進撃の世界に鬼が乱入しました   作:創作の巨人

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#14:女型の中身

 女型の巨人は、両手でうなじを押さえ、絶対に殺られまいと必死の抵抗を見せる。当初の作戦の通り、リヴァイとミケは中身を抉り出そうと白刃攻撃を挑むが、謎の皮膚硬化能力によって傷一つつけることはかなわないようだ。

 エレンの巨人には無い能力で、これは予想外な出来事だった。武器が通じないとすると、それに対する対処法は限られてくるだろう。

 

「スイカ、君の力なら奴の腕を吹き飛ばせるか?常備している爆弾の威力では、肝心の中身も共に吹き飛ばしてしまう可能性がある」

 

「出来なくは無いけど、爆弾と同じく中身を殺す危険性があるからちょっと…。腕を千切る事なら出来るけど、それだと拘束が緩くなっちゃうよ。それでも良いならやるけど」

 

「腕を千切れば再生してしまう事になり…再生し自由になった手で拘束を解く可能性がある、か。どれくらい時間があれば、中身を出せそうだ?」

 

「あの厄介な硬化能力の事も考えるとな…中身を殺さずに引き摺り出すのは……1分くらいあればいけるかな。刃物で傷付けられないのなら、私の爪でも難しいだろうから」

 

「1分…少々危険だな。作戦を変えよう。ミケ、リヴァイ。一旦退け。ハンジも来てくれ」

 

 他の兵に女型を見張らせつつ、女型からは少し離れた木の上に班長達を呼び寄せ、エルヴィンを中心に手短に話し合う。

 結果、ハンジが囮役で女型に硬化能力を使わせリヴァイとミケが手首を切断して、それから私が中身を掴み出すという作戦になった。

 

「じゃ、そろそろいくよ!早く出てきてね!!」

 

 ハンジはわざとらしく声を掛け、先程の2人のように手を切るように攻撃を仕掛ける。しかし、当然の如く硬化で弾かれ、ハンジの刃は砕ける。そうやって手の甲で硬化を使わせた所に、2人が硬化させていない部分を手首から切り落とした。エルヴィンの読み通りうなじが顕になり、巨大化した私は女型のうなじに手を伸ばした。うなじも繰り返し硬化されるが、簡単には取り出せず少し時間を無駄にしつつある。

 

「んぐぐぐぐっ……ホントに硬いなぁぁっ…!?下手に力入れすぎると潰しちゃうし…キツイ…」

 

「急げ、両手が再生しちまうだろうが」

 

「こうなったら、うなじだけじゃなくて周囲から抉り取るしかないかな。ねーエルヴィン、余分な肉ついたままでも大丈夫かな?思ったより硬くてうなじだけを抉るのが難しいよ…」

 

「構わない」

 

「よっし!」

 

 周囲の肉ごと中身を取り出す許可を得た私は、大きく口を開けて、硬化させた部分ごとまとめて齧りとる事にした。これなら歯が立つので、楽にいけそうだ。

 ブチブチと筋繊維を断ちながら、少しずつ歯が深く入っていく。しかし、もう少しで本体を取り出せそうな所で、女型は動き出した。

 

「ぎやああああぁああああぁぁぁあああああぁあああ!!!!」

 

「「「─────ッ!?」」」

 

「うるさっ!?」

 

 女型が叫んだ。その直後、ミケはエルヴィンに巨人の接近を報告する。ミケは巨人の匂いを嗅ぎ分ける事が出来るとの事だが…全方位から一斉に襲いかかってくるなんて、考えたくもない。

 

「エルヴィン、先に東から来る!すぐそこだ!」

 

「荷馬車護衛班、迎え撃て!スイカ、本体の取り出しを急げ!多少の損害はやむを得ない!殺さぬ程度ならキズモノにしても構わない!」

 

「わかってる!!」

 

 まず、3体の巨人がやってきた。大きな2体はリヴァイが瞬時に屠るが、小さい1体の方は兵をすり抜け女型の足に噛み付いた。

 確か巨人は、私をも捕食対象としていたはず。それなのに女型を優先したということは……まず間違いないだろう。あの叫びでその辺の巨人達を呼び寄せ、自分を食わせるつもりだ。その真意は逃亡にあるのか、それとも自分ごと食わせ情報を抹消させるのが狙いか。…この場合は前者だ。

 女型は多くの能力を持っているらしい。こんな事態は完全に想定外だ。そもそもこんな事を想定する方が無理というものだ。

 

「全方位から巨人出現!全員戦闘開始!!女型の巨人を死守せよ!!」

 

 エルヴィンはそう指示するが、私はそれに参加する事はできない。もう少しで中身を取り出せるのだから、それまで辛抱すればいいだけの話だ。幸い巨人は女型の手足ばかりに集中しているので私の方はまだスルーしてくれている。

