「思って!大切な誰かを!」
全「きっと!奇跡の鐘が鳴る!」
優しいメロディが鳴り、歌が始まる。歌い出しのコーラスは女性陣が勤め、男性陣が二人一組で担当のパートを歌う
。
大きく静かに息を吸い、高く響くビブラート。劇場を包み込むその歌声たちは形の無い美しさを作り出していた
ひとりひとりの思いと声が重なりあう。そして…二番が終わり、ラストパートを駆け抜け…。…見事歌いきった…!
まお「…。ふっ…」
言葉なく笑顔で笑いあう二つの組。その表情は晴れ晴れとしていた
ベノ「よし、これでいいだろ、後は各パートな。これが終わりじゃなく始まりだってこと、しっかり頭ん中に叩きこめよ!」
まお「もちろんだ。なぁ、アデアよ」
アデア「はい!僕達の舞台(表)は…まだ始まったばかりです」
木霊する歌声、それはクリスマスを越えてなお、人々の心に深い奇跡を感じさせた鐘となった