始まりの天使 -Dear sweet reminiscence- 作:寝る練る錬るね
『あら、あなた。ちょっとあの子の気配がするわね。冥界に
『撤退だ!藤丸君!どうやら、クタのご先祖様方が一斉に里帰りのようだ!』
『俺は、ちゃんと話をしてくれたあなたを縛ったまま、置いていけない!』
『それは貴様が取ってきたものだ。ならば、貴様自身が使うといい。
『何?使い方がわからない?ではこう唱えるといい』
私は、見逃すことができない。
このまま、見過ごすことができない。
彼の王の悪行を。彼の王の残忍を。
そして───
多くの命が喪われ、多くの命が哀しみに包まれた。そのことを知っていながら何もしなかった悪魔と、それ以上でそれ以下のナニカを。
故に此処に残す。この言葉が、何かの礎になると信じて。
どのような時代、どのような世界でも、人の世には悲劇が満ち溢れていた。
子を殺す者。子に殺される者。
信仰を遂げる者、信仰に裏切られる者。
富を失う者。富に殺される者。
人に尽くす者。人に尽くされた者。
なんと醜く、悲しい生き物か。
だが、只人はそれでいいのだ。人間は万能ではなかったからだ。矛盾を犯したとて、生きる他に道はない。
───だが、それら全てを解決する術を持つのならば、話は別だ。
何もしない王がいた。ただ笑っている王がいた。未来と過去を見通す千里眼を以って、この世全ての悲劇を知りながら、なお笑う王がいた。
知らないのであればいい。解決する手段を持っていないのであればいい。……だが。民草が苦しんでいるのを知って、それらを解決する手段も、力も持って。それでもなお、ただ何もしない王がいた。民草を笑う王がいた。
‘’それを知った上でお前は笑うのか!
この惨状を見て、何も思わないのか!‘’
私の訴えに、その王はこう返した。
‘’いや、まぁ。別に。何も?‘’
私は呆れ果てた。このような王に仕えていた自らの存在が、浅ましくて仕方がなかった。
だが、激昂することはなかった。私には他に
彼の王など、目ではないほどの力を持った同胞。先輩とすら呼んでいい相手が存在していたのだから。
その男がいつからいたのかを、誰も知らない。その男がいついなくなるのかを、誰も知らない。
ただわかるのは、先々々々代の王の時代には既に生きていた
私は彼に助力を乞うた。彼が力を貸せば、彼の王以上の成果を以って、民を救えるはずだった。
‘’どうかあなたの力を貸してくれ。無辜の民が苦しんでいるのだ‘’
……だが。その男が返した返答は、あの王すらも超える侮辱だった。
‘’へぇ、そう。じゃあ力を貸そう。気が向いたらね‘’
無様にも、その時私は歓喜した。その男が力を貸してくれるというのならば、例え数年が経とうと民を苦しみから解放することが満足に叶うことを知っていた。
故に。私は待った。その男が言う『気が向いた時』とやらを。待った。ただ待った。待って、待って、待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って!
