始まりの天使 -Dear sweet reminiscence- 作:寝る練る錬るね
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プペペ〜という少し間の抜けた音が、草原に響き渡る。さあっと少し背の高い草が揺れ、爽やかな風と旋律が立香たちに届く。思わず笛の音に合わせ、踊りだしたくなってしまう。
笛の曲調が変わる。少しテンポが穏やかになった。踊るというよりかは、ステップやハミングをしたくなる早さだ。実際、立香は曲のテンポに合わせて体を上下させてしまっている。
『うーん、いい曲だねぇ』
「……はい。ハーメルンの笛吹き男の伝承は知ってはいましたが、これは子供たちがついて行きたくなる気持ちもわかります」
ハーメルンの笛吹き男。大量発生した鼠の被害に困った村人をお礼のお金の代わりに笛で助けた笛吹き男が、しかし約束のお金をもらえなかったことに怒り、後日になって笛の力で子供を村から全員連れ去ってしまう……ざっくりいえば、こんな話だった気がする。
若干ホラー気味に彩られた話だが、まさかハーメルンの笛吹き男があんなに小さな美少年だったとは思わなかった。
フォウ君も、マーリンも、無表情を貼り付けているアナでさえ、一様に目を閉じて笛の音を味わっている。
「うーん。フォーリナー、などと聞いて警戒していたが……これはなかなか、うん。魔術的な要素一切なしにこの音色はよくやるなぁ」
「フォゥゥゥ……」
「…………ええ。いい音です。ずっと耳を傾けていたくなります…………
……魔獣が溺死していなければ、ですが」
心底残念そうなアナの声と共に、笛の音がピタリと止む。
機嫌のよさそうに吹き終わった笛を服で拭いているハーメルンの背後の川底には、三十を超える魔獣が肺に水を貯めて死んでいた。それもこれも、笛を吹きながら歩くハーメルンの背後をついていき、川に入っても溺れたことに気がつかないように、まだついていこうとした結果である。
……立香としても、全くの同感であった。
『伝承では、ハーメルンの笛吹き男は笛を吹くことで二百を超えるネズミを川に沈めたと聞く。まさにその伝承の再現なんだろうが……酷いな、これ。絵面的に』
立香の隣に全裸で寝ていた謎の子供、改め
結局、立香の変質者疑惑は彼がサーヴァントだったということ、以前にもマスターを親と呼ぶサーヴァントがいたこと、ハーメルンが立香の毛布に忍び込んだと自供したなどの理由でなんとか晴れた。
しかし、ハーメルンの謎はそれでも解けない。カルデアで解析してもなにもわからなかった謎のフォーリナーというクラスも含め、魔獣相手の戦闘がカルデア側から提案されたものの。
『……わからない。
ハーメルンの戦闘は、宝具を一切使わないものだった。にも関わらず、あれほど苦戦した魔獣たちを何の苦もなく倒してしまった。角笛らしきものから出たかまいたちのような切れる風、いわば風の刃や、先ほどのような魔獣をおびき寄せる音色を使って。少なくとも、今まで見てきたアサシンとは一線を画す強さである。
「……まぁ、少なくともアサシンのクラススキルを持っているのは間違い無いだろうねぇ。私は一晩中見張りをしていたが、彼の気配とか全く感じなかったし。アサシンが持つ、高ランクの[気配遮断]系のクラススキルと見て間違い無いだろう。藤丸くんの隣に突然現界したというならともかく、彼曰く数日前からあの森を彷徨っていたらしいから」
おっとりと断言したマーリンの声を聞き、通信の向こうでロマニが奇妙な声を上げて崩れ落ちる。あまりにも多い情報量に、頭を抱えている姿が容易に想像できる。
かくいう立香も、マスターとしてこの場にいなければもっと当惑していた自信がある。立香の近くに戻ってきたハーメルンは、出会いからして何からして、あまりにも謎が多すぎる。気がつけば魔力の
……だが、まぁ、しかし。
「…………親、様?ボク……上手く、できたよ。褒め、て?」
ほぼゼロ距離。立香と抱きつけるほどの距離に接近していたハーメルンが、上目遣いで立香の顔を覗いている。怯えているのか、期待しているのか、若干ソワソワとさせている姿が庇護欲をそそり……
「…………ッ!よぉぉし!凄いぞ、ハーメルン!!頑張ったな!偉い偉い!!」
こんな愛らしいサーヴァントの前では、そんなことはどうでもいい!!
