始まりの天使 -Dear sweet reminiscence- 作:寝る練る錬るね
正月早々スマホがクラッシュした上にiCloudのバックアップダウンロードもできねぇぇぇぇぇえ!!そして楊貴妃狙って百十連星四なし爆死ぃぃぃぃ!!
はぁ~~~~結局これだよ。作者もうダメ。作者やる気出ない~~。
あぁ、新年のサーヴァント何かなってワクワクして石貯めてた時が懐かしい……
……帰る。作者帰る~~!!
というわけで、既に作成済みだった亡霊くんちゃんのステータスも真っ新になったところで初投稿です。
もうやだぁぁ!!!楊貴妃ちゃんほじぃぃい!!ちがうちがうちがうちがう!!グランドクソ野郎じゃないぃぃ!!楊貴妃!性能じゃなくキャラ的には欲しいのはグランドキャスターじゃねぇんだよぉぉぉぉ!!!
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
……ふぅ(賢者モード)
誰か魔法のカード恵んでくれ()
え?新年の挨拶?はいはい。あけおめあけおめ。今年もよろしくっす〜
楊貴妃ちゃんが来なかったのはグランドクソ野郎を福袋で引いたせいなので待遇は改善しません(横暴)
そしてお待たせした割に本編進まない……すまない…-
目が、覚める。いや、正確には目が正しい情報を捉えた、と言うべきか。
「……あ、あれ?わ、私達は今、エルキドゥさんと闘っていたはずでは……?」
いつのまにか、目の前にいた謎の青年、エルキドゥを名乗る人物がいない。それどころか、つい先ほど立香とマシュの腹を貫いたはずの鎖すら残っていない。
周囲はの景色は変わらず、高い杉が覆い尽くす森。空を見れば、赤々としたら夕焼けが侘しさを感じさせる。そろそろ、日が暮れようとしていた。
「こ、これは、一体…………」
「はっはっは!成功、成功だ!あのエルキドゥを騙すだなんて、アナ、やっぱりボクは天才とは思わないかい?」
「……あなたが天才か天才と勘違いした気狂いかはさておいて。マーリン、先ほどの口調は不快です。二度としないでください」
大きな声で笑い始めたのは、先ほどの小さな少年だった。白いローブと白い服。おまけに白い髪を揺らし、怯えていたのが嘘だっかのようで、愉快そうに腹を抱えている。
黒いフードの少女は全く変わらない様子で、若干身体を震わせながらも不満げに俯いている。どうやら、白い少年が言うように病気持ちとは思えないが───
「……あの、あなた方は、一体……」
「うん?おいおい、酷いな。姿形は違うとはいえ、第五特異点……なんなら、第六特異点でも僕らは間接的に会っているじゃないか。これはもう、彼風に言うなら友達でもおかしくないと思うんだがね」
……第五特異点。北米での戦で会っていて、尚且つ第六特異点、円卓の支配する聖地で関わっている。特徴的な白い色。
立香の頭の中で、急激にパズルのピースが組み合わさっていく。
「フォウフォウ」
それと同時に、フォウ君が木に乗ってジャブを始める。
マーリンという名前。少し胡散臭い喋りかた。これらが表す人物は、たった一人。
「フォウフォ」
フォウ君が爪を突き出して身体に回転をかけ始めた。
「そうか、あなたは……!」
「フォウフォーウ!マーリンシスベシフォウ!」
「どフォーーウ!?」
弾丸のような螺旋を描き、フォウ君の渾身の一撃が、白の少年の顔面に炸裂した。
──それは彼のために
冠位を持つが故に
そして
挙句
『マーリンシスベシフォウ』対ロクデナシ宝具が小さな少年の鼻の上を捉え、肉球と爪をその小綺麗な顔面に深々と突き刺し、遠く彼方へと吹き飛ばした。
なんと恐ろしい攻撃だろうか、なんと強大な力だろうか。しかし───どこかスカッとしてしまう立香がいた。
きっと、どこかの世界線で立香はマーリンに嫌な思い出があったのだろう。このロクデナシは、きっとどこかで誰かを困らせていたに違いない。立香はすかさず打ち込まれたフォウ君の追撃を見送り、そう思うことに決める。
──心なしか、どこかから歓声が聞こえてきた気がした。
「……いったた……こりゃあ、しばらく跡が残るぞ……」
「フォウ、フォウ、ファ、フォッキュ
(特別訳:高貴な肉球跡でそのしみったれた面がキュートになってよかったじゃねぇか)」
「なんだと、この畜生!ちょっともふもふしてるからって婦人や少女にキャッキャされるとか、私の日頃の努力が馬鹿みたいじゃないか!……いや、この姿になってから御婦人方のウケはよくなったけれども!」
…………驚きだ。……いや、フォウ君と目の前の少年とで話ができているということもそうだが、先の先までまるで神秘に包まれていたかのような少年の印象が、これでもかと言わんばかりに落ちていることが。