何も、しなかった。一年が経っても、五年が経っても、十年が経っても。その男は、決して動くことは無かった。
私は催促した。王ではない彼に、私の願いを聞く義務はない。だが、強者は強者たる責任があるのも事実だ。あくまで穏便に。冷静に。私は願いを訴えた。
‘’へぇ、そう。じゃあ力を貸そう。
返答は……それだった。あの男は、十年前と一文字も違わず、同じ口調、同じテンポ、同じトーンで、同じことを言った。全く悪びれない様子。どころか、私のことすら覚えていないような口ぶりで。
……いや、事実覚えていなかったのだろう。奴は毛頭私に力を貸すつもりも無く、ただ私を適当にあしらう目的でああいったのだ。
──この男達を、断じて許すことはできない。私たちの誰もが、そう思った。
我らの憤怒をここに記そう。後に続くもののために軌跡を残す。
神殿を築きあげよ。光帯を重ね上げよ。奴らを滅ぼすには全ての資源がいる。奴らを忘れるには全ての時間がいる。
対策を講じる。あの男を滅ぼすことなぞ、千年もあれば叶うのだ。どうせその解除も、奴にとっては『気が向いたら』程度のものなのだから。邪魔さえされなければ儲け物だ。
全ての障害を取り除き、究極の特異点を目指せ。
そこに、魔術王の玉座がある。
その
終りの極点。時の渦巻く祭壇。忌まわしき始原に至る希望なり。
───夢を見た。
ゆっくりと起き上がる。隣には、いつも通りハーメルンがすぅすぅと、心なしか普段よりも落ち着いた寝息を立てていた。相変わらず半裸である。
ふと、あたりを見渡してみる。……知らない天井だ。というか、全く知らない場所だ。少し硬い寝台と小さな机。それだけが置かれた部屋。こじんまりした一室で、どこか侘しい印象を受ける。
あまりにも人気がないため、すわ牢屋かとも思ったが、そんな心当たりは特にない………いや割とあるが。まぁ、しかし。隣にハーメルンがいる時点で閉じ込める目的がないのは明らかだろう。
となると、自分がどうして寝ているのは少し疑問だ。立香は記憶を遡って、此処がどこなのかを思い出す。
……そう。立香は確か、昨日クタからウルクに戻ってきたのだったか。
拘束したイシュタルに詰問をして、三女神同盟の情報を少しだけ得たところで敵に囲まれ、止む無く撤退。その夜は野宿をして、次の朝にギルガメッシュに一連の経緯を説明して、天明の粘土板の使い道を教えられて。
そして、先の夢を見た。
酷い夢。先日のハーメルンの夢と勝るとも劣らない悪夢。誰かの憤怒と無念。そして、傲慢な誰かと、怠惰な何か。それらが合わさった、なんとも後味の悪く濃厚な夢だった。
魔術王。夢の語り手は、確かにそう口にした。ならばあれはハーメルンの時同様、無関係とは到底思えない。
「…………あ。先輩!起きられましたか!?」
カチャリと音がなり、開いた扉からマシュが顔を覗かせる。昨日のように泣きそうなほどではないが、顔を見る限りまた心配をさせてしまったらしい。
「あぁ。おはよう、マシュ。えっと、ここは……」
「神殿近くの一室です。来客用に空けているそうで。先輩が粘土板を読んで倒れられた後、シドゥリさんに教えていただきました。………と、倒れた原因は、覚えていらっしゃいますか?」
「大丈夫、覚えてるよ。……ちょっと、気になる夢を見て。内容はまた今度話すよ。それより、シドゥリさんはなんて?」
「はい。今日は一日お休みだそうなので、いつでも大丈夫だそうです。あとで予定を訊きに来ると仰っていました」
……そう。今日は、ウルクから来て半月が過ぎた日だ。シドゥリが
未だに分かっていない。ウルクの人々は、何故
「……この半月、ウルクで過ごしてきたからわかります。この国の人々は、みんな私たちとほとんど同じ価値観を持っている。喜んで、楽しんで、そして、哀れむことも、悲しむこともできる」
「うん……あの時ギルガメッシュ王が言ってたことは、きっとそういうことなんだよね」
初めてエリドゥの神殿を訪れた時、ギルガメッシュは立香に言った。『
「でも、死ぬことが喜ばしいだなんてことは、やっぱりおかしい」
「……そう、ですよね。やっぱり、おかしいものは、おかしいです」
自分を納得させるように何度か頷いたマシュは、そういえば、と気がついたように辺りを見渡した。
「あの……ハーメルン君はどこに?私の留守は、ハーメルンさんにお願いしていたのですが…………」
「それなら…………………………えっと」
『それなら、俺の隣で寝てるよ』と発言しかけたところで、ようやく気づく。現状がかなり危うい状態であることに。
ハーメルンの容姿:美少年(固い意志)
ハーメルンの状態:半裸
状況:立香と一緒のベッドで寝ている
………これだけでだいぶマズい。いや、マシュはハーメルンが最初に半裸だったのを知っている。それにいい子だ。説明すれば分かってくれるはず。でもこの状況で立香が何もしていないことは証明できない。つまり言うべき言葉は『ハーメルン、なんでか隣で寝てるんだ。寝ぼけて服も脱いじゃったみたい。ははは』だ。
これらのことを僅か三秒のうちに考え、早速イメージを形にするべく脳髄から体へと命令を打ち込む。
「ハーメルン……」
「失礼します。藤丸、調子はどうでしょう?予定があるそうなので伺いに来たのですが…」
「あ、シドゥリさん。こんにちは」
…………あまりにもタイミングの悪すぎる来客に、立香は頭を抱えた。何故よりにもよってこのタイミングなのか。しかもなぜアナやマーリンでなく、事情を知らないシドゥリなのか。
「………んゅ……親様………呼んだ……?」
(呼んでない!呼んでないから寝ててくれ!)