 

おひ(よし)もーふこひれ(もーすこしで)…………ふぐっ!?」

 

 ガチン、と歯が何か硬いものに当たった。歯がそれ以上深く入っていかない。おかしい。巨人のうなじの中にそんな変なものは入っていなかったはずだ。

 

「ぶはっ……何、今の…?」

 

「スイカ、まだ取り出せないか!?もしそちらが無理なら、巨人の掃討を優先してくれ!!」

 

 思わず口を話す。歯がグラついた訳では無いが何か嫌な予感がする。しかし、巨人が群がるこの状況では考える暇なんてものはない。私の答えはひとつだ。取り出すのを優先する。

 

「もう少しで取れるからッ!!」

 

 硬いものがあるのだとすれば口はもうダメだ。ならば、首根っこを引っ掴むかのように、首ごと握ってしまえばいい。

 今の私は15m級。14m級の女型の首を掴むのは不可能ではない事だ。先程は「潰してしまうかもしれない」と危惧してこの方法は取らなかった。だが「硬いものがある」と分かれば、それを利用しないテはない。

 

「うおおおおおおぉぉっっっ!!」

 

 力を込めて、背骨ごと首を抜いた。頭は巨人に食われかけていたが、背骨がついたままの生首を持って巨人の群れを掻き分けて、戦場から距離をとる。

 

「うへぇ…背骨ごと取れるとかグロいよぉ……」

 

「オイ、さっさと余分なモノを落とせ。中に居る人間の面を拝んでやる」

 

「あ、リヴァイ来てたんだ。ちょっと待ってよ、何かさっきから変なんだ。石みたいな硬いモノが私の手の中にあってさ。ちゃんとうなじの中身を持ってきたはずなのに…」

 

「硬いモノはともかく、今は余分なモノを落とすことに集中してくれ」

 

 遅れてやってきたエルヴィンに促されて、私は蒸発しかけている背骨を千切って、食われかけの頭も取り、うなじの肉を剥がす。すると、そこにあった「硬いモノ」が顔を覗かせる。

 

「何だ…こりゃあ…?」

 

「中身は人間か…。やはりこの巨人は、知性巨人だったようだ…」

 

 その「硬いモノ」の正体は謎の水晶体だった。中身は女型の巨人の操り主。認めたくはないが、憲兵団に所属した筈の同期、アニ・レオンハートその人だった。

 

「本当に…アニだった…」

 

「そうか……。やはり兵団の中に居るようだな。

 それも、鎧の巨人と超大型巨人も、君達104期の中に居ると見て間違いないだろうな。…では、スイカはその水晶体を荷馬車へ乗せ、エレン達と合流しろ。森からから出次第、再び陣形を組織しカラネス区へ帰還する」

 

 エルヴィンは総員撤退の煙弾を放って、私達はエレン達と無事合流して、馬に乗って帰還した。女型が巨人を引き連れてきたからなのか、帰りは損害がゼロのままで文字通り無事に帰還できた。

 尚、水晶体に包まれた女型の本体がアニであることは一部の者以外には伏せられ、カラネス区のある施設の地下で厳重に管理される事になった。




現在公開可能な情報
アニは強固な水晶体に覆われてしまい情報を引き出すことが不可能な状態になってしまった。その水晶体の硬度は少なくとも鉄以上。表面に傷一つつけられない。帰還先であるカラネス区の本部の地下に安置してある。
水晶体からアニを出すには、特別な方法が必要…なのかもしれない。
尚、女型の正体を知らされている104期の者は、狙われている対象のエレン、参謀役のアルミン、そしてミカサのみ。
ミカサに関しては、彼女の強さを最大限に活かす為にはキチンと情報を伝達させるのが得策だ、とアルミンが団長に働き掛けて、特別に選ばれた。



森で捕らえる事に成功したので、原作とは大きく流れが変わりましたね。具体的に言うと、8巻の内容をほぼすっ飛ばしました。
・ペトラ達の死亡が無くなった(やったぜ)
・リヴァイの骨折による弱体化が無くなった
・本作戦失敗によるエルヴィン達責任者の召還、エレンの引き渡しが無くなった
・ストへス区での戦闘が無くなった
・壁の中に巨人が居る事を知らないまま
・ジャンが女型の正体を知らない
etc......

アニ曰く「戦士に成り損ねた」で、アルミン曰く
「まだ話し合うことができる」との事で…。色々妄想の余地がありますね。ハハッ
にしても、シガンシナ決戦までは遠いなぁ…。

本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。

  • 進撃は知ってる/東方は知らない
  • 進撃は知らない/東方は知ってる
  • どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
  • どちらも知らない(聞いた事がある程度)
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