進撃の世界に鬼が乱入しました 作:創作の巨人
「ではまず……どうして君は、巨人の力を今まで隠していたのか、を聞かせてもらおう。エレンのように明かし、人類の為に生かす事もできたはずなのに、なぜ君はそうしなかった?」
「いや…まぁ…それに答えるのは良いんですが…その…なんて言えば良いんでしょう…」
「…?どうした?」
「私を拘束とかしなくていいんですか?こんな、食事したあとの流れでそのままくるか…と驚いたもので…」
彼女が驚くのも無理はない。私だって驚いた。
ウォール・ローゼに帰還したあとは、負傷者は医務室や病院に運ばれて、動ける者は片付け等の仕事をしたあとに、簡易的な夕食を済ませた。
その後に始まったユミルへのこの尋問は、必要最低限の人数で、食堂で世間話をするかのような雰囲気で始まったのだ。尋問する為の部屋を用意する暇すらもないのだろうが、だからってこんな状況でいいのか、と少々疑問に思う。
とはいえ、私としてはこの方が有難いと思う。ユミルが変に傷付けられるようなことは私だって避けたいことなのだから。
私、エルヴィン、リヴァイ、ハンジ、エレン、アルミン、ミカサしかいないこの状況なら、彼女だって話しやすい…はずだ。
「君は先程、『知っている限り話す』と言った。我々に逆らいここで暴れるつもりは無いだろう?なら、無闇に拘束する必要なんてどこにもない。わざわざ場所を変えて変に緊張させたくもない。この方が君も楽じゃないのかな?」
「まぁ……そうですね。お心遣いに感謝します。
…まず、私がこの力を明かすのを躊躇ったのは、命の危険を感じたからです。アルミンが言うには女型の巨人はエレンを探していたらしいし、もし私が力を明かせば、エレンみたいに私も狙われるかもしれないと踏んだからです。実際、ヤツらの行動を見るにそうでしたよね?私にも力があると分かるなり、私が昏倒してるのをいいことに森へ連れ去ったんですから」
それを聞くとエレンは苦々しい表情になった。また連れ去られた事で、狙われる事の辛さなどをより強く思い知ったことだろう。
「…成程。筋は通っているな…。では、その力はどこから得たんだ?」
「エレンのような巨人化能力者を食べると、その能力が得られます。私はそうやって、この巨人の力を得ました」
「食べる?…どうやって?」
「それでは、私の出身から話す必要があります。長話になりますが…良いですね?」
「勿論だ。ハンジ、メモの準備を」
「とうに出来ているよ、エルヴィン」
「話してくれ。全てを…包み隠さずに」
「分かりました。……私は、壁の外から来た人間です。人類は滅んでなどいません」
「「「は…………?」」」
全員が驚いた。この場にいる全員が、だ。私達104期生は勿論、あのリヴァイでさえ目を見開き口を半開きにさせている。しかし、そんな反応を示すのは当然だった。この世界では、「壁の外の人類は巨人に食い尽くされた」なのだから。
「元は、壁の外にあるマーレという国…の道端に捨てられていた、名前すら無い孤児でした。でもそんな中、私を拾った男がいました。巨人の始祖である少女『ユミル』と呼ばれる少女を崇拝する宗教家でした。拾われた私は、自らの信仰対象の
『ユミル』になるように仕込まれました。やがてマーレ政府に見つかってしまい、船で海を渡り…このパラディ島に送られました。そこで、無知性巨人になる注射を打たれ…私は理性の無い巨人となりました。……と、これが私の半生です」
「待ってくれユミル!!」
ガタンと椅子を鳴らして立ち上がったのは海に反応したアルミン……ではなく、巨人についての興味が湧いてきたハンジだった。
「何ですか」
「注射を打たれ巨人になった。君はそう言った。それってつまり…巨人の正体は人間…なの…?」
「…ええ。といっても全人類ではなく、限られた一部の民族のみです」
「民族…って…私達とミカサのお母さんみたいな東洋の人間…以外にも民族に種類があるの…?」
「それはもう沢山いるそうです。それ以外は私も詳しくは知りませんが。何しろ私は、宗教の信仰対象としての活動ばかりしていて、見聞を広める時間がまるでありませんでしたから。そのことに対し、興味もありませんでしたし」
「…巨人となった君は、どうやって人間に戻り、壁の中に入ったんだ?」
ついに堪えられなくなったのか、少年のようなどこか明るい表情で、エルヴィンが問いかける。そんな彼を、リヴァイは「なんだコイツ」とでも言いたげな目で見ている。
「巨人化能力者を食べるとその能力を得ますが、同時に人間に戻ります。そして、私がこの壁内に入れたのは、5年前にベルトルト達がウォール・マリアを破ったからです。その混乱に乗じて私も壁内に侵入しました」
「…成程、あれ程の混乱なら壁外から誰かが侵入しても気付けやしないだろう。超大型達の侵入を許したのも、全てはあの混乱のせい…か」