しかも中途半端にセリフを口にしたせいで、隣のハーメルンが起きてしまった。何故こんなことに。頼むから寝ていてくれ。
「…………ん、ん〜?……」
立香の必死の願いも虚しく、ハーメルンが目を擦りながらゆっくりと起き上がる。しかも出会った当初を思わせる、立香に抱きつく形で。
「あ」
「あ」
目があってしまう。なんとなく状況を理解したらしいマシュと。そして。
「…………」
「いや、違……これは……」
顔を真っ赤に染め、完全に状況を誤解したらしいシドゥリと。
手をブンブンと振ってなんとか弁明をしようとする立香に、何も言わずにズンズンと近づいてくるシドゥリ。
そして、徐にその手を振りかぶり……
「藤丸!帰って早々、何をやっているのですか!!」
強烈なビンタを、立香へと。
(強………!速……避………無理!!
受け止める……無事で!?出来る!?)
否、死───
「あら、大きな紅葉。ついに修羅場かしらん?」
「な、なんでもないんです、ディナルドフさん……」
それから数十分後。頬に赤々とした手形をつけた立香は、トホホといった様相でハーメルンと共にディナルドフの牧場を訪れていた。ちなみに、シドゥリは誤解だとわかるとすぐに頭を下げてくれた。……ハーメルンへの注意も込みで。
しかし、立香が何度いっても寝る前に服を脱ぐのは改めなかったハーメルン氏。その心は不動。しかして自由にあらねばならぬ。やはり反省する気はないようだった。
それで、肝心の要件だが……
「ディナルドフさん、ご心配をおかけしました。ハーメルン、俺のことが気がかりでクタまで来ちゃってて……」
「あら、そうだったの!ハーメルンちゃんのことだから大事はないと思ってたけど、無事合流できたみたいでよかったわ〜ん!」
そう。謝罪である。というのも、ハーメルンはほぼ無断(一応『行ってくる』とだけは言い残したらしいが)でディナルドフ一家を飛び出し、そのまま立香たちのところへと向かってきた。要するに、何も知らないディナルドフ一家にかなり気を揉ませてしまったため、その後始末である。
幸い、ディナルドフは持ち前の明るさで朗らかに笑いながら、心配こそすれど、無事ならば何もいうことはない。と断言してくれた。
「それにしても………この1日で随分とベタベタになっちゃって!その様子じゃ、仲直りも済んだみたいね」
「……うん。……ありがと……ディナさん」
親しげに立香と二人で牧場を訪れたことから、立香たちの仲が修復されたことに気がついたらしいディナルドフ。ムキムキの大きな手を組みながら、しきりによかったよかったと頷いている。……妙に察しがいいのは、その性格故なのだろうか。
それにしても、喧嘩をしていたことなど言われるまで思い出せなかった。たった一日前までハーメルンを避けていたのに、そういえばそんな時期もあったなぁ、ぐらいの感覚だ。それもこれも、立香に小鴨のように引っ付いて付いてくるハーメルンの可愛さがあるからだろうが。嗚呼……我が子が可愛すぎて辛い。
「ふふふ。今までとは打って変わっていい顔じゃない。立香ちゃん、相当のことしたみたいね。きゃー!立香ちゃんのエ・ッ・チ!」
「違いますって何回も言ってますが!?」
そんな感慨は、ディナルドフの下世話によって打ち砕かれた。心配してくれるのはありがたいことこの上ないが、流石に下ネタがすぎる。立香がハーメルンに手を出すようなことはしない。……逆にハーメルンに手を出そうとするどこぞの馬の骨がいたら絶対ぶっとばすが。
ともかく、牧場を訪れた一つ目の要件は終わった。次は、二つ目の要件。
