進撃の世界に鬼が乱入しました   作:創作の巨人

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#11:特別作戦班

 ある日、私とエレン、それからリヴァイとその部下4人の合計7人は、壁や川から離れた施設…旧調査兵団本部へ向かった。古城を改装した施設というだけあって、風情はある。ここには、主にエレンの実験を行う為にやって来た。私の能力は確実なものだが、エレンの巨人の力はまだ不確定なので、大半はエレンの方に付きっきりらしい。

 それにしても、リヴァイの部下の一人がやけにエレンに絡むのがどうも気に入らない。

 

「調子に乗るなよ新兵…」

 

「はい!?」

 

「巨人か何だか知らんが、お前のような小便臭いガキにリヴァイ兵長が付きっきりになるなど…」

 

 乗馬中にベラベラと喋ったからか、派手に舌を噛んで流血させてしまった。それっきりその男は黙ってしまった。

 到着後、施設の井戸で口を濯いでいる。世話役として女性の兵士が彼を見ているが、仲はあまり良くなさそうである。

 

「なんか…やっぱり調査兵団ってのは変人の巣窟みてぇなもんだな…」

 

「そだね…その調査兵団に昔から入りたがってたエレンも、周囲からそう見られてた時期があるんじゃない?」

 

「あぁ……昔はまさにそうだったよ。調査兵団に入りたいってだけで白い目で見られたりな……。バカみてぇな話だよな」

 

「うんうん」

 

 それからはリヴァイの指示で動く。まずはこの施設の清掃から取り掛かるとのことだ。頭に布を巻いて、マスクのように口元にも布を巻いているリヴァイには思わず笑ってしまったが、エレンやその他班員からの「マジかコイツ」という視線を感じ取り、笑うのをやめた。

 私とエレンは最上階の担当だが…まさか、実験ではなく掃除から入るとは思いもよらなかった。

 

「…スイカ…お前って奴は、よくあの姿の兵長を笑えるよな…どうなる事かと肝を冷やしたぜ…」

 

「エレンらしくないなぁ。『いいから黙って全部オレに投資しろ!!』なんて言ってた奴とは全く別人に見えてくるよ?」

 

「あ、あの時はただ頭に血が昇ってただけで…。それに、兵長とあの場面じゃ『怖い』の方向性が違うじゃねぇか」

 

「まぁねぇ…そうではあるけどねぇ。ともかく、力の使いすぎには気を付けなよー?まぁた体調を崩したら、実験どころじゃなくなるんだしさ?」

 

「オレの権限を持ってるのはオレじゃないしな…そこは何とも言えん。お前こそ、そこら辺の事は大丈夫なんだろうな?」

 

「心配ありがとさん。でも私は大丈夫、エレンの巨人の力と違って代償なんて無いしね~」

 

「…そうか。後はアルミン達だ…大丈夫なのか?確か、そろそろ所属兵科を決めるんだもんな…。トロスト区の事ですっかり延期になってたが…」

 

「あー、そういえばそうだったね。皆と同じ場に並べないってのは少し寂しいなぁ」

 

「寂しい?安心しろ、オレも居る」

 

「………そーだけどさ。まぁそれより、今は掃除しないとね」

 

「おっとそうだったな。さっさと手分けして掃除終わらせよーぜ、余計な説教されたくねぇし…」

 

「そだねー」

 

 掃除。なんて簡単な仕事だろう。幻想郷では、私は暇潰しに博麗神社に行き、気まぐれで掃除を手伝ったりもした。…当然、箒を使って~という真面目なやり方ではない。私流の掃除方法でだ。

 私の萃める能力は、岩を生み出す他に掃除にも利用できるものだ。神社掃除では落ち葉を集めてばかりだった。それは壁などの遮る物が無かったからだが、部屋毎にやったのですぐに終わった。

 

「リヴァイ~、終わったよぉ~」

 

「兵長、上の階の清掃、完了しました」

 

 結果、さっさと終わらせる為に、エレンの方も能力を使って終わらせてしまった。そして彼は、報告のついでにどこで寝るかを訊ねる。エレンは地下らしいが、私はあの女性兵士と同室らしい。地下なら、自己を掌握できていないエレンでも、すぐに拘束できるからとのこと。それなら、私が地下ではないのも納得だ。

 

「お前らが清掃した所を見てくる。その間ここをやってろ」

 

「はい…」

 

「………はぁ~あ、完全無欠の英雄は掃除にまで徹底した拘りを見せるんだねぇ」

 

「ハハ…そうなのかもな…」

 

 カツカツと階段を上っていった頃を見計らい、溜め息と共に愚痴を漏らす。本人が居なければ、別に誰に聞かれようと構わない。たとえ後ろに、兵士がいたとしても。

 

「失望したって顔だね」

 

「ッ!?」

 

「たははっ、エレンってば驚いてる~」

 

