進撃の世界に鬼が乱入しました   作:創作の巨人

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#12:敵勢力捕獲作戦

 私が捕獲した巨人…ソニーとビーンが殺された今日は、新兵勧誘式がある。無許可で利用された立体機動装置があるかどうかを調べた後、新兵はエルヴィンの演説を聞き、調査兵団に入るのか、または他の兵団に入るのかを確定させる。

 私とエレンは新兵ながらも既に調査兵団の一員なので、舞台袖でこっそり演説を聞くのだった。リヴァイ班の先輩方は「調査兵団に入ろうとする酔狂な新兵は居るのか?」と少しだけ調査兵団をディスっていた。しかしその通りだと思う。人を食らう巨人と戦いたがる者は珍しいのだから。

 私はエルヴィンの演説を聞いても「成程なぁ」としか感じなかったが、彼ら人間と鬼の私とでは考え方が違うので、何か思う事があっただろう。

 結局、演説後に残ったのは、新兵数百人中僅か21名のみだった。これでは知り合いも大半は駐屯兵団などに流れただろう。

 私が能力を行使すれば、調査兵団に入りたがる人間を増やすことも出来るのだが、敢えてそれは辞めておいた。

 その後私は、演説を終えた団長から「夕食後は執務室に来てくれ」と呼び出しを食らったので、重い話になる事を覚悟して部屋へと向かった。

 

「失礼しまーす。入るよー」

 

「返事をする前に入室とは相変わらずだな。だが行動が早いのはいいことだ」

 

「あるぇ…?他の人も呼んだんでしょう?なんで居ないの?」

 

「…君は私の心を読めるのか?その通りだ。だがリヴァイをはじめ、分隊長達がまだ来ないんだ。直接呼んでくるからここで待っていてくれ」

 

「いいよエルヴィン、私が呼ぶから。3分以内に全員集めるよ。私の能力でね」

 

「何…?こんな場面でも能力を使えるのか…?」

 

「そだよ。昔はこうやって、強制的に人数集めて3日に1回宴会を開いたりしたしねー」

 

「恐ろしい能力だ…」

 

 そう言うエルヴィンの顔は笑顔である。一体、どこが「恐ろしい」なんだか分からない。ただ、私がこの能力を使うのは久しぶりだ。おかげで、かなり懐かしい事を思い出した。確かあの時は、幻想郷中に広がっていた私を、紫に強制的に萃められた。これだから、紫の能力はチートなのだ。

 やがて、私の能力によってリヴァイやハンジ達分隊長らが執務室に集まった。別に彼らの思考や行動を操った訳では無い。「今すぐ執務室で次の壁外遠征の作戦会議をしなくては…」という気にさせただけだ。自発的に行動させるものなので、我が強い人には効きにくい。

 

「よし、各班の班長は揃ったな」

 

「待てエルヴィン。何でこのガキが居るんだ」

 

「スイカは特別だ。私の質問に答えたからな(・・・・・・・・・・・)

 

「………」

 

 リヴァイをはじめ、その他班長達も黙り込んでしまった。この反応を見るに、普通の兵士達では答えられない質問だったのだろう。

 

「…が、まだ明確な答えを聞いた訳では無いな。ここでなら答えていい、答えを述べてみてくれ」

 

「兵団の中に、壁を破壊しようとしている人間が存在してるんでしょ。その人間が単数か複数かは不明にせよ……多分複数だろうけど、ソイツらは5年前のウォール・マリア破壊時に、この壁内に侵入したと考えられるから、エルヴィンは5年で線引きをしたんでしょ。リヴァイやハンジなど、班長や分隊長格の人は5年前には既に調査兵団に在籍していたから、エルヴィンは白と判断した。……そんな所かな?」

 

「その通りだ。私はそう考えている。では、敵は何だと思う?」

 

「『壁を破壊しようとしている人間』。具体的に言えば、エレンみたいな『巨人の力』を持ってる人間かな。例えば、トロスト区やシガンシナ区の扉を壊した超大型巨人。それと、マリアの内扉を壊した鎧の巨人も、多分エレンと同類だろうね」

 

「ああ。超大型と鎧は、我々も知性巨人だろうと考えている。それから、先日のトロスト区の掃討作戦の最中…君が審議所の地下牢に居た頃のことだが、この時にも特異な巨人が現れたとの報告がある。何と、女性の肉体の巨人が現れたそうだ」

 

「女…?おかしいね、巨人は皆オッサンじゃん。そいつもエレンみたいな巨人になれる人間?でもトロスト区の巨人は掃討できた(・・・・・)んだよね?」

 