「それより………何度も申し訳ないんですが、しばらくハーメルンをお休みさせてもいいですか?ギルガメッシュ王から仕事を頼まれていて……」
ギルガメッシュから与えられた仕事。何やら北壁の動きが怪しいらしく、そちらに向かう必要があるとか。戦力はいくらあってもいいため、ハーメルンも仕事を休ませて連れて行けと仰せだ。牧場を訪れたのは、休みのお願いに来た目的もある。
「あら、そうなの。そういえば、ギルガメッシュ、今日体調が悪めだって聞いたんだけどどうだった?」
おいこら、ナチュラルに呼び捨てにするな。何者だあんた。
……それにしても。ギルガメッシュが体調不良などと言う話は聞いたことはない。今朝方会った時も、いつもと変わらないように仕事をしていたように思える。
「うーん……そんなことは無かったと思いますけど。全然普通でした」
「仕事の報告をしに行った昔馴染みの話じゃ、たまに思い出したみたいにビクビク震えて、なんだか注意力散漫だって聞いたんだけど……やっぱりガセかしらん?」
「………親様」
横にいるハーメルンからジトーっと目を向けられ、立香は冷や汗をかきながらほわんほわんと今朝方のことを思い出す。
「……あ〜………心当たりがあるような、無いような……」
立香達一行がギルガメッシュに天明の粘土板を回収する経緯を説明していた時。その話がイシュタルを拘束する話に差し掛かり、誤って立香個人の見解も伝えてしまったことを。
モロ『蚊取り線香のCMっぽいやられ方でした』と。結果。
『フハヒッ!グッ……よ、よし…………これから奴を追い払う際は、宝物のバル○ン®︎かキン○ョー、もしくはアー○を焚くようにしよう……プッ……ぃひっ!………み、見事だ。見事だぞ雑種ぅ……くぐっ……ひーっ!ひーっ!……ブフォッ』
アレはもはや笑いではなかった。以前『こやつらは
そこまで思い出してから言われてみれば、確かにその後の会話中も、何度か思い出し笑いをしていた気がする。
「か、過労なんじゃないですかねぇ………」
「…………親様……」
今度は、呆れの目。そんな目で見ないでほしい。言わずが花という諺があるように。ギルガメッシュのプライドを立香は守ったのだ。うん。
「そ、それで!お休みの件、大丈夫ですか?」
話を逸らすため、強引にハーメルンからの視線を無視して話を続けようとする。ディナルドフは少し不審そうに思ったようだったが、特に追求することなく返答を返してくれた。
「ええ。全然いいわよ。まさか一日で帰ってくると思ってなかったから、こっちもその前提で進めてたし。手伝いに娘も呼んであるのよ」
「娘、ですか?」
気になる。ディナルドフ=サンの娘。一体どんな変じ……娘さんなのだろうか。きっとよっぽど変じ………筋肉質な方なのだろう。
「えぇ、娘よ。ティナちゃーん!お客様にご挨拶なさーい!」
ディナルドフが牧場の方向に大きな声をかけると、向こうの方で羊と一緒にいた人影が、たったっと急ぐようにこちらに近づいてくる。少し華奢で、長い髪の少女のようだ。
そして十秒後。覚悟を決めていた立香は、あまりのことに度肝を抜かれることとなった。
涼しい風を感じさせる高い声。長いがしっかりと手入れがされた黒い髪。牧場仕事でなのほどよく筋肉がついているが、筋肉質という程でもなく。決して少女の魅力を損なわない程度。フリルがついた可愛らしい薄緑のワンピースに身を包んだその少女は、ハーメルンを見つけると満面の笑みを浮かべ、その手を掴んだ。
