進撃の世界に鬼が乱入しました 作:創作の巨人
この後の展開を考えて幾つかタグ追加しました。
You See BIG GIRLは名曲(確信)
それは、アニ・レオンハートこと女型の巨人を捕らえてから少し経った日のことだ。私は女型を捕らえた功績から、アルミンやミカサ、エレンは女型の正体を知る者として、特別に上の者が出席しているとある会議に参加していた。
その頃同じく104期調査兵団の皆は、ウォール・ローゼの某所で休暇を楽しんでいる。勿論、休暇というのは嘘である。本当は、女型の正体を知らされた先輩方が104期の皆を見張る為の時間だ。ミケやその部下のナナバ、ゲルガー、ヘニング、リーネ、トーマが上官としては派遣されている。
…が、皆を監視している者の一人のトーマが、早馬として会議の場に飛び込んできた。話を聞くところによれば、ウォール・ローゼが突破されたとのことだった。
見張られていた場にはライナーもベルトルトも居たはず。ならば2人が壁を破るのは不可能だ。それともまさか、ライナーとベルトルトは、鎧と超大型ではなかったのだろうか。それとも他にも壁を破れる巨人が居て、それは調査兵団に属していない…のだろうか。
現時点では、どうにでも考えられる。だから今ここでウダウダ考えても仕方ない。私達調査兵は出来るだけ早くそちらに向かわなければ。しかも早馬が到着したのは、巨人を発見してからおよそ12時間後の事らしい。事態は極めて深刻だ。
「リヴァイ班とハンジ班、それからミカサ達は、104期調査兵の元へ急行してくれ」
「「「ハッ!!」」」
「…リヴァイ班と言ったが、スイカは少し待て。聞きたい事がある」
一瞬リヴァイが振り向いたが、すぐに厩舎へと向かっていった。事態は極めて急を要するので、本当だったらこんなことをしている場合ではないのだが…。
「何?」
「君はライナーとベルトルトが鎧と超大型だ、と推測していたな。では今回壁を破ったのは、一体何だと思う?私の考えでは他の敵勢力だが…大方君も同じ考えだろう?」
「そうだよ。鎧と超大型、それから女型が敵でも壁内を滅ぼす事に何の意味も無い。寧ろ自分達も飢えて死ぬはずだ。てことは敵の巨人化能力者の裏には、何か別の敵が居るはずだよ」
「…それが聞けて安心した。何故だろうな、君がそう言うと本当にそうである気がしてくるよ…。では我々も現場に急行しよう」
その後、厩舎にてハンジ達と合流して、彼女の提案で壁にあけられた穴を特定しやすそうな高い建物…ウトガルド城へと馬を走らせる。104期の皆は南西の方に待機させられていたので、近くのその古城に避難している可能性も高かった。
それから半日近く馬で駆け、朝日が昇って少し経つ頃にやっと城へと到着した。道中にハンジが言っていた通り、ここに避難してきた者達も少数居るらしく、その者達の事は無事に回収できた。ただ現場の様子は、そう簡単に片付けられそうもなかった。
ここに避難してきたコニー達曰く……本来なら夜は行動しない巨人が何故だか
上官4名のうちリーネとヘニングは壁の方から飛んできた岩に当たり即死、ゲルガーとナナバは巨人に食われてしまったそう。
そして、岩が壁の方から飛んでくる少し前に、壁の方へ歩いて行った特異な巨人が居たそうだ。全身を体毛で覆われていて、17m程の巨体で腕が異様に長い巨人らしい。コニー曰く「獣の巨人」との事だが、その例えは狩猟で食ってきたコニーらしい発想だなと思う。
更に、クリスタ・レンズの本名はヒストリア・レイスといい、とある貴族の娘である…らしい。後程詳しい話を聞くことになるだろうが、一先ず情報だけは得られた。
何だか妙に情報量が多くて、駆け付けた私達も現場に居た者達も非常に混乱していた。
そして私はその場でエルヴィンから命を受け、獣の巨人が向かったとされる地点へと霧になって向かった。すると彼の予想通り壁を登った痕跡があった。爪で刺してクライミングしたと見える。私はその旨をエルヴィンに報告し、城で合流した皆と壁を登った。
これからのやる事は「壁の穴を塞ぐこと」だ。その壁の穴は私達の移動中に駐屯兵が探しておく手筈だったらしい…のだが、ハンネス達先遣隊の報告によると、穴なんてどこにもないらしい。
しかし巨人は壁の内側に発生している。普通に考えれば壁に穴があいていそうなものなのだが。
「穴が無いとなれば仕方ない。一旦トロスト区で待機しよう」