とにかく手の中にいるハーメルンを撫でる。撫でて撫でて撫でまくる。なんなら抱きしめてたかいたかいをする。褒めて褒めて褒めちぎるのが、今の立香が取るべき行動だ。
「た、大変です!先輩が親馬鹿を発症してしまいました!」
「フォッフォッフ」
「……不治の病です。死ぬまで治らないので殺しましょう」
ドン引いたようなアナの声が心に突き刺さるが、それも立香にとってはどうでもよかった。黄のレインコートの上から綺麗な金髪の頭をひたすらに撫で、もっともっとと強請るハーメルンを撫で続ける。
「……えへへ……もっと、撫でて……」
「いいぞ!可愛いなぁハーメルンは!」
とにかく可愛い。語彙が死んでいるが、とにかく可愛いのだ。ほぼ初対面なのに、まるで実の子のように思えてしまう。そんな不思議な魅力がハーメルンにはあった。
「……ど、ドクター!これはなにかしらの魅了!スキルか宝具が使われていると思われます!解析を!解析を要求します!」
『……あ〜、マシュ。残念ながら藤丸君のバイタルは至って平じょ……いや、興奮しているから平常ではないが、普段通りだ。これといった魔力反応も観測できない』
「そ、そんな……このままでは先輩の親馬鹿は加速するばかりです!」
「キューンフォ……(特別訳:もう飽きるまでああさせてりゃいいんじゃね)」
む、と。立香はマシュとドクターの会話を耳ざとく拾った。
別に親馬鹿に関しては否定するつもりはないが、それにも理由が無いわけではない。だってこんなにハーメルンが可愛いんだから。同じく可愛い後輩にも話せばわかってもらえるはずだ。
「ハーメルン、ちょっと抱っこするよ」
「ぇ……?わ、わっ……」
撫でくりまわしていた手を脇の下に入れ、抱き上げる形で胸に引き寄せながらマシュの方へと高速で移動する。
「ちょっ、先輩!ハーメルン君を抱きしめながら蜘蛛が如くこちらに迫ってこないでください!ザザザザザザって音がしてます!控えめに言って恐怖を感じます!」
「そんなこと言わずに!ほら、マシュ!可愛いだろ!」
光の速さでマシュの元へと降り立った立香。即座にマシュへハーメルンを近づけ、その場から一歩離れる。マシュとハーメルンが一対一で目を合わせる形だ。
「…………ええと、ハーメルン、君?」
「……親様のお嫁さんで、
「ヴッ!(絶命)」
勝った。マシュの陥落する声を聞き、立香はそう確信した。
ハーメルンは再び潤んだ上目遣いで、マシュを不思議そうに見つめている。その傾げた頭を恐る恐る、小動物に触るかのように優しくマシュが触れた。
「…………
「…………か、かわいい……」
確かめるように、ハーメルンを仔細に観察しながらマシュが漏らしたのは、その言葉と感嘆のため息だった。
もちもちと柔らかい頬に、琥珀のように透き通った純真な目。怯えながらも好奇心に満ちたその態度に、マシュも魅了されたに違いない。
「……な、なるほど。これが、母性。庇護欲というものですか……先輩が魅了されるのもわかる気が……いえ、大いに共感の余地があると判断します!」
生真面目にそう報告しながらも、撫でる手は止まっていない。
どうやら、マシュはムニムニのほっぺが気に入ったらしい。ハーメルンはくすぐったそうにしながらも、心地よさそうに目を緩めていた。
ムニュムニュ、さらさら、モチモチ。立香とマシュは二人してキャッキャとハーメルンを愛でに愛でまくる。
「…………マシュも堕ちましたか。先が思いやられますね」
「ははは。まぁ、仲がいいのは良いことだ。幸い、ハーメルンも敵意は無いようだし、藤丸君とのパスも繋がっているらしい。……どれ、私もあれにあやかって、今度美女に撫でてもらいに行こうかな」
「……このパーティは平均精神年齢が低くて困ります。全く…………」
アナの心底呆れた表情をよそに、立香とマシュは三十分弱にわたりハーメルンを可愛がり続けたのだった。その後の二人の顔は、いつにも増してツヤツヤしていた、らしい。
「……しかし藤丸君、気を付けたまえ」
「ん?何が?」
小さなマーリンが、立香に頭を下げて耳を貸すように言ったのは、アナたち三人と一匹が林檎の木に気を取られている時だった。
「ハーメルン……あのサーヴァントは、
「えっ!?」
驚き、マーリンの方を見やる。その真剣な表情からは、とても冗談のようには思えない。
神性。通常の人間なら、絶対的に持ち合わせない
そんなもの……しかも高ランクのものが、ハーメルンに宿っている。物語で、ハーメルンが神に接したなどという話は聞いたこともない。しかも、それを隠している?