「……あっ!ハーメルン!良かったぁ、戻ってこれたんだ!」
──それは、まごうことなき美少女だった。完全に完成された美そのものであった。容姿端麗な英霊達を見てきた立香でも、確実に美少女であると断言できる。まだ幼さこそ残っているが、成長すれば誰もが羨む美女になるだろう。そんな美少女だった。
「………うん。……心配かけて、ごめんね」
「そんな!平気だよ!ハーメルンが無事でいてくれたら、それが何よりなんだから!」
親しい友人にあったようにきゃいきゃいとはしゃぐ少女。ハーメルンも、心なしかいつもより饒舌で口調が砕けている。美少年と美少女で一枚の絵が描けそうな光景だ。
暫くお互いで何かを話していた二人だったが、少しして、その少女の目がこちらを捉える。硝子のように透き通った目に見透かされ、思わずドキリとしてしまう。
「それじゃあ……その人が、噂の親様さん?」
「……うん。ボクの、親様」
「えっと、ハーメルンがお世話になってます。藤丸立香といいます」
ハーメルンに呼ばれて、少し慌てながら自己紹介をする。英霊と接していて綺麗な人と話すのは慣れているが、なんだか緊張してしまった。
「お、お世話なんてそんな!寧ろ、ハーメルンがしっかりしていて、こっちが助けられてるぐらいで!」
「ティナちゃん。盛り上がってないで挨拶挨拶!」
ディナルドフに突かれ、慌てて顔を紅く染める少女。活発で、朗らかそうな印象を受ける。
「あ、そうだった〜!改めまして、藤丸さん。父がお世話になっております。ミレシュティナっていいます!ティナって呼んでください!」
「あ、あぁ。よろしく、ティナ」
ミレシュティナ。改めてティナに手を差し出され、ブンブンと握手を交わす。少しテンションが高めなのは親譲りなのだろうが、それが逆に彼女の快活さを生かしている。これは、大変な美少女に出会ってしまったかもしれない。
「それにしても………ハーメルン!藤丸さん、言ってた通りの人だね!」
「……ちょっと……やめて………恥ずかしい、よぅ……」
「言ってた通りって?」
「ふふ。ハーメルンは口数も表情も少ないんですけど、仕事中に藤丸さんの話をするときは、絶対に幸せそうに笑ってるんです!優しくて素敵な、自慢の親様だって!」
「そ、そんなに……笑ってる、かな………?」
「えぇ〜?絶対そうだったよ〜!」
恥ずかしそうにもじもじとするハーメルンに、それを面白そうに弄るティナ。二人ともが可愛すぎて心臓の鼓動が煩い。思わずため息が出るほど尊かった。
あとハーメルンにそんな風に思われていたことがめちゃくちゃに嬉しい。なんだこの感情は。これが親心か。感動して泣きそうだ。
「ふふっ。そんなに熱く見つめてもティナちゃんはあげないわよ?うちの大事な大事な看板娘なんだから!」
「………親様の、スケベ……」
「違うよ!」
勘違いしたディナルドフの発言で、ハーメルンが責めるように立香の服の袖を引っ張った。それはあまりに誤解すぎる。立香に味方はいないのか。
だが、予想に反して、ディナルドフの発言に不満の声を上げた人物がいた。
「もう、お父さん!看板
腰に手を当てて、プンスカと怒り出すミレシュティナ。年相応に褒められることを、恥ずかしいと思っているのだろうか。
「それをいうなら看板
ん????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
「……?どうかしましたか、藤丸。とても疲れたような顔をしていますが……」
「………いえ。何でもないです、シドゥリさん……牧場でちょっとした人類の神秘に触れまして……」