「お前は驚かなかったのかよ…」

 

「気付いてるもん驚かないよ~だ」

 

 私達の背後には、あの女性の兵士がいた。確か名前は…ペトラ・ラルだっただろうか。班編成の際に少しだけ紹介された程度だが、人数も少ない班なのでメンバーの名前は覚えやすい。

 

「あははは!気配殺して来たつもりなのに普通にバレちゃったか~。でも、私だったからよかったけど、あんな話オルオには聞かれちゃまずいよ?まーたグチグチ言われちゃうから」

 

「そうですね…ハハ…」

 

 オルオというのは、乗馬中に喋って舌を噛んだ老け顔兵士の事だ。互いにタメ口な所を見るに、2人は同期なのかもしれない。

 

「でもそれ、珍しい反応でもないよ。世間の言うような完全無欠の英雄には見えないでしょ?現物のリヴァイ兵長は思いの外小柄だし、神経質で、しかも粗暴で近寄り難いし」

 

「めっちゃくちゃボロクソに言うねぇ!あんた…えっと、ペトラだっけ?あんたこそ、兵長にそれバレたらまずいんじゃないの~?」

 

「大丈夫よ、ここに兵長は居ないし!…それに…そこがカッコイイとこでもあるような気がする…とか思ったり…」

 

「は…はぁ…オレにはよく分かりませんが……。そういうものなんですかね…?」

 

「ハハーン…ま、頑張りな!あんたならいける!応援してるよっ!」

 

「えぇっ!?ちょっとスイカ、何を察したの!?

…っ─────!!」

 

 何かを察したらしいペトラは、黙ってその場で箒で掃き掃除を始めた。しかしエレンはこれでもまだ察していないようで、ぼうっとしていた。

 

「オイ…お前ら」

 

「は、はい!!」

 

 そら来た。リヴァイの殺人的なオーラは、中々どうして隠しきれるものでは無い。寧ろ、これを察せなかったエレンは一体……。鈍感すぎる。

 

「全然なってない。全てやり直せ」

 

「……は?え?」

 

「あ?何だ?」

 

「何でやり直しなの!?全部掃除したよ!!」

 

「お前は掃除を舐めすぎだ。床しか掃除しねぇで何が掃除した、だ。いいからやり直せ」

 

「く…うぅ…!!」

 

「……ペトラ、お前はもう掃除はいい。スイカを見ていろ。エレンのことは俺が見ている。掃除の仕方ってものを、そいつに叩き込んでやれ」

 

「はいっ!…ほら、早く上行こ、スイカ」

 

「ちぇっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜。夕食後は、軽く班会議を行うらしい。班長のリヴァイは物静かなので、リヴァイに次ぐ地位…ある意味副班長的な地位であるエルドが、主に会話を促す。急を要する場合はエルドが班の指揮をすることもあるとか。

 

「我々への待機命令はあと数日は続くだろうが、30日後には大規模な壁外遠征を考えてると聞いた覚えがある。噂程度でしか聞いていないが……。それも、今期卒業の新兵を早々に混じえると…」

 

「エルド…そりゃ本当か?随分急な話じゃないか

 …ただでさえ今回の巨人の襲撃は新兵には堪えただろうによ」

 

 短髪の男兵士、グンタが少し引き気味に返事をする。彼らは精鋭だ、しかしそれ故に、壁外遠征の恐ろしさを誰よりも知っているに違いなかった。新兵だった頃の自分を自然と思い返して…壁外へ連れて行く事の恐怖を思い出した事だろう。

 

「ガキ共はすっかり腰を抜かしただろうな」

 

「本当ですか兵長?」

 

「作戦立案は俺の担当じゃない。ヤツのことだ…俺達よりずっと多くのことを考えてるだろう…。何にせよそろそろアイツが来る頃だな…。下手にいじくり回されて死ぬかもな。お前…エレンよ」

 

「え…?アイツとは?」

 

 その瞬間、部屋の扉が開かれ、聞き慣れた声が入ってきた。やって来たのはハンジ分隊長。本来エレン担当ではないが、私達の……主にエレンの実験を担当するのが、このハンジだ。

 

「こんばんはーリヴァイ班の皆さん。お城の住み心地はどうかな?」

 

「ハンジ分隊長…」

 

「やぁ、元気そうで何よりだよ。…早速だけど、本題に入ろうか。私は今、街でスイカに捕らえてもらった2体の巨人の生態調査を担当しているんだけど、明日の実験には、エレンにも協力してもらいたい。その許可をもらいにきたんだ」

 

「実験…ですか?オレが何を…?」

 

「それはもう…最高に滾るヤツをだよ……ッ!」

 

 息が荒くなるハンジの目はとても輝いている。別な言い方をすれば、マッドサイエンティストのようにも見える。

 

「あの…許可については自分では下せません…。自分の権限を持っているのは自分ではないので」

 

「リヴァイ?明日のエレンの予定は?」

 

「……庭の掃除だ」

 

「ならよかった!決定!!明日はよろしくね!」

 

 リヴァイの掃除発言が最早ガン無視に等しく、思わず紅茶を噴き出しそうになる。全く、どこが

「ならよかった!」なのか分からない。ハンジの頭の中では「掃除=予定無し」なのだろうか。

 

「しかし巨人の実験とはどういうものですか?」

 

「!」

 

(オイ!やめろ…聞くな!)