……疑いたくはない。あれほど人懐っこい子が、そんな強大な力を隠しているなんて。何か企んでいるのではないか。……エルキドゥのように、いつか裏切るんじゃないか、だなんて。
しかし、立香には疑う義務がある。人類最後のマスターとして。そして仮とはいえ、彼自身のマスターとして。何かを見落とすことは、最終的に致命的となるかもしれないのだから。
「……わかった。ハーメルンのこと、よく観察しておく。それで何か怪しいことがあれば、マーリンに相談すればいいんだね?」
向き合ってそう尋ねると、マーリンは驚いたように小さな目を大きく見開いた。数秒ほどその状態で硬直した彼は、しばらくして首をブンブン振り、いつもの余裕げな表情を浮かべた。
「……い、いやはや。まさかそこまで伝わっているとはね。流石に驚いた。ボク、そんな筈が、とか嘘だろう、とか。そういうリアクション予想してたんだけど……」
「嘘なの?」
「いやいや。嘘じゃない。ボクは元来、嘘をつかない主義だ。情報を断片的に伝えて真実を誤認させることはするけど…… だがしかし、ここまですんなり信じてもらえるとは思っていなくてね」
その言葉は真実なのだろう。目の前のマーリンは明らかに動揺している。となると、元々は立香に疑われると予想し、その上で立香に注意を促すつもりだったのだろうか。
今度は、立香がそんなマーリンを見て笑う番だった。
「俺はマーリンのこと、信じてるよ。というか、今更マーリンが俺たちに嘘ついてもしょうがないよ。エルキドゥに裏切られたときに助けてもらえなきゃ、もう死んでたと思う」
そう。散々からかったりはしたものの、立香はマーリンが好ましい。小さな体ながら、雰囲気が沈んだ時は明るく盛り上げてくれるし、戦闘面でも頼りになる。何より知識が立香たちとは段違いだ。そして命の恩人でもあって。既に返しきれないくらいの恩を、立香達はマーリンから受けている。
「だからさ、どんどん教えて。俺の至らないところとか、わからないこととか。俺は
マーリンは、何も言わない。少しこそばゆい台詞を言ってしまったからか、立香も何かいうことはできなかった。しばらく沈黙が流れる。
……クサすぎただろうか。などと自己嫌悪に陥りそうになったときぽかんと口を開けていたマーリンが、大きな声で笑い始めた。
「ははははははは!!いい!実にいいよ藤丸君!胡散臭さの塊のボクを信用するどころか、友達と言ってのけたのは、君が初めてだ!」
「……え?だめ、かな?」
「いいや、いいとも!いいとも!なろう!是非なろう!いやぁ、嬉しいな!こんな感情は初めてさ!この気持ちだけで、わざわざ呼びかけに応じて特異点に現界した甲斐があったというものだ!」
小さな二本の手が立香の手を雑に掴み、ブンブンと上下に振り回す。……握手、なのだろう。ニコニコと十数回手を揺さぶられ、最後に一回、強く手を握られるとようやく手が離された。
「いやはや、ボクとしたことが舞い上がってしまった!何、心配はいらない!君にはこのボク、花の魔術師マーリンがついている!例え誰が暴走しようと、私が何とかしてみせるとも!」
「う、うん。それは、頼もしいけど……」
あまりのテンションのあがりっぷりに、さしもの立香もついていけない。それほど友達ができたのが嬉しかったのだろうか……?