「……あぁ、ディナルドフ一家ですか。あれはウルク七不思議の一つですから、あまり深く考えないほうがいいかと。元
……その病気、現代でも完治してない人ちらほらいそうだな。
というか聴き慣れない単語が。暴走族的なアレって神代にもあったんですね。漢字の当て字なんか誰が考えたのだか。それを纏めていた総長は相当拗らせた人だったに違いない。
「ちなみに元総長はギルガメッシュ王です」
「あの王様なにやってんの!?」
ここでまさかのAUO。いや、バイクふっとばしてるのとか超似合いそうだが。金ピカのバイクでブイブイ言わせながらおのれおのれ言っているのが目に浮かぶ。その
「さらにその子ミレシュティナは、その容姿と言動でウルクの
「……………ちなみに、その子は?」
「…………一週間後に筋肉隆々な男装の麗人になって帰ってきました。『お父さんみたいな人が好み』だそうです」
「…………はは」
乾いた笑いが漏れる。もうなんとでもなれ。深く考えた方が負けだ。これは。
「先輩、少し遅くなりました!申し訳ありま………どうされました?悟ったような顔をしていますが……」
「あぁ、マシュ………なんでもない…………なんでもないんだ……」
スッと、視線が下に移る。マシュは、ちゃんと『女性』だよな、と。一切の下心がない視線だったからか、マシュは気が付かずにハテナマークを浮かべていたが。
「それでは……宜しいですか、藤丸、マシュ。本当に、全てをお話ししても」
「……はい。大丈夫です」
「……はい。問題ありません」
しっかりと、立香達はシドゥリの目を見据えて返事をする。……その答えが納得のいくものだったのか、ゆっくりと頭を縦に振ったシドゥリは、次に少し心配そうにハーメルンに目線を合わせた。
「……それで、ハーメルン君。あなたには、できればついてきて欲しくないです。これから、少し子供には酷なことが起こるやもしれないですから。家で待っていることは、出来ませんか?」
それは、何度か打診されていたことだった。話す前に、一つだけやらなくてはならないことがある。ほんの数時間で終わることだから、ハーメルンを連れて行かずに、おいて行くことはできないか、と。
立香はハーメルンの意思で決定することにした。いくら立香のサーヴァントとはいえ、ハーメルン個人の意思は尊重したい。そのハーメルンの返答は、立香と共に行くことだった。
「……ううん。ボクは……親様と、一緒にいたい。……ボクも……大丈夫、だよ?」
「……そう、ですか」
少し悲しそうに目を伏せたシドゥリは、だがその目に再び強い芯を通して、顔を上げて立香達に向き合った。
「それでは。最後に藤丸たちに、お願いしたい仕事がございます」
「……はい」
そして立香たちは、神殿より少し北。商業などで賑わう南に比べ、少しこじんまりした街へと誘われた。
【重要!】今作の名前変更についてのアンケート
友人に名前がダサいと言われ心が折れた(前話参照)ので作品名を変えようかと思います。というわけでアンケートをば。
1. Fate/Grand Order 他界享受郷国バビロニア
2. Fate/Beginning Angel
3.Fate/First Angel
4.他界享受郷国バビロニア 萌え出づる懐の追憶
5.その他(感想欄で教えてください)
この五択でお願いします。その他で来たアイデアが良ければ票数に関係なくそちらが採用される可能性もありますので、めちゃくちゃ雑なアレになりますが、なにとぞ……なにとぞ……