「そうだ。だが、死体は見つかったのに、それを討伐した兵士は居ない。女の巨人という特徴は、討伐する兵士は勿論の事、見た兵士だってとても強く印象に残っていたのだから、忘れる筈がないだろう。恐らくは、中身の人間が外に出たお陰で死体が残り、討伐されたように見せたのだろうと考えている」

 

「成程。…じゃあ、『壁を破壊しようとしている人間』は、巨人の情報を少しもこっちに渡したくないから、被検体を殺したって訳か。……ねぇ、女の巨人の特徴、教えてよ」

 

「金髪のショートヘア、筋肉質、気だるげな表情だったとしか、報告書には記載されていないな。目で追うも、巨人達の中に紛れてしまったのかもしれない」

 

「………」

 

 おかしい。私はそんな人間を1人知っている。ソイツは憲兵団志望で、今日か明日に内地へ赴くはずの兵士だ。成績はトップ13どころかトップ10にすら入っていて、かなり優秀な兵士だ。

 

「……アニ?いや、でもな…」

 

「何っ?心当たりがあるのか?」

 

「いや…ちょっとエレンの例を思い出してさ…。中の人と巨人の顔はあまり似ないかもしれないと思ったんだよね。心当たりはあるんだけど……。ついでに言うと超大型と鎧の心当たりもある…」

 

 室内全体がザワついた。驚きの表情を浮かべる者も居れば、何故早く言わないのか、と非難にも似た目線を向けてくる者すら居る。エルヴィンはどちらとも取れる表情だったが、私が次に言葉を発する前に、リヴァイが発言する。

 

「てめぇ…もしも心当たりがあるなら何でそれをすぐに言わない?」

 

「いや、だってさ…大量虐殺の犯人に似てるとか疑ったらその人に申し訳なくない?だからあまり考えないようにしてたんだ。…もしもリヴァイが

『お前って超大型巨人に似てるよな。もしかして超大型巨人の正体ってお前?』とか言われたり、そう思われてるとしたらどう思う?」

 

「確かに胸糞悪く思うのは否定しない。俺だって人間だ、そんな事を言われたらムカつくだろう。だが、相手は大量虐殺をした犯人かもしれねぇ。そんな変な遠慮してんじゃねぇ。お前のその判断ひとつで、対処が遅れたらどうするんだ。人類が滅亡するかもしれねぇって時に変に遠慮するな。壁が壊されてもてめぇは責任取れねぇだろうが」

 

「うっ……」

 

「…そうだな。リヴァイの言う通りだ。スイカ、我々は君を信じている。だから君も、我々の事を信じてほしい。君から得た情報は必要以上に外に漏らさないし、疑っている事を容疑者達やほかの誰にも悟らせないように努める」

 

「…ごめんなさい…」

 

 私の判断ミスだった。確かにこれはまずい判断だったかもしれない。事態が深刻化する前に伝達できてよかった…そういうレベルかもしれない。

 私がそう落ち込んでいるとハンジが必要以上に明るい声で場を明るくしようとする。

 

「そんな落ち込まなくてもいいよ、スイカ!口が悪いだけで、『その人の気持ちを考えるのは悪くないが、時と場合に応じてほしいな。人類滅亡の危機なら特にね』ってことを言いたいんだよね、リヴァイは!」

 

「…あぁ、助かる」

 

 言い方ひとつでここまでマイルドになるとは。ハンジはリヴァイの通訳か何かだろうか。…何はともあれ、今は私の思う「容疑者」を伝えるのが先決だろう。

 

「さて、聞こうか。超大型、鎧、女型は、誰だと君は思っているんだ?」

 

「超大型は……104期のベルトルト・フーバー。前は憲兵団志望って言ってた。顔付きが超大型に似てるなって前から思ってた。女型の方はアニ・レオンハート。アニは髪の毛縛ってるけどさっき聞いた特徴とバッチリ合ってて、怪しいと思う。アニも104期で、憲兵団志望。…鎧は………」

 

「鎧の方も早く言え」

 

「鎧……は……104期…ライナー・ブラウン…。ライナーだとは思いたくない……けど、顔付きや髪型が、5年前見た鎧の巨人と似てるなって…。そう…思ったんだ…」

 

 私達の兄貴分的存在のライナーが鎧なんて……考えたくない。だが確かに、外見の特徴はかなりマッチしているのだ。彼には悪いが、推定有罪の容疑者として名前だけでも兵団に教えておこう。

 

「104期というと、君の同期に当たる人物だな。友人達を敵の巨人だとは思いたくないだろうが、よく言ってくれた。君に敬意を評する。ハンジ、3人についての詳細な情報を持ってきてくれ」

 

「分かった。シャーディス教官からでいいね?」

 

「ああ。シャーディス教官ならば、訓練兵として見てきた3年分の情報を持っていることだろう。団長命令と言えば、すぐに情報を渡してもらえるはずだ。ただし、疑っている事は言うな。これは念の為だ。それから、明日の夜もここで会議だ」