「ははは。何がそんなに嬉しいのかわからない、という顔をしているね!いいんだよ。君はその純粋さを大切にしてくれたまえ。その優しさが、きっと他の誰かも救うだろう!」
大声でそうまくしたてるマーリンに、立香はただ頷きを返すしかない。……ただ、満面の笑みでそう言われてしまうと、本当にそうなるのではないか、なんて気がしてしまう。今までマーリンが浮かべていた微笑や苦笑ではない、本当に嬉しそうな表情を見ていると。
「……うん、ありがとう。じゃあ、みんなと合流しに行こう。俺もちょっと気になってるんだ、神代のリンゴ!」
少し気恥ずかしくなって、立香はマーリンの返答も聞かずに三人の方へと駆け出した。それぞれがそれぞれの反応で、立香を迎えてくれる。
……その中のハーメルンは、相変わらず健気だ。優しくこちらに手招きをしている。赤くなった顔を誤魔化すようにその手を掴み、わしわしと頭を撫でる。
……そして、その挙動ひとつひとつに、立香は注意を払うのだった。
「…………
知っている。マーリンは、全て知っている。全てを見通す千里眼、そしてその叡智を以って、知ることができないことなどそうはない。……そして、知っていてそれを誰かに教えることはない。
だってそうした方が、
「…………私としたことが。後はともかく、先を考えないのは悪い癖だと、自覚しているんだがね……」
夢魔は、そう自嘲する。そんな感情すら、彼にとっては使い捨ての代物だ。
「ん、ん〜……届かない」
「私が登りましょうか?」
……そんな彼が嬉しい、と感じた。立香の発した、友達という言葉が。感情のないはずの人外が。
……少し、予定に手を加えよう。多少結末が変わることになろうと。あの少年を、もう少しだけ、楽な方向へ。
「いや、ハーメルン、肩車してあげるよ」
「わぁ……い」
「……その末に待つ絶望に、彼は打ち勝つことができるのかな」
「届いた〜?」
「……あと、ちょっと……」
リンゴを取ろうと肩車をする二人の主従を眺めながらポツリとそう溢し、流し込むように水を含んだ。
「えいっ(ブビョッ)」
その直後、ハーメルンの笛から出てきた大量の触手に目を剥き、口の中の水分を盛大に吹き出す羽目になった。
「………マーリン。なんだよ、これ……」
「……」
マーリンは、答えない。アナは、必死に顔を俯かせて目を逸らす。立香達をバビロニアまで導いた頼れる二人は、一様にその口を噤んでいた。
ハーメルンは、戦慄した様子で立香の服を掴み、その背後へと隠れている。そして立香とマシュは、それを感じることができないほどに震え、立ち尽くしていた。
一行は、ウルクの街へと辿り着く。ハーメルンに触手のことについて尋ねても、要領を得ない回答ばかりで少し困惑していたが。
酷く驚いた様子の門番に出迎えられながらも、特に問題はなく魔獣戦線内へと入る。紀元前とは思えないほど発展した街並み、活動的に行き交う人々に目を輝かせたのも束の間。一つの人だかりに、目が止まった。
「…なんなんだよ、これ……」
「……ひ、……ぁ…」
それは、まるでなにかの宴のようだった。そこにいる誰もが笑顔で、楽しそうに、幸せそうに笑っている。
いち早く状況を理解したハーメルンが、か細く悲鳴を漏らした。立香も、マシュも、訳も分からずに呆けるしかない。
「答えてくれ!マーリン!」
再度、大きな声でマーリンの肩を掴んで揺さぶる。何かの演劇なのだと。何かの誤解なのだと。彼らが
「
ゆっくりと、白の魔術師は口を開いた。それはあまりにも荘厳で、あまりにも無慈悲な宣告だった。
「そう呼ばれた
そして、今もじわじわとそれは広がっているという。その被害者こそ、中心にいる彼ら──。
「ジグラットの神殿へ向かおう。そこでボクが小さい理由も含め、全てを話す。だから、覚えておいてくれ。この異常な光景を。あれは、この国の縮図といっていい」
「精神の強さが、生きる強さにそのまま反映される国。ここが別名、他界享受
aunifー/.yhykc@hpesshpef p@y bysy vs q@ype dype d@y.ekg94e kq@;w@m26ーluーpzsw@r。
クラススキル
領域外の生命(EX)
詳細不明。恐らくは地球の理では測れない程の生命を宿している事の証左と思われる。
(自身に毎ターンスター獲得状態を付与[2個]&弱体耐性をアップ[12%])
神性(B)
外宇宙に潜む高次生命の“娯楽”となり、強い神性を帯びる。 世界像をも書き換える計り知れぬ驚異。その代償は、絶えぬ■の■■(自身に与ダメージプラス状態を付与[100])
◾️●の*#(A)
々〒$○の◾️◾️であるが故のクラススキル。%☆$布は彼の存在を覆い隠し、その本体を朧げにぼかす。アサシンのクラススキル[気配遮断]と融合している。