進撃の世界に鬼が乱入しました 作:創作の巨人
「なぁ~、紫ぃ…」
「どうしたの、萃香?」
プライベートな飲み会の最中、酔っ払った鬼…伊吹萃香は、友人の八雲紫に、いかにも酔っ払いというだらしのない口調で話し掛ける。
こんなのは極めていつも通りの事だ。だから、紫は大して話を聞く気もなく、軽く返事をした。冬眠がある紫にとっては、この時期…秋の終わり頃は少し忙しい時期なので、本当ならこうやって酒を飲むこと自体、本来なら避けたい事なのだ。
「この前私さぁ、天人くずれブッ倒して、天界の一角をゲットしたじゃん?でもさ、なーんか最近つまんなくてさぁ」
「知ったこっちゃないわよ…。住む気がないなら天人に返上したら?」
「やーだねっ。一度手に入れたモノは手放したくないんだよ。紫ならそれくらい分かるだろぉ?」
「あなたの事だしねぇ。で、それを私に言って、一体どうしようって?」
「紫なら退屈凌ぎの方法、何か知ってるだろぉ?教えてくれよ賢者様~、このとーりだよぉ」
顔の前で手を合わせ、時々しゃっくりしながらお願いする萃香。どうみても心からのお願いには見えない。当然、お願いを聞く気にはならない。しかし、今の紫にとっては、こうして酔っ払いに絡まれる方が面倒で、時間の無駄に思えた。
無駄な時間を過ごすくらいだったら、要望通り彼女に退屈を凌げる何かを与え、自分は早々に退散してしまうのが一番だ。紫はそう考えて、即実行に移した。
「…最近、とある外来本を手に入れたの。でも、内容的に危険だと思ったから、里の貸本屋の娘の手に渡る前に、私が秘密裏に回収したのだけど」
外来本とは、幻想郷の外から流れ着いた本だ。流れ着くのは、主に昔の本類、それから持ち主に忘れられた本類である。今回紫が見つけたのは、後者の本…持ち主に忘れられた本である。
「本なんて退屈だよぉ」
「そう言うと思った。だから、本の世界に入って楽しんでみない?…って、言おうと思ったのよ」
「えー?つまんないのはイヤだなぁ」
「大丈夫よ。この作者の本はとても面白いもの。なんたって初連載で一億部を突破したくらいなんだから。国民的漫画と言っても過言じゃないわ」
「おー!そりゃ凄いなぁ!期待していいのか!?いいんだよなぁ!?」
「勿論よ。でも私、そろそろ冬眠なのよねぇ…。だからね、あなたを幻想郷に呼び戻せないのよ。それは流石にまずいでしょう?そこで、ちょっと提案なのだけど…」
「なんだなんだっ!?」
紫がお願いを聞いてくれるとあって、すっかり上機嫌になった萃香は、身を乗り出して紫に顔を近付ける。そのあまりの酒臭さに、紫は内心辟易するが、彼女の機嫌を損ねては少々まずいので、顔に出さないよう最大限努める。
「萃香が本の世界の中で死ぬまで、本の世界から出られない……っていう縛りはどう?本が完結、または萃香が死んだら自動的に幻想郷に戻るの」
「なるほどぉ!そりゃあ面白そうだっ!」
「決まりね。いつ行く?」
「トーゼン、今に決まってるっしょ!!」
「そう、分かったわ」
紫は、手元にスキマと呼ばれる空間の裂け目を出し、そこから一冊の単行本を取り出した。
本のタイトルは、「進撃の巨人」。表紙には、腰に着けた小型の機械で空中に飛び上がっている人間の少年と、分厚い壁を挟んだ向こう側には、筋肉が露出したかのような皮膚の無い赤い巨人が描かれている。
恐らく人間と巨人の戦いを描いた物語だろう。
「ん?でもさぁ、どうやって本の世界に行くの?紫の能力なら本の中にも行けるのかぁ?そんなの聞いた事が無いけど」
「私の能力は《境界を操る程度の能力》よ?本と現実…二次元と三次元の境界を弄るなんて造作もないことなのよ」
「おぉ~っ、さっすがぁ!頼りになるねぇ!」
「……じゃ、行ってらっしゃい♪」
「!?ちょっ、待っ…そんな急にぃぃぃぃ……」
紫は口元に妖しい笑みを浮かべ、萃香の足元に予告も無くスキマを開いた。今回のものは、先程話した通り、漫画の世界と繋がったものだった。
初めて本格的なクロスオーバー…。至らない点も多々あるでしょうが、どうか、修正前ゲスミンのような目で見守ってください。
原作は最新話まで読破しています。
本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。
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進撃は知ってる/東方は知らない
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進撃は知らない/東方は知ってる
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どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
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どちらも知らない(聞いた事がある程度)