「地面を走るにはまだ巨人がいるから、もう少し壁の上で移動した方がいいよね?ユミルのことは安全第一で運ぶのがいいだろうし」
「ああ、そうしてくれ」
「…道中でも巨人に出くわさなかったが…こりゃ一体どうなってんだ?」
エルヴィンとハンジとリヴァイは、ボソボソと何か話し合いながら壁の上を歩いていく。班員や待機していた104期のメンバーもついて行くが、エレンとライナー、ベルトルトだけはその場から動こうとせず、何事か話し込んでいるようだ。
ふと嫌な予感が脳裏をよぎった私はひっそりと霧と化し、3人の周囲で漂う。
「…俺達は5年前、壁を破壊して人類への攻撃を始めた。俺が鎧の巨人でこいつが超大型巨人ってやつだ」
と、ライナーはベルトルトを示しつつ、自身が鎧で、ベルトルトが超大型である事を告白した。言質が取れた。証拠ではないが、良い判断材料になると思う。
「は…?何言ってんだお前…」
「な……何を言っているんだライナー」
エレンは勿論、ベルトルトまでも困惑している有様である。多分ベルトルトとの合意ではなく、ライナーの独断でこんな暴挙に出てるのだろう。
「俺達の目的はこの人類全てに消えてもらうことだったんだ。だが…そうする必要は無くなった。エレン…お前が俺達と一緒に来てくれるのなら、俺達はもう、壁を壊したりしなくてもいいんだ。わかるだろ?」
「は……?何…言ってんだ?全然わかんねぇよ…どういう事なんだ…?お前が…鎧の巨人…だと?なぁ、ベルトルト……?ライナーの奴、おかしくなっちまったのか?ライナーが何言ってんのか、俺にはわからないんだが…。お…面白くねぇな、お前の冗談はよ…」
「あ…あぁ…そうだよ!多分、ライナーは疲れているんだよ!きっと、いつ死ぬかわからない極限状態で徹夜なんてしたせいだと思う…」
「だよな…。大体な、お前が人類を殺しまくった鎧の巨人なら今ここでぶっ殺してるぞ…超大型と同じく、人類の仇同然なんだから…。ついていくはずがねぇだろ?敵の言う事を聞く訳ねぇよ…」
それを聞き、ライナーはハッとした顔になり…ベルトルトは「どうするんだよ、ライナー…?」とでも思っていそうな表情でライナーを見やる。確かに、こんなカミングアウトした後でこれまで通り兵団で過ごせるとは思いにくいし、さっきの発言でエレンの心の中にはライナーとベルトルトへの疑惑が芽生えてしまっている。ベルトルトがそんな目をするのも仕方ない。
「そうか…その通りだよな…何を考えているんだ俺は…本当におかしくなっちまったのか?」
「ほら、とにかく街に行くぞ?遅れてるから少し急ごうぜ」
「きっと…ここに長く居すぎてしまったんだな。バカな奴らに囲まれて…3年も暮らしたせいだ。俺達はガキで…何一つ知らなかったんだ…こんな奴らが居るなんて知らずにいれば…俺は…こんな半端なクソ野郎にならずに済んだのに…!!」
─────まずい。
本能的にそう感じ取った私はエルヴィンの元へ急ぎ、後方の彼らを警戒するよう密かに伝達し、どこにでも瞬時に
「もう俺には…何が正しい事なのかわからん…。ただ…俺がすべき事は自分のした行いや選択した結果に対し……」
シュルッと腕に巻いた包帯替わりの布を取り、ウトガルド城にて巨人に噛まれたらしい怪我を、エレンに見せつける。するとその傷口から蒸気が噴き出し、急速に腕の傷を治癒させていく。その現象は、巨人化能力者や巨人にのみ見られる、傷を修復させる時に発生するものだった。
「戦士として最後まで責任を果たすことだ」
蒸気を上げる腕を見て絶望的な表情を浮かべるエレン。アレは、ライナーが巨人化能力者である何よりの証拠。
私達104期は、総じてライナーを兄貴分として慕っていた。中でも、エレンは相当懐いていた。そんなライナーが敵だったなんて、彼にとっては信じたくもない事実だろう。
「ライナー…やるんだな!?今…!ここで!!」
「あぁ!!勝負は今!!ここで決める!!」
…刹那、ミカサがエレンの背後からライナーに斬り掛かろうとしているのが見えた。ならばと、私はベルトルトを仕留めるべく、頭上で実体化しそのまま踏み潰そうと試みる。
しかし影で気付かれてしまったのか、彼は私の攻撃を飛び退いて回避してしまう。着地箇所には深く長い亀裂が走り、周囲には破片が飛び散る。
一方ミカサはライナーを斬った。しかし右腕を切り落とし左手に切り込みを入れ、頭に少し傷を負わせただけだった。続いて、私の攻撃を回避し尻もちをついたベルトルトにブレードを突き立てようとする。
「エレン!!逃げて!!」