 

「了解。明日の朝までには戻るよ」

 

 そう言って足早に去っていくハンジ。すると、その直後にミケがエルヴィンに進言する。

 

「エルヴィン。その3人の所属兵科はわかるぞ。ベルトルトとライナーは我々調査兵団に…アニは憲兵団だ。訓練兵達の会話が耳に入ってきた程度だが、十中八九合っている」

 

「1人は憲兵団か。内地に向かっている……と、我々にそう思わせておき裏をかくつもりだろう。では、スイカとミケの話を前提に次の壁外遠征の作戦を立てる。各々、覚悟を決めてもらいたい」

 

 分隊長達は重々しく頷いたものの、リヴァイは普段通りの仏頂面に近い表情のままで、眉ひとつ動かしはしなかった。既に覚悟が決まっている、とでも言いたげだ。

 

「被検体が殺された事から察するに、敵は巨人の情報をこちらに渡すまいと行動しているようだ。ならば、『巨人の情報の塊』と言えるエレンを、敵はみすみす見逃すだろうか?いや、見逃す筈が無いだろう。恐らくは、次の壁外調査を利用してエレンを手に入れようと我々に襲いかかってくるはずだ。それを利用し、逆に敵を捕まえてやる」

 

「敵を捕まえるには、長距離索敵陣形(じんけい)の深くまで誘い込まなきゃならねぇだろうな。だが、陣形の深くまで侵入させるって事は…」

 

「そうだ。左右なら右翼側か左翼側が…前後ならそのどちらかが、知性巨人の犠牲になる事は必至だろう」

 

「敵を捕まえる為にわざと味方を犠牲にするの?そうでもしないと深く入り込んでくれないのかもしれないけど……でもま、心臓を捧げるってのはそういう意味だもんね。個を捨て公の為にって。仕方ないかー…」

 

(…恐ろしく淡白だな。オニというのも恐ろしい種族だ…絶対に敵には回せないな。我々人類は、巨人はともかく、オニには全く太刀打ちできないだろう…)

 

 私は、改めて「心臓を捧げよ!」という言葉の意味を思い知った。だがこのように非情な決断を下せる人物でもなければ、この現状を変える事はできないのだろう。ピクシスだって多数の兵士を犠牲にして、漸く人類は巨人に勝てたのだから。

 

「技術班に罠の制作を要請したが順調のようだ。分隊長各位は5年前から生き残っている兵にのみ知性巨人捕獲作戦について伝達してくれ。そしてその敵を捕らえた暁には、リヴァイとミケが肉体から引きずり出してくれ。もし仮にその場で暴れたとしたら……スイカ、君の力に頼らせてもらう」

 

「よっし、わかった!」

 

「ということは、もし敵を捕らえたら俺と一緒にそっちに行くんだな?」

 

「不満か?」

 

「確認だ。勝手に行動されちゃかなわねぇしな」

 

「勝手に行動しないし!事前にそういう作戦だと分かってたらね!」

 

「どうだかな。エレンを守る為だと言って勝手に力を使わない保証はねぇだろ」

 

「うーん…無いとは言えないかもね?例えば罠のある場所まで間に合わなくて、追いつかれた時」

 

「その時は、足を遅らせることに集中してくれ。君ならその辺の微調整は効くだろう」

 

「オッケー、わかった!その時は任せて!」

 

「その他意見はあるか?……決まりだな。次回の壁外遠征はこの調査兵団の存亡が掛かっていると言っても過言ではない。どんなに犠牲を払おうと必ず成果を持って帰る。明日の夜は3人の情報と地図等の情報も含めて会議を行う。解散」

 

 やがて、エレンの巨人化能力の訓練、全体での陣形の訓練を終え…ついに壁外遠征が始まった。決死の作戦となるだろうが、できるだけ犠牲者を出さないよう努めなければ。




現在公開可能な情報
特定目標拘束兵器:新たに開発された調査兵団の兵器。特定の巨人を捕らえるもので、これを開発するには多大な資金が必要だった。絶対に成果を出すことを条件として、出資者から多額な投資を受けた。そのため、作戦の結果次第で調査兵団の存亡が左右される状況になった。
長距離索敵陣形:エルヴィンが考案した陣形で、より広範囲に渡って巨人を捕捉し、信煙弾(色が付いた信号弾)にて伝達する事によってより早く中央のエルヴィンまで状況が伝わるというもの。その後エルヴィンは方向転換などの指揮をする。


今回書くのめっちゃ難しかった…

本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。

  • 進撃は知ってる/東方は知らない
  • 進撃は知らない/東方は知ってる
  • どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
  • どちらも知らない(聞いた事がある程度)
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