「壁内への侵入後は、色んな意味で教会の世話になって生活していました。そんな中、壁教の重要人物の話を聞いて、その者に興味を持ったので…その者の居るという訓練兵団に入団しました」
その後、朝までユミルの話や聞き手達の質問は続いた。エレンはハンジの話を朝まで聞かされたときなんかはグロッキーになっていたが、彼女の話は初めて聞く内容ばかりで誰もが朝まで真剣に話を聞いていた。
「…おっと…朝になってしまったな。すまない、想定よりも長くなってしまった」
「別に構わないですよ。…今日休めるのなら」
「ああ、休んでもらっていて構わない。しかし、その
「…いえ。大丈夫です」
「そうか。協力感謝する。これからも宜しくな」
「こちらこそ」
「行くぞ、ハンジ、リヴァイ」
「ガキ共はここで待機していろ。その間は建物の掃除をしておけ。いいな」
「「「はい…」」」
ハンジは、自身も質問しつつメモを纏めていたので、彼女が部屋を出る際にそれを覗いてみた。それには、凡そこんな事が記載されていた。
・巨人の正体は人間
・民族の種類は多い
・私達はエルディア人、その中でも巨人になれる特殊な人種であるユミルの民
・壁の外にも人類の活動領域がある
・海は本当にある
・アルミン曰く海とは塩水で出来た広大な湖
・商人が一生かけても取り尽くせない程の塩
・海の向こうにはマーレという大きな国があり、そこでは巨人を戦争の道具として運用している
・我々の敵は巨人というよりも世界
・ユミルは巨人にされてから約60年間無知性巨人として壁外を彷徨っていた
・5年前にライナーとベルトルトとアニの仲間の
「マルセル・ガリアード」を捕食したことにより彼が有していた「
・人間に戻った後は混乱に乗じて壁内に侵入
・内地の教会で壁の秘密を知る壁教の重要人物の話を聞き彼女に興味を持ち、訓練兵団に所属したその「重要人物」と同じように訓練兵団に入団、己の保険のつもりで常にヒストリアのそばで行動するように(いつの間にか自分より大切な存在になったらしいがよく分からない)
・ヒストリアは壁教の重要人物らしい(血は直系だが中央憲兵曰く「王家を追い出された妾の子」らしい。断片的にしか聞いていないためその辺は本人に聞くのが一番かもしれない)
・ウトガルド城には「鰊」の缶詰めがあったが、鰊は海にしか生息していない魚とのことなので、あの城は壁外の勢力が最近まで根城にしていたと思われる
・よって先日の巨人騒動は壁外勢力による人為的なものである可能性が高い
・城の前を通りかかった、全身を体毛で覆われた
「獣」の巨人が黒幕の可能性(コニーなども目撃している)
・ライナーらは特殊な訓練を受けた「戦士」で、巨人の力に特別精通しており、ユミルやエレンは一般人なので検証の必要がある
・彼女の「顎の巨人」は素早さや強襲に特化しているらしく、強靱な爪や顎の攻撃に期待が持てる
・よって、少なくとも鉄以上の硬度であるアニの水晶体を破壊できる可能性アリ
・「ユミルの民」とは我々のような巨人になれる人種の事であって、始祖ユミルの子孫全般を指す
(イルゼの手記とユミルの話を合わせて考えるとイルゼが接触した巨人はユミルの信者だった女の可能性が極めて高い)
情報量。圧倒的情報量である。私がこの世界に入ってこんなに一度に情報を得た事がこれまでにあっただろうか。頭がパンクしそう、とはまさにこの事だろう。
ハンジの話に少し出た「イルゼ・ラングナー」だが、どうやら死の直前まで巨人と接触した際に起こった事を手帳に記していた兵士らしかった。彼女は、巨人が「ユミルさまよくぞ」「ユミルの民」などと喋ったといった、貴重な情報を残してくれたという。
やがて、上官達は部屋を出て、私達はボチボチ掃除を始めた。エレン達…特にアルミンなんかはユミルに話しかけたそうにしているが、考え等がまとまらないのかブツブツと何か呟いてばかり。エレンは「先に掃除しちまうか」とさっさと動き始めた。リヴァイの教育が活きているらしい。
「…それにしてもさ、ユミルって案外すごい経験してるんだねぇ」
「まぁ…そこいらの人間よりかはな。肉体年齢は10代だが、実年齢は70〜80代なんじゃねぇかな。スイカより年上か?」
「うんにゃ、私の方がもっと上」
「見た目老けなさすぎだよ、お前は…」
「まぁね〜。ところでさ、ユミルの前にその力を持ってた…マルセルだったっけ?そいつの記憶、ベルトルトに運ばれてる時に思い出したってのが謎だねぇ。なんでそんな時に?ってね」
「あの時私は昏睡してたからな…思い出したってよりかは、夢を見たっていう感じだ。でも、前にエレンが言ってた通り、エレンは『巨人の力』のルーツを知らない。てことは、私とエレンのこの違いの理由が分かれば、もう少し前任者の記憶を見て色々と探れそうなんだがな…」
「うーん…。マルセルってのは、ベルトルト達の仲間だったんだよね。で、ベルトルトに触れたらマルセルの記憶を見れた。…つまり、『前の力の持ち主と関わりの深い者に触れると記憶を覗ける可能性がある』…とか?」