「……ど、同レベルの争いだ……」
「は、はい。……少年の姿ですから多少戯れているように見えますが、恐らく第五特異点の姿の場合、もっとシュールな光景になるのではないでしょうか───」
……想像した立香は、思わずプフッと吹き出した。痴態、奇行などという騒ぎではない。小動物に押し倒される青年男性など見られたものではないだろう。
「……いやはや。見苦しい姿を見せたね、藤丸君、マシュ嬢。ボクはマーリン。人呼んで花の魔術師さ。……若干小さいけど。早速、感謝の嵐とか、羨望の眼差しとか、遠慮なく浴びせて欲しい!」
「そ、そう言われましても……い、いえ!助けていただき、ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます……」
先ほどの失態を見せた後で、何を言っているのだろうかコイツ。と、怪しい電波を受信しかけたが、それはそれ。助けてもらったことは事実だ。改めて、感謝の言葉を口にする。
満更でもなさそうな、というか確実に満更ではない表情で照れたマーリンは、続けて困ったような顔を作る。
「うんうん!親しき仲にも礼儀あり、さ。そしてボクも、君たちに謝らなければならない。この黒い子はアナというんだが……病気というのは嘘でね。藤丸君たちにエルキドゥの名前を引き出させるためとはいえ、余計な心配をさせてしまった」
「…………アナです。マーリンの余計な一言で、心配をかけてしまいました。マーリンは死んでください」
「はは、相変わらず辛辣だなぁ!久しぶりに会ったペットにも冷たくされて、お兄さん泣いちゃうぞ!割とこの身体、涙腺ゆるいんだからね!」
見た目にそぐわずお兄さんを名乗った後、更に痴態を重ねるのか、マーリンの目が若干緩み始めた。
流石にこれ以上恩人の内心評価を下げるわけにはいけない、と。慌ててマシュがフォローに回る。
「え、えぇっと……マーリン君、怖かったですね〜。フォウさんは私が抱きしめておくので、もう大丈夫ですよ〜」
「うわぁ、美少女に合法的に甘えられるのに嬉しくないぞぅ!尊厳か色欲か、どちらを取ればいいか迷うなぁ!(ヤケクソ)」
少年の姿だからか、確実に年下を宥める態度で挑んだマシュ。……若干羨ましくあるようなないような複雑な気持ちになりながらも、慌てて立香もフォローに回る。
「ごめんね、マーリン君。フォウ君がいじわるしちゃったせいで、いたいいたいだったね〜」
「こっちは確実に悪意があるね!藤丸君、ボクがマシュ君に甘えようとしたの気にしてるだろ!」
…………恐らくそんなことはないこともないが、見た目相応の慰め方をするのは正しいよな、などと自己弁護しながら、若干強めにマーリンの頭を撫でる。そろそろ泣くだろうか。少しぐらい泣けばいいのにな、などと思いつつ。
そしてまたもアナという少女が、ブフッという音と共に震えだす。
(あぁ、あれ、マーリンの似合わない口調に笑ってたんだな〜)
二人して泣きそうな子供を慰めようとして余計に泣かせ、一人は地面でクスクスと笑いを堪えて転げるという地獄絵図のような光景に心なしか現実逃避しながら、ドクターロマ二の叫び声をバックにマーリンの頭を撫で続けた。
エレシュキガルの朝は早い。いや、冥界には太陽がないので朝も昼もないのだが。『エレシュキガル』の身体で目覚めた頃を朝とすると、それは日が昇るのと同時であるので恐らく早いのだろう。
寝台に横たわった身体を軽く起こし、靴を履いて外へと出る。キィィィ、とうるさい音を立てて、扉がやかましく開いた。……先日の騒動で、どうやら建て付けが悪くなっているらしい。
若干耳障りだが、意識自体は寝てすらいないので、身体は問題なく動く。元より、冥界にいる限りエレシュキガルに睡眠など必要ない。
とはいえ、数年前に肉体を得たエレシュキガルにとって眠ることは気持ちがいいし、美味しいものを食べれば幸せに感じる。故に定期的に眠るし、茶会を開くこともあるのだ。
我ながら人間らしくなってきたと呆れながら、それでも歩く足を止めることはせず、ある一つの部屋を目指して歩き続ける。
「おっとっ……と」
ようやく思考を止めると、ちょうど目的の部屋を過ぎようとしていたところだった。日頃から訪れている場所だからか、無意識でも足が動いていたらしい。
別段、部屋に変わった装飾はない。素材不足のこの宮殿らしく、質素で無機質な扉が付いているだけの何の変哲もない部屋である。いや、そういえばエレシュキガルの部屋の扉は先日凹んだのだったか……。
……先日の失態を思い出すだけでかぁっと顔が紅くなってしまうが、頭を横に振って雑念を隅に押しやる。……あれは黒歴史だ。さっぱりと忘れてしまうことにしよう。
「……慎重に、起こさないように……」