「ベルトルトッッ!!」
ミカサのブレードがベルトルトに届く寸前で、ライナーはミカサをタックルで壁の向こう側へと吹っ飛ばす。如何に彼女の肉体が強靱でも本気になったライナーの巨体にはかなわなかったらしい。
「エレン、逃げろ!!」
アルミンを初めとする104期のメンバー、更にその他兵士が大勢駆け寄ってくる。それらを見て流石にエレンも覚悟を決めて逃げようとするが、回避には僅かに間に合わず、2人の巨人化による爆風に吹き飛ばされてしまった。
それによって担架で運ばれていたユミルも吹き飛ばされるが、上半身のみの超大型巨人と化したベルトルトが空中でキャッチする。
どうやって上半身だけでバランスを取っているのかと壁との接地面を見てみれば、なんと肋骨を壁に刺している。どうもこれは、エレンが砲弾を防ごうとした時のやり方に似ている。それから、ライナーはキチンと全身で巨人になって、同じく爆風で飛ばされたエレンを掴み、壁の向こう側へ飛び降りた。
「まさか、こんな壁の上で巨人化するとはな…。どうしてお前がいながら止められなかった」
吹き付ける熱風を手で防ぎながら、リヴァイが静かに話しかけてくる。周囲の物資や兵士は風に吹き飛ばされたり何だりして人数が減っていた。それでも立体機動に移っていると思われるので、あまり心配はしていない。
「もう少しのとこで避けられたんだよ…。流石にあれじゃ殺せやしない」
あの時、近くにエレンやミカサが居なければ…一瞬で2人を屠れたというのに。私の力は強いがその分広範囲に被害が及びやすい。もしあの場で私が力を解放すれば、大抵の怪我は治るエレンは置いといても、ミカサが死亡か重体になっていたはずだ。それとも、ミカサのことは気にせずに、本気で2人を殺しておくべきだったのか。
………私は、選択を誤った。多分、2人が揃い味方が傍に居ないという機会はもう無いだろう。次はもう…無い。
「チッ…エレンは捕まったのか?」
「うん、生かしたまま連れて行くつもりみたい」
「…お前は鎧を殺れ。超大型は俺達で殺る」
「わかった」
鎧の巨人と化したライナーは、壁の角を伝って降りていく。この高さともなると、鎧の巨人でもそれなりにキツイのか、それとも手の中のエレンを考慮してのことなのか…。
私はそれらを気にする必要が無いので、指示を受けた直後、50mの壁から飛び降りる。
「このッ…裏切りもんがあぁあああああぁあッッッ!!!!」
鎧の手の中でエレンが巨人化した。奴の左手は巨人化により壊れ、そして巨人エレンは鎧の顔を強かに殴り付ける。しかし、壁に頭を押し付けるだけでダメージは入らなかった。逆に、殴った側であるエレンの手が砕けてしまっている。流石の防御力だ。尤も私は、それさえも貫通する自信があるが。
「鬼神『ミッシングパープルパワー』!!!」
落下というより下降しながら、15m級になる。5年前は遠くからだったのでよく分からなかったものの、鎧の巨人も15mらしかった。ならば私もそれに合わせて15mになってやろう。何としてもコイツらをこの力で捩じ伏せてやる。
原作中でエレンが途中までまともにライナー達と喋ってたのは、事前に怪しいと知らされてたからでしょうね。しかし本作では知らされてないのでこんな「(・・ ;)」みたいに…。
萃香のこと、サイゼクラッシャーにしたかったんですけど…やっぱり上手くいきませんでしたね。この後の展開はマジで原作と大きく変わります。二次創作街道を突っ走るぜ。
※サイゼが何の事か知らない人は、「進撃の巨人 サイゼリヤ」で検索して下さい。
本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。
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進撃は知ってる/東方は知らない
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進撃は知らない/東方は知ってる
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どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
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どちらも知らない(聞いた事がある程度)