 

 するとオルオはエレンを肘で小突くが、本人は全くその意味を理解していないようだった。一方私は、それだけで全てを理解した。ハンジの話は長いのだ。まだ短い付き合いだがそんな雰囲気はそこかしこから醸し出されていたからだ。

 

「あぁ…やっぱり!何か聞きたそうな顔してると思った!そっか、そんなに聞きたかったのか……しょうがないな。聞かせてあげないとね……今回スイカに捕まえてもらったあの子達について…」

 

 ここまでくるともう止まらないだろう。彼には悪いが、今夜は犠牲になってもらう。班の面々が総じて部屋を出た頃を見計らい、霧になった私は扉の隙間からこっそり抜け出した。

 その後私はペトラと同じ女子部屋で床につき、気持ちのいい朝を……迎える事は出来なかった。

 早朝、早馬が飛んできたのだ。これによって、急いで支度をしなくてはならず、折角の朝なのにゆっくり過ごす事が出来なかった。話を聞く所によれば、私が捕らえたあの2体の巨人が何者かによって殺された……と言うのだ。

 私は調査兵団のマントを、エレンはフード付きマントを使用し現場へ急行する。そこでは巨人が蒸気を上げて消えているのが見て取れる。丁度、骨格が崩れてきた所だった。

 

「ソニー!!ビーン!!ああぁああぁぁぁッ!!なんでっ…どうして…っ!!ああぁぁぁぁ!!」

 

 ハンジはもうご乱心だ。巨人を殺されただけでこうも取り乱すとは。どうやらハンジの巨人愛は並大抵のものでは無いらしい。

 するとそこに、エルヴィン団長がやってきた。そしてエレンの耳元で何か囁き、彼の反応が鈍いと分かると、今度は私の所に来た。

 

「スイカ」

 

「ハイハイ、どーしたの団長さーん」

 

「君には何が見える?敵は何だと思う?」

 

「…それって、ここで言ってもいい事なのかな(・・・・・・・・・・・・)?周りに兵士多いけど?」

 

「………」

 

 ニヤリと、エルヴィンは笑った。この顔は……もう間違いない。私もニヤリと笑い返すと、特に返事らしいものを返していないのにも関わらず、エルヴィンは黙って踵を返した。

 あれは確実に、何かを企んでいる顔だった。




現在公開可能な情報
オルオ・ボザド:リヴァイ班に所属。討伐39体、討伐補佐9体。かなりの老け顔だが19歳である。恐らく、ペトラに好意を持っている。普段の彼は憧れのリヴァイを真似ている(つもりの)口調で話しているものの、ふとした瞬間に素が出る事もあるとか。(素の方がカッコイイ…)
ペトラ・ラル:現在、リヴァイ班に所属している唯一の女性。討伐10体、討伐補佐48体。オルオと同じくリヴァイに憧れを抱いている。尤も彼女の場合は異性としての感情もある…かもしれない。
エルド・ジン:(オルオとは違って)大人っぽく見えるという意味で老け顔。年齢不詳ではあるが外見で判断するに20代前半ではありそうである。討伐14体、討伐補佐32体。
グンタ・シュルツ:短髪の男性。討伐7体、討伐補佐40体。オルオ、ペトラ、エルドは、それぞれ同期だと思われる。同じく年齢不詳。
戦力:リヴァイに指名されるだけあって、4名共かなり優秀な兵士である。巨人エレンやミカサ、萃香などを基準にすると分からなくなってしまうものの、これが世間一般的な「優秀な兵士」で、または「巨人殺しの達人」である。



原作の女型編で個人的に一番グサッときたのは、ペトラの父親が話し掛けてきた時ですね。
「父親としてはですなぁ…嫁に出すにはまだ早ぇかなって思うワケです。…あいつもまだ若ぇし、これから色んなことが────」
と言われた時の兵長の絶望顔がハンパじゃない。
二番目はグンタさんが殺された時。(巨人と同じような殺され方をしてるのって、アニからすれば皮肉のつもりなんでしょうね…。お前らは巨人を殺してるが、お前らが巨人なんだぞ…みたいな)



明日は予定があるので十中八九更新できません。

本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。

  • 進撃は知ってる/東方は知らない
  • 進撃は知らない/東方は知ってる
  • どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
  • どちらも知らない(聞いた事がある程度)
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