口に出しながら、ゆっくり、ゆっくりと扉を開く。幸い、エレシュキガルの部屋のようにうるさい音も立てず、扉はスムーズに開いた。
最低限開いた扉の隙間から、身体を捻るようにして滑り込ませる。少し硬い床へゆっくりと足を下ろし、なんとか音の出ないように部屋へと入り込んだ。
ふう、とため息を一つ、二つ。こうして盗人紛いの真似事をする自分に一つ、謎の緊張からの解放に一つの内訳で吐いた。本当に、随分変わったものだ。
そしてエレシュキガルは、ほぼ日課となったその光景を拝む。
肩ほどに切り揃えられた白金の髪を。真紅の瞳を内包する閉じられた目蓋を。十年以上経っても変わらない背丈と、その姿。
(なんだか、定期的に見たくなっちゃうのよね)
それは、寝台に横たわる天使のような人間。本人は否定するが、エレシュキガルが知る内、人間とほぼ変わらない感性を待つ人外。アンヘルの寝顔だった。
断っておくが、エレシュキガルは別段、アンヘルのことを異性として好いているわけではない。
もちろん、人間的には好ましくはある。どこまでも人間らしく、どこまでも愚直で、明るい。そんな人格を、エレシュキガルは生前から知っている。
だがしかし、異性としてみられるかといえば話は別だ。愛しているか、と冥府の門にでも問われれば、間違いなくエレシュキガルはNoと答えるだろう。
……とはいえ、やはり人間的には好ましくはあるため……彼の言葉を借りるとすれば、彼は何者をも魅了するように作られたホムンクルスの子孫であるため…………仕方なく。大変不本意ではあるが仕方なく。エレシュキガルは稀に、偶に、ごくごく普通の習慣として、アンヘルを起こさないように寝顔を覗かねばならないときがある。
(……そ、それにしても、相変わらずよく寝ているのだわ……)
本来、冥界の魂は寝る必要などない。例え意識が飛んだとしても意識ここにあらずといった程度で、少し人が近づけば起きてしまう。
というのに、例えばこのように頬をツンツンと突いてみても、アンヘルは起きない。どれほどモチモチの感触をエレシュキガルが堪能しようと、絶対に起きることはない。逆に、音に対しては敏感で、少し物音を立てるくらいで起きてしまうのだが。
日頃から脳を酷使しているからなのか。はたまた
(……髪、サラサラ……)
普段から惜しげもなく晒しているプラチナブロンドは、よくよく観察しても冥界で宝石のように輝いている。手櫛で梳いてみても突っかかりひとつなく、サラサラと液体のようにエレシュキガルの手を抜けていく。
肌を見てもシミひとつない。あどけない顔には少しばかり黒い隈が刻まれていて、彼の苦労を物語っていた。……エレシュキガルの仕事を取りすぎなのだ、この子は。それでも、顔は少しだけ幸せそうだった。
(ホント、何やってるのかしら、私)
こんな風に人の寝顔に見惚れて、苦労して近くにまで行って仔細に観察して。それでいて彼を好きでもないのだというのだから、ほとほと呆れ果てる。
そうしてベッドに顔を埋めていると、アンヘルの眠気が伝染したのか、エレシュキガルまで眠たくなってきてしまった。
暖かい草原のようなアンヘルの香りが、余計にエレシュキガルの眠気を誘う。起きなければ。そう思った頃には、瞼はトロンと蕩け、どうしようもなく思考がまとまらなくなってしまっていた。
(……何、やってるんだろうな、私)
後悔と、悔恨しかない。恨みと、執念しかない。自分がやっていることは、正しくないと分かっている。自分のやっていることが、彼を苦しませるとわかっている。
何も正しくない。全て、エレシュキガルが悪い。何もかもが、間違いだらけだ。
あぁ、それでも─────
「…………大丈夫だよ、エレシュキガル様」
すやすやと眠る冥界の孤独者の頭を、撫でる子供の姿があった。髪はサラサラで、液体のようにアンヘルの指を抜けていく。
「僕はここにいるよ。いつだって、ここにいる」
肌にはシミがなく、少しだけできている隈が、彼女の苦労を物語っていた。気負いすぎなのだ、彼女は。
償わなければ。償わなければ。
昔の僕のように。前の僕のように。
「ねぇ、神様。僕は───」
…ちゃんと、笑えていたでしょうか───?
彼の耳にだけ響く晩鐘の音が返答となって、問いが虚しく潰えた。
ギ ロ チ ン よ り わ か り や す い 死 刑 宣 告
宝具:
* ランク:A+
* 種別:対ロクデナシ宝具
* レンジ:1
* 最大捕捉:1
フォウ君の全てをかけた一撃。螺旋を描く肉球とそれに追随する爪が、ロクデナシに正義の鉄槌を下す。
宝具を受けたロクデナシはなすすべなく「ドッフォーーウ!!」と叫び吹き飛ぶ。恐ろしいその威力が故に、攻撃を受けた相手には痛ましい肉球の痕が残り続けると言い伝えられている────