「ありそうだな。でも私の場合は偶然だったし、そう上手くはいかないだろうな。…始祖様にさえ触れたら何でも上手くいきますよー、なんていう私達に都合のいい展開にはならないもんかねぇ」
「あはははっ、それいーね!でも始祖ユミル?はとうの昔に死んでるんでしょ?そんなんじゃ無理だよねー…ユミルの子孫って言ったって、それはこの壁の民全員らしいし…」
「さっきも言ったが、クリス…いやヒストリアは王家の人間だ。つまり彼女は少し特別なユミルの民だと思って訓練兵時代からよく接触してたが…そういえば何も思い出す事はなかったなぁ。王家だから、はあんまり意味が無いのかもしれない。もしくは他に条件があるのか…とかな。だがもし巨人になったら特別な能力を持ちそうだな、とは思うな。なってほしくはないけどな、物騒だし」
「そうだねぇ…危険に晒したくないし。…あれ?ヒストリアは王家の人間で…直系なんだよね?」
「…?そうだな、中央憲兵がそう言っていたし、嘘ではないだろうな」
「てことは、今の王様の孫とか子供…なの?」
「ヒストリアとあの王様じゃ年がかなり離れてるだろう。孫なんじゃないか?」
「そっかぁ…」
私もユミルもそんな仮説に納得したその瞬間。背後から、アルミンがどこか焦ったような表情で話しかけてきた。
「…ねぇ…2人共」
「何だよアルミン?乙女の話に割り込むなよ」
「ごめん…だけど2人のその仮説は絶対に違うと思うから、それだけ言いたくて…」
「あー?なんでそう言いきれるんだよ?」
「…だって……今のフリッツ王には子供がただの1人もできたことがないんだ…」
王様に子供がいなければ、王の座は分家や他の親族が継ぐことになる。だから、子供がいない事自体にはあまり違和感が無かったりする。
「そりゃ『妾の子』だもの公表はしないでしょ。てことは、あの王様が妾を襲ったんじゃない?」
「お盛んだなぁ、あのじいさんも…」
「違うんだスイカ、ユミル!ライナー達が巨人化する前に、壁の上でハンジさんとヒストリアとで話してた事なんだけど、レイス家はただの貴族家なんだよ!!」
「え……」
「……つまり…何なんだ?レイス家が本物の王家だとしたら…今は貴族家に成りすましていて…?今の王様は偽物…って事なのか…?」
「にわかには信じられないけど…多分団長達は、その考えを前提に動いてるんだと思う……」
◆
ウォール・シーナ─────レイス家礼拝堂地下
「オイオイ王様よぉ、まずい事になったぜぇ?」
「どうした…何があった?」
「
…てめぇ、どれだけの秘密を隠してやがった?」
「…ついに、
「へいへい。…実の娘を巨人にしようだなんて、ヒデェことを考えるもんだぜ。巨人化能力者は、たったの13年で死んじまうんだろうが?…ウーリみてぇによ」
「神をこの世に権現させるのが私の使命だ」
「…わかったよ、王様。近いうちに連れてくる。継承の儀の準備はしておけよ」
「ああ、勿論だ」
エレンって、接触していなくてもふとした瞬間に髪を梳いてるフリーダの記憶を見たんですよね。つまり、接触しなくても記憶を見る事はある…?
それなら、そこから妄想を広げられますね((((
あの偽物フリッツ王に子供がいるかは不明なのでアレは普通にオリジナル設定です。偽物の王家の話題にどう繋げようかなーと考えた結果、何故かこうなりました。
今回は昏睡中に接触したので夢という形で出してみました。深い意味はありません。
あと「ユミルの呪い」についてもまだ不明です。
(ケニーやロッドは知ってるけど)
一体どういう瞬間に記憶を、更にどの程度見れるのかも不明ですから、そこは好きに出来ますね。
尤も、「分かってて改変する」も可能ですがね。原作改変ってタグつけてあるし。
それから、ユミルが金品をアレして暮らしていたときに、壁教の人物の話を盗み聞いていたっぽいですが、そこに中央憲兵も追加しました。
トラウテ・カーフェンは副官の女兵士です。確か原作中では名前判明してなかったと思いますが、一問一答かどこかで判明してましたね。
生き残ってほしかったです。
本作を読んでる方は、進撃の巨人と東方Projectをどの程度ご存じですか?折角のクロスオーバーなので、それぞれのネタなどを使うにあたって参考にさせて頂きます。
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進撃は知ってる/東方は知らない
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進撃は知らない/東方は知ってる
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どちらも知ってる(ある程度原作履修済み)
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どちらも知らない(聞いた事がある程度)